Neetel Inside ニートノベル
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あぁ自分疲れてると思った瞬間アンソロジー
下手なだけ

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むかし、できるだけ多く描けといわれた。
とにかく多く、目につくもの何でも描けといわれた。
いつでもどこでも何かを常に描いていろというふうに。

そうして描いた経験こそが糧となり己の力となるんだといわれていた。

ところがどうだ。
その描いてきた経験が、糧が、一体今の俺にとって何の益となっている。

人は皆俺の絵を求めるくせに、描くな描くなという。

ある批評家は俺の描いたものを煩いと評する。
あるバイヤーは俺が塗りつぶしただけのキャンパスを満足げに眺める。

これは神が与えたトンチか何かか。
不思議なもんだ。


子供の頃、作文は文章を原稿用紙いっぱいに書けといわれた。行を残すなと。
大学に行く頃にはレポートが一科目に付き最低でも原稿用紙20枚以上はあった。
投稿作に至っては何百枚だった。

それなのに仕事ではどうだ。書くな書くなの連続だ。

書きたいのに、書いてはいけない。
誰かに伝えたい。書きたいことが山ほどあるのに、それらを書いた俺の原稿を上司は採らない。
上司はトンチをしているわけではない。

読ませたくない内容が書かれた原稿は採らないんだ。
上司が採るのはいつも、原稿が紙くず以下になるものばかりだ。


手を抜く記者ほど出世する。
描かない画家ほど稼げる。


なんでだろうな。
求められるってのは案外そういうもんなんだろうな。



なあおい、お前のやりたいことって何だよ。

       

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