注文の多い料理店やないかい(完結)

 一人の若い紳士が、すっかりマタギスタイルのかたちをして、
 ぴかぴかする散弾銃(ショットガン)をかついで、白熊のような機械猟犬《ハウンド・ドッグ》を一疋つれて、
 だいぶ山奥の、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことを云いながら、あるいておりました。
 「どこだここ」
 それはだいぶの山奥でした。案内してきた専門のイスラエル傭兵も、
 「角を曲がった拍子に道に迷うのがそんなに珍しいか? 日本人……」
 みたいなこと言って、どこかへ行ってしまったくらいの山奥でした。
 それに、あんまり山が物凄いので、その白熊のような機械猟犬が、バッテリー切れを起こして、しばらく吠って、
 「ゴシュジン……タノシカッ……タ」みたいなことを呟いて、それから目からオイルを流して死んでしまいました。
 「実に三十八万円の損害である」とワカメ頭の紳士が、その機械猟犬の身体をちょっと足先で転がして言いました。
 紳士は、すこし顔色を悪くして、一人ため息混じりに云いました。
 「僕はもうお家に帰りたいのですが」
 ところがどうも困ったことは、どっちに行けば戻れるのか、いっこうに検討がつかなくなっていました。
 風がどうと吹いてきて、草はざわざわ、木の葉はかさかさ、木はごとんごとんと鳴りました。
 「小腹が減ったな。ってかもう歩きたくねぇ」
 紳士は、ざわざわ鳴るすすきの中で、こんなことを云いました。
 その時ふとうしろを見ますと、立派な一軒の西洋造りの家がありました。
 そして玄関には――
 

 RESTAURANT
 西洋料理店
 WILDCAT HOUSE
 山猫軒
 

 ――という札が、でていました。


 「こんなところに店が……? と言うか、山猫軒ってどっかで聞いたような……うーん」
 

 紳士は玄関に立ちました。玄関は白い瀬戸の煉瓦で組んで、実に立派なもんです。
 そして硝子の開き戸がたって、そこに金文字でこう書いてありました。
 「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」
 ワカメは言いました。
 「たりめーだろ。客選ぶ気か」
 紳士は戸を押して、なかへ入りました。そこはすぐ廊下になっていました。その硝子戸の裏側には、金文字でこうなっていました。
 「ことに肥ったお方や若いお方は、大歓迎いたします」
 紳士は中歓迎といった様子なので微妙な気分でした。
 「若いけど別に太ってはねーな。食っちゃ寝セックスだけど。我ながらよく体型維持できるもんだ」 
 ずんずん廊下を進んで行きますと、こんどは水いろのペンキ塗りの扉がありました。
 「なんでこここんなに扉があんの? 俺の家じゃねーんだからよ。レストランだろ? ロシア式でもこんな造りじゃねーだろ」
 そしてその扉をあけようとしますと、上に黄いろな字でこう書いてありました。
 「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」

 
 「……」
 紳士は黙ってその扉をあけました。するとその裏側に、
 「注文はずいぶん多いでしょうがどうか一々こらえて下さい。」
 「…………」
 その先にはまた扉が一つありました。そしてそのわきに鏡がかかって、その下には長い柄のついたブラシが置いてあったのです。
 扉には赤い字で、
 「お客さまがた、ここで髪をきちんとして、それからはきものの泥を落してください。」
 と書いてありました。
 「………………」
 それを華麗にスルーして、紳士はドアを蹴破る勢いで開きました。
 扉の内側に、また変なことが書いてありました。
 「鉄砲と弾丸をここへ置いてください。」
 その文字に気付くことすらなく、紳士はずんずんと進んでいきます。
 また黒い扉がありました。
 「どうか帽子と外套と靴をおとり下さい。」
 「……………………」
 まったくそれを無視して扉の中にはいりました。
 扉の裏側には、
 「ネクタイピン、カフスボタン、眼鏡、財布、その他金物類、ことに尖ったものは、みんなここに置いてください」
 と書いてありましたが知ったことではありませんでした。
 「…………………………」
 すこし行きますとまた扉があって、その前に硝子の壺が一つありました。扉には斯う書いてありました。
 「壺のなかのクリームを顔や手足にすっかり塗ってください。」
 みるとたしかに壺のなかのものは牛乳のクリームでした。
 それを確認するやいなや、紳士は手に持ったままのそれをじゃこんと鳴らします。
 そして。


 どぅん。どぅん。

 響き渡る銃声を聞きつけ、奥の方からぱたぱたと走ってくる足音が近づいて来ました。
 そしてばたんと開かれた扉から現れたものは。
 「お、お客様! 店内での発砲は困ります、にゃ!」
 胸を強調したエプロン衣装に丈の短いスカートが印象的な、成人前程の見た目の、あまり顔色のよろしくない少女でした。
 ふんわりとカールした茶色の髪、同じく茶色い瞳の吊り目が印象的ですが、それ以上に目を引くのは彼女の頭の上でひくりと動く、柔らかそうな猫の耳でした。
 普段ならその少女の格好に「オ、ナイスデザイン」とガッツポーズを決める紳士でしたが、今この場では荒ぶるワカメです。 


 
 「注文の多い料理店やないかい!!」
 「注文の多い料理店ですよ!?」

 紳士は手にした散弾銃を彼女の鼻先へ突きつけました。
 「ひ、ひぃー……」
 哀れ猫耳少女はがたがたと震えて両手を上げます。
 「古典名作をそのまんまなぞって騙せるとでも思ってんのか! 現代日本人の教養舐めすぎだバカヤロウ!! おう何か言ってみろ猫娘!!!」
 「ご……ごめんにゃさい☆」
 緩く握った両手で猫のポーズを取るウェイトレス。
 がしゃこん、と散弾銃を再装填(リロード)する音が響きます。
 「猫鍋(直接的な意味で)」
 「申し訳ございませんでした」
 深々と下座(げざ)る猫娘。ぐぅ、とお腹の音が鳴りました。
 「なるほど、飯は無いわけね。それで馬鹿をまんまと騙して喰ってたわけか」
 銃の先でつんつんと頭を小突く紳士に、猫娘は頭を上げられません。
 「お、お許し下さいませー……」
 紳士は(今こいつ襲っても罪に問われないよね、人間じゃないし)と考えましたが、流石にそれをやるのは主人公としてどうか、と思い留まりました。
 「(おっぱいだけ揉んで)とっとと帰るか……」
 「え、いや、帰れませんよ?」
 「へ?」
 猫娘はちらちらと顔色を見ながら話します。
 「ここは山奥の中でもそうとうの山奥。一度踏み込んだらもう降りることはできません。じじつ、私達も里に行けないので罠を張っているのです」
 (私達、ってのはあそこで覗いてるロリ共か)
 先程猫娘が出てきた扉の隙間から、複数の顔がこわごわと様子を伺っている事に紳士は気付いていました。
 「……それにここらには、化け物染みた獣達がうろうろしております。お客様が銃を持っていても、その内に弾切れをおこして食べられてしまうことでしょう」
 言われてみれば、ここに入る前は確かに危うい気配はしました。
 それに、こんな人外がいるような辺境です。歩いて下山するのは、まず無理でしょう。
 「困ったな」
 あまり困ってなさそうな口ぶりで紳士は言いました。
 「つまりお客様が生き残れる確率は限りなくゼロに近いわけです」
 「そうなるな」
 全くそうは思ってなさそうな口調で紳士は言いました。
 「そこで提案と言うか哀願と言うか、そういうのが一つあるのですが」
 「何よ?」
 「……ここで大人しく料理され、食べられてはいただけないでしょうか」
 「逆に聞くけど、そう言われてうんいいよって答えると思う?」
 あはは、と猫娘は軽く笑って首を振ります。
 「まあ、そうですよね。でしたらもう一つ、お願いがあります。こちらはお客様にとって悪くない話かと」
 「何よ?」
 「私を殺して、ここに放置して下さい」
 あっけらかんと言う猫娘に、紳士はぎょっとしました。
 「……意味がよくわからん。どういうことだ?」
 「お腹が空いて死にそうなんですけど、自殺するのは怖いのですよ。一思いにやっちゃって下さい。
 私の身体でしたらお好きなように使って構いませんので。殺す前でも、殺した後でも。
 あ、でも食べたり持ち帰ったりはしないで下さいね。ご満足していただけたらそこら辺にでもほっぽっておいて下さい」
 平然と続ける猫娘の対応に困っていると、奥の扉がばたんと開いて小さな影がいくつも飛び込んできました。
 そしてそれは猫娘の周りを囲うように立ちます。
 「お……お姉ちゃんを殺さないで下さい!」
 四匹の中で一番大きい身体とは裏腹に、臆病さが表情に出ている次女。
 「大姉さん……殺しちゃ、だめ……」
 感情をあまり顔に出さない三女も、今回ばかりは必死な表情が見えます。
 「ラシャ姉! ダメだよ、そんな事言ったら! 私達なら大丈夫だよ!」
 既にぐずぐずと目を赤くし、震えた声で叫ぶ四女。
 「やーのー……」
 とてとてと長女に抱きつく、まだ物心がつくかつかないかの五女。
 「あんたら……ああもう、奥でじっとしてなさいって言ったのに……!」
 猫娘は一番小さい子をよしよしと抱き寄せながらも、呆れたような怒ったような呟きを吐きます。
 見れば彼女らは多少痩せてはいても、長女よりはずっと健康そうな顔色をしていました。
 きっと、自分の食べる分を妹達に分け与えていたのでしょう。
 そして今、食べるものがなにも無くなったから自分を分け与えようとしていたわけです。
 「どうか、大人しく食べられて下さい。さもないと……」
 足の震えを隠すように、次女は荒く息を吐きます。そして、懐からナイフを取り出しました。
 「もうお姉ちゃんに頼ってばっかりじゃいられない……私だって、お姉ちゃんなんだもの……!」
 「みんなでかかればきっと倒せるよ! ほらラシャ姉も、武器持って!」
 「うー……!」
 「そういうわけだから……悪いけど、ご飯になって……」
 姉妹はすっかり臨戦態勢。紳士を睨みつけて、手に持ったフライパンや包丁を握りしめます。
 「は!? ば、馬鹿言ってんじゃないのあんたたち! リューシャ! 言ったでしょ、ちゃんとみんなを見てなさいって!!」
 「嫌だよ……お姉ちゃん一人を犠牲にするくらいなら! 私だって……!」
 「死ぬ時は、みんな一緒……」
 「ラシャ姉が死んじゃったら、みんな生きていけないよぉ!」
 「よー!」
 「この……ばかちんどもが!!!」
 業を煮やした長女は、姉妹の頭に一発づつ拳骨を見舞いました。
 「あうっ」
 「ふぎゅっ」
 「いたぁい!」
 「あー!」
 頭を押さえてうずくまる妹達に背を向け、再び紳士へと向き直ります。
 「……うちの馬鹿妹達が失礼致しました。この子達はどうか勘弁してやって下さい」
 「お腹が空いてる……ってやつなのかな?」
 紳士はあくまで冷静に、そのやりとりを観察していました。
 「はい。空腹のあまりおかしくなっちゃってるみたいなので」
 「しょうがないにゃあ……いいよ」
 「申し訳ありません。感謝いたします」
 深々と頭を下げる長女。なおも頭を抱える妹達を抱えて奥に押し込みました。



 

 間。




 「……あの、えっと、じゃあ妹達は部屋に閉じ込めておいたので、いいですよ?」
 沈黙を破って、長女が身体を差し出そうとします。
 「いいですよ? は俺の台詞なんだけど」
 「……と言いますと?」
 いまいち要領をえない紳士に、長女が首を捻りました。
 「や、だから食べていいよ? って」
 「え!? は!? ええ!?」
 「しょうがないにゃあネタまで人に振らせておいてその反応はどうなんだ……」
 「お客様、一応確認しておきますが……食べると言うのは性的な意味とかそういうアレではありませんよ?
 食物連鎖的な意味での食べるですよ。食べられたら死にますよ? わかってます?」
 「今の会話の流れで本気で勘違いする馬鹿がいたらそいつはもう普通に食っていいと思うぞ。
 それに、別に性的な意味でもサービスしてくれるんだろ?」
 怪訝な目を向ける長女に、紳士は平然と返します。
 「そりゃまあ、そのくらいはさせていただきますが、って言うかいつもしてますが……」
 「あ、いつもしてるんだ……それと条件がもう一つ」
 そう指を立てる紳士の笑みは、とても邪悪で陰湿で下劣で卑猥なものでした。
 先程妹共を放り込んだ扉を開き、そこに転がる少女達を顎で指して一言。
 「そこのロリ共にもエロい事をしてもらおうか」
 もはや紳士とは呼べません。ワカメです。
 「え゛……いや、それはちょっと……」
 「何も全員ってわけじゃない。下二人は流石にペドが過ぎるが、上の二人はもう女と言って差し支えない躰じゃないかキミィ」
 世間一般的に見れば十分差し支えがあると思われますが、ここではそんな事は無関係でした。
 十代半ばくらいの次女と十代前半の前半くらいの三女。ワカメにとってはおやつです。
 「全員飢えて死ぬよりはよっぽどマシな選択肢だとは思いますけどー。はーやくしないとごはんが逃げちゃうぞー」
 最悪に下衆な声色で囁くワカメですが、長女は尚もそれを拒みます。
 「ですが……」
 「お姉ちゃん……私、やるよ……! もうお姉ちゃん一人に全部背負わせたりしない!」
 未だに痛む頭を擦りながら、次女が立ち上がって決意を表明しました。
 それに続いて、三女も両手で頭を抑えたままのそのそと立ち上がります。
 「私達、ずっと大姉さんに頼ってばかりだった……獲物を逃がさないためにえっちな事をするのも、全部任せっきり……ご飯だって、いつもほとんど食べない……」
 小声ながら、その瞳には決心の光が宿っていました。
 「リューシャ……トゥーシャ……」 
 「私も……私だって、できるもん!! お姉ちゃんにお腹いっぱい食べさせてあげるんだから!!」
 「らー!!」
 ぐずぐずと泣きながら、四女と五女も叫びます。
 「あんたたちまで……もう、そんなちんまい身体でできるわけないでしょ……ばかちんどもめ……」
 言葉では叱りながらも、長女は涙を流して歩み寄り、末っ子達を抱きかかえました。
 「ずっと子供だと思ってたのに、随分とまあ立派な事言ってくれちゃって……」
 「一件落着、だな」
 元はと言えば自分が外道な発言をしたのに、あたかも何か良いことをしたかのように振る舞うワカメでした。
 長女は涙を拭い、自分の顔をパンパンとはたいて気合を入れました。
 「よっし……じゃあ、根性見せなさいよリューシャ! トゥーシャ!」
 「う、うん!」
 「了解……」
 「アイシャとターシャは食卓の準備! 私に楽させたいならキビキビ動きなさい! できるよね!」
 「はーい!」
 「あーい!」
 「ではっ!!」
 くるっとターンしてワカメに向き直る長女。
 その表情には、不敵な笑みが浮かんでいました。
 「お待たせいたしましたお客様。我ら姉妹一同まごころを込め、じっくりと時間をかけて美味しく料理して差し上げますので――
 ――どうぞ服をお脱ぎ下さい」
 


 ・第一の扉 

 「さて、まずは下拵えですにゃ。最初は私、長女のラーシャが担当させていただきますにゃ」
 (その語尾はつけんといかんのか)
 「ちなみに次女はリューシャ、三女がトゥーシャ。四女がアイシャで、末っ子はターシャと申しますにゃ。短い間ですが、どうぞよろしくお願い致しますにゃ」
 (果たして短い間になるかね)
 自己紹介をしながら、ラーシャはワカメの脱いだ服を受け取ります。
 上着を渡し、下着に手をかけると、そこにはすでに隆々と勃起したペニスが荒々しくそそり立っていました。
 「まあ、お客様……! もう興奮してらっしゃるのですにゃ? とっても素敵なおちんぽですにゃ」
 お世辞と言った様子ではなく、心底うっとりとした顔で微笑むラーシャ。そのペニスを愛おしそうに手の平で優しく擦ります。
 「あぁ……おちんぽ……勃起したまま齧るとこりこりとした弾力がなんともたまりません……にゃ」
 それを聞いた途端、ビクンと大きくふるえるワカメ。
 「……ちんこは最後にしてくれ」
 流石に自分の部位で一番大事なものだけあって、ここを失う痛さと怖さは多大なものがあります。
 それでも陰茎の硬度を失わないあたり、筋金入りではありますが。
 「かしこまりましたにゃ。私もじっくりと味わいたいので、意識を失った後でいただくとしましょうにゃ」
 クスクスと笑いながらも了承するラーシャ。
 胸ポケットからピルケースを取り出し、一錠口に含みます。そして。
 「んっ……」
 「んむっ」
 口移しで、その薬を飲ませました。
 「何これ?」
 「即効性の媚薬ですにゃ。特別製なので、しばらくはおちんぽがお馬鹿になって硬いままですにゃ。ザーメンソースもたっぷり出ますよ、にゃ。
 食い千切られる痛みも相当やわらぎますにゃ。まあ、まだ食べませんけどね、にゃ」
 口元を手首で軽く拭って微笑むラーシャ。
 「……男が飲まされるパターンは初めて見た」
 そしてその手はワカメの大胸筋へと伸びます。
 「それにしてもお客様、中々いい体をしていらっしゃいますね……それに、この雄の臭い……にゃ」
 後ろから抱きしめるようにワカメの身体を両手で弄りながら、ラーシャは背中に顔を埋めます。
 「すぅ……はぁ……汗臭くて……とってもいいにおい……妹たちはみんな綺麗に洗って食べたがるのですが、私はちょっとくらい臭くて汚い方が好みなんです…………にゃ」
 「ケモノか」
 「ケモノですにゃ。失礼、お行儀悪いですがちょっとだけつまみ食いを……にゃ」
 そう言いながら、彼女は肩甲骨をしゃぶります。
 「うおぅ」
 ちゅぱちゅぱと吸われる感覚に鳥肌が立ちますが、ラーシャはお構いなしにワカメの身体を貪ります。
 たっぷりと汗を啜った後、そのまま舌を横に這わせて背筋を撫でます。
 荒い息遣いと共に生暖かい感触が伝わり、仄かな性感をもたらしました。
 「あまり舌はザラついてないんだな、猫なのに」
 「んっ……ぇろ……ぷはぁ。そこらへんはまあ、山猫ですからにゃ」
 ラーシャは身体の味を楽しみ続けます。
 背中を堪能したら肩に回り、そこから二の腕を伝って手の平、指先、手の甲、そして戻って反対側へと舌を進ませます。
 ただひたすらに体中を舐られ回されるワカメは、まるで全身が飴にでもなったような気分でした。
 舌が動くのに逐一反応するペニスが寂しいので、彼女の手を取って握らせます。
 ラーシャはあくまで優しく、それをしごき始めました。
 「ではそちらのベッドに横になって下さいにゃ。
 それとお客様、射精なさるときは仰って下さいにゃ。すぐに容器をお持ちいたしますにゃ。
 人間のザーメンは私達にとっては貴重な栄養であり、調味料でもありますにゃ。
 お口にでもおまんこにでも出して構いませんが、地面にこぼすことはなさらぬようお願い申し上げますにゃ」
 「うい……待て! ちょっと待て! ひょっとして、あのペド二人も精液飲むのか!?」
 「アイシャとターシャですかにゃ? アイシャは苦いの嫌いだから嫌がりますが、ターシャの方は小さいくせに好みが渋いから喜んで飲みますよ、にゃ」
 「マジか……そんな犯罪的なプレイが可能なのかッ……! いいと言うならどぴゅどぴゅ出すぞ。幼児の口にッ!」
 「はい、にゃ。私が危惧しているのはあくまで性器の結合による生殖行為をしないかどうかなので。私以外はみんな処女ですしにゃ。
 乱暴な事をしないのであれば、ターシャに絞らせても何の問題もありません。それは料理や食事の延長です…………あ、にゃ」
 なんてイカれた世界《クレイジーザワールド》に来てしまったんだ。そうと知られれば客なんて食いきれないくらい来るぞ。
 そうワカメが考えている間にも、ラーシャの舌は平行に移動します。首を伝って、顔へと伸びてきました。
 よく洗って乾かした飼い猫のような、芳しい香りがワカメの鼻をくすぐります。
 「れろ……お客様、よく見れば中々の美形でらっしゃいますにゃ。同じ種族だったら、今すぐつがいにならせていただいているところですにゃ」
 「悪いな。俺は未来の嫁がいるんだ」
 その言葉を聞いた瞬間、ラーシャの舌が引込みました。
 「……いいのですか? こんなところで私達のご飯になってしまって……」
 「いーのいーの。気にすんな」
 (死ぬ気無いしな)
 「よろしいのならば、私に止める気はありませんが……にゃ」
 ラーシャは味見を再開します。剃り残しのある顎をベロリと一なめして、ほっぺたにちゅっちゅと吸い付きます。
 口の中に舌を侵入させて中までしっかりと味わった後、鼻の穴や閉じた瞼、おでこにキスをして、耳をぱくんと咥えて耳掃除をし、味を吸い取りました。
 顔を味わった後は、足を持ち上げて指の間を舌で磨きます。丹念に、一本づつむしゃぶりながら、抱きしめるように抱えました。
 尚も手は、ペニスを愛撫したままです。
 「さて、ではそろそろ美味しい所をいただくとしましょうにゃ」
 「ちんこですねわかります」
 が。
 「腋……だと……!?」
 ラーシャの顔が向かったのはワカメの腋でした。
 「おちんぽは最後です。その前に、ここを堪能しないとにゃ」
 くんかくんかと、鼻先をワカメの腋毛に押し付けてその臭いを鼻から肺いっぱいにまで吸い込み始めます。
 「ああ~……このむせるような臭い、最高です……」
 「フェッチぃなぁこの猫……」
 そこまで汗びっしょりと言うわけではありませんでしたが、そこは獣の嗅覚。
 僅かな酸っぱい臭いを鼻孔から取り込み、恍惚の表情で一心不乱に顔を押し付けるその顔は、とても倒錯的で淫らな猫の表情をしていました。
 心なしか表情にも、生気が戻ったような……と言うか、顔色は明らかに回復しています。
 「ご飯さえ十分にあれば、お客様を食べるなど勿体無いことせずに、ペットとしてずーっと愛でて差し上げるのにぃ……」
 「どちらかと言うとペットはお前だろ」
 「どっちでもいいですよぉ、臭いさえ嗅がせてくだされば……あああ……生き返るぅ……」
 語尾を付けることさえ忘れて、ラーシャは幸福感に身を委ねます。
 「本当は丸一日この臭いに浸っていたいですが、妹達がお腹を空かせています。程々にしないと……ああ、名残惜しい……あ、ちょっと失礼します」
 一旦離れたラーシャははさみを持ってきて、ちょっきんと腋毛をカットし小瓶に詰めます。
 「そんなにか……!?」
 「そんなにです。……………あ、そんなにですにゃ」
 変態の中の変態であるワカメですら、長女の臭いフェチっぷりにちょっと引きました。
 ラーシャは小瓶を大切に保管しつつ、寝転がって続きを待つワカメに笑いかけます。
 「さて、お客様足を広げ下さいにゃ。お股をお掃除して差し上げますにゃ」
 やったぜ。と呟きつつ、ワカメは言われるままに足を開きます。
 「はい、足を自分の手で持って……そう、いい感じですにゃ」
 男なのにM字開脚、と言うかちんぐり返しの姿勢を強要され一方的に攻められると言う屈辱。
 など、いつもメイドとしてるプレイを思えばいい感じのスパイスでした。
 「じゃあ、恥ずかしい所をいただきますにゃ」
 「おおぅっ」
 真っ先にアナルに舌を這わすラーシャの玄人っぷりにワカメも舌を巻きます。
 「らめぇ、そんなところ汚いよぉ……」
 礼儀として言って置かなければいけないと思ったその台詞に、ラーシャは平然と答えます。
 「私はちょっとくらい臭くて汚い方が興奮しますにゃ」
 ベッドに座ってワカメの腰を抱きかかえ、空いた口で不浄の穴を貪るラーシャ。
 言うほど汚いと言うわけでもありませんでしたが、わずかな苦みと臭みは彼女の味覚と嗅覚を楽しませます。
 そしてアナルの中まで舌を入れ、直腸の味もしっかりと堪能します。
 その動きはワカメがいつも受けている奉仕より荒く、掃除はついでと言った様子の舌技でした。
 「浣腸もなしにいきなりアナルに侵入とは……かなりの上級者と見た……! ところで客が漏らしでもしたらどうするつもりなん? 俺はまだ大丈夫だけど」
 いくらなんでもうんこ食い出したりはしないよな、いやしかしこの畜生ならありえるぞ。
 などと失礼な事を考えながらも質問すると、ラーシャは舌を這わせながらもそれに答えました。
 「丁寧に処理いたしますよ、にゃ。妹達のおしめだって私が取り替えてきましたし、人間を解体する時なんかも目にしますにゃ。
 糞便如きでいちいち吐いてたら野生じゃ生きていけませんにゃ」
 さらっと恐ろしい事を言ったラーシャに、またもワカメのペニスはちょっと元気を失います。
 「そっか、人間を解体したりもしてるんだよな……本当に、別の種族なんだな」
 「あれ、怖くなりましたか、にゃ?」
 「いや、まあ生きるためだろうし仕方ないだろうけどな。人間の肉だけしか食わないの?」
 「別にそういうわけじゃないですにゃ。普通に雑食にゃんですが、この罠じゃ人間以外に引っかからないですからにゃ……勿論好きではありますけどにゃ。
 でも、昔食べた黒毛和牛の方が何倍も好きですね、にゃ。いつか妹達にも食べさせてあげたいですが、無理でしょうね、にゃ……」
 少しだけ悲しげに言うラーシャ。
 「もしも姉妹全員に腹一杯黒毛和牛ステーキを食べさせてくれる人間がいたらどうする?」
 「犬のように尻尾を振って一生ペットとして服従しますにゃ」
 「野良のプライドは?」
 「そんなもん五人分まとめて可燃ゴミに出してやりますにゃ」
 ラーシャは即答しました。
 いい感じのフラグを手に入れたワカメは、そうだな、と適当な返事をして再び性感に身を任せます。
 肛門から舌を抜き、睾丸との間を丁寧になぞってから、ついに彼女は陰茎にかぶりつきます。
 「じゅぷっ、じゅるっ……おちんぽも汗ばんでいて、中々いい感じですね……にゃ」
 「ぬぅっ……」
 すっかり焦らされた後での陰茎への口淫。
 とっくに発射準備を完了していたワカメはラーシャの頭を掴みました。
 「にゃ」
 「もう限界だ! 人間様の一番搾りたっぷり出すぞ! 飲めケダモノめ!!」
 どくん、どぷっ、どくん、びゅるるっ……。
 明らかにいつもより大量に出た精液が、ラーシャの口を満たします。
 「ふぐっ、んんっ…………」
 一瞬容器に貯めこむか躊躇しましたが、飲めと言われたのでそれに従うことにしました。
 媚薬の効果により、まだまだ沢山搾り取れます。久方ぶりの人間の精液を一気飲みし、ラーシャはくぅぅ~……っと唸って、
 「ぷはぁっ……!!」
 酒でも飲み干したかのように、気持ちよさそうに息を吐き出しました。
 そしてぶるりと大きく身体を震わせて言います。
 「おっいしい……やっぱり人間の精液は最っ高……ですにゃ。
 あー、この家にもザーメンを好きな時に出してくれる人間を常備したいですにゃぁ……」
 (俺と発想が似てるな……)
 「そう言えば、人間の女はあまり好みじゃないのか?」
 ワカメはふと、気になった事を訪ねてみました。 
 男の汗の臭いや精液を好む猫娘。やはり他種族とはいえ、異性の方が好きなのは当然なのかもしれない。そう思ったからです。
 「いや、女の人は肉が柔らかくて美味しいからそれはそれで好きですよ、にゃ」
 「あ、そうなんだ」
 「前に一回、うちのリューシャとトゥーシャの間くらいの女の子が迷い込んで来た時には流石にちょっと悪い気はしましたにゃ。
 しかしここはいつも食糧難。可哀想だから逃してあげられる余裕はありませんにゃ。せめて気持ちよくしてあげようと、気合入れたもんですにゃ……
 最初は泣き叫んで、暴れ回って……まあ、当然の反応ですにゃ。抵抗したのを姉妹総出で取り押さえてベッドに拘束しましたにゃ。
 『嫌! やだ! 食べないで! お母さん!』と喚く少女を黙らせるのには骨が折れましたし、精神的にも堪えましたにゃ。
 ですが、料理していくうちに、その声は次第に嬌声へと変わっていきましたにゃ。
 クリームを全身にたっぷり塗ると女の子は身を捩らせて荒い息を吐き、身体の中……まあ、要するにおまんことお尻の中なんですけどにゃ。
 まで、たっぷりと特製の器具で注入してあげると、もうすっかり精神も身体もトロトロになって、
 『あああっ……お姉様、痛くしないで下さいまし……』から、『はぁ、はぁ……どうか、私を食べて下さい……』ってなるくらいに溶けてしまいましたにゃ。
 最後はみんなで敏感な所を舐めまわして、何度も絶頂に導きましたにゃ。
 その内に快感のあまり気をやってしまったので、心臓を包丁で刺して仕留めましたにゃ。扱いは慣れているので、痛みは感じなかったでしょうにゃ。
 その後はみんなで美味しく頂かせてもらいましたにゃ。残さず全部食べる事が、せめてもの供養ですにゃ。

 ……お客様?」
 ついつい話し込んでしまい、気分を悪くされたかとラーシャは心配しましたが、当のワカメは精液入れの容器を手に取り凄い勢いで手淫をしていました。
 どっぷ、どぷん。
 媚薬の効果は凄まじく、先程あれだけ出したのにまだ大量の精液が噴出して容器に溜まりました。
 もっとも、ワカメの性欲が異常であるというのが大きいのはラーシャが知るよしもありませんでしたが。
 「えっっっっっっろ!!! 何その話!? くっそエロいな!! 細かく描写すれば官能小説一本書けるくらいエロいな!!! はい精液」
 「今のは人間から聞いたらむしろ猟奇的な話なのではと思ったんですけどにゃ……ありがとうございますにゃ。
 さて、お客様。料理方法のリクエストは何かございますかにゃ?」
 「一番エロいコースで頼む。踊り食いとか」
 「……それは構いませんが、媚薬である程度は快感へ変わるとは言え、当然痛いものは痛いですにゃ。
 やはり意識があるまま食べられるのはあまりオススメしませんにゃ。
 こちらとしては踊り食いみたいなのは怖がる人が多いからやりにくいので、助かりますけどにゃ」
 「大丈夫大丈夫。とにかく一番エロエロのドロドロでグチャグチャのデロンデロンに食ってくれ。具体的に言うと、
 『ああっ! 猫耳ロリ姉妹に手足を噛み千切られてる! 痛い! でもちんこ立っちゃう! そしてそのちんこは下のお口で丹念にしゃぶられ尽くされてる!
 だめぇ! ダメなのぉ! 痛くて気持ちよくて頭がくるくるぱーになっちゃうのぉ! 猫耳美少女姉妹のごはんになって栄養として吸収されちゃうのぉ!』コースで」
 「そんなコースはありませんにゃ。でも、かしこまりましたにゃ」