Neetel Inside 文芸新都
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メモリーバンクサービス

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【メモリーバンクサービス】


女はストーカー被害にあっていた。

帰り道の途中で同じ男に話しかけられたり、家に執拗に電話がかかってくるなど毎日のようなストーカー行為に頭を悩ませていた。

後に警察へ届け出をしたことで被害はなくなったが、その経験から彼女は男性恐怖症になってしまった。

そんな彼女の家に一枚の広告が届いた。


『~メモリーバンクサービス~
楽しい記憶、悲しい記憶…お客様のご希望の記憶をどんなものでも我が社が責任を持って預からせていただきます。
記憶はお客様がお亡くなりになる間際にお返しいたします。
預けた記憶はお客様の脳内からは無くなりますが、楽しい記憶の場合、最期に楽しい記憶を思い出しながら安らかにお眠りいただくことが可能となります。
ぜひ我が社に記憶の貯金をしてみてはいかがでしょうか?』

彼女はその広告を見て、ふとひらめいた。

「ストーカー被害にあっていた記憶を預ければ、男性恐怖症を治せるのでは?」

彼女はすぐさまチラシにある番号に電話をし、ストーカー被害の記憶をメモリーバンクに預けた。

それにより彼女は見事、男性恐怖症を克服することができた。






月日は流れ、彼女は病院で最期の時を迎えようとしていた。

そこにメモリーバンクサービスの社員が機械でできた小さな箱を持って現れた。

「お客様からお預かりした記憶を返却しにまいりました。」

そして社員は彼女の頭と小さな箱を電極でつなぎ、箱のスイッチを入れた。



彼女は思い出す。

ストーカー被害にあった辛い記憶の前に

結婚時の幸せを最期に感じたいと夫に内緒でサービスを利用した自分の記憶を。



END

       

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