結局開放されたのはアレから2時間後。5本目の手刀が刺さり掛けたときだった。
いまだひりひりと痛むわき腹をさすりさすり俺は自転車をこぐ。
ママチャリの籠をはずしてMTBぽくしようとした結果機能性最悪になったわが愛車だ。
ちなみに俺は自転車に乗るとき
1.スピードを出さない(踏み切りでタイムリープする可能性があるから)
2.曲がり角ではいったん停車のち、上空確認(女の子とぶつかる可能性があるから)
3.鍵はしっかりかける(盗まれる可能性があるから)
を厳守している。
案の定ゲームセンターまでの曲がり角5つのうち3つでパンを加えた美少女、2つで異世界人ふうの美少女が走ってきたり降ってきたりしたがこの三か条のおかげで絡まれることも無く無事ゲーセンに辿り着いた。
ゲームセンター内でもあからさまになんか秘密ありげな学生が揉めてたり、隅で乱闘が起きたりしていたが俺には関係ない。壁際で不気味な音を立てている見たこと無い筐体もスルーだ。
ほうっておけばそれなりに主人公っぽい奴が解決してくれるだろう。
さて、今日は何をしようかな・・・うん、音ゲーにしよう。
ドラムやギターや太鼓はなんだか照れくさいので9個のボタンを叩くアレにしようかな。
ゲームを開始すると妙なムービーの後画面に吸い込まれかけたが筐体をしっかり掴んで事なきを得る。
しゃべるはずの無いキャラクターからの問いかけはスキップだ。
さあ、ゲームスタート!
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「ほう?貴様なかなかやるな・・・」
しばらく遊んでいたのだが後からなんだかめんどくさそうな声がして振り向く。
するとそこにはいかにも「ぼく、ライバルです」と言いたげな男がかっこいいポーズで立っていた。
「面白い。この俺とどちらが上か勝負だ!」
一方的に喧嘩を売られたが無視。再びゲームに向かう。
こういう輩には関わらないのが一番のフラグ回避である。
「その勝負!ワシが見届けよう!」
妙な爺さんも寄ってきたが無視だ。
ポ○プ君を叩くことだけに集中する。
「無理よ!勝てっこないわ!」
さっきの男の知り合いだろうか?ヘンな女もやってきて男(以下ライバル)を宥めている。
「男にはやらなきゃならないときがあるのさ!いくぜ!」
やらなくていいです。
「よくぞ言った!それでこそ我が弟子!」
老人が増えた。
「やるのか!やらねぇのか!はっきりしやがれ!」
「静かにしてください店員呼びますよ」
やっと静かになってくれたところでちょうどゲームオーバーだ。ゲームショップにでも向かおう。