Neetel Inside ニートノベル
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「黒鉄くんさァ……」
「やめろよ、泣いている子もいるんだぞ」
「お前だろ」
 鋼、八洲、殊村の三人は食堂にいた。スパーリングが終了してから、一時間ほど経過している。
 八洲が頬杖を突きながら、ぶすっとしている鋼を見て苦笑した。
「それにしても、あそこで外すかね」
 わざわざ言われなくたって鋼だって綺麗に当てて終わらせたかった。だが、最後の瞬間、失ったはずの右腕が烈しく『痛』んだのだ。それは、蜘蛛の巣のようにあるはずのない神経を通って鋼の脳天から爪先までを貫く冷たさだった。結果、見事に三発連弾まとめて鋼の黒は虚空を裂き、そして痛みで集中力を欠き風(あし)にきた鋼を仕留め切れない剣崎八洲ではなかった。
 それだけのこと。
 鋼は空っぽの右袖を左手で撫でさすった。
「くそっ、もう少しだったのによ」
「それは認める」と、八洲が頷いた。
「危なかったよ。マジでやられるかと思った」
「畜生、マコトくん、俺の黒、なんとかならねえかな。もういい加減イヤになってきたぜ。肝心な時に使えないんじゃ頼りにできねえよ」
「うーん。どうして黒鉄くんの黒があんなに不安定なのかは僕らの方でも調査中なんだけど、わかったのは、きみの左脳にあるブラックボックスの一部が他のボクサーよりも発火していないってこと。たぶん、そこがハンドキネシスの黒を司ってる部位なんだろうけど」
「お前は何を言っているんだ」
 仮説だよ、と殊村は前置きして、面白くもなさそうに続けた。
「黒鉄くんは一年前、交通事故で右腕を肩の付け根から切断したよね。それ以来、当然だけど右腕は使っていない。だから――カラダの右半身を司っている左脳の一部が劣化してしまったんじゃないかって、ラボでは話になってる」
「……へえ」
「べつに僕がそうしたわけじゃないぜ。恨まないでくれよ」
「わかってるよ」
 鋼はテーブルに突っ伏した。
「あーあ。俺の勝ちだったのによォ。畜生、あそこで外れるパンチが悪いんだよ」
「おまえそれ元ボクサーの言うことかよ?」
「発つ鳥あとを濁しまくり」
「うるせえ」
 そうこうしているうちに、トレイに夕食を乗せた涼虎がやってきた。珍しく、割烹着を着ている。
「相変わらず三人とも声が大きいですね。調理場から会話が丸聞こえです」
「助けてくれ枕木。みんなが俺をいじめるんだ」
「はいはいそうですか」
 涼虎はテーブルにトレイを置いた。
 肉じゃがである。
「どうぞ。いつも同じ人が作った同じメニューでは味気ないですから。これはみなさんの働きに対するせめてもの気持ちです。今日は拙いながら私が、お玉を振るわせていただきました」
 そこで涼虎はきっと顔を上げ、
「私が、お玉を振るいました」
 万に一つでも茶化したら、お玉のサビにされそうな気配が漂っていた。
 男三人がそれぞれ黙って容器に入った肉じゃがを受け取っていく。
 女子に手料理を作ってもらって嬉しくない男子はいない。自然と三人の声が明るくなった。
「おいおい、ジャガイモが溶けてるじゃねーか。小さく切り過ぎなんだよ」
「豚肉小さっ。ケチケチすんなよ肉ぐらい喰わせろや」
「なんか見た感じタマネギが生っぽいよ涼虎ちゃ」
 どんッ!
 テーブルに叩きつけられた碗が、ハシャぎまくっていた男子三人を一発で黙らせた。
 一瞬前と打って変わって、お通夜のような空気が流れる。
 端に用意されていた炊飯器からご飯をよそいながら、涼虎は機関銃でも掃射するような殺人的な視線で三人を順繰りにねめつけ回し、ぼそりと尋ねた。
「なにか文句でも?」
「ないです」
「ありません」
「すみません」
「よろしい」



 涼虎がこれまたどこから持ち出したのか、ずいっと古ぼけたラジオを炊飯器の前に引っ張り出してきた。チューナーをいじるまでもなく、がりがりと音を立ててラジオから声がこぼれ出す。
『お疲れ様ー』
 ルイだった。
『今日のスパーリングの結果はクロガネくんの3ラウンドKO負け。惜しかったね、クロガネくん』
 鋼は不味そうに豚肉を喰っている。
『まあ、みんな言いたいことはあると思うんだけど――とりあえず所長から何か一言どうぞ』
 はい、と涼虎は頷いて、一同を見回した。
「みなさん本当にお疲れ様でした。黒鉄さんも剣崎くんも、最後まで動いてくれて実りの多いスパーリングだったと思います。とても四度目とは思えませんでした。……黒鉄さん、何か言いたいことは?」
「知るか」
「結構です。その悔しさをバネに今後も励んでください」
 鋼は噛み切れないパンを口に含んでいるような顔をした。
「では、殊村くんと剣崎くん。何か言いたいことは」
 ありますか、と涼虎が言い切る前に殊村が食べ尽くした茶碗を叩きつけるようにして、テーブルに置いた。ミラーグラスが蛍光灯を直に受けてギラギラと輝いている。
「僕から言わせてもらえば、やっぱり黒鉄くんのW1B5にはやっぱり無理があると思う」
「ほう」
 腕組みをして、殊村の気炎を受けたのは当の鋼ではなくスパーリングパートナーの八洲。時代遅れの道場破りでも見るような目で殊村を睨む。
「俺はそうは思わんね。今日のスパーを見てなかったのか? 黒鉄のやつは俺を相手に充分うまくやっていたぜ。……無理がある? いいや俺は逆だと思う、W1B5、いけると思うぜ充分に」
「へえ? どういう風の吹き回しかな八洲くん。この間まできみもW1B5には難色を示していたと思うけど?」
「リスクが高いといっていただけで、殊村、お前みたいにアタマごなしに否定してはいなかったさ。それに勘違いするなよ、俺はお前と同じようにW4B2を黒鉄に押しつけようとはしていなかった」
「押しつける? 勘違いしているのはきみの方だな。僕はただ、もっともポピュラーなカードはW4B2だと言っただけだ。きみだってその点には異論ないだろう」
 ばチばチと火花を散らして舌戦に突入した八洲と殊村を見て、鋼と涼虎は顔を見合わせた。
 また始まった。
 ことの発端は二度目のスパーリングが終わった後からだった。W1B5を強行した鋼に対して殊村が不服を申し立て、ほとんど子供をあやすような調子になっていた。言っていることはブラックボクシングをかじったものなら頷かざるを得ないものではあったのだが、その話ぶりが気に入らなかったのか、それとも男子というのはとりあえず目の前にいる相手にすべからく反逆したくなるものなのか、八洲が殊村に猛反論したのだ。涼虎によれば以前からこの二人はブラックボクシングの進行と戦術において意見を闘わせることが多かったらしい。まるで竜巻のような二人の討論に鋼と涼虎はついていけず、ルイはもとより人間の脳味噌越しに味わうメシのことしかアタマになく、スパー後の恒例となった『みんなで晩御飯』の時には自然と殊村―八洲サイドと鋼―涼虎―ルイサイドに分かれていた。鋼は自分のことで二人が言い争っているのはわかるのだが、まったく口を挟む隙間が見えてこないので、大人しく肉じゃがを突いている。涼虎もホットミルクをずずっとすすって暖かいため息をつきながら、隣に座る鋼の顔を見ている。
「八洲くん、きみがW1B5でもいけると判断した気持ちはわからなくもない」と殊村が言う。
「ほう?」
「どうせあの右フックだろう」殊村は白衣を翻して右を振った。
「確かにあの一撃はモニターしていた僕から見ても強烈だった。ハンドキネシスの射程距離を利用した黒のノーマルブロー……見事だったよ黒鉄くん」
 鋼が顔を上げた。
「うんあれは俺もちょっと頑張ったかなって思」
「でもだからといってW1B5の制空力の低さがカバーされるわけじゃない。それにあのフックには致命的な欠点がある」
「欠点?」
「ああ欠点さ。第一に、相手を射程一杯の位置に誘導しなければならないこと。第二に、戦線を離れている黒を相手の心理から外しておかなければならないこと。そしてなにより、一度見せたら二度と通用しないこと。たった一度きりの技を頼りに危険なカードで勝負するなんて愚策もいいところだ」
 よしお前の言い分はよくわかったとばかりに八洲が身を乗り出した。
「なるほど確かにそうだ。だがそれほど無理ってわけでもない。実際に黒鉄とグローブを合わせた俺が言うんだから間違いないぜ。いいか、コイツには普通のボクシングで鍛えたプレッシャーのかけ方がある。俺はそれで随分後退させられた。それをもっと伸ばしていけば相手との距離を一八〇メートルまで引き剥がすことは可能だし、そもそも黒鉄は自分の黒のことを考えれば本当は黒が当たりやすい位置まで近づきたいはずなんだ。相手だってそう思う。その黒鉄が遠距離で使える必殺ブローを持っているってのは大きいぜ。なあ黒鉄?」
「そうだな俺もあれがそれほど難易度が高」
「だからといって一度見せたら通用しないことには変わりない。相手は人間なんだ。プログラムのパターンにしか添えないロボットとは違う。二度とフックが届くラインには近づかないはずだ」
 八洲の目がキラリと光った。
「だからいいんじゃないか」
「なんだって?」
「しっかりしろよ殊村。相手がフックラインに近づかない? 結構じゃないか。……黒鉄はインファイトに持ち込みたいんだぜ?」
 殊村の喉仏がごくんと上下した。
「くっ……!」
「脳波の影響だか神経の磨耗だかなんだか知らないが黒鉄の黒は至近距離じゃないと当てるのは難しい。それはもう仕方のないことだ。だったら、相手を近づけさせればいい。そうするためのプレッシャーとしてもあのフックは有効なんだ。うかつに下ればまともにあの黒を喰らうとなれば、おいそれとはバックスプレイをかけられない。となれば自然、勝負はインファイトの流れになる――そうだろ黒鉄?」
「そうなんだよ俺もそれが言いた」
「それならべつにW1B5じゃなくてもいいじゃないか。黒はW4B2でも二発ちゃんとあるんだぜ。それでフックを撃つなり見せるなりすればいい。きみがW1B5を支持する理由として右フックだけじゃ薄弱だ。……ちょっと格好悪いところを見られたからって相手を擁護するのはいかがなものかと思うよ?」
 八洲がふふふと笑った。
 目が血走っている。
「言ってくれるじゃねえか。じゃあ言わせてもらうけどな、こっちは実際にリングに上がってパンチを交換してるんだ。現場でしか味わえない臨場感ってものがあるんだよ。なあ黒鉄?」
「枕木、ティッシュ取って」
「はい」
「八洲くん、僕はべつにブラックボクサーには自分の意見を持つ必要がないなんて言っていないよ。それに僕らピースメイカーはセコンド役も兼ねているんだ。客観的にモニターで見て取ったデータも信用してもらいたいものだね。……それで? 臨場感がなんだって?」
 八洲はけものじみた吐息をこぼした。
「W1B5のメリットは他にもあるってことだ」
「というと?」
「まず、あれだけ黒が多いとどこからエレキがぶっ放されるのか判断しにくい。黒鉄の黒は暴れ馬じみて扱いには困るかもしれないが、威力はある。それがブンブン振り回されてるだけでもスプレイにキレがないやつなら脅威だぜ。俺はスプレイ使いのファイアスターターだったから、避けるのも見切るのも簡単だったが、俺以外のボクサー相手ならもっと最初から善戦できていた可能性はある」
「……確かに、黒の数が増えればそれだけ警戒の的を絞るのが難しくなる。それは認めよう。でもだからといって、黒鉄くんが白の弾幕をほとんど突破できていないことを見てみぬフリはできないな」
『リョーコちゃん、この味つけ濃くない? 男の子は喜びそうだけど』
「黙ってろルイ。……殊村よ、やっぱりお前は大局観ってのがないらしいな。見てなかったのか? あのナックルシフトを」
「見てたよ。だから?」
「黒がそれだけ多いということは、ナックルシフトをかけられるポイントがそれだけ多いってことだろうが。白の弾幕? そんなもん飛び越えちまえばいいんだよ」
「ふざけるなよ。敵の白と差し合ってる時に自分のそばに黒なんて置いておいたら戦闘空域の自分の白を守りきれなくなる。今日だって結局三弾まとめて外した後に白を潰されて黒鉄くんは負けたんじゃないか」
「だから今度はエレキなんて撃たなきゃいいんだよ!」
「じゃあ何を撃つのさ!」
「――キスショット」
 殊村は黙った。
 八洲は投資話でも持ちかけるように声を潜めた。
「俺はいままで黒鉄がキスショットで自滅したところを見たことがない。たぶん、アイスが相当硬いんだ。それを利用しない手はないぜ」
「キスショットの応酬は我慢比べになる。危険すぎるよ」
「勝てばいいのさ」
「これだから根性論者は……気合で空が飛べるものか!」
「飛んでるぞ?」
「飛んでるね……」
 どうやら、今日は殊村の分が悪いらしい。
 二人はようやく鋼の方に首を振り向けた。
「終わったぞ黒鉄。お前の言いたかったことはすべて俺が代弁してやった」
「おう。まァ、おおむね合ってたよ」
「おおむね?」
 うん――と鋼は口元をナプキンで拭いながら、悪いんだけどさ、と言った。
「俺はもう、やめにするつもりなんだ」
 ようやく言えた。
 八洲が怪訝そうに眉をひそめる。
「なにを?」
「W1B5」
「はあ!?」
 八洲が鬼のような顔になり、殊村が天に諸手を掲げた。
「ふざけんなよ黒鉄。俺の頑張りはどうなる」
「まァ聞けよ。俺はべつに実戦でもW1B5でやるなんて最初から言ってなかったろ?」
「じゃあ何か?」八洲はどかっと椅子の背もたれに背中を打ちつけた。
「あれはスパーリングの時だけってことかよ。はっ。それなら殊村の言うとおり最初からW4B2でやればよかったんじゃねえか」
「そう言うなよ。確かめたかったんだよ、俺は」
 左手で、グローブホルダーのリングを撫でながら、
「黒と白の使い方を」
「お互いがリミット一杯まで白と黒で埋めれば」
 言ったのは、涼虎だ。視線は手元のカップに下げている。
「ブラックボクシングの大綱、白と黒の使い方がハッキリと浮き彫りになる。それはきっと、W4B2やW3B3でお互いにやりあうよりも――そう考えたんですか?」
 鋼は頷いた。
「だから、剣崎くんにもW5B1でやるように希望した?」
「そうだ」
「言ってくれればよかったのに」
「ハッキリと言葉にできなかった。今、お前が喋ってくれて、ようやくまともな形になったって感じなんだ」
 笑って、
「なんかさ、俺って昔からこうでさ。よくうちのジムの会長にも怒られた。お前は人の話を聞いてないのかって――」
 懐かしそうに目を細める鋼。
「悪かったな。でも、もうあんな極振りは終わりにするよ。次からはW3B3でやる。色々考えたけど、3-3が俺のベストカードだと思う。……それでやらせてくれるか?」
 鋼が、ほんの少しだけ心許なさげな声で聞いた。
 涼虎は、カップの中に立てかけられた小さなスプーンをかちりと縁に当てて、答えた。
「あなたが、それを望むなら」




 八洲と殊村はしかめた顔を見合わせた。
 どうやら、二人だけの世界に入っていたのは、自分たちだけではなかったらしい。
「アホくさ」
「涼虎ちゃん、小岩井さんにレシピ聞いたにしてはこの肉じゃがは凡庸だね」
「ちょっと待ってください殊村くん、どのスジからそれを……」
「あーあ。いこうよ八洲くん。腹ごなしにキャッチボールしよう」
「いいけど俺の顔に当てるなよ」
「だっ、誰がノーコンだよ!!」
「お前だよ」
 ぶつくさ文句を言いながら八洲と殊村は食堂から出て行ってしまった。自然、鋼と涼虎は取り残された形になる。ラジオを電波ジャックしているルイもいるといえばいるのだが、いらない気を回しているのか満腹になっておさらばしたのか、黙っていた。
 張りかけた沈黙を鋼が破った。
「美味かったぞ」
 からり、とフォークを左手から重箱の中に落とした。
「……ありがとう、ございます」
 涼虎は、なぜか身をすくませている。
 さて、と立ち上がろうとした鋼の袖が引かれた。
「うん?」
「すみません、実はまだ話があるんです」
「話……?」
 鋼は座り直した。
「なんだよ。いい話? 悪い話?」
「わかりません」
「わからない?」
 涼虎は、逸らし気味だった視線を捨てて、鋼の目をまっすぐに見た。
「試合の日程が決まりました」
 鋼は、笑った。
「……へえ」
「十日後、七月十四日の午後五時三十分に、あなたにはブラックボクシングのリングに上がってもらいます」
「ずいぶん急だな。本当のボクシングでそんな急ぎの試合組んだら苦情が出るぜ」
「あなたのボクシングのように充分な調整はできないと思ってもらって結構です。実験は一月に一度から二度の頻度でありますから」
「はっはァ、戦前みたいだな。いいね、グッと来る。ハードスケジュール大いに結構! どんどん組んじゃってくれよ、どーんどん」
「そう言ってもらえると助かります」
 少し言葉を切って、涼虎はいった。
「では、また、明日」
「ああ、また、明日」
 涼虎が去ってしばらく経って、ごちそうさま、と改めて膳に片手拝みすると鋼は立ち上がって重箱を洗い場に戻し、自分の部屋に戻った。部屋に入ると、電気が自動的に点灯する。
 そのまま上着だけ剥いでハンガーにかけると、沈み込むようにベッドに腰を下ろした。
 手相でも確かめるように、鋼はじっと自分の左手を見る。
『……クロガネくん、へんな脳波が出てる。これって、苦しいの? それとも悲しいの?」
『さあな』
『試合が決まって、嬉しい?』
『嬉しいさ』
 拳を握る。
『ずっと待ってたんだ。あの頃に戻るのを。この右を失くした時からずっと。ああ、そうとも。俺はやり直すんだ。あの頃と同じに――……』
 空っぽの袖を潰れるほどに握り締める。
『夢のような想いの中でだけ、かろうじて、生きてるって感じるんだ。……わかるか? 俺の言ってること』
 ルイは、少し寂しそうに答えた。
『わかんない。……あたしがイルカだからかな? 人間だったら、クロガネくんの気持ちが、分かるのかな』
『どうかな』
 笑って、鋼は天井を仰いだ。
 その向こうにリングの影を見て。
『待ち遠しいよ、戻ってくるあの頃が。……ボクサーだったあの頃が』
 軽く握った左の拳が虚空にジャブを突き通す。
 その軌跡は、あの頃のまま。
 すべての答えは、もうすぐ出る。

       

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Neetsha