「と言うわけでセックスしましょう」
「……どう言うわけだ」
ティティは纏っていたチュニックを脱ぎ、生まれたままの姿となって机の上に仁王立ちしている。
「私の一番の取り柄は切り替えの速さだってミュカレちゃんも言ってました!
あ、ミュカレちゃんってのはツインテールが特徴的な普通に魔法使えるくせに魔法少女かぶれの女の子で自作したステッキ持って鏡の前でポーズ取ってた所を私に目撃されて記憶を消そうとこのチャーミングな頭部にひたすらステッキを振り下ろし続けて」
「そんな情報はいらん」
「兎にも角にも、嫌な事を忘れるにはセックスが一番! さあまぐあいましょう! 体液交換しましょう! さあ!」
詰め寄るティティだが、グロウの顔は渋い。
「悪いが、今はそんな気分じゃない」
人間の死体を見たのは初めてではないが、ここまで多くの死体、それもひどく弄ばれたのを見た経験は無かった。
見た目に加えて、鼻を摘むような、腐った肉と内蔵、そして強すぎる血の臭い。
胃液が逆流するとまではいかなかったが、嫌悪感を覚えるには十分すぎる。
そんな光景を見た直後にティティに欲情できるほど、まだグロウは狂っていない
加えて、豚鬼や人喰鬼との連戦。結果としては傷一つない圧勝だが、判断を間違えていたら自分も肉塊になっていただろう。
余裕に見える勝利の裏には、思考能力の酷使がある。
肉体的にはそれほどでもないが、精神的に疲労が無いと言えば嘘だった。
「今は少し休みたい。後にしないか」
「ダメです!」
きっぱりと拒否を拒否するティティ。
「私はグロウ様の下僕、いわゆるペット! それも性的なペット! ペットが発情したら鎮めるのは主人の役目です! 義務です!」
「……下僕の癖に随分自分本位だな」
「グロウ様の事も考えて言ってるんですよ」
「嘘をつくな」
即答するグロウ。
どう見ても自分の事しか考えてないだろう、と思っていた。
が、ティティは素の表情でそれに反論した。
「え、いやマジですよ。これからもグロウ様はこんな風景を見なければなりません。
何度も、何度も、何度も何度も。ぶち殺して燃やして犯して奪って晒して大笑いして……自分で作るんですよ、地獄を。
その度に気分が悪いなんてまともな事言ってたら、おかしくなる前におかしくなっちゃいますよ」
ティティはそれが至って当然であるかのように言った。
特別に真剣なわけでもなく、ふざけてるわけでもなく、楽しんでるわけでもなかった。
普通に、そう言ったのだ。
「……」
グロウは自分の認識の甘さに気付かされる。
まともな感性は捨てなければならない。
今全部捨てろ、と言う話ではない。いつかその時躊躇しないように、少しづつでも、捨てなければならないのだ。
まともな精神では、虐殺などできない。精神を、狂気の色で塗り替えなくては成し遂げられない。
少しづつでも、闇に進むのだ。
「……そうだな。ティティ、相手をしよう」
「はーい! やったーセックスだー!」
笑顔に切り替わり、脳天気に回って踊る小さな妖精。傍から見れば、無邪気で奔放な、ただの妖精だろう。
だが彼女は、人間の数歩先を進んでいた。
「じゃーん! ティティちゃん七変化! 姫様だけど今夜は女王様ティティちゃんです!」
ちょっと待っててくださいね、いいものがあるんですよ。
そう言って自分の荷物の中に潜ってったティティが出てきた時には、彼女は全裸では無かった。
服を着ている……と言っても、大事な所を隠すと言う役割は果たしていないものだったが。
黒の皮で作られたボンデージ。胸の部分は丸く切り抜かれ、平坦な乳房が露出していた。
股間の部分にも穴が開いていて、彼女の縦筋があらわになっている。
「……そんなものも売っていたのか」
人形に着せるには卑猥すぎるコスチュームだ。間違っても人形で遊ぶ少女には売れないだろう……ティティも少女だが。
「どうです、エロエロでしょう! 私の色気にノックアウト寸前でしょう!」
そう言って自らの胸と秘部を手で弄くるティティ。
(……色気?)
どちらかと言えば、幼い身体に不釣り合いな衣装による倒錯感、と言った感じだが。
グロウはその姿で、確かに興奮を覚えた。
「お、おちんぽは正直ですね! ところでこんなものまで用意してありますよ!」
取り出したるは、人形サイズの鞭……バラ鞭だった。
それを手に持ったまま、グロウの下を脱がして露出させる。
ぶるんと勢いよく飛び出たそれにティティは舌なめずりをした後。
調子に乗って、鞭を振り下ろした。
「あーっはっはっはっはっは! 汚らわしく下等な人間が! 這いつくばりなさい!
そして私の事を女王様とお呼び! この薄汚い豚め! おーっほっほっほっほっほ!!!」
数秒後、そこには手足を痕がしっかり残るほどにキツく縛られてボンデージをこれ以上ないほどに食い込ませた尻を突き出す姿勢で固定され鞭を振り下ろされる妖精の姿があった。
「誰が豚だって?」
「ごめんなさい! 痛い! 豚は私です! 痛い! お許し下さいグロウ様! 痛い! ぶ、ぶひぶひ! 痛い! そして気持ちいい!!」
陰茎に鞭の一撃を食らった怒りは一瞬で立場を逆転させ、予想通りと言うか案の定と言うかそのような結果を招いた。
「ううう……人間に対する恨み辛みをグロウ様にぶつけてストレス解消しようと思ってたのに……ああっ! んひっ! も、もっとお願いします!!」
やっぱり私はマゾヒストだったよ……と呟きながらティティは鞭による痛みを受け止めて快楽へと変える。
打たれて赤くなった尻を振って、更なる罰を求めた。
「……やっぱりほとんど自分のためだったか。いいのか? 憎むべき人間に罵られて辱められて……一族の復興を願う妖精姫の誇りはないのか」
「え、SMプレイ中にシリアス設定持ち出すのは反則です! 興奮しますけど絶対後で私が後悔するんですからっ! ……あ、鞭は続けて下さい。あひぃ!」
一発鞭を入れる事に、可愛らしい嬌声と共に大きく震える身体。既にティティの歪みからは、妖精の汁が滴っている。
「断る。鞭は続ける」
「グロウ様本当にサディストの鏡ですね! あうんっ! い、いいですよ別に! グロウ様に虐げられた屈辱は人間への恨みに上乗せされて結果的に戦闘パートでどんどん強くなる成長システムですから私はぁいたい! だからもっと強くても大丈夫です!」
「よくわからんが、わかった」
「ありがとうございまぁすぁぅちっ! あとおしっこでそうですっ!」
「我慢しろ。漏らしたらまた尻の穴を抉る」
「え゛」
提示されたのは割と本気で嫌な罰だった。
尻を打たれる度に、股の筋肉が一瞬だけ緩む。
「っ!」
妖精の未発達な陰裂。
愛液とはまた別に、違う穴から液体が垂れる。
どうにか内腿を締めて、尿意を我慢するティティだったが。
ビシィ、と尻に鋭い痛みが来る度に。
「~~~っ!」
ぴゅるっ、と少量だけ、小金色の雫が発射される。
「どうした、もう限界か」
ビシィ、ぴゅるっ。
ビシィ、ぴゅるるっ。
鞭を振るう度に、小便の出てくる量がどんどん増えてきた。
股の筋肉が閉まらずに、緩んできているのだ。
「あっ……もう……」
限界を悟るティティ。グロウはそれを摘み上げ、例によって下半身を咥える。
そして、柔らかく弾力のある妖精の尻肉を、齧る。
「んあああああああああああっ!!!!!!」
グロウの口内に、勢い良く排泄が始まった。
ホースの口を摘んだような尿圧が、グロウの舌に攻撃しているかのような強さで突き刺さる。
「はぁ……はぁ……」
ティティは泣いていた。
恥ずかしさと痛さと屈辱と性感と排尿の心地よさが混じった表情は、人間に敗北した妖精のそれだった。