Neetel Inside ニートノベル
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 「グロウ様……今度は私が気持ちよくして差し上げます」
 顔に付着した精を舐め、身体の外も中も男の臭いで満たされたティティはふらふらと千鳥足でベッドに腰掛けるグロウの股ぐらへと向かう。
 羽を使う余裕も無いのか、太ももにしがみついてよじ登る。そして、反り立つペニスに抱きついた。
 「全身でおちんちんをしごいて差し上げます。こんなの、人間じゃできないですよ……?」
 小さな手と足がそれぞれ上下に動き、陰茎を撫で回す。
 人間にとっては極々小さな感覚。それでもビクンと大きく反応するグロウを見て、ティティは嬉しそうに笑う。
 「えへへー。きもちーですかー?」
 言いながら、調子に乗ったティティは小さい胸を押し付け、ピンと勃った乳首で硬い肉棒を攻撃する。
 「そりゃ、そりゃー! どうですか私のおっぱいはー。さっきのお返しです!」
 楽しそうにわめきながら、半ば無意識に下半身を擦り付けるティティ。
 陰核を、陰裂を絡ませるたびに甘い吐息を浴びせながら、今度は自分の臭いを染みこませんとばかりに、湧き出る蜜をグロウに塗ったくる。
 「はぁ、はぁ……私は、グロウ様のものです……グロウ様も、私のものになって下さい……」
 焦らすような細かい性感と蕩けた言葉に、グロウは我慢が出来なくなる。
 自分のペニスを掴んで離さないティティ。そのティティごとペニスを握り――
 「ひっ!? ちょ、グロウ様……!」
 グロウは、猿の様に猛烈なオナニーを開始した。
 自分の一番気持ちいい速度で上下に扱くのに、ペニスを包む感覚はいつもとはまるで違う。柔らかな女の手の平で握られているかのように心地いい。
 握る手にも、自然に力が入る。
 「ぐっ……ぇ……」
 陰茎と手の平の間に挟まれ、握り潰される一歩手前のティティ。
 絞められる息苦しさ。締められる鈍痛。閉められる生命。
 それらは同時に、ティティの身体に熱を帯びさせる。性的快感の、疼きを。
 二人の鼓動が速くなっていく中、限界に達した亀頭から大量のスペルマが噴出する。
 「ふああ……」
 ようやく拷問じみた締め付けから解放されたティティはへろへろと回転した後、ぱたりと倒れてしまった。
 
 「……ところでグロウ様、緊急事態です」
 気絶していた所、全身……特に胸と股の周辺を念入りに指でこねられていたティティ。
 もうすっかり発情しきっているはずの彼女が目を覚ましてそう呟いた。
 「何だ」
 言いながらもグロウは指を止めない。
 「私のまんまんに挿入する気まんまんの所に水を指すようで申し訳ないのですが、ちょっとお手洗いに行かせて貰えないでしょうか」
 もじもじと下半身を震わせるティティ。
 「断る」
 「ありがとうございますーとっとと行って綺麗に洗ってきますってうぇうぇうぇい!?」
 てっきり早く行ってくるように命令されると思っていたティティは予想外の答えにテンパる。
 「ぐ、グロウ様?」
 「妖精も排泄するのか」
 興味深そうにグロウは質問する。彼女の足を摘んだまま。
 「しますよします! 小さい方も出れば大きい方だってもりもり出てきますよ! 人間とはちょっと違いますけど!!」
 グロウに掴まれた足を必死で振りほどこうとしながらもティティはしっかり質問に答える。
 「何が違うんだ?」
 「グロー! さまー! 詳しくは出してきた後でゆっくりじっくりねっとりと答えて差し上げますから今はおトイレに行かせて欲しいなー! なーんて!」
 笑顔を絶やさずに……と言うよりも絶やせずに、ティティは股間を抑えながら早口でまくしたてる。
 主従関係はどこへやら、摘むグロウの右手にしぱーんしぱーんと鋭いローキックを繰り出し始めた。
 鋭いと言っても、妖精基準の話だが。
 「答えろ」
 「むぐぐ……わ、わかりましたよ! 答えればいいんでしょ答えれば!
 妖精は主に魔力で構成されているため、魔力以外に摂取した食べ物とかも体内で魔力に変換され吸収します。
 元の物質とは完全に別物、マナになった後で老廃物を出すため、人間のうんこやらおしっことは性質が全く異なるわけです。
 もういいっすかねー! そろそろ私のダムが決壊して盛大に漏らしそうなんですけどー!」
 ぷるぷると震えだしたティティ。だがグロウの手は緩まらない。
 「ティティ」
 「はいティティです! いい歳して割と近年までおねしょした事もあるティティです! 記録を更新したくないのでいい加減に――」

 「飲めるのか?」

 ティティの動きが、完全に固まる。

 「…………はい?」
 「人間が飲んで害は無いのか、と聞いている」
 「……そうですね。あるかないかで言えば全く無害。どころか微力ながら魔力も手に入りますよ。
 ところで何かすごく嫌な予感がするんですけど」
 構わず、続ける。
 「美味いのか?」
 「…………表には出回ってませんが、愛飲する変態もいるって話は聞きますねー。魔力も含むため王族の間で飲まれているって噂も耳にします。噂ですけど。
 ……ああ、グロウ様の言いたいことは大体わかりますよ。予想はつきます。でも考えてもみて下さい、それやっちゃったら流石に人間としてどーかと思いません?
 まあここまで堕ちましょうとか壊して下さいとかマゾなんですとか言っておいて今更言い訳がましい事をほざく私が悪いのは重々承知です。
 でも、仮にも私は女の子。淫乱でドMで臭いフェチで割とどーしよーもない感じの変態痴女ですが、乙女心やら女子力なんかは捨てていません。
 グロウ様のおしっこを私が飲む。これならわかります。コップに波々と入れた尿に突き落とされて沈めても私は興奮します。グロウ様の嗜虐心も満たされてお互い得しますね。
 ぶっちゃけると私が出す側の排泄関係はすっげー恥ずかしいからマジ勘弁して下さいそろそろ限界を超えてる感じなんで溢れたリアル聖水がちょっと足を伝ってるような」
 この世界にそんなものは無いが、どんどん口調が早くなるティティが宙を移動する様はUFOキャッチャーの景品さながらだった。
 出口は、上を向いたグロウの口。
 ぱくん、と。
 ティティの下半身が、グロウに咥えられた形になる。
 「……勘弁してはくれませんかね」
 彼女の、最後の懇願。
 グロウは答えない。
 その代わりに、舌が小さな妖精の足の間へと滑り込んだ。

 「あっ……ふぅ………ん………」
 身体を痙攣させるティティの口から、吐息と共に唾液が落ちる。
 熱を帯びた果汁が、ちょろちょろと滴り落ち始めた。
 舌で回すように、その液体を吟味する。
 臭みは無い。柑橘類のような爽やかな酸味が三と、蜂蜜のとろけるような甘さ七が混じったものがグロウの口内から喉へ流れていく。
 (……ふむ)
 控えめに言って、美味い。
 量こそ少ないものの、店で出せるレベルの……と言うより、一般的に人間が飲む習慣が無いのが不思議なほど、甘美な雫だった。
 (まあ、動物の尿を飲もうなんて思うのは一部の変態くらいか)
 同時に、僅かに身体の奥底で何かのスイッチが入れられたような、ほんの小さな感覚があった。
 ティティを虐めて入った嗜虐心とか、そういうものとは全く別の、力のスイッチ。人間に掛けられた枷が、一つ腐り落ちていったのを感じる。
 (……これが魔力か?)
 ティティを引っ張りだしベッドに置いて訪ねようとする。も、彼女は顔を両手で抑えてうずくまっていた。
 ほんのちょっとだけ尖った耳は、フィンデル山の溶岩よりも赤い色をしている。
 「………………もうおよめにいけない……」
 さっきのテンションはどこへやら、さめざめと咽び泣くティティ。
 やれやれと溜息をつき、グロウは彼女の小さな頭を撫でた。
 「……心配するな、お前はもう俺のものだ」
 指の間からちらと見つめるティティ。
 「………………なんですかそれ、プロポーズですか……卑怯ですよ……」
 その言葉の節々には、弾むような感情が見え隠れしている。
 「だからこれから毎日飲ませろ。食うかどうかは別だが、大便も調べてみたい」
 「~~~~~~~~~~!!!」
 淡々と述べるグロウに、ティティの頭が沸騰する。
 「と、とんでもないレベルの変態に仕えてしまった……!!
 わかりました! わかりましたよもう! こうなりゃヤケだ!
 かくなる上はどうあっても私のうんこを食って貰いますからね!!! ガチスカですからね!!
 お、女の子にここまで恥をかかせておいて、やっぱり臭いから食えないとか通用しませんよ!!!!」
 啖呵を切るティティに対するグロウの態度は冷静だった。
 「実際問題、食えるものなのか?」
 「えーえー食えますよ! 食えますとも!! 限られたガッチガチのド変態しか口にもしようとしませんがね!!
 妖精のうんこは基本的に小豆色の楕円形な球体、一見するとうんこと言うより卵に間違えられる事も多いです!!
 でもうんこですからね!! うんこうんこ!!!
 排泄物特有の鼻をつまむような臭さはありませんが、植物の根のような独特の臭いがします!!
 味は知りません! 食った事ないので!! 珍味扱いだから好きな人は普通に好きだそうです!!!
 しかしてその実態はうんこですからね!! うーんこうんこ!!! くそくらえー!! グロウさまのバーカ!! 寝取られスカトロリコン!!!」
 (……ひどい言われようだ)
 生まれてこの方ここまで酷く罵られたのは初めてだ。
 故郷を追い出された時だって、もう少しソフトな物言いだった。
 (が……)
 恥じらいを捨てたつもりで言うティティが、実のところ全く捨てきれていないのが愛おしい。
 どれだけ罵倒されようとも、この小さな妖精のことを嫌いになることなど、出来ないだろう。
 それに、グロウには――
 (――もう、お前しかいないんだ)
 「ティティ」
 「何ですか、変な顔して。はっはーん、怖じ気づいたんですね。でも駄目ですよ! この私にここまで言わせた罪は重い! いくらグロウ様と言えど容赦は――」
 親指の先ほどしかない彼女の顔に、グロウは口付けをした。
 「好きだ」

 「……ひゃい」
 ティティの方もすっかり、グロウにやられていた。
 
 

       

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