Neetel Inside ニートノベル
表紙

サイコロ
12.あいつ

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 怪我は驚くほど早く完治した。吸血鬼じゃないかという風に。
「ネコ神のパワーにゃ」
 と猫山さんは言ったが、まだ信じがたいことだった。
 自分の身に実際起こったことながら、神を信じろと言われてもまだ無理な話だった。そう、神などいない!
 まあそんなことはどうでもいい。今俺は怒っている。
 あいつの事だ。俺の家に強盗に入り、俺を車で轢き殺そうとしたあいつの事。
 家の中はめちゃくちゃに荒らされ、俺を助けた配達員のおじさんは全身打撲で入院中で、交番にいた警官は撃たれて死亡。俺を撃った警官はその場で自分の頭を撃って自殺未遂。
 ちなみに、俺の親父は何事もなかったかのようにその次の日には仕事に従事。母は一日寝込んだが、その次の日復活。まあ二人は目隠しをされて縛られただけだからね。
 不思議なことに、親父と母の話を参考に書いた犯人の似顔絵は全くと言っていいほど一致しなかったらしい。いや、そもそも一方は男で一方は女だったらしく……。
 信じられるかそんな話。俺を襲った奴は魔法使いだったのか? いや、神様か。
 というか絶対許さないからな! 俺を襲った奴!
 しかし、あいつは自分の事をカエルのようなものだと言った。しかし猫山さんは他の種族の神様が喧嘩を売って来ると言ってた。わけがわからないな。違う種類のカエルの神様だったとか?
 このとんでも話を自分なりに理解する為に俺に色々事情を聞いてきた刑事のおじさんに何か情報は無いかと聞いてみたのだが、まるでこっちの質問答えてくれず、交番の警官を撃った人間は俺の家に入った強盗と同一人物なのかということもわからず。
 ああ、情報が欲しい。このままでは悶絶してしまう。しかし俺の情報元はと言うと……。
「カエルは仲間のはずにゃ。お前に勝負を挑んでくるはずはないにゃ」
「そう……なんですか?」
「疑うのかにゃ?」
「いえ、そんなことはないのですが……。あの、知り合いに他の種族の神様っています?」
「いるにゃ。でも、連絡取りたくないにゃ。借りは作りたくないし、そもそも関わりあいたくないにゃ」
「そうですよね。そういえば俺、猫山さんにお世話になりっぱなしなんですが、いいんでしょうか?」
「しかたがないにゃ。クラスメイトだし、中学からの付き合いだからにゃ」
 俺、猫山さんとはほとんど話した事なかったんだけどね。
「でもまあ、いつか借りは返してもらうにゃ。私がピンチの時、助けてくれにゃ」
「どう助けていいのかわからないですが……。まあできるだけのことはします」
「頼むにゃ!」

       

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