Neetel Inside 文芸新都
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ゴースト
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体を起き上がらせようと頑張っても、手足に力が入らない。そもそも今の俺には、手足がついているのかすら曖昧だった。
これまでの記憶がごちゃまぜになって、思考がまわらない。
俺の周りに溜まった血の湖、俺の体内にはこんなに血が入っていたのか、と関心してしまう。
仰向けになった状態から、首だけをぐっと起こしてみる。これだけでも俺にとってはかなりの重労働だ。

つま先越しにその姿は見えた。奴はまだ生きている。美しい白い石膏で塗り固められたような巨躯がこちらに向かってくる。
奴の胸のあたりには俺が残した傷跡が刻まれている。奴に攻撃が通ったことを確認し、安堵した。
奴の手にはその巨躯に釣り合った大きな純白の斧が握られており、その斧を引きずる跡が一本の線となって、柔らかい土壌に残る。

よし、もう諦めよう。首の筋肉も限界だし、奴が一発で俺を殺してくれることを願うしかない。
俺は再び首を元の位置に動かし、仰向けの状態に戻る。

奴は俺の横に来た。両手で巨大な斧を握りしめ、そのままゆっくりと振りかぶる。
斧の軌道や重さを考えると、まず俺は即死だろうな。苦しまずに死ねることを神に感謝しつつ、俺はゆっくりと目を閉じた。


あ、そうだ。  渡すものがあったんだ。

       

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