Neetel Inside ニートノベル
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『遊戯王M 第五話』

 やあ! 俺は図画 遊鎧! デュエリスト(28歳・無職)だ!
 今俺の住んでる町、ハロワシティで開催されてるデュエルの大会、バトルタウンに参加してるんだけど……。
「うーん……」
 この大会の参加資格であり、アンティルールの対象になってるカード、『MNo.』を見詰めて思わず唸る。元々持っていた自分の分も合わせて5枚も集めたけど、いまだにこのカードのことは何もわかっていない。
 家に帰ってググったけど、やっぱり何もわからなかった。
 このカードのルビが振っていない部分、「M」の意味。これは本スレでもいろいろ憶測が飛び交っていた。『ミッシング』とか『ミスト』とか大体そんな意見が多かったけど。
 全部で何枚あるかについても、アニメと同じく99枚だとか100枚だとか、どうせ100枚超えてるとかいろいろだった。
 とりあえず俺が集めてきた限り、共通点としては全部のカードがドラゴン族のエクシーズモンスターだってことだけど、これも絶対かどうかわからない。
「やぁ、そこのあなた」
「ん? 俺か?」
 見ると、いかにも小ズルそうなガキだかそこそこ歳がいってるのかわからないメガネが俺に話しかけているようだった。まあ俺もメガネだけど。
「デュエリスト、しかもこんな時間にふらふらしてるってことは、バトルタウン参加者ですよね?」
「ああ、そうだぜ。あんたもか?」
「そうですよ。是非ともあなたとデュエルがしたくてですねぇ……」
 俺は腕のデュエルディスクを胸の前に構えて応える。
「もちろんいいぜ!」
「そこで提案なんですけど……よかったら、アンティカードの『MNo.』は5枚賭けにしませんか?」
「ご、5枚ぃ!? それって俺が持ってるカード全部じゃねぇか! って、そんなことできるのか?」
「できますよぉ。お互いが合意すれば、『MNo.』はお互いに同じ枚数まで賭けることができるんです」
「う、うーん……」
 俺は考えた。
 勝てば一気に10枚の『MNo.』が集まる。けど、負けたら全部の『MNo.』を失っちまう。この大会では『MNo.』がなくなったら失格だ。
「おや、怖気づいてしまいましたか? デュエリスト失格ですねぇ……情けない。いいですよ、他をあたりますからあなたはせいぜいあと5回負けて失格になってください。それでは……」
「おい、待てよ! 誰がデュエリスト失格だって!? そんなに言うなら、5枚全部賭けてやる! かかってこい!」
 メガネはくるりと振り返って気持ち悪く笑った。
「おやおや……これは嬉しい。それでは『MNo.』5枚賭けで……」
「「デュエル!」」

遊鎧 LP:4000 メガネ LP:4000

「俺の先攻! ドロー!」
(ヒヒヒ……、こうもあっさり挑発に乗ってくれるとはねぇ……)
「俺は『ロスト・ジョブ・ガーディアン』を召喚!」

『ロスト・ジョブ・ガーディアン』☆4 ATK:1900/DEF:0

「先攻は攻撃できねぇ、更にカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

「僕のターン! ドロー! 『悪虫(パイレーツワーム) アドビー』を召喚」

『悪虫 アドビー』☆2 ATK:1500/DEF:400

「更に自分の場に『悪虫』と名の付いたモンスターがいるので、効果で『悪虫 セルシー』を特殊召喚!」

『悪虫 セルシー』☆2 ATK:800/DEF:1600

「『アドビー』の効果! 自分の場に『アドビー』以外の『悪虫』が存在する場合、このカードをリリースし、デッキから『アドビー』を2体まで特殊召喚できる! 僕は2体の『アドビー』を特殊召喚!」

「バトルフェイズ、『アドビー』で攻撃!」
「攻撃力の低いモンスターで攻撃だと……?」
「攻撃宣言時に速攻魔法発動! 『悪虫の売上減少』! 相手モンスターの攻撃力を500ポイントダウンさせる!」
「けっ、俺の『ロスト・ジョブ・ガーディアン』は墓地にカードが存在しない場合、攻撃力を1000ポイントアップさせるぜ! 500ぽっちじゃ俺の『ガーディアン』は倒せないぜ!」

『ロスト・ジョブ・ガーディアン』ATK:1900→2900→2400

「甘いですねぇ! 『悪虫』と名の付いた魔法・罠カードは1枚につき、自分の場の『悪虫』と名の付いたモンスターの数だけ、3回まで連続して発動できるんですよ! さぁ、『悪虫』のコピー効果を発動! 『悪虫の売上減少』を3回発動! この効果であなたのモンスターの攻撃力は1500ポイントダウン!」

『ロスト・ジョブ・ガーディアン』ATK:2400→1400

「そしてバトルです!」

『ロスト・ジョブ・ガーディアン』ATK:1400 VS 『悪虫 アドビー』ATK:1500

「がぁぁっ!」

遊鎧 LP:4000→3900

「そして更に第二の『アドビー』と『セルシー』のダイレクトアタック!」
「させねぇ! 罠カード『許し乞い』! 攻撃宣言を無効にし、相手にカードを1枚ドローさせる!」
「ダメですよ! 速攻魔法発動! 『悪虫の営業妨害』! “罠カード”の発動を無効にし、無効にした数だけ相手に300ポイントのダメージを与えます! そして『悪虫』のコピー効果! 『悪虫の営業妨害』を3回発動します!」
「どういうことだ!? 意味が……ま、まさか?」
「そうです、『悪虫の営業妨害』は“罠カード”を無効にするカード。自分か相手かは問いません。そして自分のカードを無効にすることも可能!」

『許し乞い』←(無効)←『悪虫の営業妨害』←(無効)←『悪虫の営業妨害』←(無効)←『悪虫の営業妨害』

「……結果的に、『許し乞い』は無効化される……!」
「そしてあなたは900ポイントのダメージ、更に『アドビー』と『セルシー』の直接攻撃を受けてもらいます!」
「がぁぁっあああ!!!」

遊鎧 LP:3900→3000→1500→700

「チィっ……『虫』のせいで虫の息、ってか……!」
「ひゃははは! その通りですねぇ! 僕はカードを2枚セットしてターンエンドです!」

「俺のターン! 魔法カード発動! 『かーちゃんの弁当』! このターンのバトルフェイズをスキップする代わりに、自分のライフポイントを1200ポイント回復させる!」

遊鎧 LP:700→1900

「そして『闇魔界の無職 ダークニート』を召喚!」

『闇魔界の無職 ダークニート』☆4 ATK:1800/DEF:1500

「かかりましたね! 永続罠発動! 『召喚規制(サモン・ペナルティ)』! モンスターの通常召喚をしたプレイヤーに500ポイントのダメージを与えます!」
「な、何っ!?」

遊鎧 LP:1900→1400

「ちっ……けど、“プレイヤー”ってことはてめぇももう通常召喚はできねぇってことだろ! それに、このターン、俺は『かーちゃんの弁当』の効果でバトルフェイズを行えねぇが、てめぇの貧弱なモンスターならこいつを立てておけば充分だ!」
「それはどうですかねぇ! 罠カード発動! 『悪虫の無断転載』! 相手モンスターの攻撃力を500ポイントダウンさせ、レベルを1つ下げます。もちろん……」
「『悪虫』の数だけ、3回まで発動できるってか……」
「その通りです! ちゃんと学習してますねぇ! よってあなたのモンスターは攻撃力1500ポイントダウン、そしてレベルは3つ下がります!」

『闇魔界の無職 ダークニート』ATK:1800→300 ☆4→1

(『通常召喚』には俺の主力戦法の『アドバンス召喚』も含まれる……。これじゃあ上級モンスターにアドバンス召喚して体勢を立て直すことも、できてあと2回だけだ……!)
「俺はターンを終了するぜ!」

「手も足も出ませんかぁ? 僕のターン、ドロー! 墓地の『悪虫』を除外することで、このカードを特殊召喚します。『悪虫 ボカロー』」

『悪虫 ボカロー』☆2 ATK:300/DEF:1800

「お終いにしましょうか! 僕は4体のレベル2モンスターでオーバーレイ!」
「エクシーズ召喚……!」
「『MNo.44 複製竜トランスクリプト』をエクシーズ召喚!」

『MNo.44 複製竜トランスクリプト』★2 ATK:1000/DEF:2800

「エクシーズ召喚は特殊召喚なので『悪虫の無断転載』の効果は発動しません。せっかくなので教えてあげましょうか、『トランスクリプト』はエクシーズ素材を1つ取り除き、自分が発動した魔法・罠をの効果を再び発動することができます。また、エクシーズ素材を2つ取り除き、相手の発動した魔法・罠を無効にします。これであなたの魔法・罠も封じられたわけです!」
(ひひひ……そして僕の手札には『進化規制(アドバンス・ペナルティ)』のカードもある……! このカードは相手がアドバンス召喚を行った時、1000ポイントのダメージを与える。仮に一度で仕留められなくても、『トランスクリプト』の効果で連続使用すればいいだけのこと……!)
「『トランスクリプト』は攻撃が得意なモンスターではありませんのでね、僕はターンを終了します」

(召喚も魔法・罠も封じられて……逆転の手は……)
「俺のターン、ドロー……」
(来た!)
「俺は『無職妖怪イエデズ』をおまえの場に守備表示で特殊召喚する!」
「何!? 僕の場に?」

『無職妖怪イエデズ』☆6 ATK:0/DEF:4000

「そして『イエデズ』の効果発動! このカードが相手の場に特殊召喚された時、相手のモンスター1体のコントロールをこのターンのエンドフェイズまで得る!」
「まさか……僕の『トランスクリプト』を……!」
「そのまさかだぜ! おまえのエクシーズモンスターが無効化できるのは魔法・罠だけ! さぁ、おまえの手札に俺の『イエデズ』の特殊召喚を止めるカードがあるなら発動してみな!」
「くっ……!」
「ないのか? ないなら遠慮無く、おまえのモンスターをもらうぜ! そして魔法カード発動! 『無職複製術』! 自分の場の攻撃力500以下の通常モンスター1体を選択して発動する! 自分の場に『無職クローン・トークン』を3体まで特殊召喚する!」

『無職クローン・トークン』☆1 ATK:0/DEF:0 ×3

「そして速攻魔法発動! 『無職の追い出し』! 自分の場のレベル1の通常モンスターをリリースし、相手に1000ポイントのダメージを与える! 俺は『無職トークン』をリリース! トークンは効果の有無によらず、常に通常モンスターとして扱うってウィキに書いてあるぜ! 喰らいな!」
「ぎゃぁぁぁああ!」

メガネ LP:4000→3000

「そしててめぇから奪い取った『トランスクリプト』の効果発動! エクシーズ素材を1つ取り除き、自分が発動した魔法カードの効果を更に追加発動! もう一丁、『無職の追い出し』を発動! 『無職トークン』をリリース! 以下略! 『無職トークン』3体目、そしててめぇの『悪虫の無断転載』でレベルが1になった『ダークニート』をリリース!」
「ぎゃぁぁぁあああ!!!」

メガネ LP:3000→0

「俺の勝ちだぜ……!」
「ちくしょう! 僕の戦略は完璧だったのに!」
「このカードは……? 『進化規制』? アドバンス召喚メタなんて今時……まるで俺のデッキを知ってたみたいな……」
「ああそうだよ! ARシステムってのは便利だよなぁ! このD・ゲイザーがあればギャラリーでも観客としてデュエルを見れるんだからなぁ! 何も自分のテーマを使いこなすだけが能じゃないんだよ! 相手にメタを刺す、これが勝利の秘訣だね!」
「てめぇ……まさか俺のデュエルを見て、デッキを把握した上でメタを張ってきたのか!」
「ほら、残りのアンティカードだ! もうこんな大会はやめだ! 僕は帰る!」
「……結局メタを刺すつもりが、自分のカードにやられるとはな……。割れ厨は結局自分の身を滅ぼすだけってことか……。ん? このカードは……何だか気に入ったぜ!」

遊鎧 『MNo.44 複製竜トランスクリプト』 他4枚 ゲット!

第五話・完

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☆あとがき☆
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「働いたら負けかな」という言葉を身をもって実感しております。
今回は頑張って行き当たりばったり感を削るために、遊戯王のお約束、
「説明は負けフラグ」をやってみました。
ただでさえミスしやすい架空デュエル小説なのに、
疲れて頭が回らなくて間違いだらけ……。

       

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Neetsha