【女同士、おんなのこどうし】

「だーんーなー。ちんぽ入れてー」
 ノックもせずにハルの部屋に入り込むソフィア。満月は掃除中であることは確認済みである。
 ハルはと言えば、一人暗い部屋でベッドに座り、何やら映像を見ながら手淫に耽っていた。
「なんだよーオナるくらいならあたしとヤろうよー」
 彼の横に座ってゆっさゆっさと身体を揺らすと、ハルは優しい手つき(ペニスを握っていた手である)でソフィアの頭を撫でてきた。
「おーよしよし可愛い淫乱ロリめ。ちょうどいいからオナホールにしてくれるわ」
「なんでもいいからちんぽ入れてってば。って、あれ」
 ハルに抱きつきながらディスプレイを見やると、そこに映っていたのはソフィアのよく知る人物だった。
 一番苦手とする人物と、一番そばにいて安心できる人物。
 彼女ら二人が、映像内で淫らに絡み合い、肉を貪っていた。


『ぁ、まんげつ、さん……』
『今はお姉様、ですよ』
 全裸の少女が伏せている上に、性器と乳房を曝け出した下着のみを纏った女性が覆い被さっている。
 両手の指をそれぞれ少女の口内と秘所に忍び込ませて、扇情的な顔つきをしていた。
 悦楽に震える妹の首筋を舌でなぞり、細い指で少女の粘液をかき混ぜ、水音を奏でる。
『ほら、こっちの指一本じゃ足りないでしょう? おまんこに何本欲しいか、言ってごらんなさい』
 切なそうな顔をする妹の耳元で囁く姉。それに対し、妹は耳まで赤くしながら答えた。
『に、二本……』
『本当に?』
 姉が第一関節を折ると、妹の口から高音が漏れた。
 僅かな手の動きで玩具のように弄ばれる妹。姉はねっとりとした口調で、もう一度問う。
『本当に、二本でいいのですね?』
『っ……』
 姉が手を止める。少女は数秒無言でいたが、やがて小さい声で零した。
『……三本、入れて下さい』
『よくできました』


 身体を精一杯仰け反らせて激しく震えさせるマルカと、嗜虐的快楽に妖しい微笑みを浮かべる満月。
 ハルの感想は、
「めっちゃシコれる」
 だったが、一方でソフィアは苦い顔をしていた。
「きもちわるー。何で女同士でやんのかね。だんなの趣味?」
「それもあるが満月がロリコンを俺以上にこじらせててなぁ」
「あの女頭イカれてるよ……」
「ソフィアはレズ嫌いなのか?」
 嫌いも何も、とソフィアはハルのペニスに頬ずりしながら答える。
「セックスって男と女がするもんじゃん。他人のまんこほじって何が面白いんだろ」
 はむー、と勃起したままのハルを咥えて幸せそうに目を伏せた。
「マルカもあれで楽しんでるけどなぁ」
「うっそだー。絶対脅されてやってるでしょ。せんぱいかわいそー」
 ハルはその言葉を聞き、ふむ、と一計を案じ始める。


 翌日。
 皆より遅く起きたソフィアは用意されていた朝食を食べ、もう一眠りするかな、などと考えながら廊下をすたすた歩いていた。
 すると、後ろからマルカが駆け寄ってくる。
「ソフィアちゃーん、これから何かやることある?」
 自分より頭半分背の高い少女は、親を亡くしてから一人で生きてきたソフィアにとっては恩人であり、姉のような存在である。
「寝ようと思ってたけど。どうしたの?」
「じゃあ私も一緒に寝てもいいかな?」
「んん?」
 一緒に寝る、の意味を考えるソフィア。
 普通に考えて、同じベッドで隣り合って眠る、と言う事だろう。
 まさかこれまでソフィアが男としてきたみたいに、セックスをすると言う意味ではあるまい。
 屋敷にあるベッドはどれも大きく、ソフィアが使っている部屋のも子供二人くらいなら余裕を持って寝転がることが可能だ。
「別にいいよ」
 ソフィアは快諾し、自室に招いた。
「あたし奥に詰めるから、せんぱいこっちね」
「うん!」
 ずっと寝間着だったソフィアはそのまま潜り込み、メイド服のマルカは脱いだ服を丁寧に折りたたんで、下着姿で布団に入る。
 そして奥で転がるソフィアの腹と胸に、腕を巻き付けた。
「おお?」
「んー……ソフィアちゃんやわらかー……」
 いきなり抱き枕にされて困惑するも、拒絶はせず。
 ハルの手つきともまた違う、すぐに振りほどけそうな優しいそれを、ソフィアは特に気にしないことにした。
 の、だが。
「ソフィアちゃん、女の人嫌い?」
 と、この状況で問いかけられると気にもなる。
「……別に、嫌いじゃないよ。男が好きなだけ。あとは……よくわからない」
 物心ついた時には既に母親がおらず、幼少期を父親とのみ過ごしていたソフィアにとって、自分以外の女性は得体の知れないものだった。
 ホームレスとして身体を売って生活してた頃は縄張り争いで邪険にされていたので、そもそも女性との関わり自体がほとんど無い。
「そっか。私はソフィアちゃんの事、大好きだよ」
「どうしたのさ急に」
 むずがゆさを感じて、ソフィアは軽く身を捩らせる。マルカの腕に、小さな温もりが動くのが感じられた。
「私、ソフィアちゃんの事妹だと思ってるの。ソフィアちゃんが寂しい思いをしてたら、すぐに駆けつけて抱きしめてあげたい。ソフィアちゃんがお腹を空かせてたら、ご飯を作ってあげたい。だから、困ったことがあったら、なんでも言ってね」
「そんなこと言われても……別に、大丈夫だよ」
 心の中になにか、暖かいものを感じつつ。
「……寝るから」
「うん。おやすみなさい」
 ソフィアは自分と同じくらい細い姉の腕を、そっと指の腹で触った。