Neetel Inside ニートノベル
表紙

とれしょ
女中の袖に手を入れて(完結)

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 「まあそんなわけで、今日から君は我が家の、と言うか俺のメイドだ。
 仕事は主に俺の性欲処理。掃除洗濯炊事は暇があったら手伝ってやってくれ。質問は?」
 「ええっと、その、あの……なんてお呼びすればいいか」
 「ご主人様、で」
 「わかりました。ご、ご主人様」
 少女のおどおどとした態度は、返答を間違えただけで……あるいは間違えてもいないのに、酷く怒鳴られ、時には殴られた経験からくる事が見て取れた。
 それも、一度や二度ではなく。
 「申し訳無いのですが……知っての通り今は私は、あの、女性器を使うことができないのですが」
 十代前半だと言うことを考慮しても随分と軽そうな細い体をした幸薄そうな少女、マルカ。
 アジア系に近い顔立ちは、両親からの遺伝なのだろう。その中にスラブ系らしい、輝きの無い緑色の瞳が印象的だ。
 ぼさぼさに伸びきった髪は短く切り揃え、清潔感が出ていた。
 彼女の性器は随分と雑に扱われていたらしく、性病こそ患っていなかったものの、酷く損傷していた。
 幸いにも治療を続ければ女性の機能には影響ないらしいが、当然しばらくの間は性交は厳禁である。
 「それに、あの、私は構わないのですが、その、見た目は戻らないってお医者さん言ってたので、気持ち悪いかもしれないです」
 「マルカが拒否しないなら俺は全然大丈夫だ。セックスは嫌じゃないのか?」
 「あまり好きじゃない、ですけど……生きるためにずっとやってきた事なので、嫌い、と言う程でもないです。
 でも、あまり痛いのや苦しいのはちょっと……苦手です」
 マルカがこれまで受けてきた苦痛は、『ちょっと苦手』で済む程度のものではないのは明らかだった。
 小汚いぼろ布を纏っただけの服から見える身体のあちこちに、痛々しい痣がいくつも刻まれていたからだ。
 今はおろしたてのメイド服を纏っているから身体の傷は見えないが、常に相手の顔色を伺う彼女の動向から、精神に負った傷は伺える。
 「わかった。なるたけハードなプレイは控えるようにしよう。相手は別にいるしな。なっはっは」
 「ありがとう……ございます」
 マルカはぺこりと頭を垂れる。
 「いやまあ、礼を言われるのもおかしいんだけどね。一応始めに言っておくと、俺は幼い女の子を手篭めにしたいからマルカを買ったんだからな。
 人身売買の未成年淫行のその他もろもろで普通ならムショ行きだからな。ま、そこら辺は全部満月が上手く処理してくれるから表沙汰になんないんだけど……げっへっへ」
 男はわざとらしく下卑た笑みを零す。
 「だから何ていうか、俺の事をいい人みたいに思うのはやめといてくれ。逆に罪悪感で死にそうになる」
 「でも、ご主人様は私を助けて下さいました……こんな服、お召し物まで用意していただいて……」
 「人の話聞いてた?」
 「あ、ご、ごめんなさい……!」
 慌てた様子でマルカが地面に膝を付いた。
 「謝られても困るわ。相当重症だなこりゃ……仕方ない、さっそく抜いて貰おうと思ったが今日はやめにしとこう。休んでていいよ」
 「は、はい……。失礼しました……」
 「満月ー。カモーンセーックス」
 とぼとぼと歩き出て行くマルカと入れ替わりに、別のメイドが部屋に入って来た。
 「失礼致します」
 「はやっ」
 銀縁の眼鏡をかけ、腰まで届く髪をたなびかせたやや長身の女性。
 歳は主人と同じく成人したてだが、その物腰と身に纏う雰囲気は、熟練の女中そのものだった。
 「相変わらず速すぎて怖いわ。どこで待機してんのお前……。まあいいや。マルカはまだ怖がってるみたいだから、いつも通り相手してくれ」
 「かしこまりました。本日はどのように致しましょうか?」
 「任せるわ。あ、後でケツ入れされて」
 「ではそのように……失礼致します」
 既に怒張していることがわかるそれを、満月と呼ばれたメイドはファスナーを下ろし丁寧に取り出した。


 じゅぽり、じゅぽり。
 部屋に、淫猥な水温が響く。
 「あーやっぱ満月の口は最高だわー……」
 椅子に座って彼女の奉仕を受けている男は、蕩けた表情で目の前の光景を眺めている。
 整った顔立ちのメイドが、自分の肉棒を咥えこんで離さない。
 喉元まで飲み込み喉奥に擦らせ、肉を絡ませ引きずりながら一気に引き戻し、鈴口に柔らかくキスをする。そして、再び喉元まで。
 主人の身体を知り尽くした満月は、上目遣いで男に目配せする。
 「このまま出すか」「出さない程度に加減して続けるか」「一旦止めるか」だ。
 射精のタイミングをコントロールすることなど、彼女にとっては文字通りに朝飯前だった。
 「ん、ちょっとストップで」
 男がそう言うと、満月はゆっくりとペニスを引き抜き、ちゅぽんと可愛い音を立てて放した。
 ハンカチで口元を拭い取る満月に、男は命令する。
 「手でちょっと焦らしてー」
 「かしこまりました」
 唾液にまみれて潤滑が良くなった陰茎を、小動物でも愛でるかのように、ゆっくりと、そしてじっくりと撫で上げた。
 満月は左手で逸物を優しく、包むように握り上下にしごくと同時に、広げた右手で亀頭を転がして柔らかい刺激を与える。
 いくらかくすぐったさが混じった快感が下腹部を襲い、腰が抜けそうになる。
 「あーやっぱ満月の手は極上だわー……」
 「お褒めに預かり光栄です」
 いつもなら右手は睾丸をいじるか、主人の気分次第では尻の穴まで指でほじりながら亀頭を咥え、眼鏡をかけたままの顔にたっぷりと精液をかけられる。
 白濁色に染められた頬に、亀頭を押し付けてしばし擦りつける。そして口の前に差し出されたら、全て舐めとって綺麗にする……ここまでが定番のパターンだった。
 満月は口を自由にした理由に、自分と話をしたいのだろうと考えた。そしてそれは当たった。
 「なんか聞かないの?」
 「……あの子の話ですか?」
 「うん。マルカちゃん。何故引き取ろうと思ったのですか、とか。メイドは自分だけで十分です、とかさ」
 手の動きを止めずに満月は答える。
 「ご主人様の判断に意を唱えはしません。私はご主人様の所有物、身体の一部、性奴隷、肉便器、オナホール、ダッチワイフ、ペニスケース、全自動おちんぽ掃除ロボ……」
 「もういいわ! って言うかどんどん長くなってるな……なんだ全自動おちんぽ掃除ロボて。初めて聞いたぞ」
 「説明しましょう。全自動おちんぽ掃除ロボとは」
 「いらんわ!」
 「失礼致しました。ともかく、私はご主人様の忠実なるメイド。死ねと言われれば死にますし、誰かを殺せと言われたら殺します。
 私がいる限り有り得ませんが、万が一にもご主人様が飢えに苦しむような事がございましたら、反省と謝罪の意も込めてこの身を火にくべて差し出しましょう」
 「発想が怖えーよ! 俺は仏陀か! ……じゃあもしも、もしもだぞ? もう一回言うが、もしも。『俺を殺せ』と命令したらお前はどうするんだ?」
 静寂の中に、ペニスを弄る音だけが響く。
 「……ご命令に背くことになります。かくなる上は切腹してお詫びを」
 「お前は武士か! 俺は仏陀か! 俺がホトケでお前がサムライ、かくもこの世は封建社会か!!」
 男は左手と右手で交互に自分とメイドを指差し、最後に両手の人差し指をメイドに突きつけた。
 「はい」
 「はいじゃねぇYO! 笑えYO!!」
 「あっははははははははは!!」
 命令された途端、無表情から極々自然な流れで笑い出す満月。表情がとても作り笑いには見えないのが恐ろしかった。
 「ごめん今のは流石に無茶振りだったわ」
 「お気になさらず」
 



 男……ハルが売春宿から少女を買い取ると言い出した時も、満月は眉一つ動かさなかった。
 そこが売春宿と言うには粗末すぎる建物だったのは、ある意味では幸いだった。金さえ積めばいとも簡単に商品を手放すからだ。
 なんでも、道端で見かけた時から気になっていたらしい。浮浪者のような格好に綺麗、とか美しい、とは言い難いにしても、確かに保護欲を煽る少女だった。
 メイド服も中々様になっている。主人の見立てが良かったのだろうとも思ったが、少し腑に落ちない点もあった。
 
 
 「では、恐れながら一つだけ質問をさせて頂いてよろしいでしょうか」
 「いいよん。あーいきそ」
 「……娼婦として働かされていた少女たちの中で、何故彼女を選んだのですか?」
 ハルの表情が、真面目になる。
 会話中も尚続く奉仕を、手で制止した。
「ご主人様の目を疑うわけではありませんが、あの中には彼女より容姿が優れた子もいたように見受けられました。
 確かに彼女も可愛い部類に入ります。が、メイドとしての適正はあまり優れないでしょう。
 彼女……マルカを選ぶ理由と言うのがおありでしたら、お聞きしたいと思案しておりました」
 「そう、目だよ。俺の」
 ハルは眼球を指で示す。
 「あの日鏡で見た自分と、同じ目をしていた。あの子はきっと、俺と同じだ」
 満月ははっと息を呑み、急いで床に手を付いた。
 「……申し訳ございません、私の思慮が足りないばかりに」
 「あーいいのいいの。気にすんな。ってかむしろ言いたかったんだよ。『あの子は……俺と同じ目をしていた』とか。超かっこよくね?」
 「世界で一番かっこいいです」
 頭を上げた満月は至って真面目な表情でそう言い切った。
 「ありがとー。いい子だねー満月は。もう大好き。結婚しよう」
 堂々と言い切った満月が愛おしいやら微笑ましいやらで、ハルは締りのない顔で彼女の頭を撫でた。
 「ご命令とあらば」
 「命令したいのは山々なんだけどね。とりあえず保留だな。後任を育てるまでは」
 「正直に申し上げますと、私のようにはならないと思われますが」
 「いいんだよそれで。お前がおかしいの。なんでそんなんなっちゃったのお前。全てにおいて助けられてるから文句は言えないけど」
 
 「御恩がありますので」
 これまでずっと鉄面皮を保っていた満月の顔が、ほんの少しだけ緩んだ……ような、気がした。


 「そうだそうだ、アナル忘れてたアナル。ご主人様に差し出せー。広げてみせろー」
 「かしこまりました、ご主人様」
 黒いレースのついたパンツを脱ぐと、彼女の菊座からはリング上の取っ手が生えていた。
 「ご用意はできております。お抜きになりますか?」
 「いや、自分で出してくれ。手を使わずにな」
 「はい。ではお見苦しいかと思われますが……失礼をば」
 満月は長いスカートの裾を口に咥え、ひと呼吸した後に立ちながら腹に力を入れ、踏ん張った。
 「んんっ……むぅ…………」
 彼女が唸ると、一つ、また一つと連なった球体が顔を出す。
 ゴルフボールより若干小さいくらいのそれが、八つ。
 満月の不浄の穴から、ごとりとひり出されて地面に落ちた。
 不浄と言っても、常日頃からいつでも主人を迎え入れられるように準備をしていた。
 雑菌などを考えると清潔とはとても言い難いが、便は付かないように気を遣っているために挿入は問題ない。
 「それでは……」
 「その前に、ちょっと味見させろ」
 そう言って椅子から立ち、代わりに満月の手を椅子の手すりにつかせる。
 主人好みの小ぶりな尻を突き出す格好になる彼女のその孔に、顔を寄せた。
 「はい……どうぞ、お召し上がり下さい。ご主人様」
 腸液がほのかに滴るそこをひと舐めし、彼女の身体が僅かに震えたのを確認すると、満足そうにハルは口の端を吊り上げた。

       

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