Neetel Inside ニートノベル
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サイコロ
13.お詫び

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 猫山さんによると、一応ケンカに勝ったのは俺らしい。だから詫びを入れに俺の前に姿を現して、それなりの代償を支払うということらしいのだが……。
 まあ正直なところ、代償なんて払わなくてもいいからこれ以上関わらないで欲しいというのが本音だな。
 しかし、ケンカなんて本当に売られたんだろうか? ただの愉快犯に追われていただけのような気がするのだが。
「かずちゃん、部屋にいるの? ちょっとジャポンネット銀行で振込みお願いできるかしら? お母さん振込みの仕方わからないから」
 母か。楽園天国でまた何かいらんもんでも買ったのかな?
 まあいい。母も色々あってストレスがたまっているからネットショッピングでもしたのだろう。
 俺は母から振込先と金額が書かれたメモを受け取り、部屋のパソコンで俺のジャポネット銀行の口座に繋いだ。あれ? は?
「なんじゃこりゃああああああああああ!」
 俺は、その数字を見て驚愕した。その驚愕は大声になって出力されたのだ。
「ちょっとかずちゃん、大きな声が聞こえたけどまた何かあったの?」
「母さんなんでもない! 大丈夫だから!」
 大丈夫じゃねえ! なんだこれ? 普通預金残高が、一十百千万十万百万千万一億十億百億千億一兆……。
 一兆円入ってるんだが……。
 これが代償なのだろうか? いや、まさか……。
 そうだ。これは親父が危険なFX海外ハイレバ取り引きで儲けた金なんだ。その上もっと危険な先物オプション取引をしたんだ。
 儲けすぎて怖くなって放置した結果なんだ。でも、一兆円って……。それってなんて国家予算?
 そうだ! 振り込み依頼人を見れば何かわかるかも……。
「きゃあ! ちょっとかずちゃん、玄関先に何か不振な物が落ちてるんだけど!」
 不振な物? 爆弾か? 奴ら爆弾をしかけにきたのか?
 俺は全速力で階段をかけ下り、玄関に向かってみると……。
「なにかしらこれ?」
「黄金の蛙の像だね……」
「こんな大きな物、どうしたのかしら? よいしょ。重くて持ち上がらないわ。どうしましょうこれ?」
 インゴットだ。インゴットのカエルの像だ。しかもでかい。ダンプのタイヤ位の大きさがある……。
「あら? 庭の方にもあるわよ? こっちは銀色のうさちゃんだわ!」
 プラチナだ。プラチナのインゴットだ。って兎? どういうことなんだ……。

       

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