Neetel Inside ニートノベル
表紙

わが名は英雄
英雄、自己紹介

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トゥルルルルルルルルル...

けたたましく携帯電話の呼び出し音が響いている。

正直まだ布団から出たくない俺は横着にも布団の中から手を伸ばし、目を瞑ったまま携帯を探す。

が、見つからない。おかしいな、寝るときはいつも充電器を挿して枕元においているのに。

先日買い換えたばかりのわが相棒-スマートホン・てぃたーんず2001F-は果たして枕の下にあった。

我ながら寝相が悪い。とりあえず捕獲したわが相棒を布団の中に引きずり込むと寝ぼけ眼で液晶画面を確認。非通知だ。

ん?まだ朝の六時じゃないか。こんな時間に非常識な奴もいたものだ。

まあ、知り合いが緊急事態で公衆電話から掛けている可能性が無いともいえないのでとりあえずは出てみることにした。
「・・・もしもし。」
寝起きのくぐもった声で応答する。


「!・・・俺だ!ジョージだ!例のブツは手に入れた!データに関しては至急その番号に送r「電話番号間違えてますよ」

通話を終了。
朝っぱらから胡散臭い間違い電話だ。

どうせどっかのマフィアが敵の名簿でも手に入れたんだろう。そんなものを送られてもただひたすら親の財産を食い潰すニートの俺には使い道が無いのだ。


今頃むこうでも「あっ!番号ひとつ間違えてた!テヘペロ☆」とか言ってるに違いない。

まあこんなことは日常茶飯事だ。



ああ、電設野 英雄。19歳。わが生涯は思い返しても妙なアクシデントにあふれていた。

まずは誕生。
テンプレなツンデレ金持ち母親とやれやれ系短気父親の間に誕生。
分娩中、なぜか産婦人科に強盗が大量に押しかけ、最終的に強盗たちにも祝われながら生まれてきた。

幼稚園時代は何度か誘拐されたがそのすべてがわけのわからない終わり方をしている。
1人目は俺の親に電話を掛けようとしてうっかり警察に電話。何を間違えたらそうなるのか、今でも理解できない。
2人目の犯人は俺に「おかしを買ってあげるからおいで」と誘い、断ろうとした俺を無理やり車に放り込んだところで国のお袋さんから電話がかかってきて改心。自首。
3人目は俺に駆け寄ろうとした時点でトラックに吹っ飛ばされたので誘拐犯だったかどうかも定かではないが・・・
他数名もまあ、お察しください。

学生時代は当たり前のように霊能力教師に当たったり修学旅行先で鬼と戦ったり世界を救うためクラスごと異世界へいったりと波乱万丈な人生だった。

残りは割愛するが

結局高校はあまりに勉強が出来ない(環境的な意味で)ので廃校。よその学校に行っても同じことの繰り返しなのは分かりきっているので中退し、
いざというときのため高卒認定だけとって今に至る。



今でも月に1度はかならず空から女の子が降ってくるし、先ほどのようないわくありげな電話もときたまかかってくる。買い物に行ったら異次元への門が開いているなどしょっちゅうだ。


そしてこれだけ愉快なイベントが起こっていながら未だ美少女とフラグは建ったことが無い。
ヒロインポジションの女の子たちはいつも近くのイケメンとフラグをたて、くっついてしまうのだ。


最近では何か起きそうな雰囲気を感知するととりあえずフラグを回避することにしている。
いくらキューピッド英雄と呼ばれた俺でも、そんなに何度も他人がくっつく所を見たくは無い。

そんなわけで電設野 英雄。19歳無職童貞。彼女居ない暦=年齢。

将来の夢、老衰。

       

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