「へぇ…」
薄暗い部屋の真ん中で、その青年はタマハガネを握り締めながら興奮の笑みを浮かべていた。
「まさか、コイツにこんなギミックがあったなんてね」
タマハガネの輝きに合わせて、右腕の装甲が形を変えていく。まだ完全に同調していないせいか、変形しては元に戻り再び形を変え、とそれ迄気付きもしなかった隠し技に彼は面喰って思わず笑みを溢してしまう。
左手にタマハガネを持ち替えると、右腕と同様に変形を繰り返していく。時折、装甲が異様に膨らむ事もあったが形状そのものに被害はなさそうだ。
「全身が馴染む迄は…まだ、時間がかかりそうだな」
恐らく、この隠された機能は誰も気付いていない筈。だったら、このまま黙っておけば更なる“力”が我が物になる。完全にこれを使いこなす事が出来れば、その時は…
「ククッ…ククク…アーハッハッハッハ!」
悦に入った彼は、部屋の中で我慢出来ずに大声で笑った。