Neetel Inside ニートノベル
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『遊戯王M 第四話』

 やあ! 俺は図画 遊鎧! デュエル大好き、28歳(無職)だ!
 今、俺の住んでるハロワシティで開催されてるデュエルの大会、バトルタウンに参加してる。
 特別なアンティルールで行われるこの大会の参加資格でもあるカード、『MNo.』を自分が元々持っていた分も合わせて四枚集めたけど……いつになったら準決勝とかそういうのに進めるのかさっぱりわからないぜ……。もちろんちゃんとググったし、本スレでも質問したけどわからねぇ。
「はぁ……」
 俺が手に入れたカードを見ながら歩いていると……。
 ドンッ!
「うわっ!」
「アッー!」
 しまった、人とぶつかっちまった! 謝罪と賠償を要求される!
「す、すみません! 土下座しますからデッキと通報と訴訟と親に言うのだけは勘弁してください……!」
 俺はとっさに下座って謝った。
「いえいえ、こちらこそ不注意でした。ほらほら、顔を上げてください」
「ホントにすみません……」
「うわぁ、ホントに酷い顔……何でもありません。おや、あなたもデュエリストですか?」
 ぶつかった相手は何か爽やかな感じで、攻めか受けかで言えば受けって感じ全開な感じだ。今さらりと酷いことを言われたような気がするけど、気にしない。慣れてるしな。
「ああ、って……あんたもか」
 お互いに腕にはめられたデュエルディスクを見る。けど、俺は頭を掻いた。何日も風呂に入ってないからフケが飛ぶ。
「っつっても……ぶつかった相手とデュエルはしたくねぇなぁ……。何となく申し訳ねぇよ」
「何を言ってるんですか、あなたごときにデュエル万能説を否定する資格は……おっと失礼、デュエルは仲の良い人とも悪い人とも別け隔てなくするものですよ」
「そっか。その前に、あんたの名前を教えてくれよ」
「ボクは牛城 聖刃(うしじろ せいば)です」
「中々のDQNネームだな! 俺は図画 遊鎧! よろしくな!」
「あはは! あなたも人のこと言えませんね」
「恨みと小遣い値上げは親に言えってな! そんじゃ……」
「「デュエル!」」

遊鎧 LP:4000 VS 聖刃 LP:4000

「ぶつかったお詫びだ、先攻はくれてやるよ!」
「偉そうですね! ではボクの先攻。『無職魔導プリースト』を召喚!」

『無職魔導プリースト』☆4 ATK:0/DEF:2200

「更に1ターンに1度、デッキから『無職芸』と名の付いた魔法カードを1枚手札に加えます。ボクは魔法カード、『深夜アニメの無職芸』を手札に」
「まさか、あんたも【無職】使いなのか!?」
「あれ? ボクはともかく、あなたは見た目通り……いえ、何でもありません。まあ隠しても仕方ないですからね。そうです、求職中です。ただし、結構名前のある大学を卒業してますよ。あなたは見るからに中卒っぽいですけど」
「うるせぇ! 高卒だっつっーの!」
「ターンを続行しますよ。ボクは先程サーチした『深夜アニメの無職芸』を墓地に捨て、手札から『無職魔導ウォリアー』を特殊召喚します」

『無職魔導ウォリアー』☆4 ATK:2200/DEF:0

「そして墓地の『深夜アニメの無職芸』を除外して効果を発動します。デッキから『無職芸』と名の付いた魔法カードを手札に。『音ゲーの無職芸』を手札に。そして手札の『無職芸』と名の付いた魔法カードを2枚相手に見せることで手札から『無職魔導ビースト』を特殊召喚します。『音ゲーの無職芸』と『ネトゲの無職芸』を見せます」

『無職魔導ビースト』☆3 ATK:1600/DEF:800

「『音ゲーの無職芸』の効果発動。『無職』と名の付いた自分の場のモンスターの攻撃力を自分の場『無職』と名の付いた一番高いモンスターに合わせます」

『無職魔導プリースト』ATK:0→2200
『無職魔導ウォリアー』ATK:2200→2200
『無職魔導ビースト』ATK:1600→2200

「更にカードを1枚セットしてターンエンドです」
「何か……すげぇガチ臭くねぇか?」
「気のせいでしょう? それより早くターンを進めないとジャッジキルですよ?」

「俺のターン!」
(とりあえず打点2200を突破するのが先か……)
「俺は速攻魔法『自宅からの緊急テレポート』を発動! デッキからレベル3以下の通常モンスターを特殊召喚する! 『岩石のように自室に鎮座するニート』を特殊召喚!」

『岩石のように自室に鎮座するニート』☆3 ATK:1300/DEF:2000

「おや? 通常モンスターという割には……なるほど、そういうことですか。失礼しました。どうぞ、続けてください」
「手札から魔法カード発動! 『親の扶養』! このカードが場に存在する限り、自分が通常モンスターのアドバンス召喚に成功した時、カードを1枚ドローする! そして『岩石のニート』をリリースして『デーモンのニート』をアドバンス召喚!」

『デーモンのニート』☆6 ATK:2500/DEF:1200

「『親の扶養』の効果で1ドロー!」
「ははっ! 今時アドバンス召喚ごときでアドを取るのに必死ですねぇ!」
「うるせぇ! バトルフェイズ、『デーモンのニート』で『プリースト』を攻撃!」

『デーモンのニート』ATK:2500 VS 『無職魔導プリースト』ATK:2200

「まあいいでしょう。それくらい通してあげますよ!」

聖刃 LP:4000→3700

(あのセットカードはあえて使わなかったのか……それともブラフか……)
「カードを1枚セットしてターンエンドだ!」
「エンドフェイズ! 速攻魔法発動! 『始発の無職芸』! 墓地の『無職』と名の付いたモンスターを特殊召喚します。このターン、ボクは召喚・特殊召喚ができませんが……」
「俺のターンだから関係ねぇ、ってか……」
「まあ、このくらいデュエリストなら定石ってことくらい、頭の悪そうなあなたでもわかりますよね?」

「ボクのターン、ドロー。魔法カード『ネットの無職芸』発動。デッキから『無職芸』と名の付いた魔法カードをサーチします。『DTMの無職芸』を手札に加えます。そのまま『DTMの無職芸』の効果発動。自分の場のモンスターを1体リリースし、レベルが1つ高い『無職』と名の付いたモンスターをデッキから特殊召喚します。『無職魔導ビースト』をリリースし、『無職魔導ウィザード』を特殊召喚」

『無職魔導ウィザード』☆4 ATK:1900/DEF:200

「更に墓地に送られた『無職魔導ビースト』の効果発動。デッキから『無職』と名の付いたカードを1枚手札に加えます。『MADの無職芸』を手札に」
「今だ! 罠カード発動、『メンタルクラッシュ』! カード名を1つ宣言し、相手の手札にそのカード名を含むカードが3枚以上ある場合、そのカードを全て墓地に捨てる! 俺が宣言するのは」
「『無職』でしょう? 簡単ですよね」
「勝手に言うんじゃねぇよ! 『無職』!」
「ははっ、自分の恥さらしな職業を公言してるようで滑稽ですねぇ! ではボクはお望み通り『ネトゲの無職芸』『MADの無職芸』『SSの無職芸』の3枚を墓地に。それでは不本意ですがそろそろ本気を出しましょうか! 3体のレベル4モンスターでオーバーレイ!」
「エクシーズ召喚……来るか!?」
「エクシーズ召喚! 『MNo.62 魔導竜プロフェシー』!」

『MNo.62 魔導竜プロフェシー』★4 ATK:1000/DEF:0

「出やがったな……『MNo.』……! しかも露骨に怪しいステータスだぜ……!」
「行きますよ、バトルフェイズ! 『魔導竜プロフェシー』の効果発動! このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、このカードの攻撃力をエンドフェイズまで攻撃対象に選択したモンスターの攻撃力分アップします!」
「『アバター』の効果じゃねぇか! それで元々の攻撃力が1000だと!?」
「この効果で『デーモン』の攻撃力分、攻撃力がアップします!」

『MNo.62 魔導竜プロフェシー』ATK:1000→3500

「さぁ! バトルです!」

『デーモンのニート』ATK:2500 VS 『MNo.62 魔導竜プロフェシー』ATK:3500

「がぁぁぁあああ!!!」

遊鎧 LP:4000→3000

「くっ……速攻魔法発動! 『損害賠償』! 自分がダメージを受けた時、そのダメージ以下の攻撃力を持つモンスターを1体デッキから特殊召喚する! 『ムショクリッター』を特殊召喚!」

『ムショクリッター』☆3 ATK:1000/DEF:600

「ならボクは『魔導竜プロフェシー』の効果を発動! エクシーズ素材を1つ取り除き、もう1度攻撃ができます! 更にこの効果で攻撃する時、守備貫通が付与されます! ちなみに、先ほどの攻撃力アップ効果はエンドフェイズまで有効なので攻撃力は上昇したままですよ!」
「インチキ効果もいい加減に……」
「『魔導竜プロフェシー』で攻撃します!」

『ムショクリッター』DEF:600 VS 『MNo.62 魔導竜プロフェシー』ATK:3500

「うわぁぁぁああああ!!!」

遊鎧 LP:3000→100

「はははははっ! しぶとく生き残りやがりましたねぇ!」
「『ムショクリッター』の効果を発動……! このカードが破壊され墓地に送られた時、デッキから攻撃力1000以下の通常モンスターを1体特殊召喚する……! 『自宅に封印されしニートの右腕』を特殊召喚……!」

『自宅に封印されしニートの右腕』☆2 ATK:200/DEF:300

「おやおやぁ? 顔に諦めの色が浮かんでますよぉ? そうですねぇ、ボクの『魔導竜』は3体のモンスターを使ってエクシーズ召喚されたモンスター……即ち、エクシーズ素材は3つ。もう一度連続攻撃効果を使えますからねぇ……! し・か・も! あなたのライフは残りたったの100!」
「…………」
「けれど安心してください。ボクはバトルフェイズを終了します。そしてメインフェイズ2。『魔導竜』の最後の効果を発動します。エクシーズ素材を1つ取り除き、墓地の『無職芸』と名の付いた魔法カードを3枚までエクシーズ素材としてこのカードに重ねてエクシーズ素材とします。あなたが先程墓地に送ってくれた『無職芸』のカード3枚でねぇ……!」
「このターンで勝てるのに余計な真似を……!」
「ボクは慎重な性格でしてねぇ。誰かさんと違って、ちゃんと人生設計をしてるものですから。さあどうぞ、あなたのラストターンですよ」
「……後悔すんなよ……!」

「俺のターン、ドロー! 『ニートの右腕』をリリース! 『ニート・オブ・ドラゴン』をアドバンス召喚!」

『ニート・オブ・ドラゴン』☆6 ATK:2000/DEF:1200

「『親の扶養』の効果で1ドロー! ただし、墓地のカードが5枚以上になったから『親の扶養』は破壊される」
「ははは! 親のすねかじりもできなくなったニートがどうやって逆転するか見ものですねぇ!」
「俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ……」
「ははっ! 諦めたようですねぇ! いいんですよ、それで!」

「ボクのターン、ドロー! さぁ、止めを刺してあげましょうか! 『魔導竜』の効果を発動!」
「その瞬間を待ってたぜ……。あんた、褒めてやるよ。この俺に……クソッタレな召喚方法を使わせたことをな! 行くぜ! 速攻魔法発動! 『アドバンス・チューニング』!」
「チューニング……?」
「自分の場にアドバンス召喚されたモンスターが存在する場合、そのアドバンス召喚のためにリリースした墓地のモンスターをチューナーとして、アドバンス召喚したモンスターとシンクロ召喚を行う! 集わない職歴が、新たな生活を生み出さない! 無駄飯食らう社会の屑となれ! シンクロ召喚! 『ソーシャルダスト・ドラゴン』!」

『ソーシャルダスト・ドラゴン』☆8 ATK:2500/DEF:2000

「はっ、そんなモンスターじゃ、ボクの『魔導竜』は……」
「おまえの『魔導竜』の効果にチェーンして『ソーシャルダスト・ドラゴン』の効果発動! 相手がエクシーズ素材を取り除く効果を発動した時、『ソーシャルダスト・ドラゴン』をリリースし、相手のエクシーズ素材を全て除外する!」
「なっ……! なら、直接攻撃するまで!」
「罠カード発動! 『年金追納』! 相手の攻撃宣言時、墓地の通常モンスターを特殊召喚する。そして手札を任意の枚数だけ除外し、除外した数×1000ポイント攻撃力をアップさせ強制的に戦闘を行わせる! 特殊召喚したモンスターはこのターンのエンドフェイズ時に破壊されるがな。俺は墓地の『デーモンのニート』を特殊召喚! 更に手札を3枚除外し、攻撃力を3000ポイントアップ!」

『デーモンのニート』ATK:2500→5500

「行くぜ! てめぇの素材のなくなった『魔導竜』で『デーモンのニート』を攻撃してもらう!」

『デーモンのニート』ATK:5500 VS 『MNo.62 魔導竜プロフェシー』ATK:1000

「うわぁぁぁぁあああ!!!」

聖刃 LP:3700→0

「俺の勝ちだ……。慎重だの、人生設計がどうのこうのと抜かしてやがったが……結局は勝ちを過信したな。おそらく、あんたの手札には逆転のカードがあったはずだぜ……」
「くそっ……無職のくせに……アドバンス召喚で油断させるなんて……」
「ほざけよ。俺は無職だが、『働いたら負けかな』ってプライドがあるんだ」
「チィッ! アンティールールだ、受け取れよ」
「これは……『魔導竜』じゃねぇじゃねぇか?」
「アンティで渡すカードは『MNo.』1枚なら何でもいいんだよ、情弱。この借りは必ず返すからな……ボクのプライドを傷付けたこと、絶対に許さない……!」
「最後の最後に声優ネタか。まあいいか」

遊鎧 『MNo.59 雷鳴竜ダークサンダー』 ゲット!

第四話・完

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☆あとがき☆
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こんなクソ作品にコメントくれる方々、ありがとうございます。
お陰様で何とか連載モチベが保ててます。
いかに馬鹿馬鹿しいデュエルが書けるか、を毎回頑張って考えてます。
オリカで構成されたデュエルなのにスランプって……どんだけ才能ないんだよ……。

       

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