Neetel Inside ニートノベル
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 「そう言えば、マルカもうすぐ誕生日だったな」
 コントローラーを巧みに動かしながらハルは呟いた。
 「え、あ、はい。えっちできるようになる前の日です」
 負けじとコントローラーをカチャカチャさせながらマルカは答える。
 毎日のようにハルの相手をさせられた(もしくは自分からねだった)結果、マルカはハルと遜色ないくらいにゲームが上手になっていた。
 もともと将棋以外のゲームは『どうせ満月には勝てないし』とそこまでやり込む事が無かったハルに対し、マルカはゲームにのめり込み貪欲にプレイしていたので成長が速かったのだ。
 このままでは追い越される日も遠くないだろう。
 「おっと、その流れはアレか。誕生日プレゼントはご主人様のちん」
 「普通のでいいです」
 マルカは食い気味に言った。
 だがこれもハルの巧妙な作戦である。
 「ほう、普通のプレゼントか。何が欲しいんだ?」
 「え? えっと、それは、その……」
 細指の動きが精彩を欠く。
 何が欲しいかなど、考えもしなかった。
 まともに祝ってもらった試しさえないので、二人に祝福されれば十分幸せだ。それ以上に望むことなどない。
 誕生日が終わればクリスマスも近い。にも関わらず、マルカは全くプレゼントを貰う事を想定していなかった。
 これまでの生活で何も買ってもらえなかったせいで、物を欲しがろうとしなくなった。
 マルカが過去に言ってたので、ハルはそう思い込んでいた。
 しかし、今のマルカにとっては正確ではなかった。その理由もあるが、それ以上に。
 「……なんでもいいですよ。あんまり恥ずかしいことしなければ、ご主人様のおちんちんでも許してあげます」
 何よりも欲しかったものがすぐ近くにあるのだ。
 少しだけ照れるマルカに対しハルはゲームに集中しながら答える。
 「やれやれ。年端も行かない子供がちんこなんてねだるんじゃないぞ」
 「ご主人様が言い出したんじゃないですか!」
 「ちんことは言ってない。ちんすこうかもしれないしチンジャブかもしれない」
 「小学生みたいな事言わないで下さい!」
 「俺と満月はな、お前をかわいがって甘やかしたくて仕方ねーんだよ。折角可愛い可愛い妹ができたんだ、何でも買ってやりたいと思うのは当然の事だろ」
 「そ、そんなにかわいくはないですけど……」
 恥ずかしげに俯くその耳に、ハルは何度も同じ言葉を投げた。
 「いーやマルカは可愛い。うちの妹は世界で一番可愛い。マルカ可愛いマルカ可愛い可愛い可愛い超可愛い犯したい犯す妊娠させる出産させる子供生まれたら泣く赤ん坊の前で即もう一人仕込む」
 「やーめーてー!!」
 「シルベスタギムネマ茶」
 マルカが真っ赤になって食いかかる間にハルは見事勝利を収めていた。
 
 
 「ところでマルカ、誕生日プレゼントは何がいいですか」
 仕事が終わった満月を待ち構えてベッドに誘った先でも、同じ事を尋ねられた。
 「満月さんのおっぱいが欲しいです」
 顔を埋めながらそう答えるマルカ。
 「私の身体はご主人様のものなので千切るわけにはいきません。ごめんなさいね」
 「千切らないで下さい! 私はこうやって、満月さんに甘えて、ご主人様に遊んで貰えれば……それでいいです」
 健気で微笑ましい願い。だがそれは満月を満足させるものではなかった。
 「無欲ですね。もっと欲望を解放しなさい、マルカ。アパレル企業を乗っ取ってオーダーメイドの服を作らせて自分が専属モデルになるとか、製薬会社を買収して化粧品をプロデュースするとか、芸能プロダクションやテレビ局の大株主になり美男美女を侍らすドラマを制作する事も可能ですよ。何だったら少し時間がかかりますが小国を手中に収めることも」
 「野望が大きすぎますよ! ……じゃあ、ケーキ作って下さい。あと、ご馳走……はいつも食べてるか」
 「何を馬鹿な事を言ってるんですかマルカ。ケーキがない誕生日なんてあり得ません。そんなのはうちみたいな富裕層で無くても大前提、わざわざ頼むことでもありませんよ」
 自分なりにそこそこ大きな願い事をしたと思ったマルカは、あれ、と乾いた笑顔をこぼした。
 (そっかー……普通かー……)
 「それに、もうすぐクリスマスです。誕生日と近いからってプレゼントをひとまとめにしたりはしないので安心してくださいね」
 (クリスマスって本当にプレゼント貰えたんだ……)
 例え貧乏であっても、普通の家庭なら何かしら子供にはプレゼントを与えてやるだろう。
 これまで何度も貰えたはずのおもちゃ、洋服、携帯電話、アクセサリー。
 それら全てはマルカにとって遠い存在であり、買ってやると言われても手にするまでほとんど実感が沸かないのだ。
 「うーん……」
 心の奥底では、欲しいと言うなら何でも欲しい。それはわかっていたが、それを表に出すのは躊躇われるし、そこまで勇気がいるほど欲しいとは感じなかった。
 「まあいいです。プレゼントなど欲しくなったらいつでも、なんでも、好きなだけ買い与えてあげますから。また色々出掛けましょうね。今度はご主人様も一緒に。そのかわり」
 「……そのかわり?」
 「特別扱いしてあげる、と言うのはいかがでしょう」


 「なるほど。特別扱いか……」
 マルカは二人の間で規則正しく寝息を立てている。
 脅かす存在などどこにもいないといった様子で、安息の境地に至っていた。
 「はい。マルカは自由に振舞っているとは言え一応はメイドの身。スタンフォード監獄実験……囚人と看守の実験のように、立場を上にして上げることにより欲望を解放させてみるのは如何でしょうか。ご主人様にもお付きあいさせてしまいますが……」
 申し訳無さそうに言う満月の頭を掴み、ハルはペニスを強引に咥えさせる。
 「ふぐっ……!」
 「ご褒美だ。やっぱお前は頼りになるな」
 「……光栄の極みです……っ!」
 満月は、ハルにされる事なら何でも喜ぶ。
 恋人のように扱われても、物のように使われても。
 だからハルは愛情表現として、ありとあらゆる方法で満月とたわむれるのだった。
 「どう扱われるのがいいか、ってお前に聞いたところで……」
 「私はご主人様にならどう扱われようとも最大級の幸福です」
 「ってなるよな。どーするか……」
 満月の口を性処理道具として使いながら、マルカをどうしてやろうか考えるハル。
 腰がとろけるような刺激をたっぷりと愉しみながら思案して、そして。
 満月の喉奥に直に放つように、熱い精を打ち込む。
 どぷり。
 「~~~~~~!!」
 「よし、決めた」
 恍惚の表情で精を溜め込む満月に向かって、悪巧みするように笑う。


 「――にしてやろう」

       

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