10.天罰

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 嘘だ。
『これが現実だよ』
 嘘だ!
『まさか、車で追ってくるとはねえ。しかもぶつけてくるなんて。体は動くかい?』
 腕が、骨が見えてる! 痛い、今度は痛い!
『そりゃあ痛いさ。こんなになればね。さあどうする?』
 体は動く。立てる。でも相手は車だ。逃げ切れるわけない。でも交番はすぐそこなんだ。
『走ればなんとかなるかもねえ』
 交番にたどりつけば助かる。助かるんだ。
『それはどうかな?』
 止めてくれ、止めてくれよ。俺が何をしたって言うんだよ。
『そろそろ降参かな?』
 嫌だ、死にたくない! 死にたくないんだ。
『泣きが入ってきたな。ほら、車が追ってきた。間に合うかな?』
 間に合う。でも、でも!
『でも?』
 俺は助からない。
『なぜわかる?』
 見えるんだ未来が。俺が交番に入ると、警官が銃で撃たれている。俺は絶望する。そして俺は警官が握っていた銃を手に取る。すると他の警官達が交番に入ってくる。すると俺はホールドアップされる。俺は銃を捨てる。しかし撃たれる。
『半分正解だ』
 半分?
『お前は警官の死に絶望し、完全に我を忘れて銃を手に取る。警官達が交番に入ってくる。お前は銃を警官達に向けて発砲。お前は反撃されて殺される。これで終わりのはずだった』
 どういうことだ?
『お前は未来を予想し、俺が書いた筋書きを言い当てる事で未来を変える手だてを得たんだ。お前は上手に飛べたんだよ。カエルみたいにな。けどダメなんだ。これでは半分なんだよ。お前は予想しきれなかった。だから天罰がくだる』
 なんだって?
『お前は警官に銃で撃たれる』
 嘘だろ?
『俺にはわかるんだ。俺もカエルと同じようなものだから。でも安心してくれ。お前は死なない。堂々と撃たれろ。大丈夫だから』
 何言ってるんだおまえ、撃たれたら痛いだろうが!
『骨が見えるほどじゃない。大丈夫だ。言ってしまえば今何をしてもお前は死なない状態。無敵ガエル状態なんだ。さて、俺も逃げないとな。ちなみにネタばらしすると、強盗に入ったのも車ではねたのも俺だ。じゃあまたどこかで』
 ふざけるな。ふざけるな!
「パンッ」
 ふざけるんじゃねえよおおおおおおおおおおおおおおおぉ!