蟻竜についての手記(中編)


 2177.11.3

「ドワイト、どう思う」
「どうも胡散臭いな」

 男二人で漂流してから早一週間。
 食料に続き水も尽きるという頃に、ようやく生体反応をキャッチした脱出艇が一つの惑星に舵を切った。
 惑星名は不明。もちろん、現住生物もだ。
 航路からは大分離れてしまった。救難信号をキャッチするまで、早くても一月はかかるだろう。
 その間、未踏の惑星でサバイバルをしないといけない、はずだったのだが――
「ようこそおいでなさった客人よ。大したもてなしはできないが、くつろいでいかれるといい」
 少なくとも見た目だけならホモサピエンスに酷似した、それなりの文明を持つ生物に。丁重にもてなされることになるとは予想していなかった。
 私とウィルは翻訳機を切って話す。

「俺もそう思った。未開の地の蛮種だ。俺達を太らせて食う気かもしれない」
「非効率だろう、それは。だが、とても信頼できるとは思わないな。もっともここで一月は暮らすことになるから、おとなしくしている他無いが」
「餓死よりは食われて死ぬ方がいくらかマシだしな」

 私達は彼女……この生態コロニーの女王候補であるリミガニの好意か悪意か、【まあ好意だろう】それの世話になることにした。
 【結果から言うと、この星から無事に脱出できたのは私だけとなった】





蟻竜アンドラッケンについての手記
ドワイト・ジェームズ記






 この惑星は、銀河航路の中でもかなりの辺境の、開発が不十分な範囲のさらに外に位置しているようだ。
 気候は寒冷。先住種族のほとんどは地下に洞窟を掘り、広い居住区同士を通路で繋いでいる。巨大な蟻の巣に近い造りだ。
 先住種族の中で一番幅を効かせているのは、私達を案内してくれた知的生命体。
 トカゲのような細長い尻尾があるのと、腕に鱗のような模様があるのを除けば地球の社会に容易に溶け込めるであろう(そもそも地球は今非人類が人口の二割を占めているが)。
 【このときは衣類を着ているからわからなかったが、彼女らの生殖器は人間とは大きくかけ離れていた。これについては後に記述がある】
 先ほどそれなりの文明と記載したが、本当にそれなりレベルだ。正直に述べるなら、石器時代に毛が生えたような代物だった。
 土の中に住んでいるから仕方ないとも言えるが、基本的に生活用品は石か焼いた土。衣服は麻布のようなものか、良くて毛皮で出来ている。
 機械の類、ましてや電気エレキトリックのEの字も存在しない。私達の格好を、先住民達は珍しそうにしげしと眺めていた。
「口に合うかはわからないが、遠慮せず食べてくれ」
 リミガニが用意させてくれた料理はオーガニックな……平たく言えばかなり原始的なものだったが、私達は文句一つ言わずにそれを頬張った。
 ネズミの煮物もカエルの干物もクモのフライも、腐れ縁の同僚を殺して食うよりははるかに文明的だ。
 
 内心で彼ら彼女らを野蛮人だと見下している私達から見ても、リミガニは美しい姿をしていた。
 やや緑がかった長い黒髪からは少なくとも体を清潔に保っている証拠の艶を持っていたし、体臭には女王候補特有らしい、雄を虜にするようなフェロモンが溢れて異種族の私にも情欲を感じさせた。
 尾はしなやかに伸びていて美しい曲線を描いていた。腕の鱗は蝋燭の火で妖しく煌めき、角度によって七色に光るのだ。
「何より良い身体をしている」
 翻訳機を切ってウィルがつぶやく。
 それには同意だ。私は古代エジプト人の様な服を着た彼女の輪郭を舐めるように眺め、首肯した。

「私が生まれる前ずっと前から、宇宙を船が飛び回り、人が行き来しているのは知っていた。だが我々はコンタクトを自ら取ろうとはしていなかった。なぜだかわかるか?」
 食事を終えた私達にリミガニが尋ねる。
 ウィルが答えた。
「技術が発達していないから交渉材料が無いって言うんだろう?」
 お前達は発展途上星だからな、と言う意味合いの発言に、私は少しひやっとした。迂闊ではないだろうか。
 幸運にもリミガニは怒り出したりはしなかった。それもあるが、と神妙な顔で言う。
「野蛮なのだ、私達の種族は」
「はぁ」
 この頃には、私達のリミガニ達に対する印象は軟化していた。
 少なくとも彼女は【表面的には】理知的だし、我々よそ者相手の世話もしてくれた。もちろん、『表面的には』と未だ訝しんでる所は否めないが。
 そもそもの話、蛮族が自らを野蛮と言うだろうか。
「私達は、外来者に対しては寛容にならざるを得ない。技術力で大いに劣るから、他星からの漂流者を容易に殺したりしては報復により自分達が滅亡しかねないのだ。だが、種族には【抗えない】習性と言うものがある」
 リミガニは濃緑色の液体【私達も出されたが、どうやら洞窟内に生える苔を煮詰めたものらしい】をくいと飲んで続けた。
「同族に対して、異常に苛烈らしい。前に来た外来者は、迎えが来るまでずっと震えていたそうだ」



 通された部屋のベッドは木のフレームに毛皮の布団が敷かれているだけの身体が痛くなりそうなものであったが、寝床があるだけマシであった。
 次に目が覚めた時には鍋の中では無いことを祈りつつ、私は瞼を閉じた。





 2177.11.4

 
 

 どれほど眠っていたのかはわからない。
 突然叩き起こされた私は強い力で引っ張られ、と言うより引きずられて昨日のダイニングに放り出された。
 そこには既に落ち着かない顔でウィルが座っていた。座らせられていたと言うべきか。
 私が状況を把握するより早く、私を引っ張っていた相手が口を開いた。
「ふーん、あんた達がねぇ」
 リミガニではなかった。
 彼女より頭一つ分低い身長。人間で言うと、年齢も三、四歳ほど差があるように見える。
 美人と言うよりは、美少女であった。きつそうな目つきをしているもののその顔立ちは整っていて、瞳は爛々と【野望に】輝いていた。
 先ほど私を片手で持ち上げていたのを見るに、膂力は相当強いはずだ。が、筋肉はそれを感じさせないほどについておらず、半袖の服から飛び出した腕の細さに驚く。
 個人差があるのか、彼女の腕には鱗は生えていなかった【恐らく、女王の血を引いていないせいだろう】。
 その代わり細く長い尻尾の他に、口元からは鋭い牙が覗いている。
「えっと……?」
「あたしはハヤナナ。女王候補の一人よ」
「女王候補? リミガニと同じか」
 そう言ったウィルの右頬から、一筋の血が流れる。

「すごい、不快だから……あのメスと一緒にしないで」
 
 ウィルの背後にあった背もたれ代わりの岩。に、彼女の抜手が深々と突き刺さっていた。
 【彼女は感情的になると爬虫類のように目を細める。それは瞬間的に身の毛が逆立つほと恐ろしいが、じっと見つめられると何故だか恐怖の中に性的な高揚感を感じていた】
「……失礼しました」
 冷や汗を流す、ウィルと私。自然と腰も低くなる。
「えっと、なんの用でしょうか」
 それなんだけど、と彼女は何事も無かったかのように言って、通路をちらと見る。
 私達二人とハヤナナ以外に、誰もいないし気配もなかった。皆寝静まっているようだ。
「あんた達から見て、あたし達の種族のメスってどう?」
「どう、と言いますと?」
 リミガニとは違い、どこに彼女の逆鱗があるか全くわからない。
 私は相手に話を広げてもらうように聞き返した。
「ファックしたいかって聞いてるの。正直に答えなさい」
 ウィルと顔を合わせる。
 翻訳機を切って相談しようとも考えたが、彼女が不快に思いかねないので言われたとおり正直に答える。
「……はい、まあ、魅力的ではあります」
 リミガニは勿論、ハヤナナもやや幼いながらも抱けるなら今すぐにでも抱きたい麗人【人ではないが】だ。
 身分が低いであろう【いわゆる働きアリだ】女性達も、平均値はかなり高かった。
 星間連盟に登録していない星の種族と交わるのは主に免疫的な理由で禁止されているが、実際にはやることはやっているケースは多い。
 それに、明らかに種がかけ離れているならともかく、ある程度の近似種なら大した問題は起こらないだろう……と言うのが大多数の見解だ。
「そう、それは良かった。じゃああんた達にもメリットがある交渉よ」
「交渉、ですか」
 ハヤナナは上機嫌で頷いた。
「ええ。あたしが女王になるのに、手を貸して欲しいの」

 ウィルと再度、顔を見合わせる。
 ……これは、本来あまり……いや、かなり、とても、断じて、よそ者が関わるべきではないような話のような。そんな気がしてならなかった。
 うろたえる私達。そんなことに構う彼女ではない。

「もうすぐ、女王の選抜が行われるの。そこであの清楚ぶった高慢ちき女をぶちのめして、あたしが女王になる。
 そうしたら、あんた達が元の星に帰るまでの期間は権力あたしの傘を着てファックし放題。どう? 悪い話じゃないでしょ?」
 ごくり、と唾を飲む音が聞こえた。
 きっとウィルも聞こえていたことだろう。
 ここ数ヶ月、女性に触るどころかまともな女性の形をしているものなどポルノディスクくらいでしか見ていなかったのだ。
「勿論、望むならあたしともファックさせてあげるわ。……あのメスは、そうね……まあ、したいんならさせてあげる。ちょっと虐めた後で、だけど」
 そう言いながら彼女はウィルの顔に口を近づけて先ほどの傷口を舐め取った。
 じゅ、じゅるっ。ずぞ、ぞぞぞぞっ――
 鈍く光る粘膜を帯びた先が細い舌が、ウィルの血を啜る。
 私は、そして恐らくウィルも。激しく股間を憤らせていた。
「う、んん、あ、おいし……あ、それと――」
 赤い液体を口の中で転がし、私達に見せつける。
 飲み込んで、頬を上気させて。
 極めつけに、爬虫類のように目を細めて、彼女は笑った。

「ここまで話を聞いた以上、あんた達にある選択肢は二つ。
 あたしの計画に乗って快適なリゾートを過ごすか……
 ここであたしをレイプしようとした犯人に仕立てあげられ、この中でもっと長い休暇を得るか」
 彼女は自らの裾をまくりあげ、舌なめずりしながら臍のない腹を摩った。
「あたしね、大食いには自信あるの」
 
【何よりも恐ろしいのは、その提案と言う名の脅迫……そのものではなかった】
【彼女の細い目が、背筋が凍るような眼差しが、ひどく蠱惑的だったのだ。選択肢が本当に二つなのだと思ってしまうほどに】
【事実――ウィルは、魅入られてしまった】






 2177.11.5
 



 リミガニの言っていた通りだった。
 この種族……『蟻竜』と前の漂流者に呼ばれていた彼女らは、はっきり言って野蛮だ。
 性別差によるカースト制度が成立している……のはまだいいとして、その格差が凄まじい。

・女王(空位)
・女王候補(1~2人)
・女王付、女王候補付
・一般メス
・オス
・奴隷

 上の者が下の者を戯れに殺めても、問題にすらならない。女王、女王候補とその他の階級に差があるのはもちろん、所謂下民の一般メスが女王のお気に入りでないオスを殺すことも大して珍しくないと言う。
 恐ろしいまでの男卑女尊社会だ。
【私達はこれを聞いた時肝が冷えたが、これまたリミガニの言っていた通り外来者に対しては寛容とのこと。暴君にしか見えないハヤナナとて脅迫しながらもこちらにメリットを与えるくらいだ】
 そしてその下には、女王の命により『彼女以外に殺すことすら許されない』奴隷階級が形だけ存在する。よほどの事をしない限り、ここに入れられる者は少ない。
 
「大事なお客にクモやネズミを食べさせるなんてどういう神経しているのかしら、あのメスは。肉ならその辺にあるじゃない」
 三日目の朝、またしてもハヤナナはリミガニより早く私達を起こして朝食を摂らせる。問題は、その朝食のメニューだった。
 自身の後ろに控えていた女王候補付の女性を片手でくびり殺し、服を剥ぎ取って私とウィルの前の食卓にでんと置いたのだ。この間僅か、三秒。
 私もウィルも、突然の出来事に驚きを隠せなかった。
「ん、何? まさかオスのくせにオスが良かったなんて言わないわよね? まぁあたしはどっちも食べるけど」
 さも当然と言ったように同族を殺すハヤナナ。そしてそれを見ながらも顔色一つ変えない蟻竜達に、私は内心で震え上がった。
 ハヤナナはと言えば、とても綺麗な全裸の死体……彼女にとっては食糧に過ぎないそれの向きを変え、股をこちらに向けると骨のフォークを両手に持って陰部を開いて見せた。
【その時は状況が状況だけにあまり気にしていなかったが、候補付の陰核、つまりクリトリスはかなり巨大だった。私の人差し指ぐらいあった、と言えばいかに大きいかわかるだろう】
「ほらほら、あたし用に結構いいもの食べさせてたから身も詰まってて美味しいわよ。このまんこなんて、穿るか囓るか迷うくらいだわ」
 膣液がねとっと奥から溢れるそれは、果たして本当に食べ物なのだろうか。感覚が、麻痺していく。
「お、俺はクモやネズミの方が好きだな。あ、ああいうのも、その、食べてみたらなかなか美味かったし……」
【この頃はまだ】まともな感性を持っているウィルは慌ててそれを拒んだ。私も、首を縦に振って同意する。
「ふぅん? まぁいいけど。じゃ、あたしが頂こうかな……ん、どうしよ。まんこ見てたら犯したくなってきちゃった……ねぇあんた達、客人の前で行儀悪いかもしれないんだけどさ、ファック始めてもいい?」
 彼女は死体を片手で持ち上げ、対面の卓に雑に置き、その前に座った。
「あ? え? あ、うん?」
 発言の意味を完全に理解せずに、ウィルは答えた。
 私も、彼女の言った意味がよくわからなかった。ファック? 何と? いやそもそも、ファックって何だ?
「そう、良かった。じゃお先にいただくわ。そこのお前、二人にご飯用意しといて」
 微笑んだ彼女の目が、またしても細くなったのが見えた。名前も覚えていないらしい候補付に、私達の朝食を改めて作らせながらも服を脱ぎ始めた。 
【その後の光景は、今でもしっかりと覚えている】
 
 一糸纏わぬ姿になった彼女の股間から、そそり立つものが生えていた。
 その陰核は、長さは15cmほど、太さは彼女の手首ほどもあった。先端は膨らんでおり、それはもはやほとんど男性器であった。
【後で知った事だが、蟻竜の生態はハイエナとの共通点がいくつか見られる】
【リーダーを中心とした徹底的なメス社会、肥大しオスのペニスより立派なクリトリスで他のメスやオスを性処理に使う有力者、共食いの有無】
【流石に、リーダーの捕食行為に一切の抵抗をしない点は相違していたが】
 先端から汁をぽたりぽたりと床に垂れ流しつつ、息をしていない『朝食』に覆い被さった。
 そして、腰を押し進める。
「んはっ……!」
 ぬぷずず、と肉と肉が粘液を絡ませながら擦れる音が確かに聞こえた。
 ハヤナナは恍惚の表情で、物言わぬ朝食に向けて腰を振っている。
「ふわぁ……っ、この、ぷりっぷりの肉厚まんこ、最高だわっ……! やっぱり肉は、ちゃんと管理したものに限るわね……!」
 朝食の腕が、脚が、首が、一突きごとに、だらんと力なく揺れる。
 頑丈なつくりのテーブルが、二人分の体重でぎしぎしと軋む。
 ハヤナナは荒く息を吐きながら、前後運動を一旦中止した。
「こっちの、肉も……」
 そう言いながら、朝食の肩口にがじゅりと噛み付く。顎の力を、強める。
 そして、食い千切ると同時に再び激しくピストンを再開した。
「んんんんんん~っ!! これ、本当、美味しいっ……!」
 赤く染まった口元を歪めて、ハヤナナは体勢を……と言うより体位を変えた。
 食卓から朝食を下ろし、こちらにそれの腹を向けるようにして抱きかかえる。ぶらんと揺れる首には、眠ったように安らかな女性の死に顔が張り付いていた。
 朝食の陰にハヤナナが隠れてこちらからは見えない形になったが。
 ――ぱん、ぐちゅっ、ぱん、ねちゃっ、ざぐっ、ぞるっ、ぱん、ぱん――
 肉を叩きつける音の中に咀嚼の音が紛れているのははっきりと聞き取れた。
【私はこの時激しく勃起していた】
【ウィルに至っては半ば無意識に手淫を始めていたらしい】
 朝食が運ばれてきたらしいが、私達はそれに気付くこともなかった。
「あ、ああ、もうダメ、我慢できないっ……! 汁、女王汁をたっぷり注いであげるわっ……!」
 ハヤナナと朝食の結合部から、どぷんと白濁色の液体が溢れる。
【この液体はメスの分泌液であり、精液ではない】
【だが、女王はオスの精液を膣から取り込み、自分の遺伝子としてそれを変換、放出することができる】
【メスを孕ませるのは女王の役目であり、オスはそれの材料提供に過ぎない】
【勝手にメスを孕ませたオスは――力関係もあり希なケースだが――奴隷階級に落ちる事は間違いないという】
 私達は彼女が同族を捕食しながら犯す、その恐ろしい【そしてとても美しい】光景を、あっけに取られたかのようにただ眺めていた。



「ハヤナナッ!」
 彼女が三度目の射精を終え、朝食の骨が見え始めて来た頃に飛び込んできたのはリミガニだった。
 大声で自分の名前を呼ばれたハヤナナは、露骨に機嫌を損ねていた。
「……あら、何の用かしら」
 部屋の内部で起こっている光景を見て、リミガニも一層険しい顔へと変わる。
「何の用かではないだろうっ……! 客人の前で同族殺し、更には共食い、果てに死姦など……我々の品位をどこまで損ねるつもりだ!!」
 ずかずかと私達の前に歩み寄り、無理矢理手を引っ張って立たせるリミガニ【このあたりは彼女も蟻竜だ】。
「お二方、早くこちらへ。こんな所、目に毒だ」
 未だ現実感の無い我々は彼女に引っ張られて部屋から退場していく。
「…………」
 ハヤナナは何も言わなかった。
 その細い瞳で、リミガニの後ろ姿をじっと見つめているだけだった。



「申し訳ない、お二方。みっともない……いや、あなた方にとってはおぞましい所を見せてしまったかな」
 呆れと怒りと羞恥にリミガニは目を伏せる。
 彼女の自室に連れられた私達は、落ち着くようにと暖かい飲み物【苔だ】を出されていた。
 なんと答えたものかと迷う私達に、続ける彼女。
「あれが、私達の種族の本性、いや本能だ。自分より下の者を戯れに犯し、喰らい、殺す。口が裂けても文明的とは言えまい……私は自分の種族を、恥ずべきものと思っている。私が変えなくてはならないのだ。女王となってこの社会を作り直し、宇宙に出ても恥にならないような、理性的な種にしたいのだ」
 そう言うリミガニの口調には、ネガティブな色はあっても諦観の感情はない。
「特にハヤナナは歴代の中でも相当残虐な性格をしている。彼女だけは女王にしてはいけない。もしそうなれば……我々の宇宙進出は、一千年は遅れるだろうな」
 感情のままに動く、猟奇的な性格をした少女。彼女が全権を握りでもしたら、この惑星の未来は暗然たるものになるであろう【その時はそう思っていた】。
「あれとは長い付き合いだが、彼女はどうしてあそこまで歪んでしまったのか……【完全にこいつのせいだ】前の女王は比較的穏便なこともあって、安穏と過ごせていたのに。
 まあ、それも明後日限りだ。二日後に私が彼女を下せば、彼女も一介のメスに過ぎん。まぁ、あれは見た目だけは良いからな……ほどほどに可愛がってやるさ」
 そう言いながら彼女は【服の上から勃起した陰核を摩りながら】嗜虐的に笑った。
 と、どう返事をすればわからない私達の目に気付いて頬を染め、恥ずかしそうに弁解を始める。
「し、失礼した。客人の前で、下品だったな……うう、こういう所が嫌なのだ、私の種族は……」
 ああ、もう……と俯く彼女は、普段の凜とした表情とのギャップでとても愛らしく思えた。



 夜。
 私とウィルは周りに誰もいないのを確認して、翻訳機を切った。
「どうする、ドワイト」
「どうしたものかな……」
 蟻竜社会が発展するためには、リミガニを女王とした方が適切なのは言うまでもないだろう。
 しかし私達はハヤナナに脅迫されている身。どちらの味方をした方が利口かは、歴然だった。
 ……リミガニだ。
「ハヤナナに脅迫されている事を密告すれば、彼女に保護してもらえるだろう。ハヤナナが私達の力を当てにするあたり、力はリミガニの方が上だ。彼女が女王になれば、ハヤナナに怯える心配はない」
 ハヤナナとてその可能性くらいは考えているだろう。それでも賭けなくてはいけないほど、まともにやれば敗色は濃厚のようだ。
 だがウィルは言った。
「ドワイト」
「なんだ」
「俺はハヤナナに付きたいと思っている」
 私は驚いて聞き返した。
「正気か、ウィル? ハヤナナが約束を守るって言う保証だってないんだぞ?」
「かもな。だがもう決めた。ありゃ、俺には刺激的すぎた」
 先ほどの光景を思い返す。確かに、価値観が変わってもおかしくないほどの出来事だった。
「俺はハヤナナの暴虐がもっと見たい。それで巻き込まれても構わない」
 ウィルは股間を大きくしていた。焦燥に近い表情で彼は言った。
「蟻竜は、野蛮であるべきなんだよ」
 そして立ち上がり、寝室から出て行ってしまった。
【ウィルが向かったのはハヤナナの部屋だった】
【私より一足早く彼女の肢体を堪能し、完全に彼女の虜となったようだ】
 そういうわけで、私もなし崩し的にハヤナナ陣営となることが決定した。





 2177.11.6
 




 明日に控える女王選抜の準備を進めているリミガニに内緒で、ハヤナナに女をあてがってもらった。
 人間の男の平均サイズよりはやや小さいが、9cm程の陰核を携えた美女だった。
 【蟻竜のオスのペニスのサイズは平均で5cm前後らしい】
 もう後戻りできない事を噛みしめつつ、私も服を脱いだ。
 人間の男としては平均的なサイズであったが、彼女達にとっては女王候補に次ぐ代物らしい。
 私は彼女と激しく交わった。
 ペニスの様な陰核はとても敏感で、ちょっと摩るだけで彼女は面白いくらいに感じ、愛液を滴らせる。
 腹筋が強いのか、膣の中はとても締まりがよく、性交を飽きさせない。端的に言ってしまえば、名器だった。
「気に入ったら一人二人持って帰ってもいいわよ。あんたの好きにしなさい」
 そう言う彼女は、ウィルとの交わりになかなかの満足感を得たようだった。当然、ウィルの方も。
【私は彼女の好意に甘えて、蟻竜のメスを一人連れ帰った】
【彼女は従順で、気立ても良く、勿論性欲も強く、今ではすっかり嫁のように扱っている】
「そういうわけだから……明日は頼んだわよ。ウィル、ドワイト」
 私達の名前を呼ぶ彼女は、やや不安気だった。
 我々の裏切りを疑っているのか、それとも味方につけてなお勝てるかどうか考えているのか。
「あたしは、あのメスの奴隷になるなんて……絶対に、嫌。死んだ方がマシだわ。あんな、理知的ぶりながら内心では虐げる対象を値踏みしているような奴に……」
 リミガニとて、蟻竜の本能を持っている。完全に押さえつけることはきっと不可能だろう。何か『はけ口』を必要とするはずだ。
 ハヤナナの身体は、僅かに震えていた。
 私は内心ではまだ迷いがあった。が……
「大丈夫だ、ハヤナナ。俺が絶対に、お前、いや、貴女を……女王にしてみせます」
 跪いて彼女の手を握るウィルの目には、もうビジョンは見えていた。
 乗りかかった船だ。私もそれに頷いた。
 





 2177.11.7





【察しの通り、女王候補になるか否かは陰核の大きさで決まる。女王になるには、最低でも13cmは必要だ】
【その中で同じサイズの持ち主が二人以上存在するときは、決闘によって文字通り雌雄を決するのが掟となっている】
 女王を決める決闘のルールは単純である。
 闘技場を模したスペースの中で戦って、相手を屈服させた【または殺した】者が勝ち。それだけだ。
【彼女らの生態として、勝利した女王の陰核は近いうちに、早ければその日の内に一回り巨大化する。相手を下したと言う心境が、身体に表れるのだろう】
【敗北した女王候補の陰核は、逆に敗北のショックで縮む。場合によっては、一般的なオスよりも小さくなることもあるという】

 彼女らの戦闘描写は、表記すると長くなるので省略する。
 起こったことを要点だけ纏めてここに記載することにした。
 【興味がある人は別にレポートがあるのでそちらを参照して欲しい】

・勝負は予想通り、リミガニが優勢であった。腕力も瞬発力も、彼女は優れていた。
・劣勢の中でどうにかハヤナナが関節技を極めるも、腕力に物を言わせてリミガニが地面に叩き付ける。
・動きの止まったハヤナナを、リミガニは尻尾で打ち付けながら【『抵抗するなハヤナナ、前みたいに可愛がってやる』と】微笑んだ。
・うずくまったハヤナナにリミガニがのしかかり、取り出した陰核をびんと激しく隆起させて陵辱を開始する。
・背筋を震わせ、舌を出して陰核でハヤナナの膣穴を勢いよく抉り続けるリミガニ。その表情は、蟻竜の本性を剥き出しにしたとても原始的なものだった。
【本来ならほとんど勝負はついたようなものだが、ハヤナナの心は屈服していなかった】
【それを知りながら、いや知っているからこそリミガニは決闘中だと言うことを盾に彼女を激しく犯す】
【長い舌でハヤナナの背筋をなぞり、腋から手を回して彼女の乳首をいたぶり、生意気にも自分と同じくらい長い陰核を責め立てる】
【『お前は私のものなのだから』とでも言いたげに、涙を流して堪えるハヤナナを、皆の前で辱めるのだった】
・大勢が決まり蟻竜の群れが歓声を上げる。それらに応えるように、リミガニはハヤナナが屈辱的に映るように体位を変えようとした。
・まさにその時、脱出艇から時間設定でセットしておいた救難信号のアラームがウィルの持つ翻訳機から大音量で鳴った。
・皆がこちらを向く中で私とウィルは向かい合って大喜びする。唯一それに気を取られなかったのは、それが起こることを知っていたハヤナナただ一人。
【私達が決闘を妨害した罪に問われることはない。女王候補以外にルールの決めようがない勝負において、アクシデントに気を取られた方が悪いのだ】
・彼女は、むき出しになっていたリミガニの陰核を一瞬で噛み千切った。
・先程の大音量を上回る悲痛な叫びに皆が振り返るより早く、ハヤナナはリミガニの女王候補の証を奥歯で噛み潰し、飲み込み、ぞっとするような表情で「おいし」とだけ言った。
・勝負はここで実質決まっていた。だが、それで止まるハヤナナではない。苦悶の呻きを上げるリミガニの顔面を力の限りぶん殴って転がし、人間だったら内蔵が破裂するようなボディブローを腹部に三発ほど打ち込んで黙らせる。
・そして痙攣するリミガニに跨がって、ハヤナナはゆっくりと自らの陰核を取り出し、既にこの間より大きくなっているようなそれをリミガニに突き刺した。
・それをどれほど待ち望んでいたのか、彼女の奥に一回突き刺しただけでハヤナナは絶頂に身を震わせ、勝者の証をたっぷりと注ぎ込んだ。

 そうして、女王はハヤナナに決まった。
 蟻竜はアクシデントの事など忘れて、新女王の決定に沸き立つ。
 興奮し、野生がむき出しになった蟻竜のメス達は熱狂のあまり服を脱ぎ、陰核をそそり立たせて近くの個体に覆い被さる。
 メスを襲ったメスとオスを襲ったメスはいたが、メスを襲ったオスはいなかった。
 強いて言うなら、私とウィルは彼女らよりも大きいものを持っているため複数のメスが交尾をせがむように寄ってきた。
 近くで激しく交わり合っていたメスのつがいの『攻め』にウィルはペニスを挿入した。一突きごとに、二人のメスが喘ぐ様はとても淫靡だった。
 私は寄ってきたメス達を並べて、順番に愉しむことにした。陰核をひくひく歪動させて棒を待つ穴々に、ペニスと言わず指と言わず次々に突き入れてやった。
 仰向けになった一人にペニスを突き立てつつ、別のメスと口付けを交わし、両手で近くのメス達をたっぷり弄くり回した。
 遠慮するメスに私のアヌスを舐めさせ、陰核を挿入させて密着させる。背徳的だが、背中に柔らかい感触と肛門内の固くも滑らかな感触が中々癖になる。


「そのままでいい、聞きなさい!」
 乱交場と化したホールに、女王の声が響いた。
 ハヤナナは頬を腫らし、涙でぐしゃぐしゃな顔となったリミガニを抱きかかえて、さらし者にするかのように見せつけていた。勿論、陰核を深々と突き刺したまま。
「あたしが今日から、あんた達全員の頂点、女王よ! あたしに逆らう者は、死刑で済んだら御の字だと思いなさい!」
 【逆らう者などいないしこれまでも似たようなものであった。形式的なものである】
「そして、よその星から来た大事な客人、ウィルとドワイトにはあたしに次ぐ権限を与えることとする! あたしの命に反する事以外は、何でも言うことを聞きなさい!」
 続いてハヤナナはそう宣言した。
 彼女は、約束を守ったのだ。 
「最後に!」
 一旦切って、間違いなく全員に聞こえる事を確かめてからハヤナナは叫ぶ。
「このメスを奴隷階級とし、あたしの命令以外で犯す事、殺す事を禁ずる!
 また、それに伴い名前を剥奪する! これからはこのメスを『奴隷』なり『メス豚』なり、元の名前以外で呼ぶように! 以上!」

 少しの静寂の後、彼女を中心とするホールは大歓声に包まれた。
 
「女王ハヤナナ万歳!」
「女王ハヤナナ万歳!」


 民衆の声に応えるようにハヤナナはリミガニから陰核をずるりと抜き放つ。
「あっ……あっ……」
 意識が朦朧としているリミガニの膣から女王汁と共に抜かれたそれは、20cmほどの巨根と化していた。
 そして女王の証を皆に見せつけた後で、再びリミガニの穴……こんどは後ろの穴に、それを勢いよく突き立てるのだった。





 
 2177.11.8




 


 

 騒ぎも収まった明くる日、私とウィルはハヤナナに呼び出されて女王の間へと向かった。
「んっ、よく来たわね二人とも」
 蛮族の文化にしては立派な、女王の椅子。彼女はそれに、下半身裸で、なおかつ大股開きで座っている。
 肘掛けに足を乗せた、開放的なスタイル。
 本来なら丸見えになるはずのその股間に、首輪が付いた一人のメスが顔を埋めていた。
「ちゅっ……じゅるっ……じゅぽっ、ちゅるっ……ずず、れろっ、じゅぷっ………」
 昨日まで女王候補だった、奴隷だった。【顔の腫れは引いていて美しい顔は健在だったが、その面持ちは沈痛であった】
 女王となり抗えぬ存在となったハヤナナの陰核……いや、ペニスに口で奉仕を続けていた。
「あはっ、これがどうにも楽しくて、やめられないのよ。下品だったかしら?」
「そんなことはございません。女王就任、おめでとうございます」
「あ、おめでとう……ございます」
 かしこまるウィルと彼に倣って頭を下げる私に、ハヤナナが笑った。
「ふふ、ありがと。二人とも、昨日はご苦労だったわね」
「……?」
 奴隷が、ぴくんと反応を見せた。
 当然、それで黙るハヤナナではない。
「あんた達が約束通り騒ぎを起こしてくれなかったら、まず間違いなく女王になれなかったでしょうね。本当、感謝してるわよ」
「!!」
 にぃ、といやらしく微笑むハヤナナから口を離し、奴隷はこちらを振り向いた。
「き、昨日のあれは、あなた方がわざと起こした……もの、だったのか……!」
 信用していたのを裏切られた、怒りと悲しみ。その視線を向けられて私はたじろいだ。
【ウィルは特に動揺していないようだった】
「遭難したあなた方を……むぐっ!?」
「あのさぁ、あんた何勝手に口開いてんの?」
 恨み言をこぼす奴隷の頭を鷲づかみにして再び自分の方に向け、ペニスを喉奥まで挿入するハヤナナ。
「まっずいまっずい残飯出して、ごゆっくりお過ごし下さい? メスの一人もあてがわないで接待って言えるわけ?」
「んむっ、んぐぅ……っ!!」
 苦しそうな声をひねり出す奴隷に、反論の術はなかった。
 確かに、【脅迫を除けば】ハヤナナの方が豪華な接待ではあった。
 突然蟻竜のメスを食卓に出された時はたまげたが、思えばあれは女王候補付の肉。女王候補以下は口にできるはずもない、高級食であった。
 ハヤナナが腰を大きく打ち付けると、奴隷の鼻水が勢いよく出る。
「あんた、もしかしてまだ女王候補のつもりでいるの? そんな小さいクリトリスで?」
 苦悶の表情をしている奴隷を突き飛ばし、転げた所で足を掴んで股を開かせた。
 慌てて股間を隠そうとする奴隷に、ハヤナナは一喝する。
「隠すなッ!!!!」
 その声にびくんと震えた奴隷は、顔を赤らめながら力を抜いた。
「…………」
 奴隷の身体は、昨日以前と同じく美しく豊満なものであったが。
 一点だけ、昨日を境に大きく変わっていた。
「ほら見なさい二人とも。あたしに噛み千切られて、すっかり縮こまった惨めなクリトリスよ」
【彼女ら蟻竜の再生能力は高く、少し噛み千切られたくらいなら数日で完治してしまうほどだ】
【奴隷となったリミガニのクリトリスも、傷口は治っていた】
 先日は服の上からでも膨らみが見えた元女王候補の立派な陰核は、今や人間の女性となんら変わりないサイズの小豆と化していた。
 これも敗北のショックによるものだろう。
「さて、約束通りこんなんで良ければファックさせてあげるわ。どうする?」
「俺は」
 私が何か言うより早く、ウィルが口を開いた。
「よろしければ奴隷などではなく女王陛下のお相手をさせていただきたいのですが」
 ハヤナナはそれを聞いて、嬉しそうににやついた。
「あら、見る目があるわね。じゃあウィル、たっぷりファックしましょ。そういうわけだからごめんねドワイト。そんな余り物で悪いんだけど、一切遠慮せずにモノのように扱ってちょうだい……おい、奴隷」
「! は、はい……」
 私達に対する態度とは正反対の声色で呼ばれ、奴隷が慌てて返事をした。
「客人に粗相があったら、一族の恥よ……彼に逆らいでもしたら、どうなるかわかってるわよね?」
「……はい……」
「よろしい」
 そういうわけで、女王主催のパーティーが始まった。 


【ハヤナナがリミガニに憎しみを抱いていた理由も、ここに述べておく】
【幼い頃から巨大な陰核を持ち女王候補として持て囃されていたリミガニとは対照的に、ハヤナナの陰核は蟻竜のオスより小さなものだった】
【ハヤナナは、女王がメスを孕ませた子ではなかったのだ】
【奴隷の運命を辿りそうになったハヤナナを父母が反射的にかばってしまった事からそれが露見する】
【見せしめに父母は殺され、前女王とリミガニの餌とされてしまった】
【ハヤナナはリミガニによって生かされたが、まだ幼く本能が強かったリミガニは彼女を毎日陵辱した】
【朝は口、昼は膣、夜はアヌスでリミガニの陰核を受けとめさせられ続け、それぞれ軽く三桁は中に出されたそうだ】
【ハヤナナは、『可愛くて気持ちのいいおもちゃ』としてリミガニに来る日も来る日も抉られる】
【少なくともリミガニにとっては人形を愛でる情のようなものはあったが、ハヤナナは屈辱としか思わなかった】
【やがてリミガニは成長と共に理性に目覚めハヤナナを解放する】
【本来なら上位階級に対する恨みなど芽生えないはずだが、目の前で父母を食い殺されたハヤナナはその感情を忘れていなかった】
【彼女は自らの陰核を、少しでも大きくなるように毎日引っ張り続けた】
【オスにすら犯されかねない小さな陰核を、来る日も来る日も、痛みに耐えながら】
【リミガニを次期女王から引きずり下ろし、自分が取って変わるその時のために】


「あぁっ、太いぃーっ!! ウィル、貴方素敵よっ、こんなの、初めて、あ、あああっ!!!」
「ご冗談を、女王陛下のご立派なものには負けますっ……!」
 片足を抱えられ、立ったままウィルに激しく突かれるハヤナナ。
 ウィルの言う通り、彼の、そして私のものより一回り二回り巨大なペニス。は、女性器からの刺激により、鈴口から粘液を滴らせていた。
「じゃあっ、ウィル、お手々でしごいてっ……! あたしのおちんちん、一緒に気持ちよくしてっ……!」
 細い身体をしならせて、ハヤナナは扇情的な顔でウィルの愛撫をねだる。
 ウィルが彼女のそれを握るや否や、水鉄砲のような先走りを噴射して悦んだ。
「ひゃ、ぁあっ! ウィルッ、凄い、もっと、もっとしごいてぇっ!!」
 悦楽のあまり涙を流し、ハヤナナは口を寄せる。それにウィルも応える。
「んっ……ちゅっ、んはっ、じゅるっ、ちゅくっ……」
 濃厚な口付けを交わし、顔を近づけたままで会話を始める。
「おっ、おちんちん、どっちも、すごいっ……ウィル、ウィル、貴方のお尻も、後でたっぷり可愛がってあげるから……っ」
「それはっ……はぁ、はぁ、楽しみ、ですっ……。優しくして下さい、ね……」
「当然よっ……とろけるくらい、たっぷりほぐしてから……あっ、気持ちよくしてあげるわ……!」
 二人はまるで、恋人同士であるかのように激しく愛し合っていた。
 一方で。
 私は奴隷に、無心で奉仕するように命じていた。
「……っ…………ぁっ…………」
 奴隷は馬乗りになり、膣穴に私のペニスを迎え入れて私を愉しませた。
 興奮していたのかヴァギナはすっかり濡れそぼっており、体重によってずぶずぶとペニスを呑み込んでいく。
 見る影もなくなった陰核がひくひくと動く。それを私に摘ままれると身体を震えさせて感じていた。
「ひぎっ……!!」
 奴隷の顔が、痛みと快楽に歪む。それと同時にただでさえ狭い膣道はきゅっと締め付けて私の官能を高めた。
【この頃の私も、ウィルほどではないが相当感覚が麻痺していた】
【今でも、思い出すと昂ぶりを抑えられなくなる】
【野蛮であることの、どれほどの甘美なものか】
 この奴隷は美しいが、持ち帰ることはできない。ハヤナナの所有奴隷であるからだ。
 だから私は、彼女の身体を傷つけない程度にたっぷりと味わうことにした。
 味わえる内に。
「あはっ……ねぇ、ドワイト」
 向こうでウィルと尚も交わり続けるハヤナナが私を呼んだ。
「その奴隷ね、肉をちょろっと噛んでやると、押し潰される~ってくらいまんこ締めてくるのよ」
「!」
 奴隷がその発言に反応した。
「大丈夫、もうそれの力はオス以下。本当にちんぽを押し潰せるだけの力はないわ……試してみなさい」
 爬虫類の目をした彼女に逆らえなかったし、逆らうつもりもなかった。
 私は彼女を押し倒し、繋がったままうつ伏せに寝かせる。
「あ、ああ……っ!」
 これから訪れる痛み、恐怖に震えた声を出す奴隷。
 その背中は、ほどよく肉が締まっていて。
 見ようによっては上等な料理に見える程に、美しかった。
 背筋に舌を這わせる。女王候補特有のフェロモンは消えていたが、人間の女性とは違った肉の香りと体温に、舌鼓を打って味わった。
「あ、んっ……」
 彼女の震え声が嬌声に変わった、その瞬間に。
 私は彼女の肩甲骨付近に、歯を立てた。
「ひぅっ……!!」
 肉が、狭まる。
 ぐじゅる、と歪に動き、私のペニスを膣襞が一斉にしゃぶりつく。
 気が遠くなるような快楽の渦に、私は欲望を奴隷の穴に解き放った。
「はっ、いっ、やっ、ああっ……!」
 同時に、奴隷も大きく痙攣して絶頂に達していた。
「なんだ、噛み千切っちゃっても良かったのに。蟻竜って多少の怪我ならすぐ治っちゃうのよ……ああ、あたしがあまり傷つけるなって言ったんだっけ? 失敗失敗」
 ウィルのペニスを口で掃除したハヤナナがこちらに歩み寄ってきた。
 彼女のペニスは、未だ収まることを知らなかった。
【女王になると、当然その個体の性欲は異常に強くなる】
【種族繁栄のため、オス全員から精液を搾り取りメス全員に種付けをできるほどだ】
【もちろん食欲も旺盛になり、捕食されるオスとメスは多くなるが、それ以上に女王は子を孕ませるという】
「ドワイト、あたしもご一緒していいかしら?」
 肩で息をする奴隷を足で転がし、尻をつま先で突いてハヤナナは私に尋ねた。
「は、はい」
「ウィルは? まだファックできそう?」
「もちろん」
 彼女の並外れた性交でちょっとふらついてはいるが、彼もこちらに歩いてきた。
「ふふ、じゃあウィルはまたあたしのまんこを穿って。ドワイトはそれのまんこをファックして、抱え上げて」
 私達は言われた通りの膣穴へとペニスを挿入する。
「んっ……」
「あはっ……良い具合ね。それで、あたしが……ケツまんこっと」
 ぐったりした奴隷の尻穴に、ハヤナナが無理矢理剛直をねじ込んだ。
「…………ぁ、ぁ……」
 もはや声にならない呻きを無視して、ハヤナナは上下運動を開始した。
「ふぁぁ……何これ、すっごい……! 締まりすぎて、ドワイトのちんぽと擦れてるよう、なっ……!」
 彼女自身のペニスも、ウィルに後ろから突かれているのでかなりの固さを保っている。
 ほとんど膣痙攣を起こしたようになった奴隷の穴。と言うよりも、私は裏筋をハヤナナのペニスが擦るような感覚に震えた。
「ウィ、ウィルも、ドワイトも、ちんぽが、固くて……! あ、あたしをメスの快楽に目覚めさせるつもりっ、かしらっ……!? 不届き者ぉ……っ!」
 涎をだらだらと垂らして、一番のペニスの持ち主が踊る。
「このケツまんこも、なかなか使えるじゃない……! あたし専用、性処理穴っ……!!」
 奴隷は意識を手放し、うつろな顔で前後を陵辱されていた。
 それでも尚崩れることのない美しい顔に興奮し、私は彼女の唇を貪り唾液を啜り始める。
「あっ、ウィルっ、そんなとこに指入れちゃダメでしょっ……! ……も、もう……今回だけなんだからねっ……!」
 そして三者が、三者の穴へと快楽をぶちまける。
「んー、やっぱりオスはちんぽがでかくなくちゃ駄目ね……」
 疲れ果てた面々に対し全く衰える気配のないハヤナナのペニスが、私には恐ろしかった。
 



 
 2177.11.11




【連日の倒錯的な性交】
【声をかければメスが股を開く優越感】
【私達は、すっかりと蟻竜の野蛮さに染まっていた】
【今にして思うと、自分のしたことが恐ろしくもある】
【が、あの酒池肉林をもう一度味わえるなら、私は……】

 奴隷となった元女王候補は、プライドを捨て切れていなかった。いや、捨てたくても捨てられなかったのか。
 表向きは従順にハヤナナのペニスを咥えているが、夜にめそめそ泣いているのがうっとおしいと零していた。
 そんな奴隷に対し、ハヤナナが彼女を労ってやることに決めたと言うので驚いた。
【帰還する間際の私がその言葉を聞いたとしたら、『またろくでもないことを考えたな』と苦笑するだろう】
【彼女がリミガニを本気で労うなど、天地がひっくり返ってもありえない】
 奴隷の飯は、女王のペニスから出る汁と最下層であるオスの食べ残しであった。
 屈辱と羞恥に震えながらも、奴隷は女王の命に従って地面に落ちたそれを手を使わずに舐めさせられる。
 そんな中で、ハヤナナは言った。
「あたしの性処理道具なんだから、肉質の管理はしっかりしないとね。たまにはいいものも食べなさい」
 そう言って、彼女は笑顔で近くのメスを絞め殺した。私達にとってはデジャブだ。
「……!! あ、ああ……」
 奴隷がそれを見てへなへなと崩れる。
 一筋の涙が、彼女の頬を伝っていくのが見えた。
 ハヤナナが、それを見て歓喜に震えながら股間をそそり立たせた。
「あはっ……! 候補の時は手を出せなかった、あんたの候補付よ……! どうかしら、良い肉質でしょっ……!?」
【リミガニの候補付は彼女と古い付き合いで信頼も強かったらしい】
【『愛のあるファック』を楽しむ程度には】
 絶望に打ちひしがれる奴隷の表情だけで、ハヤナナはすっかり発情して服を脱ぎ始めた。
「良い顔っ、その顔、すごくいいっ……! た、たまんないっ、最高だわっ……!」
 至福も極まった表情。興奮しておぼつかない手つきで、屍の服を破き穴をペニスで埋める。
「ふぅっ……ああ、いい……! この穴、誰が使ってたのか知らないけどっ、キツキツだわ……!! あたしのちんぽのサイズまで、広げてやるんだから……!!」
 もはや力なく揺れるだけのそれを貪る、ハヤナナ。
 ぽろぽろと涙を流す奴隷に対し、追い打ちの言葉をかけた。
「あっ、そっかっ、殺してから犯すんじゃなくて……犯してから殺した方が、良かったかもっ……!
 たっぷりあたしのちんぽでファックして、女王様っ、女王様っ、って喘ぐ声、聞かせてあげた方が労いになったのにっ……失敗しちゃったわっ……!
 んっ……まあ、いいわ……もう一人は、そうしてあげるからっ……!」

【あの時はただ興奮するだけだったが、今にして思う】
【蟻竜は、それもメスで、おまけに女王の、さらに言うならハヤナナは】
【絶対に怒らせてはいけないと後世まで語り継ぐべきである】

 ハヤナナが一発汁を放ち、屍からペニスを抜く。
 すっかり広がって閉じなくなった膣穴が無残なそれを、すすり泣く彼女の前に放り投げた。
 焦点の合わない瞳と目が合って怯える奴隷に、液体が飛着する。

「ほら、泣いてないで食べなさい。せっかくあたしが調理したんだから……。
 んっ、たっぷりと女王汁のトッピングもしてあげるわ……。ほら、いつも飲んでるあんたの主食よ。美味しそうでしょ……?」

 ハヤナナのペニスから、粘り気のある液体がびゅるびゅるっと飛ぶ。
 物言わぬ死体となった候補付の全身が、それに塗れて淡く光った。
 わざと奴隷の顔にかかるようにペニスを揺らして、射精。それが終わったら今度は【ぴっちり閉まった】膣を両手で開いた。
「今日は特別に、こっちの汁もかけてあげる。あぁんっ……あたしのおしっこなんて、下民が口にすることもできない超高級品なんだから……!」
 尿道から、霧状の液体をぷしゃあと噴き出して、まんべんなくまぶす。ハヤナナはこれ以上ないほどに楽しそうだった。
「ウィルとドワイトもどう? いつもお世話になってるメスブタに、労いをかけてあげない?」
 当然、私達のペニスもひどく勃起していた。
 彼女に続いて、白濁液のシャワーをそれに浴びせる。
「……」
 ほとんど放心状態の、奴隷。
 ハヤナナは、満面の笑顔でそれを横に蹴り飛ばした。
「聞こえなかったのかしら」
 ピクピクと震え、どうにか意識を保っているそれへと近寄り、髪を引っ張って食卓に戻した。


「食べなさい」


 声は笑っていなかった。
 力なく死体に口をつける奴隷。
 その尻をハヤナナが持ち上げてペニスをあてがっても、もはや大した反応すら見せなかった。




【後日、ハヤナナは宣言通りもう一人の元候補付を奴隷の目の前で犯して喘がせた】
【『女王様のおちんぽ、いいです、最高です』と乱れる候補付は何度も昔の主人との比較を尋ねられた】
【当然その後は殺してから汁塗れにして彼女の前に転がす】
【そして奴隷に食わせながらその穴を愉しんだ】
【この頃には私達も、ハヤナナと一緒に蟻竜の肉を喰らうようになる】
【味が飛び抜けて良いわけではなかったが、決して悪くはなく】
【何より勃起が収まらなかった】
【そしてその情欲は、別の蟻竜のメスが受け止めることとなる】
【私達は同時に、メスを喰らった。二重の意味で】



【  2177.11.14】




【たしかこの日だか次の日に奴隷へのスカトロプレイがあったが描写は省く】
【ノリで言い出したハヤナナも終了後には『あれは臭いし流石に汚いし後始末面倒だからもういいわ……一回で十分よ』と言っていた】
【まあそういうことがあり、奴隷が見るも無惨な姿になったとだけ書いておく】





  2177.11.17




「ドワイト、ファックしましょ」
 朝食後に自室で一休みしていると、ハヤナナが私を直球で誘惑してきた。
 無縫で、ペニスをおっ立てて、半ば強姦する勢いで私をベッドに押し倒す。
「ウィルはいないんですか?」
【この頃には、ウィルはもうハヤナナの情夫と化していた】
「昨日ちょっと張り切りすぎてダウンしてるわ。まぁ、こう連日女王になったばかりのあたしとファックしてたら体調も崩すでしょ」
 確かに、彼女の性欲は底無しだ。
 深夜から朝までは奴隷の奉仕を受け、朝食を食べれば適当なオスのアヌスを掘り、飛び出た精液を他の個体に受け止めさせ、膣から取り込む。
 それを何回か繰り返し女王汁に精が混じると、今度は適当なメスのヴァギナを犯し、孕ませる。
【そういえば書き忘れていたが、蟻竜は卵生だ】
【乳首はついておりミルクは出るが、臍は存在しない】
【進化の過程で胎生だったのか、みぞおちにくぼみはあるが体内に繋がる穴にはなっていない】
 その途中で腹が減ると、交尾中のオスやメスに容赦なくかぶりつき【一応苦しまないように先に絞める程度の慈悲はある】、性欲を満たしながら食欲も満たす。
【私も一回捕食されそうになったが、説得し続けた結果どうにか全身に歯形をつけるだけで勘弁してもらえた】
【流石に悪いと思ったのか、後日一応適当な謝罪はされた】
 それとは別にちゃんと三食決まった時間に食事を摂り、終わったら交尾の繰り返しである。
『ペニスが乾く暇もないわ』と彼女は冗談めかして言うが、ほとんど一日中交尾しているようなものなので冗談にはなってなかった。
「穴には困ってないんだけどね、棒には困ってるの。あたし一応メスだし、オンナの方も満足したくて」
 そう言って私に馬乗りになるが、やはり目立つのは彼女の凶悪なペニスであった。
「陛下を見ていると、男としてのプライドを失いそうですよ」
「何言ってんの、あんたとウィルを除いたらここは祖チンだらけよ。小指の先ほども無い、惨めで滑稽な畜生もいるしね」
 そう言って、近くで四つん這いになって待機させられている奴隷をちらと見た。
「……」
 奴隷は何も言わずに、光を失った目で微笑みご機嫌を伺うだけだった。
 ハヤナナは鼻で笑って、私のペニスを肉で包み込んだ。
「んっ……ほんとっ、いいちんぽだわ、あんた達っ……!」
 舌をだらんと垂らして悦楽に顔を歪めながら、ハヤナナは私のペニスを労る。
 彼女が上下に動くたびに、巨大なそれが目の前でぶるんぶるんと暴れる。
「……」
「あらっ? ドワイトくぅん、どこを見てるのかしら~?」
 私が彼女の剛直に見惚れていると、ハヤナナは意地悪な声を出した。
「ふふふふふん。あたしね、正直オスに自信無くされるとか言われると結構興奮するのよ」
【そういう性格だ】
「そう言えばドワイトは、まだあたしのおちんぽ未体験だったかしら。ぶち込んだことは、確か……無かったっけ。無かったわね」
「え、いや、その……」
 陰核がまだ子供のペニスサイズのメスならともかく、彼女の逸物をくわえ込む自信はない。
 が、それで中止するハヤナナではなかった。
 肩をぽんと叩いて、今まで見せたことも無いようなキラキラした瞳で私に言った。
「うふふふふふふ、ドワイトもそろそろ覚悟を決めなさい。あたしのコロニーに漂流してきたのが運の尽きよ。嫌だって言ったら食べちゃうんだから」
 発言は恐ろしいが、どこか親愛の意が見え隠れする邪悪な微笑みは彼女に似つかわしくない可愛さであった。
「あらやだ、そんなこと考えてたらちんぽが我慢ならなくなってきたわ……! 観念しなさいドワイト、気持ちよーくしてあげるから、ケツまんこを差し出しなさい!」
 抗う術は無かった。
 ハヤナナの巨根に貫かれて、私はメスのように喘がされ。
 ウィル同様翌日は寝込む羽目になった。

【正直に書くと、彼女が加減してくれていたのもあってかなり気持ちよかった】
【腸内に熱い液体がどばっと流れる感覚は、あと一歩で完全に目覚めるほど危険なものだった】
【ウィルはもうとっくに開発されていたらしい】
【あの愛の言葉を囁かれながらの情熱的な口付けを味わってしまえば、抗えなくなるのも無理は無い】
【今でも色々な意味で身が震える】
【本当にメスになりそうだった】






  2177.11.20




 私とウィル、そしてハヤナナは三人で朝食のメスを囲んでいた。
 胸や尻など、脂肪分が多く柔らかい所は私達がいただき、それ以外の部位はハヤナナが食べる。
 【勿論、蟻竜一人など量が多すぎて実質は大半を彼女が喰らい尽くすようなものであったが】
 この頃にはほとんど猟奇的なビジュアルには慣れていたが、私達の前では顔の部分に手をつけないのはハヤナナの気遣いである。
 私もウィルも彼女も別のメスを奉仕させながら、性欲と食欲を同時に満たしていた【後になって考えると、ハヤナナが私達の前ではなるべくメスを犯していたのも気遣いの内だったのかもしれない】。
「ん、このメスもう卵できてたのね」
 朝食の腹を切り開いていたハヤナナが手を差し込み、直径10cm程のぬめった球体を取り出す。
「どうするのですか?」
「このサイズなら暖めれば孵化するかも。適当なメスに預けとくわ」
 ウィルの質問に、ハヤナナは答えてから入り口付近のメスを呼び、保護するよう伝えたので私は少し驚いた。
「失礼ですが、意外ですね」
「何が?」
「いえ、卵も食べるのかと思ったので」
「まあ、食べられないこともないけど……流石に卵まで次々に食べてたら年代のバランスが傾いちゃうわよ。新陳代謝、古い個体から食べないとね」
「ごもっともです」
【本当に失礼だったが、彼女が一応女王としての自覚を持ち考えて行動していたのかと感心した】
【これまでの振る舞いを見れば少し不安ではあったが、杞憂だったようだ】
「そもそも卵なんて食べごたえないし。育ててから食べた方が量があるじゃない」
【恐らくこっちが本音だ】

 私とウィルは食事、それもほとんど人間に近い種族の肉を喰らいながら他の個体に性欲を処理させると言う倒錯感で興奮する、と言うような楽しみ方をしていた。
 一方でハヤナナは、完全に本能に従って楽しんでいた。【私とウィルがうっかり捕食されかけたように】食欲と性欲は、彼女の中では半ば繋がっているのだ。
【仮に蟻竜が滅亡し私とウィルとハヤナナの三人だけになったら、彼女は『ごめんね、あはは……いや、本当に悪いとは思ってるわよ……?』と半笑いで私達を囓り始めるだろう】
 私達がある程度食べて腹が膨れた所で彼女は凄まじい勢いで残りの肉を平らげる。どんな消化器官をしているのか、蟻竜丸々一人を食べてもちょっと腹部がぽっこりするくらいだ。
【余談になるが、妊娠したように綺麗に丸く膨らんだ彼女の腹を凝視していると『ん、どうしたのドワイト? ははーん、あんたまさかあたしのお腹みて興奮してる? うりうり、何ならあんたが入ってもいいのよ』とすべすべの柔らかい腹を押しつけてくるのは控えてほしかった】
【その気になりかけて怖いからだ】
 それでも足りないとばかりに奉仕させてたメスに女王汁を注ぎ込み、息も絶え絶えのそれを手慣れた手つきで絞める。
 彼女の『おかわり』を見ながらメスの奉仕を楽しむのが、ほとんど日課となっていた。
「あんた達に色々教えてもらったせいか、最近はどいつもこいつも肉質が良くなってて助かるわ。締まりは良いし、歯ごたえも抜群……んっ」
 私に地質学の知識があったことが幸いし、雑多に穴を掘っていた蟻竜は効率的に掘削を進められるようになった。
 結果として、温泉や資材を掘り当てたり地底湖を発見したりと、僅かながらも文化レベルは上昇したようだ。
「それに、こんな下品な食べ方しても不快に思わないなんて、天からの恵みとしか考えられないわよっ……!」
【こんな下品な食べ方、と言うのはハヤナナが食卓に食糧のメスごと乗り、抱きしめながら捕食して、更にペニスで膣穴をほじくり抜くような食べ方だ】
【慣れた私達にとっては興奮を促すものだが、宇宙進出を志すなら封印せざるを得ないであろう】
 食卓の上でハヤナナは踊るように食事を、そして死姦を続ける。
 女王となってメスの部分のボリュームも増し、肌や髪の質に磨きがかかった彼女の裸体が揺れる様は、いやらしくも美しい。
 同族が捕食されているのをむしろ羨ましがりながら、蟻竜達もそれに見とれている。
「あたしのちんぽも、最近ますます元気になっちゃって……っ! 寝てる間奴隷に一晩中奉仕させても、収まりがつかないのよっ……!!」
 今朝地面に転がっていた奴隷の腹が水風船のように膨れていたのはそのせいだったらしい。
 メスを仰向けに転がし、覆い被さって貪っていた所を一旦離し、騎乗位の【オス側とメス側が逆だが】姿勢になったと思ったら、ハヤナナは一瞬リラックスするように息を吐く。
「……ふっ!」
 そして思いっきり腹部に力を入れると、彼女のペニスが上を向き、それが刺さったままのメスがハヤナナの胸中に収まったのだ。
「こんなこともできちゃうわ。ふふふ間違いなくこの星最強のペニスね」【唐突なのでちょっとよくわからなかったが、恐らく笑うところだったのだろう】
 友達に自慢するかのように優越感で笑った後、彼女は再びメスに齧り付いた。
「がむっ……ふちゅるっ、ぐちゅっ……」
 ぱん、ぱん、ぱん。
「あぐっ……ずぞぞっ、むちゅり、じゅぽっ……」
 ぱん、ぱん、ぱん、ぱん。
 ハヤナナの咀嚼音と腰を打ち付ける打撃音は、もはやグロテスクから淫らを通り越して、芸術的な音楽にさえ聞こえるほどであった。
 そして彼女が肉をごくりと飲み込み、喉を鳴らすと。
「んっ……」
 ――ぶぴゅっ、どぷっ、どぷん……。
 舌なめずりをすると同時に、彼女の女王汁がたっぷりと打ち出される。
「……ふぅ。女王って、最高ね」
 当然それで終わるはずもなく、ハヤナナはそのまま食事を続けた。
 上半身をあらかた食べ終えた所でペニスを抜き、汁を軽く掃除してから下半身に取りかかる。
【とは言ってもハヤナナは自分の体液を飲むこと自体にさほど抵抗はない。他の蟻竜の高級食として使うためだ】
 ペニスを若いメスに咥えさせながら、死体の肉を噛み千切って咀嚼。
 気持ちよくさせたらハヤナナからご褒美【言うまでもないがペニスと女王汁だ】が貰えるため、蟻竜は【オスもだ】必死に、真心を込めて彼女を『慕う』。
「……んっ、あんた中々奉仕上手いじゃない。食糧用にしてあげるから、今日から毎日飲みにきなさい」
 そう言うと、蟻竜は心底嬉しそうに顔をほころばせ、たっぷりと女王汁を喉に注いでくれるのを飲み込んでから彼女に感謝の言葉を述べるのだった。
「ごくっ、んっ、はぁ……こ、光栄の至りです女王さま! ありがとうございます!!」

【実際、彼女がペニスから放つ女王汁は中々に美味い】
【精液に見えてちょっと、と躊躇していたところを半ば無理矢理飲まされたところ、濃厚な甘みと芳醇な『メスの』香りに脳が刺激されるのを感じた】
【正直な感想を本人に伝えたら彼女は大層ご機嫌になり私達に振る舞ってくれた】
【『回し飲みが嫌なら注いであげるわ』と言って目の前でペニスをしごきコップに溢れるほどにぶちまける】
【腹がたぷたぷになるまでに飲まされ、最後の方は彼女も手が疲れたようでメスにペニスをしごかせていた】
【恐ろしいことにそれには精力増強作用があるようで、私達の方も上から下に流れるように精液を迸らせた】




  2177.11.22




「はーい! 普段メスに虐げられあたしにはケツまんこを拡張されロクにちんぽを使う機会もないまま食肉にされる情けないことこの上ないオス共、ちゅうもーく!」
 改めて言葉に出されると同じオスとして同情の念を禁じ得ない事実を叫びながら、ハヤナナがコロニー内のオスに呼びかけた。
「今日一日はあんたらのガス抜きとして、奴隷を使い放題とするー! 好きなように犯しなさーい! あ、殺すの禁止ねー!」
 ウォォォォォォ、と野太い声がそこら中から上がった。
「そーれーとー……」
【まだ付き合いが長いわけではないが、彼女の表情を見て私にはわかった】
【本当にろくでもないことを企んでいると】

【蟻竜のオスが階級社会に、と言うかハヤナナに不満を持つことなどまずあり得ない話だ】
【確かにハヤナナ以外のメスにアヌスを掘られたり、冗談半分で嬲り殺されて食糧置き場に放り込まれたりと】
【冷静に考えると引くレベルで虐げられてはいるが、遺伝子に刻まれているので彼らはそれすらも快感である】
【これまた冷静に考えると引くレベルで根っからのマゾヒストである彼らにとって、ここはある意味ではうらやましいほどの天国だ】
【だがそれはそれとして、虐げる対象が新たにできたら彼らはそちらに向かう】
【マゾヒズムとサディズムは表裏一体、どちらかの適性があるならもう反対側を楽しむこともできる】
【少なくともここのオスはそうだった】
 奴隷が『女王候補のリミガニ』だった頃の広い部屋に、彼女とそれを囲むように十数人のオス達がいた。
「お、おお……」
 奴隷の惨めな姿もそろそろ見慣れたオス達が、彼女を見て一斉に勃起する。
 奴隷……いや、彼女の姿はいつもの惨めな全裸ではなかったのだ。

 ハヤナナは、命令の最後にこう言った。
『あたしがやめろって言うまで、奴隷の事を好きな名前で呼ぶことを許可するわー!!』

「こ、こんな……」
 久しい服装と部屋に、頬を真っ赤に染める『リミガニ』がそこにいた。

 ハヤナナは、積年の恨みを晴らすかのように彼女に拷問じみた性交を強いたり、思う存分殴る蹴るの暴行を加えていた。
 が、同時に彼女の健康管理には自分の次くらいに気を遣っていた。奴隷となったリミガニに恥辱の極みを味わえつつも、【蟻竜の回復力に依存している所もあるが】彼女の美しさを損ねないように。
 もちろん、それは自分が楽しむためだ。耐えがたい程の恨みや憎しみはあれど彼女にとって【も】『見た目だけならは文句の付け所がない美女』に奉仕させる優越感。
 『かわいがり』の加減を間違えて彼女を醜女にしてしまいでもしたら、冷めたハヤナナは即座に奴隷を肉塊に変え、下々の蟻竜を労う材料にするに違いない。
【こんなことをハヤナナに言ったら『あははー面白い冗談ねー』と満面の笑みで三回分くらい半殺しにされるだろうから決して口にはしないが、きっと彼女もリミガニに対し、歪みに歪み切った愛情に近いものを持っているのだろう】
 そして女王ハヤナナの命令は、蟻竜にとって絶対だ。『死ね』と言われたら死ぬし、『死ぬな』と言われたら自分のできうる限りで死なないように努める。
 何よりも恐ろしいのは、『壊れるな』と言う命令だろう。発狂や、心神喪失することさえリミガニには許されない。
 その上で『今のあんたは奴隷じゃないわ。あたしと同格だと思っているリミガニよ。わかったわね?』と言われれば、彼女はそうする他にない。
 女王と言う存在は、一旦は無理矢理捨てさせたプライドを、こうも簡単に持たせることが可能なのだ。

 涎を垂らして迫る、オス達の手。
「や、やめろ……! 私は、女王候補だぞ……! このリミガニに、狼藉を働く気か……!?」
 その口調は紛れもなく、女王候補時代のリミガニのものだった。
 過去を思い出し、オス達の手が本能的にピタリと止まり、狼狽える。
 だが。
「ふーん、女王候補なんだー。じゃ、さぞかしクリトリスは大きいでしょうねー?」
「!」
 『リミガニ』の痴態を見物すべくやってきた女王ハヤナナが、これ以上なく底意地の悪い声を出す。
「そこのあんた」
「は、はい!」
 適当なオスを指さし、ハヤナナはこう命令した。
「女王命令よ。女王候補様のご立派なクリトリスを皆に見せて差し上げなさい」
【恐らく、ハヤナナは昔から彼女に復讐のプランを練りに練っていたのだろう】
【冷静を装っているが、近くにいると鼻でものすごい勢いの呼吸をしていた】
「か、かしこまりました!」
 再びリミガニに迫る、オスの魔の手。
「あ、あ、やめろ……やめてくれ……!」 
「女王さまの、命令ですので……」
 リミガニは、奴隷だった頃の記憶が消えたわけではない。自分の陰核がどうなっているか、よく知っている。
 歯の根が合わずにガチガチと震えている彼女の衣服をまくり、オスが衆目に彼女の股間を晒した。
 結果など、ここにいる全員が最初からわかりきっている。
 が。

「あ、あ……見ないで……くれっ……!」

 下民であるオスに奴隷の証を晒される恥ずかしさと悔しさに、顔を真っ赤にしながらぽろぽろと涙を流すリミガニは、とても惨めで、哀れで、美しかった。
【皆が注目している中で隣の吐息が荒くなるのを聞きそちらを向けば、ハヤナナはそれを見てとても素晴らしい笑顔かつ涙を流しながらメスと交わっていた】
「こ、ここにいるのは女王候補のリミガニ様じゃない……奴隷だ……!」
「は、はやくやらせろっ……!」
「待て、俺からだ……!」
 オス達が、一斉に彼女に殺到する。
「ちが、私は奴隷じゃ、やめっ…………あっ……」
 命令など聞くはずもないし、オスごとき平手一発で殺せる力も失っていた。
 彼女は腕を膝で踏みつけられ、足を抑えられて服を剥かれる。
 豊満な乳房にすぐさま二人のオスがむしゃぶりつき、美しい泣き顔に何本ものペニスが向けられた。
 あまりにも陰核が小さいことを除けば女王に次ぐ美しさを持つ彼女の肢体に、オス達が舌を這わせ始める。
「ひっ……! 頼む、お願いだ、やめてくれっ……! あ、ああっ……は、ハヤナナっ……!! 彼らをっ、止めろっ、いや、止めてくれ……後生だっ……!」
 女王を呼び捨てにした件について、ハヤナナは特に言及しなかった。【リミガニとして振る舞うように命令したからだ。無論、気分次第では『何タメ口聞いてんのよ!』と無茶を言って虐げるのも勝手である】
「うーん? ちょっとよく聞こえないなー……?」
【どう考えても結果は見えているが、プライドを手にしたリミガニはそれでも彼女に縋る他ない】
 ハヤナナは大層機嫌が良さそうに、メスを愛撫している。
「ハヤっ……!」
 一人のオスが、精一杯伸ばしたペニスで彼女の敏感な所に触れた。
「ひぅんっ……!?」
 下を見れば、メスの、ましてやハヤナナのとは比べるべくもない慎ましいペニスが自分の陰核を突いていた。
 それよりも遙かに小さい、非虐者と化した自分のクリトリスを。
 自分より強い相手に囲まれ、体中にペニスを突きつけられて彼女は恐怖し、嫌悪感混じりの快楽に震える。
「あ、あぁ、やめ、ろぉっ……! ハヤナナぁ……! 助けてくれっ……! ハヤ、ナナっ……!」
「ごめんねーリミガニ~。今ちょーーーっと忙しいのよ~。 話なら後で聞くから、ゆーっくりオスでも犯しててねー。女王候補らしく」
 これ以上なくご機嫌なハヤナナはメスが快楽にへたり込むほどのねちっこい責めをしながら、適当な声色で返した。

 十数ものペニスが、リミガニの輪郭を撫でるように蠢く。
 小さくも固いそれが、彼女の穴と言う穴にずるりと入り込んでいく。
「ハヤナナぁぁぁ! あ、ああぁぁぁぁ!!」
 彼女はハヤナナの名前を呼びながら、悲痛な声を上げ続けた。
 
「……は、や、な……な…………」
 コロニー内の数割のオスがあらかた欲望をぶつけ、白くない部分が少ないほど精液に塗れたリミガニはぐったりと横たわってすすり泣いていた。
 いつもなら自分以外の蟻竜など食べられる性処理道具程度にしか思っていないハヤナナは、入り口で行為の終わったオスに一人一人労いのキス、そして口淫によりペニスの掃除を直々に行った。
「よくやったわ。本当によくやったわ」
 オスにとってはこれ以上ない、最高の祝福だった。
【この日を境に、しばらくの間オス達の労働力が跳ね上がったのは言うまでもない】
「でも、やっぱり一日じゃ全員は無理ね。定期的にやりましょ、これ」
 と言ってとりあえずリミガニに対する命令を解除しようと思ったようだが、ハヤナナは彼女に近付いてからちょっと考え込んだ。
「……そう言えば、あたしがまだ楽しんでなかったわね」
【あれだけやって足りないのか、と当時の私も少々引いた】

 精液塗れで汚い、と冷水を何度か頭から被らされた後、未だリミガニ状態である奴隷はハヤナナに連れられて温泉へと向かうことになった。
 当然私達、それに女王付のメス達も一緒だ。
【知らない者はいないだろうが一応記載しておく】
【私達が使う翻訳機は防水防塵は万全で、なおかつ奥歯にしっかりと固定されている】
「ぷっはー……あー、いいお湯ね……」
「あ、ああ……そう、だな……」
 湯に浸かりリラックスするハヤナナとは対照的に、リミガニは何をされるのか怖々としていた。
 温泉には、奴隷の時も肌質を保つため入れては貰えていた。【そして何度も溺死一歩前まで沈められていた】
「せっかくだからさー、あんたもあたしに聞きたいこととか言いたいこととか、色々言えばー? まともに喋らせてももらえないで、色々ため込んでるでしょー?」
 そうさせた当の本人がハヤナナである。
「う、いや、私は……」
「遠慮しないで、『言いなさいよ』ー?」
「うぐっ……はい、いや、ああ……」
 仕方なくリミガニはハヤナナに尋ねることにした。 
【もはやおもちゃ以外の何者でもない】
 そして彼女の口から、とんでもない言葉が出てくる。


「な……なぜそこまでして、私を虐げるのだ……? ドワイトとウィルを使い、卑怯な手段を講じてまで……わ、私の何がいけなかったと言うのだ……?
私が何か、気に障るようなことをお前にしたのか……? それとも、寵愛が足りなかったのか……?」


「……」
「……」
「……」

 ハヤナナが真顔になった。ウィルもだ。
 私もきっと、同じような顔をしていただろう。
【私とて常識や良識がどうこう言える立場ではないが、流石にこの発言には耳を疑った】
 
「もうそうなら、教えてくれ……! 謝罪しよう……! 今更お前の気が晴れるとは、思わないが……」


 ハヤナナは長い長い沈黙の後で、特に感情を込めずに言った。
「……………………ああ、いや、別に、深い理由はないわ。あんたが気にくわなかっただけ。嫉妬してたのよ。嫉妬嫉妬。この話は終わりにしましょ」
「う、うぐぐ……」
【この発言でハヤナナはバカバカしくなり、リミガニに対する恨みが無くなったとか虐待が和らいだとかそういうことになるかも、と私は思ったが、特にそういった事はなかった】
【どちらかと言うとより酷くなった】

 ハヤナナは温泉から出て、地面にうつ伏せに寝込んで足をぱたぱたと動かし始める。
「あー、最近ちんぽばかり使ってるからまんこが寂しいなー。クリトリスが大きいメスあたりにファックして欲しい気分だわー。ねぇリミガニ、あたしあんたの『ちょーあい』が恋しくなってきちゃったかもー」
 適当な声色でそう言い、リミガニに尻を向けるハヤナナ。整った秘部を、指で開いて挑発する。
「!!」
【バカの】リミガニはその言葉に激しく反応し、ざばっと音を立てて立ち上がる。彼女の【雑な】誘惑を見てすっかりその気になったようだ。
「そ、それなら……いや、しかし……今の私は……」
 自分の下腹部を見て狼狽えるリミガニ。かつて彼女を愛した陰核は、すっかり慎ましいサイズとなっていた。
「あーん、あーん、、リミガニ、リミガニー……こっちに来てー……昔みたいに、あたしを、愛してー……」
 ふりふりと尻を揺らすハヤナナは視覚的には確かに淫猥ではあるが、声を聞いていると滑稽さの方が強くなった。
「う、うむ、わかった……私が、お前の心の穴を、埋めてみせようっ……!」
 このメス以外は。
【欲望のまま動いた自分の行いを正当化するつもりはないが、今考えるとリミガニではなくハヤナナについたことによって、私達は間接的に蟻竜を救ったのではないかとすら思えてくる】
【こいつは火に油を注ぐ天才だ】
 ざばざばと走ってハヤナナに抱きつくリミガニ。
「ああー、リミガニー。だいすきー。腰を使ってー、あたしを気持ちよくしてー」
「任せろ! どうだハヤナナ! 私の腰使いはどうだ! たっぷり愛してやるぞ!」
 ぱすぱすぱす、とリミガニが腰を打ち付ける音が響いた。
 気が抜けるような、平坦な肉同士がただぶつかるだけの音だ。
「ハヤナナ! 私のクリトリスは縮んでしまったが、そんなことは関係ないっ……! お前は私のものだ、たっぷり愛してやる、お前の寂しさを、少しでも和らげてやる……っ!」
「あのさ」
 一人盛り上がるリミガニに対し、ハヤナナが無表情で振り返った。



「悪いんだけど、真面目にやってくんない? 届いてないよ」


「……! す、すまないハヤナナ! もっと、努力するっ……! 私のクリトリスで、膣穴を……」
「いや、だから、入ってないんだって」
 必死に腰を振り立てるリミガニに、ハヤナナは冷静に事実を伝える。
「あっ、うっ、じゃ、じゃあ、指で……!」
「あー、ごめんね、無理なお願いだったわね」
 ハヤナナは呆れたように【本当に呆れていたのもあるだろう】そう言って、茶番劇の蚊帳の外だった私達に向かって言った。
「二人ともー、どっちか相手してくんないー?」
「ドワイト、いいか」
 彼女にお熱心なウィルが聞いてきたので、私は彼に譲った。
「ああ」
「悪いな」
「いや、気にしないでいい」
 ハヤナナが一番魅力的なのは確かだが、私は彼女一人とひたすら交わるよりは彼女を含む多数のメスと乱れる方が好きだった。
「ま、待ってくれ……!」
 リミガニが弱々しく手を伸ばすが、その手は【ハヤナナのアイコンタクトを受けた】ウィルにはたき落とされた。

「女王陛下を満足させられない奴隷が、気安く触れるな」
「あっ……」
 リミガニの口が、ぱくぱくと開き。伸ばした手は、力なく地に落ちた。
「あぁん、ウィルぅ……あたし、とっても寂しかったの……たっぷり愛して、そのたくましいちんぽで慰めてぇ……」
 先ほどとはまるで異なる甘えきった声色に、ウィルのペニスもその気になる。
「かしこまりました女王陛下。俺のペニスで、存分にお楽しみ下さい」
 リミガニの目の前で、ウィルの滾るペニスがハヤナナの隙間に沈んだ。
「あ、ああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
 演技を除いても相当感じているのだろう、彼女は渾身の一突きで獣のような声を上げた。
 リミガニでは反応すらさせられなかった女王のペニスから、噴水のように女王汁が飛び出して、へたり込むリミガニの顔にかかった。
「…………ぁ…………」
「これよ、これぇ……最高だわぁ……! ウィルとのファック、気持ちよすぎて、頭おかしくなっちゃいそうっ……! 少しは加減しなさいよ、もうっ……!」
「おや、これは失礼致しました。優しい方がよろしかったですか?」
「このぉ、不届き者めぇっ……! 意地悪言わないでっ、いいっ、いいわよっ、激しくてもっ、そっちの方がっ……! あたしの気持ちいいところ、全部知ってるくせにっ……!!」
 ぱんぱんぱんぱん、と言う腰がぶつかる音の中に、粘液が絡まる卑猥な音が混じる。
 ずちゅる、ぬじゅっ、ずぽっ。
 一回突かれる度にハヤナナは全身をびくびくと痙攣させ、うっとりとした表情でウィルの怒張を味わう。
「あっ! ああん……っ!! ちょ、本当、激しすぎるからぁ! 笑ってんじゃないわよ、このバカっ……! んんんっ……!!」
 自分には決して見せなかった、一切の悪意を含まない笑顔。それが他人に向けられているのを、ただリミガニは見ていることしかできなかった。
「ふっ、あっ、聞いてよ、ウィルっ、あたしね、昔クソみたいなメスに捕まって、酷い辱めを受けてたの……ここがいいだろう、ここがいいだろうって、気持ちよくもないところを炎症になるほど擦りつけられて、とても惨めな思いを、してたんだ……」
「女王陛下……おいたわしや……」
「ウィルっ、もっと、もっとあたしを気持ちよくしてっ……! 一人よがりじゃない愛を、ちょうだいっ……! あんなドブに塗れた過去、忘れさせてよっ……!!」
「お任せ、下さいっ……!!」
 ウィルのピストン運動が一際激しくなる。
「にゃっ、あっ、ああっ、す、凄いっ! じょ、女王汁が、止まらないっ、わっ……!!」
 猛烈な注送を受けて、言葉通りハヤナナのペニスから大量の女王汁が飛び乱れた。
 びゅくるるるるる、どぴゅぴゅるっ、ぴゅぴゅぴゅっ。
 数度にも渡るリットル単位の白濁液は、甘い匂いをこちらにも漂わせるほどに宙に舞い散った。
 そのいくらかは、二人の愛に溢れた交わりを傍観するしかできなかったリミガニの身体に飛着する。
「ちょ、ちょっと休憩っ……最近あんまり使ってなかったから、大分弱くなってるわ、まんこ……」
 はひー、と疲れながらもご満悦と言ったように床に突っ伏すハヤナナに、ウィルが囁いた。
「どうです、俺の愛は。満足していただけましたか?」
「やりすぎなのよー、ばかー……。 覚えておきなさい、今度あたしがファックするときは本気出してあげるから」
「え、ちょ、それは、流石に……」
「んー……じゃ、ちょっとだけ本気出してあげる」
「はは……」
 茶番ではあるが、中々面白い物を見せてもらった。
 私はメス二人に乳房だけで全身の至る所を撫でたり挟んだりして貰いながら、主にリミガニの表情が曇っていく様を目に焼き付けていた。
【しつこいようだが、本当に見た目だけならリミガニは文句の付けようもない麗人なのだ】
【見た目だけなら】
「ドワイトー、暇そうねー?」
「いえ、楽しんでいましたが」
 ハヤナナの問いかけに私は正直に応える。まあ、何かして欲しいと言うことだろう。
「そこにファックの方法がわからないメスがいるからさー、丁寧に教えてやってくんないー?」
「承知致しました」
 私はメス二人を軽く撫でて、【例によって】涙ぐんでいるリミガニをたっぷりと慰めてやった。

「リミガニ」
「あっ、あっ、太っ、はひ、はいっ……!」
「ドワイトがあんたにファックを教えてくれてるんだから、ちゃんとお礼を言いなさい。一突きごとによ」
「はいぃ……! あっ、ひぐっ、ありがっ、あああっ! す、すみませっ、ありがとっ、ござっ、ひぁぁっ!! どわいとっ、さまっ、ふぁっくっ、おしえてっ、くださっ、ありがっ、ございまっ……!!」
【そのハヤナナの命令に私はセンスを感じた】
【キスで口を塞いでも、もごもごとお礼を言おうとするのだ】
【私はハヤナナに一言断り、繋がったまま彼女を自室に連れ帰ることにする】
【身体はメスに拭いてもらい、温泉から自室まで移動する】
【私に礼を言いながら犯されるリミガニをコロニー内の蟻竜が見物していた】
【翌日の朝、ハヤナナが様子を見に来るまでリミガニはずっと私に礼を述べていた】
 




  2177.11.24




「そう言えばドワイト、あんたらの種族のメスはクリトリスこんな大きくないんだって?」
 ローストした蟻竜を食べている最中でハヤナナに世間話を振られたので、私は答える。
「はい。オスのペニスは我々がだいたい平均サイズで、メスは……あくまでここで例えるなら、奴隷サイズですね。我々の方では、立場が性器の大きさで決まるわけではありません。基本的には、男女も概ね平等と呼べるかと」
【地球以外はそうでは無いところもあるし地球でも未だ偏りがある地域は存在するが、まあ蟻竜を基準にすれば些事であろう】
 ウィルが私に続けた。
「性交において個人の好みはありますが、どちらかと言うとメスは乳房のサイズで計られる所がありますね」
【男もペニスで計られたりするが、まあ蟻竜を基準にすれば些事であろう】
「へー、そうなんだ」
 ハヤナナは奉仕させてるメスの乳房をふにふにと弄くり、『乳、ねー……』と呟いた。
「そういうわけなので、この星に人間のメスが漂流しても奴隷にすることの無いようにお願いします」
「いやいや、するわけないでしょ普通に。あんたらだって、ちんぽの大きさ見てから処遇決めたわけじゃないし」
「そうだぞドワイト、あまり失礼な事を言うな」
「むぅ、申し訳ないです」
 そう言えばそうだった。外来者に対して寛容なのは、特にオスメス関係ないらしい。
【考えれば、どちらかと言うと服を着てペニスのサイズが不明なオスである私達の方が危なかったくらいだ】
「ただまぁ、裸になったら周りからはジロジロ見られるかもねぇ。あたし達の種族って基本、ちんぽか大きいクリトリスが生えてるのが前提みたいなところあるし」
「裸を見せる前提なのですか?」
 今度はウィルがおかしな事を言った。
「そりゃそうよ。一日二日ならともかく、このコロニーに長期滞在してセックスの一回もしないとか、そんなのいたらもうそれは性欲が完全に喪失してるわ」
「そうだぞウィル、客観的に物事を見ろ」
「ぐぬぬ、確かに」


 ハヤナナから『外来者歓待用に新しいファックルーム作ったの。良かったら試してみてちょうだい』とありがたい言葉をもらったので、私はさっそく使用の予約を取り付けた。詳細は行ってみてのお楽しみらしい。
 心を弾ませながら指定された場所に向かうと、メスに服を脱がされて部屋内に通された。
「いらっしゃいませ、ドワイト様」
 その声が、いくつも重なって、またはまばらに聞こえた。
 ホテルの一室より狭いかといった部屋に、蟻竜のメス達が仰向けになってぎっちりと『敷き詰められていた』。
 壁の方に敷き詰めていたのは、丸石をタイルのように加工したもので、擦れても痛くないようになっている。恐らく床も同様だ。
「こ、これはどういう?」
 私の服を脱がせたメスに問うと、彼女は笑顔で説明してくれた。
「どうぞお好きなようにお楽しみ下さい……と言っても困ります? 私達は数人程度に乗られて潰れるほどヤワな身体をしていないので、踏んだりしても大丈夫です。まずは、どうぞ中央までお進み下さい」
 そう言うので、私は足下の蟻竜に一声かけてからその身体を踏んだ。
「あっ……」
 一歩歩く毎に、下の蟻竜が艶めかしい声を出していく。私はその声に興奮しながらも、そろりそろりと中心まで歩いた。
 立ち止まっても、私に踏まれた蟻竜は全然余裕のようだ。
「それでは、女王さまから頂いたお汁を部屋内にたっぷり撒いて……」
 入り口付近から、メスが壺に入った女王汁を撒いていく。メス達はそれがかかると、自分の全身に、そして隣の者に塗り込み始めた。
 甘い香りが充満する中でメス達の陰核が一本、また一本と天を向いていくのを見て私はごくりと唾を飲み込む。
 隣のメスと接吻し始めるものもいて、私はこの部屋がどういうものか大体の理解を終えた。
「ドワイト様の上には何人も乗らないように、と申しつけられておりますが、もしも重かったり、身の危険を感じたらすぐにおっしゃって下さい」
 そう案内係が言うと、部屋の外からぞろぞろとメスが十数人入り込んできた。最後に案内役が女王汁をもう一杯撒いてから私の前に歩み寄ってきた。
「それではドワイト様、お好きな穴からファックして下さい」
 笑顔で。

 私はメスの肉体をベッドに、掛け布団に、枕にしながら、メスと言うメスの柔肌を堪能した。
 両手の指と両足の指が、暖かく締まる穴に迎えられてくちゅくちゅと音を立てる。
 両腕も、腹も、胸も、顔も、腿も、脛も、メスの舌で丁寧に舐め取られて。
 顔の上でメスが腰をくねらせて尻を振り、弾力のある肉が滑っていく。
 そしてペニスを、メスのアヌスにずっぽりと呑み込まれていた。
「あっ、ふぅん……!」
「んちゅっ、じゅるっ……」
「ちゅぴっ、ちゅぷっ」
 ずっちゅずっちゅ、ぺちゃっ、めりゅっ。
 体中で別種類のメス肉の歪動を感じながら、官能的な声と水音を耳で楽しむ。
 もはや、何人と繋がっているのかすらわからないままに。私とメス達は肉を擦り合わせた。
 目の前でお食べ下さいとでも言うかのように尻肉を動かすそのメスの膣付近を【ほどほどの強さで】噛み付くと、彼女は嬌声と共に震え、生暖かい汁を絞って飲ませてくれた。

「隙ありっ!」
「あ、ちょっとっ……! んっ……あっ……」
「いいじゃない、自由にしろって言われてるんだしっ……はぁんっ……!」 
 左をちらと見れば、メスがメスの膣に長い陰核を挿入して感触を味わっていた。
「ちゅぷっ、じゅるる、ずぞぞぞっ……」
「ひぃぃ、あなっ、ほじりながらっ、クリトリスしごくの、だめぇ……あっ、ああっ!」
「ん、おいし……私の勝ちね。すっかりとろとろになったおまんこ、いただくとしましょう」
 右をちらと見れば、シックスナインの体勢になったメス同士が、どちらが相手に挿入するかを決めるべく、手技口技の勝負をしていた。

 そうしている間にも、私の上の情勢は変化する。
 体中を這い回っていた舌は、私の両乳首を残して消える。代わりに、乳房で挟まれる感触が上下を滑り始めた。
 流石に五本指を一本ずつ入れるほど密着できなかった代わりに、ハヤナナ用にと特に膣が広がりやすくなっていたメスの内の四人が。
「ドワイト様、お手元を暖めて差し上げます」
「私達のおまんこの中、じっくりお楽しみ下さい」
「太い足首……食べごたえがありそうです……」
「んっ……入ったっ……!」
 私の手首と足首を女性器で呑み込んでしまった。
 生暖かく柔らかい肉坪の中で、無数の襞が私の手足を舐めしゃぶり、奥からは子宮口がキスの歓迎をしてくれる。
 ペニスが空いたと思った瞬間には、ポルチオで亀頭を包むのが得意なメスが私のものを包み込んだ。
「ふふ、いつもお食べになっているメスに食べられる気分はいかがですか……? ほぉら、おちんぽが私の子宮に捕まって、気持ちよさそうにびくびくしてますよ……」
 そう言いながら肌を密着させ、私の唇を貪った。
 口の中までしっかりと味わわれた後で、メスは私を強めに抱きしめて首筋を唇と舌で湿らせる。
 私の下のメスも同じく抱きしめてきて耳を食み始め、私は肉挟みのサンドイッチにされてメス達に食べられてしまった。
「ど、ドワイト様、女王さまのお汁、お飲みになられます、か……?」
 顔の上のメスも、まだあどけない年若い少女へと変わった。腹だけが、たぷんと膨れている。
 なんでも、ハヤナナに女王汁を注ぎ込まれた後そのまま入り口まで運ばれたそうだ。
 彼女が来てた事にも、全く気がつかなかった。
「ああ、飲ませてくれ」
「で、では……どうぞ、お飲み下さい……」
 未成熟な膣口から、部屋のそれより一層甘い匂いが漏れる。
 とろりと垂れ落ちてきたそれを啜り飲み込んだ後、私は彼女の秘部に直接口を付けて吸った。
「ひ、あぁぁぁぁんっ!」
「あー、ドワイト様、私にも下さいよー」
「私も私もー」
 ハヤナナのペニスから噴き出た甘露は、メスの膣から私の口へと伝わって、更に別のメスの口へと渡っていく。
 微妙な味の変化を楽しみながら、私達はそれを肉と共に貪った。

 それから、私は趣向を変えて彼女らの長いクリトリスを味わわせて貰う。
「あっ、だめぇ、だめっ、出ちゃうっ、出ちゃいますっ……!」
 これまで笑みを浮かべて奉仕していたメスの顔が、恥ずかしさと快楽に歪む。
 下では、ふーふーと荒く息をしながら私のアヌスにクリトリスを出し入れして細腕で【ほどよい力だ】抱きしめてくるメスに。
 頬を染めて私の前で手淫するメス達が、艶めかしい声を出していた。
「ど、ドワイト様ぁ……」
「ほんとに、出しちゃってもいいんですかぁ……?」
「私達の汁、かかっちゃいますよぉ……?」
 自分より弱いオスに対しては遠慮も容赦もないのに、私の前では恥じらいながら尋ねてくる。
 それが楽しくて、私は手淫を続ける一人のメスの膣を指でほじくった。
「あひぃぃっ……!」
「続けてくれ」
「ひゃ、ひゃいいっ……!」
 その後もメスを二人一組でつがわせて後ろから手でしごかせ、部屋中に汁のシャワーを飛び交わせたり、
 四人ほどを連結させて一番後ろのメスを私が犯し、先頭のメスのクリトリスを四つん這いになったメスに咥えさせる分泌汁運搬ゲームを楽しんだ。

 ここまで集めておいて全く手を付けないのも悪い気がしたので、メス全員に一分ずつ私のペニスを使って貰うことにする。
 膣を使う者、口を使う者、手と舌を使う者、乳房を使う者、足を使う者、二人で頬ずりする者、尻尾を巻き付ける者、素股をする者、アヌスを使う者、尻肉で挟む者、艶のある鱗で擦る者、クリトリスを擦る手の中に案内する者……。
 流石に全員に射精することは【ハヤナナ以外に】不可能だったが、それぞれの奉仕をしっかりと楽しんだ。
 その最中は、背中を抱きかかえられて胸をゆっくりと擦りつけられて。
 膣内が広い四人に腰をくねらせ、しっかりと手足を洗って貰いながら、肉を比べた。

「どうだった?」
 風呂に入ってさっぱりした後で、自信満々に使い心地を尋ねてくるハヤナナ。
【私が楽しんでいる間に、玉座にウィルを座らせてその上に自分が座り、更にその上にメスを乗せるプレイで汁を大量に中出しし、届けてくれたらしい】
 私は答えた。
「これを売りにすれば全銀河のオスを味方にできます」
「あ、そう? まぁ、気持ちよかったのなら良かったわ」
【ハヤナナは冗談か、またはオーバーな比喩かと思ったのだろうが、私は誇張したつもりはなかった】
【安全面、コスト面、メスのビジュアル面を考慮すると銀河中どこを探してもこんなサービスは無いだろうし、あったとしても受けられるのは惑星の重役以上であろう】
【野蛮と言うのは時に、発展した技術を易々と上回ると知った】




  2177.12.11



「おお」
「生まれた……」
 私とウィルは、食い入るように孵化していく卵を凝視していた。
 ソフトボール大ほどの大きさのそれに、ぴしりと歪みが縦に走る。
 そうして殻が歪みに沿って開き、中からころんと赤子が転がり出てきた。そして元気な泣き声を上げ、存在を主張する。
 生命の誕生の瞬間に対し、感動にも近い心情に浸っていた私達二人にハヤナナは大した事でもなさそうに声をかける。
「卵がそんなに珍しいの?」
「いえ、地球においては珍しくもありませんが……人間に酷似した生物が卵から出てくるのは、初めて見ました」
「卵生の哺乳類は極少数いますが、あまり見られるものでもないですからね」
「ふーん。あたし達にとっちゃ、胎生の方がよくわからないけど。まんこから直接子供が出てくるってなんかグロそうね」
【エログロの極みのような種族の女王に言われると、価値観の違いを痛感させられる】
 ハヤナナはそう言いながら赤子をひょいと抱き上げる。
 種族としての本能なのか、女王であるハヤナナに抱えられた赤子は大声で泣き喚くことを止めて大人しくなった。
 卵のサイズもあって、人間に比べたら一回り二回りは小さい。とはいえ、生まれて半年で人間で言う七歳程の大きさまで急成長するため、同時に生まれたとしても一年後には蟻竜の子供が人間の赤子を抱くような構図になるだろう。
 赤子の股間には主張の強い出っ張りがあるが、蟻竜の身体のつくりを考えると雌雄の区別はつきにくい。
「女王陛下、この子は男の子ですか? それとも女の子?」
 尋ねてみると、ハヤナナはんー、と股間を凝視した。
「穴があるわ。メスね」
 そして目を細め、幼い彼女に笑いかける。
「立派に成長して、おいしいお肉になるのよ」
 意味を理解しているのかいないのか、赤子は朗らかに「あー」と声を返した。
「お腹も空いているでしょ。今ミルクをあげるわ。たっぷりお飲みなさい」
 そう言って服を脱ぎ始めるハヤナナの股間は、当然のようにいきり立っていた。

 発情期というものがなく、年中交尾している蟻竜には決まった産卵期も存在しない。
 ただし、新たな女王が誕生した一月後には多くの子供が生まれることとなる。
 理由はもちろん、力を手に入れ性欲も頂点に達した女王が誰彼構わず種を仕込み回るからだ。
 そういうわけで、今年の12月は出産が多く、蟻竜の個体数も増大する。ハヤナナが普段より多く同族を喰らっていたのも、その習性に基づくものがあったのだろう。
 蟻竜の赤子は基本的に卵を出産したメスが育てることとなる。母乳も彼女らから摂取するのが普通ではある。
 の、だが。

 じゅる、じゅぽっ。
「んっ……いいわ、もっと出してあげるから……あたしの味、たっぷりと覚えなさい」
 歴代女王の中でもずば抜けた性欲を持っているハヤナナは、自らの女王汁を赤子に与えていた。
 確かに栄養価はあるし、味も申し分ないので問題はない。
『すくすく成長するためにはやっぱり女王自らが身を削ってあげる必要があるのよ。まぁ毎日与えられる時間はないけど』
 とは彼女の弁だ。
【ありあまる性欲を発散させてるだけとも言う。その証拠に、赤子にペニスを咥えさせたハヤナナの顔は完全に捕虜を陵辱する征服者の顔だった】
「あぁっ、小さい口、ほんといいわっ……肉が欲しくなるくらいっ……!」
 荒く息を吐きながら、喉につっかえないように小出しに汁を放つハヤナナ。
 彼女の目線の先にいたのは、赤子を出産した……正確には、赤子の卵を産んだ、成体のメスだった。
「あんた」
「はい」
 メスは笑顔を崩さない。
 強制されたものではない、自然な笑顔を。
「この子の栄養になりなさい」
「喜んで」
 しゅるり、とメスは衣服を下ろした。

 目の前に自分の子供がいるのに、抱くことも叶わない……。
 それが悲劇に思えるのは、この場で恐らく私と、せいぜいがウィルくらいだろう。
 なにせ当のメスは、頬を上気させながら。
「あの……女王様、無礼ながら、一つ、お願いがあるのですが……」
「なに? 言ってみなさい」
「私は、その……痛みに快楽を覚えるので……首を絞めずに、お食べいただけませんでしょうか……」
 と、涎を垂らして頼み込むくらいだからだ。
【今回の件に関してはこの個体が相当なマゾヒストだったからだろうが】 
「なにかと思えば、そんなこと? この子を抱きしめたいとか、そういう願いかと思ったのに」
「私のような変態が母では、この子が可哀想です。この子の親は、女王様だけでございます」
「そう。じゃ、痛くしてあげるわ」
 言うや否や、ハヤナナはメスの尻尾を掴んで引き寄せ、一気に囓り取る。
「あひゅっ……!」
 電量が流されたかのように痙攣するメスの顔は、瞳は蕩け口はだらしなく開ききっていた。
「いい反応ね……簡単に食べるには惜しいわ。少しずつ、少しずつ噛み千切って……成長したこの子に、食べさせてあげようかしら」
 地球で聞いたら残虐極まりないこんな発言も、ハヤナナをトップとした蟻竜にとってはプレイの一種どころか、なんの変哲もない日常風景である。
「そ、そんな……私が、この子のご飯になるだなんて……」
 その光景を想像し、メスは長い陰核からどろどろと液体を滴らせるほどに興奮していた。



 2177.12....


























 2178.1.12



 ついに明日は、救難船が到着する日だ。
 到着と出発の時刻は早いため、彼女達と乱痴気騒ぎができるのも今日が最後だろう。
「……寂しくなるわね。ずっとここにいるとか、そういうのはやっぱり無し?」
「ありがたいお言葉ですが……」
「……」
「そっか。まあ生活があるんだし、引き留めるわけにもいかないわね」
 ハヤナナが柄にもなく悲しげな笑顔を見せる。
【思うに、彼女は個人としての性格はともかく、蟻竜の女王としては立派だったのだと思う】
【遭難してほとんど裸一貫の私達の技術提供など、大したものでもなかった】
【蟻竜の暮らしが豊かになったのは、ほとんど彼女の功績だ】
【彼女は確かに残虐非道で暴君で異常食欲と性欲を併せ持つ共食い大好きのサディストで同族に対して異常なまでに苛烈であったが、発達に伴うように人口を上手く調整できていたし、種の存亡についても考えていた】
【私達の価値観では蟻竜は蛮族だが、ウィルの言っていた通り、蟻竜は野蛮であるべきなのだろう】
 と、思いきや急に『よし!』と手を叩いたので少し驚いた。
 ハヤナナは気合いを入れ直し、私達をびしっと指さして宣言する。



「蟻竜が女王ハヤナナの誇りにかけて、真の送迎ってものを見せてやるわ!!」


【嫌な予感はした】

 そしてその晩、とんでもない事が起こった。
 蟻竜達すらも、驚きを隠せない程の。
「ふっふっふっふふふ……労う心は義の心。もてなす心は和の心……」
 どこで覚えたのか、よくわからないことを言いながらハヤナナは私とウィルを寝転んで見上げていた。
 全裸なのは特に珍しくもないが、メスに奉仕させずに一人で食卓に寝そべるのは滅多に見られる光景では無いだろう。
 そして。

「親愛なる友にして棒にして穴【個人としての性格はともかく】のウィル・ノートンとドワイト・ジェームズの両名に、この身を捧げる!
さぁ、二人とも! 私の身体、遠慮無く喰らい付きなさい!!」
 
 彼女はしたり顔で、自分を食べろと言い出したのだ。

「じょ、女王さま、何を……」
 あんた今日の朝食ね、と命じられても動じない蟻竜が、彼女の行動におっかなびっくりとしている。
「ああ、止めないで。全員よ。大丈夫大丈夫、どうせ二人とも大した量は食べられないし。死にはしないわ」
「ハ、ハヤナナ……正気か……? 痛いぞ……とても痛いぞ……?」
 『リミガニ』を命じられた奴隷も彼女の言動に狼狽える。
【彼女も拷問の一環として、他の蟻竜のように絞められた後ではなく、生きたままハヤナナと私達に『遊ばれた』経験を持つ】
【この頃には跡も残らない程すっかり完治しているが、彼女にとってあれは思い出すだけで震え上がるような苦痛であった】
 が、ハヤナナは無視した。
「あんた達には本当に世話になったわ。これはお礼のしるし。いつものように、がぶっといっちゃいなさい」
「じょ、女王陛下……俺達に、貴女を食べるなんてできませんよ……」
「その通りです。お気持ちはわかりました、どうかおやめ下さい……」
「やめろと言われてあたしがやめるとでも思うの? これは命令よ。あんた達二人には効かないなら……お願いでもいいわ」
 やめるとは到底思えないし、命令に加えてお願いとハヤナナに言われると、私達はとても弱い。
 とはいえ、じゃあいただきますと彼女の肉を喰らうわけにもいかなかった。
「そもそも、そこのなんかうるさい奴隷を叩きのめすためにあんた達を脅迫した【この件についてはもはや周知の事実だが蟻竜たちは見事な戦略と称えている】謝罪がまだ済んでないわ。あたしの個人的な復讐に無理矢理付き合わせ、よその星の内政に関与させる……ここならともかく、他の星ならおそらく大罪。死刑も考えられるでしょうね。メス達だけじゃなくて、あたしも身を削るくらいはしないと筋が通らないでしょ」
【今更も今更、こいつは何を言っているんだと思った】
「ごめんなさい。そして、ありがとう。あんた達二人がいなければ、あたしは今頃それ【説明は不要だろう】だったわ」
 柄にもないことこの上ない彼女の態度と台詞に、私達も蟻竜もただ驚くしかなかった。
「そんなことはもはや過去の事、女王陛下が気にすることはございません」
「第一、私達はこれ以上ないほどのいい思い、権力を傘に着ての贅沢三昧をさせて頂きました、今更何を……」 



 ずどん。


 ハヤナナが感謝の笑顔のまま立ち上がり、近くの石柱を腰の入った正拳一撃で粉砕する音だった。
 硬直する全員をよそにハヤナナは再び食卓に寝転んだ。



「あたしに向かって口答えする気?」

 こういう時のハヤナナは、笑顔を崩さない。
【感謝してるなら無茶な命令をしないでいただきたい】



 そういうわけで、ハヤナナの意のままに事は進む。
「って言うか、別に死ぬわけでもないんだからそこまでとやかく言うことないじゃない。身を削るったってこんなの大したことでもないわよ。形式形式」
「ハヤナナ、お前は噛み千切られるのを舐めている……!! 実際にされてみないと、あの痛みはわからないのだ!」
「うんちょっと黙りなさいあんた」
「……!」
「……では、参りますよ?」
「いちいち言わなくてもいいわよ。好きなとこ囓りなさい。ちんぽ以外で」
 まずはウィルがおそるおそる、彼女の滑らかな腹に口をつける。
「あっ……」
 ハヤナナのペニスが反応を見せ、官能的な吐息とともにぐぐっと上がっていく。
 ――がり。
「…………っ! いっ……」
 ウィルの歯が彼女の腹肉を少しだけ切り離すと共に、ハヤナナの顔が歪む。
「だ、大丈夫ですか!?」
「だから大げさだっつんでしょ!!! そこのちょっと身体を噛み千切られた程度でぴーぴー泣き喚く堪え性のない駄肉とあたしを一緒にしないで!!!! ほら噛んだ噛んだ! 飲んだ飲んだ!!」
 心配するウィルの頬を鷲づかみにして、無理矢理咀嚼させる。
「あんたら、そんなタラタラやってたら救助艇が来ちゃうわよ! この状況を説明する自信があるわけ!?」
【間違いなく、彼女はこの時が一番理不尽であった】
「ほらほら、身体を心配するならやることがあるんじゃないの、ウィル!? ドワイトも、とっとと食べなさい! 三秒以内!!」
 カウントダウンを始めるので、私は慌てて彼女の乳房を口に含んだ。
 再生するとは言ったが、乳首を噛み千切っていいものなのだろうか。一瞬の判断で、私は柔らかい下乳を前歯で裂いた。
「あいっ……! んはっ……」
【ハヤナナの乳肉は、やはりと言うべきか他の蟻竜に比べて良質だった】
【リミガニの肉すら上回る程に柔らかく、口の中で脂肪がとろける】
【そして勿論、美しい彼女の肉を飲み込むとその事に興奮し、勃起に繋がる】
【女王の肉は、媚薬であった】
 私が噛み千切った直後に、ウィルは痛みの中で反応する女王の証を手で掴んで弄くり回していた。
 彼女は損失の痛みを堪えながら、下腹部から来る快楽に身を委ねる。
「あっ……これなら、結構、大丈夫な感じ……そう、もっと、しごきながら、かじって……」
 細かく彼女の肌に傷をつけながらも、ペニスの愛撫に努める。
 ウィルの手の中で、ハヤナナの怒張は激しく脈を打っていた。
「あっ、いたっ、んっ、あっ、ちょっ、はぁ、んっ……なんか、これ、ちょっと、いいかもっ……」
 徐々に身体が慣れてきたのか、痛みと快楽のバランスが傾き始めたようだった。 
 噛み千切った時の反応に、徐々に喘ぎ声に近くなっていく。
 気付けばウィルは、彼女の野太い竿に口を付けてそれを必死にしゃぶりあげていた。
【ハヤナナもそれに気付いてはいたようだが、止める気は起きなかったようだ】
「ああっ、変な感じっ……! ウィルっ、そのまま、ドワイト、あたしの、乳っ、思いっきり、かんでっ……! 大丈夫だから、あたし、ちゃんと元通りに、なる、からっ……! がぶって、してぇっ……!!」
 彼女は苦痛と快楽の混じった感覚に身を捩らせて、私とウィルに命令じみた哀願をする。
 もう躊躇はしない。彼女の不器用な謝辞に、答えることにした。

 ――がじゅり。


「ひ、ああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!!!」


 私は彼女の、最高級の胸肉。
 ウィルは彼女の、最高級の女王汁。
 たっぷりと彼女の身体を真に堪能し、どうにかその儀式は終了した。





「からだいたい……」
【当たり前だ】
 ほとんど細かい傷とは言えハヤナナは身体の十数カ所を私達に捧げ、涙目でメスに包帯をぐるぐる巻かれていた。
「ご馳走様でした、女王陛下」
「確かに、陛下の血肉を頂戴致しました。これ以上なく美味でありました」
「にどとやんない……」
【それはそうだろう】
 ほとんど無理矢理、脳を騙して一時的に快楽を得たようなものであった。
 射精の前後以外は、痛みが勝って当然であろう。
「女王様、お願いですからあまり無理をなさらないで下さい……」
 手当をする蟻竜も、懇願していた。
「うん、しんぱいかけたわね……これっきりにするわ……そこのどれいにはまたやるけど……」
「!?」
 黙れと言われたままだったリミガニが『何故だ!?』と言いたげに彼女を見ていた。
【最初は多少罪悪感があったが、こいつはもうこれでいいと思う】


「さて」
 服装も相まって、古代エジプトの墓から出てきたようになったようなハヤナナが、改めて私達に向き直った。
「最後だしファックしましょ。痛みを和らげるにはやっぱりファックだわ」
【こいつも相当筋金入りだ】
「身体痛いから、あまり揺らさないでね……ウィル?」
「かしこまりました……では、俺に身を任せて下さい」
「うん……」
 やはり最後は、ハヤナナとウィルが二人っきりで交わる雰囲気となった。
 私にもそれを邪魔する気は起きなかった。
 別れを惜しむ蟻竜達が、私に抱かれに来たからだ。
【ところで余談だが、私とウィルは蟻竜のメスの大半を横取りするような形になり、オスに恨まれてはいないだろうかと思っていたが】
【そんなことは全くなく、心から別れを惜しんでくれた】
【理想的なリーダーとなったハヤナナの後押しや技術提供、それにリミガニ解放日の間接的な関与などもあってオスからもかなり感謝されていたらしい】
【なんとも都合の良い話ではあるが、まあ喜んでくれたなら幸いだ】

 私は出来うる限りのメスに精を注ぎ、別れを告げた。
 最後にはリミガニも、私に抱かれに来た【喋ることはどうにか許可されたようだ】。
「あなた方とは色々あったが、今日は特別な日だ。全てを水に流すとしようぶべっ」
【ハヤナナの命令だと言うことは知っているが】やたらと態度のでかいリミガニに、なんとなく私はチョップを食らわせた。
「……? ……?? 私、今何かおかしいことを言ったか……?」
 涙目で尋ねるリミガニをひん剥き、ペニスを挿れた。
「はぁ、んっ……!」
【文面だと忘れがちなので何度でも書く】
【リミガニはハヤナナに幾度となく虐げられているもはや哀れでもなんでもない奴隷だが、美しさは損なっていない】
【できることならハヤナナに私の都合のいい、と言うか『リミガニ』じゃなければなんでもいい、適当な性格にさせて持ち帰らせて欲しいくらいだ】
「あっ、すごいっ、ふといっ……! わ、私の奥の、良いところにっ……!」
【膣は締まるし乳房は弾む】
【端正できりっとした顔は涙ぐませるとこれ以上ないほどにそそる】
【唇は甘く髪質はしっとりと】
【おまけに良質なその肉は多少囓ったところですぐに元通りになる】
「ひぎぃっ……!? な、なんで噛むのだっ……! 痛い、痛いじゃないかぁっ……!! ふぇぇぇ、んっ……!」
【私は彼女に何度も中出ししながら肉を噛み千切った】
【あまりに悲鳴が煩いのでハヤナナに怒鳴られたリミガニは再び黙りこくってしまい、無言で痛みを堪えていた】
【その美しい顔が苦痛に染まると私のペニスは滾る】
【そして肉を噛むと彼女の膣はさらに狭まる】
【激しい性的快楽に、私は彼女の肉を更に求めた】

【この時私は――ハヤナナの欲求が、理解できたような気がした】














 2178.1.13



 

「ええと、では女王陛下、星間連盟の登録はしない、と言うことでよろしいのですね?」
「ええ。ありがたい話だけど、断らせて頂くわ。なんせあたし達、とっても野蛮なのよ。他の星のルールなんて、当てはめられないわ」
「そうですか……はい、了解致しました。一応連絡用の無線は置いておくので、何か用件があればこちらまでおかけ下さい」
【いつもより長い服を着た】ハヤナナは、救出艇の連絡員と簡単な手続きを進めていた。
 私は皆に別れの挨拶をして、ハヤナナから貰い受けた蟻竜のメスを連れて船へと進む。
【皆また来て下さいねと言っていたが、リミガニだけは二度と来るなといじけていた】
「……あの、ドワイト……」
 ウィルが、言いづらそうに口を開いた。
【私はとっくの昔に察していた】
「……やっぱり、残るか」
「すまないな、毎回……俺ばかり、わがままを言っていた」
「構わないさ。お前もせいぜい、女王陛下の機嫌を損ねて食糧にされないようにな」
【ウィルは言わなかったが、私にはわかっていた】
「……まあ、気をつける」
 ウィルは複雑に、爽やかな顔をしていた。
【彼は、もう蟻竜だ】
【生態が、とかそういうことではなく】
【野蛮な世界以外では、生きていくことができない】
【ハヤナナになら、捕食されてもいいかとさえ思っていることだろう】
【私は、違う】
【久しぶりに文明らしきもの、救出艇を見て目が覚めたような気分だった】
【野蛮に染まっていく自分に、まだ恐怖を覚えていた】
【私は異常者になっていたつもりの、ただの人間だったのだ】

「あのさ……やっぱり、ドワイトも残っていったらどう?」
 ハヤナナの提案に、私は首を振った。
「他の種族と比較した蟻竜の生態についても、調べたいことがあるんです。それに私もウィルも救出艇に乗らなければ、何のために呼んだのかわからない」
「……そりゃ、そうね」
 ハヤナナは涙を堪えていた。
【ウィルと相思相愛と思っていたが、私の事もそれなりには気に入っていたようだ】
「また来なさい」
「……はい」
 もう、来ることはないだろう。
 蟻竜達は美しく、美味く、私達を好きな、私達にとって都合の良い最高の種族だ。
 下心を除いても、ウィルやハヤナナにはまた会いたい。
【リミガニとは会話はしたくないが性交はしたい】

 だが、彼らは……いや、彼らといる私は、とても恐ろしい、野蛮で苛烈な化物だ。

 私は唯一の繋がりであり、心に残ったほんの少しの野蛮である蟻竜のメスの手を取って、救出艇に乗り込んだ。
 地面から、船が浮いていく。離れていく。
【蔑んでいるのではなく】蛮族の星。そこから私は飛び立っていくのだ。


 ここに、愛すべき、そして恐るべき蟻竜達との体験談を終える。
 蟻竜の済む惑星の場所は、伏せておく。【私が言える立場でも無いが】彼らは、あまり外部と関わらない方がいいのだ。
 どうしても蟻竜と交わりたいと言うなら探すのを止めはしない、が――
 私が帰ってこられたのは、奇跡に近い。
 あの星に行ったら、二度とは戻っては来られないことだろう。
 
 なぜならば――あそこに踏み行った人間は、蟻竜になってしまうからだ。


 (完)
































【……ああ】
【やはり、そうだった】
【蟻竜のメスも、大喜びで後押ししてくれた】
【彼女はとてもよくしてくれる、良い妻だ】
【だが、足りない】
【野蛮が、足りないのだ】

【私は、何を勘違いしていたのだろう】
【何を怖がることがあったのだろう】
【私は人間ではなかったのだ】

【私は



















《手記はここで終わっている》