Neetel Inside 文芸新都
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夢日記
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 白い花が並ぶ花畑に僕は立っていて、遠くに虹色の観覧車が見えた。

 初夏の誘惑。心地良い日照りの中で観覧車は太陽光を反射させながらゆっくりと回転を繰り返している。

 観覧車に歩み寄るべく腰の重心を動かした矢先、白い花に隠れていたのか、おびただしい数の水色の蝶たちが、それも百は超えるであろう数の蝶たちが一斉に遊園地のバルーンのように青空に飛んで、そのブルーの中へ静かに消えていった。

 しばらくはその景色に見とれていた。呆けていた、と言っていいほど夢中になっていたかもしれない。気がつくとすぐ隣に学生時代の恩師が立っていて、僕はたじろいでしまう。恩師は静かに口を開いた。

 「チョウチョは観覧車より高く飛ぶ事は出来ないんです。彼らも夢を見ているんですよ」

 それだけを言い残すと、恩師は踵を返して観覧車とは逆の方向へ歩き始める。僕は追いかけようとするけど、歩けど歩けど追いつく気配は無い。その恩師を呼ぼうと叫び声をあげようとするけど、口を開いた瞬間に目が覚めた。

       

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