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 祓魔一族・序列番付
 一位   瑙乃のうの
 二位   御守おまもり
 三位   しまい
 四位   紙矢かみや
 五位   繰鬼くるぎ
 六位   死舞しまい
 七位
 八位
 九位
 十位
 十一位
 十二位
 十三位
 十四位
 十五位
 十六位
 十七位
 十八位
 十九位
 二十位
 二十一位 神狩かんがり
 二十二位 詩屋しや

 
 



◎祓魔一族・序列四位 紙矢かみや家(一部分家は紙矢しや)
 
 書簡を紙鳥(折り紙で作った鳥)に運ばせる事による連絡技術を有する。
 飛脚や馬よりも速く、伝書鳩よりも正確かつ柔軟に文を届けられたため、古くよりその能力は重用されてきた。
 権力者の影に紙矢、と言われる程にその名を知らしめていた名家。
 札術の名門でもあり祓魔としての評価もかなり高いが、その特性故に直接戦闘よりは補佐に回ることが多かった。
 起源は平安時代の初め頃のため瑙乃なんかよりもずーっと歴史は古く、表立っては言わないし言えないものの秘密主義で協調性に欠ける瑙乃をあまり快く思っていない。が、実力差が実力差のため概ね追従の方針を取っている。
 電報が発明された辺りはまだ余裕を保っていたが、電話が海外で普及し始めると大慌て。
 政府にあんなもの邪教だとか欧米からの技術侵略だみたいな匿名文(バレバレ)を一族総出で四桁程送りつけたり、電話は通信会社に内容を盗み聞きされている! みたいなプロパガンダを行ったりするものの、残念ながら結果はご存知の通り。
 祓魔としてはともかく、連絡手段としての評価は今やボロボロのボロッカスで、かつての栄華の見る影もなくて、存在価値皆無の完全敗北で、まぁ控えめに言ってゴミ扱いである。
 その恨みで紙矢家は未だにスマホどころか固定電話すらなく、連絡とりにくいからいいかげん電話くらい引けって他の祓魔家に数百回だか数千回言われている。
 当然ながら電話を使う気は皆無。
 紙矢製の札は他の祓魔師にはもちろん霊感を持たない一般人的にも「なんか字の形と言うかオーラが霊に効きそうな感じある」と評判で、特に海外からの観光客には飛ぶように売れている。
 みーの君の家『詩屋しや』は紙矢の分家の一つ。霊力は少ないorほとんど無く、祓魔はおろか紙矢本家とも関係は薄く、法事で顔を合わせる程度。電話も引いてるしスマホも持っているしLINEも使う。
 霊力がほとんど無いとは言え、その『筆力』は脈々と受け継がれており、彼らの字には人の心を動かすような美しさがある。
 そのため手書きの手紙や作文、履歴書等は見る側に好印象を与えやすい。
 父が紙矢の血筋で母が偶然にも別の祓魔(の分家)からの血筋であり、偶然にも天才(瑙乃と比べなければ)レベルのみーの君が生まれた。
 祓魔一族同士の婚姻は頻繁に起こっているので、本当に偶然。
 ちなみにみーの君には妹がいるが、彼女は祓魔としての才能はそれほどない。ないこともないけど。

 紙矢家のいいとこ
 〇字が綺麗
 〇折り紙が上手(霊力が無くて折り紙教室を開いている分家もいる)
 〇ラブレターの代筆で小銭を稼げる(字に力が宿っているので脈がちょっとでもあれば効果がある)

 紙矢家のアレなとこ
 ×NTTに深い恨みを抱いている
 ×ベルとエジソン両者のイメージダウンを未だに狙っている
 ×不幸の手紙の発端(NTTに送りまくった)
 ×紙矢の令嬢と文通してて返すの忘れたら一週間後に郵便受けが破裂するレベルで追撃の手紙が来た






◎祓魔一族・序列三位 しまい
 
 縄や鎖、呪印等を用いた封印術を用いる。
 悪鬼羅刹の直接封印に限らず、呪われた人や物から呪縛のみを剥がして専用の呪具へと閉じ込める、解呪の一族でもある。
『祓魔の締めに終家』、と呼ばれる程にその封印術には定評があり、自らを『終焉を司る者』と称している。一族全員が。
 一族の家名と称号、そして役割を崇高かつ唯一絶対だと信じ込んでおり、『どう考えても序列一位以外あり得ない』と瑙乃及び二位に露骨に敵意を向けている。敵意を向けていると言っても「『祓魔一族・序列一位 終家』の方がかっこいいと思うんですけど……全体がぴしっと引き締まると思うんですけど……」って度々ぶつくさと愚痴るだけで、具体的な敵対行動を取ったりはしない。実力差が実力差なので。
 序列六位の死舞家と読みが同じでややこしいために「おしまい家」と呼ばれがちであり、数年前は某芸人がプチブームになったので「おしまい家る」、果ては「まいける家」などと称され枕を濡らす日々が続いていた。
 今では「終わり家」と呼ぶのがほとんどであり本人らも概ね納得と言うか妥協しているが、「終焉の方の……」と呼ぶと途端に元気になる。
 死舞家とは技術系統こそ全く掠りもしていないものの、名前に続き微妙にキャッチフレーズの方向性が被っていることもあってどうにも反りが合わない。
 が、互いに積極的に関わろうとはしないため、取り立てて険悪な関係と言う程でもない。どちらかと言うと、お互いちょっと不気味に思っている。
 その縛術は瑙乃すら参考にする(そして勝手に改良する)程の手際だが、対象が人型……それも女性の姿をしていた場合は不可抗力とは言え絵面がどうしてもいかがわしいものになってしまい、呼ばれていないのに見物に来る祓魔一族も少なくない。
 手が空いてさえいれば瑙乃も見に来る。
 霊力を上げるまじないとして独自の縛術を自らに化している……要するに一族全員常日頃から自分の身体を縄や鎖を用いて縛っているため、上記の件もあって陰では変態一族だの終焉の性癖だの呼ばれているが、本人らは全く気付いていない。
 また、収納術の達人としてもその道では有名であり、近所から苦情が来る程のゴミ屋敷に何物かがふらっと現れて一時間でゴミを全て分別、更に各部屋に散らばっていたコレクターグッズを年代別に並べて押し入れに簡易ディスプレイまで作って何も言わずに去った事件は終家の仕業では……と囁かれている。

 終家のいいとこ
 〇ロープを結ぶのが上手いのでキャンプの時等に活躍する
 〇凝ったデザインのマフラーを十分そこらで編める
 〇物持ちが良く、希少品などの適切な保存方法を教えてくれる
 〇幸いにも美男美女揃い

 終家のアレなとこ
 ×変態
 ×ナルシスト
 ×美男美女揃いじゃなかったら間違いなく汚物扱いされてた






◎祓魔一族・序列二位 御守おまもり

 主に防壁結界を用いた拠点防衛術を用いる。
 御守の結界は自他を覆い攻撃から守るだけに留まらず、破魔効果を付与しての反射、霊力に変換しての吸収など、単なる防御以上の役割を持つ。
 また、圧縮結界を射出し敵の内部で数百倍の大きさに解放する『膨陣』をはじめとした攻撃の術も揃っており、隙が無い。
 その範囲の広さと応用力の高さから、特に守勢においての要として重用されており、別格の瑙乃を除けば祓魔家の中でも最上位の地位を保ち続けている。
 現当主の御守風見は四十台手前にして瑙乃で言う『神罰』の領域に達した当代でも最高峰の術師であり、歴史に残る祓魔師と比べても遜色のない実力を持つ。
 大柄の体格に妖怪の方が怯む程の鋭い眼光を持つ威風堂々とした佇まいをしており、他家からの信頼は厚いものの、その口数の少なさも相まって近寄りがたい印象を与えている。
 皆に厳格かつ聡明な人物だと思われているが、実のところ彼の性格は温和にして平和主義……と言うか、会議中に『みんなもっと仲良くすればいいのになぁ』とか『難しい話はよくわからないなぁ』とか『天ぷらそばが食べたいなぁ』とか五歳児みたいな事をぼんやり考えている程ののんびり屋。
 戦闘においては冴えているものの組織内での権謀術数においてはポンコツ以外の何物でもないので、娘(三国志オタク)が付き従い発言権を握っている現状。
 実は光海と親交があり、彼の妖保護を影ながら手伝ったり自らも捕縛と称して弱い妖を匿って別宅に住まわせていたりとその感性は祓魔よりも一般人寄りで、娘からもよく甘いと叱責を受けている。(ちなみに光海の事は『あいつ絶対ロリコンだから注意しないとダメだよ』と警戒されている)
 とは言え人に害を成す人外に対しては魔も神も区別なく平等に滅する冷徹さを持ち、『人護之殺陣たて』として恐れられており、弱小妖怪には出会っただけで泣いて命乞いされて若干傷ついたりしている。
 光海曰く「光姫ちゃんとちょっと似てるとこある」。
 多くの祓魔一族が瑙乃に不信感を持っている中で、御守家(特に風見)は全面的に瑙乃を信頼しており、仲も概ね良好。実の所瑙乃が自由に動けるのも御守家の力が大きく、日ノ本安寧における影の立役者とも呼べる……のかもしれないが、瑙乃は誰に何と言われようが必要だと思ったら勝手に動くので、それほど大きい意味があるわけでもない。
 また、神社でもある御守家ではお守りを販売しているのだが、風見が付けた『御守のお守り』と言ういくらなんでもそのまんますぎるネーミングが微妙に(ネタとして)好評であり、冗談半分で買った一般人がその効力の高さに気付かず、知らず知らずの内に命を救われていたと言う事もままある。
 未だに娘には「ダサいから名前変えて」とせっつかれているが。

 御守家のいいとこ
 〇変人か変態か小悪党かみたいな祓魔一族の中ではまともすぎるほどまとも
 〇祓魔一族同士で大きな争いが起こらないのもだいたい御守のおかげ
 〇能力面において欠点らしい欠点が皆無
 〇お守りがかわいい

 御守家のアレなとこ
 ×現当主が若干平和ボケの気がある(まともだが変人じゃないとは言ってない)
 ×お守りの名前がダサい
 ×娘に三国志の話を振ると呉を中心に軽く四時間語られる







◎祓魔一族・序列六位 死舞しまい

 主に近接戦闘及び音楽を担当している。
 美麗かつ緻密なその攻撃動作は舞に例えられる……と言うよりも、元々が舞踏の中で敵を葬る暗殺一族なので、舞そのものが殺戮の術である。
 常に四人一組で行動し、踊手、弦手、笛手、鼓手と役割が分かれており、踊手が前衛となり敵と戦い、それを残り三人がサポートする形となっている。
 後衛三人が奏でる音色には魔を退ける効果や踊手の能力を飛躍的に向上させる効果、更には外部に剣戟音を漏らさず祭囃子の音として認識させる(催眠効果も含んでいる)、と言うある意味祓魔の中でも最も重要なポジションを担当しているため、一見ネタに見えるものの、賑やかし要員やチンドン屋など嘲る者はいない。
 たとえ内心思っていても。
 実際、古来戦にて太鼓を叩いたり歌を歌ったりして戦意を高揚させたり敵を威圧する例もある通り、戦闘において音楽と言うのはあながち軽視できるものでもない。
 のだが、本人たちが自分たちの事を「死の音色を奏で舞い冥府へ誘う『演葬者』」とかなんとか意味不明な事を言っているので終家と同じカテゴリ(厨二枠)に入れられている。
 読みが同じ終家の事を『なんかよくわかんないけど自分の事縄で縛ったりしてる危ない人達」と認識しており、終家は死舞家の事を「なんかよくわかんないけど音楽に合わせてダンスしながら妖の首を狩ったりする怖い人達」と認識している。似たもの同士。
 こちらは区別のため「舞う方」とか「死ぬ方」とか呼ばれているが、「死ぬ方だとこっちが死にそうな言い方だからやめろ」と怒られる。「ししまい家」もNG。
「舞う方」以外では「音楽の方」「楽団の方」あたりが無難な呼び方か。
 ところである祓魔師が「終家と死舞家は……姉妹家!」などと言ったことがあるが、死舞に無言でボコボコにされた上に終に簀巻きにされて甲六川に流されたし当然ながら誰一人止める者はいなかった。
 退魔の短剣を持ち、奏でられる音色のリズムに乗って踊りながら戦う姿は美しく……ないとまでは言わないが、踊手である現当主がむさいおっさんなために他の祓魔師の士気が上がるかと言われると微妙なところ。内心みんな美女である笛手の人が踊ればいいのになぁと思っており、次期当主候補の加奈ちゃん(12歳)の成長が待たれると言ったところ。
 瑙乃の事は特に好きでも嫌いでもないが、鼓手に関しては瑙乃に助けられた過去があり好意的であり、その上に戦いを間近で見たので憧れを持っている。

 死舞家のいいとこ
 〇音楽があると多少なりとも戦意は上がる
 〇祓魔には案外少なめなガチガチの前衛を担当する
 〇演奏が上手いのはもちろん現当主の歌は美声すぎてびっくりする

 死舞家のアレなとこ
 ×距離が近いとうるさい
 ×指示が聞き取りにくくなるため微妙に指揮系統に支障をきたす
 ×自作CDを毎回売りつけてくる







◎祓魔一族・序列二十一位 神狩かんがり

 非常に威力の高い攻撃術式を用いる。
 特に一族の秘伝である『縁切り』の効力は凄まじく、空に現れる闇の線さえ引き切ってしまえば対象がなんであろうと問答無用で『切り離す』事ができる。
 切り離されたもの同士は全く別の存在となってしまい、再生ができない……と言うか、『切り離された状態で完成していた』事になってしまうと言う小規模現実改変能力である。
 どれだけ巨大な、あるいは偉大な存在だろうと明らかに不自然かつ安定感に欠ける状態で『元々こうだった』ことになってしまい、それに違和感を覚えながらも前の状態に戻る事はできず、仮に自己進化などで補おうとしても思考と感覚と実体が一致せずにかえってバランスを崩してしまい、確実に戦力を削ぐ。
 恐ろしい事に、過去や並行世界の同一存在まで『元々こうだった』ことを押し付け、塗り替えてしまうという常識外れの効力を持ち、瑙乃を除けば真似できる家など皆無。
 なんであろうと、とは言っても対象は実体がある相手に限るものの、一度当たってしまえば防ぐことは不可能であり、特に大物相手にその効果は絶大。
 威力だけで見れば文句なく『神罰』級、ではあるのだが……
 なにが問題かと言うと、まずは術式の準備時間にたっぷり二十分かかると言う点。
 それだけの大規模かつ高威力の術式だから当然と言えば当然ではあるのだが、戦闘中に直立不動でロクに自分の身も守れず二十分もの隙を晒すのは、はっきり言って邪魔とすら言える。下手をすれば詠唱中に討伐が終わることの方が多いまである。
 その上射程は30mと、小型~中型の妖が相手ならまだしも大型の敵を相手取るなら至近距離とまで呼べる近さであり、安全な遠距離から狙う事も不可能。
 おまけに効果範囲は詠唱前に指定するため、相手に動き回られるとそもそも当てる事自体が困難……
 と、性能を総じて言えば実用性は皆無であり、役立たず以外の何者でもない。
 他の術も威力はかなり高いものの射程範囲や詠唱時間のバランスが劣悪であり、怪魔討伐にいるかいらないかで言えば完全にいらない。
「後ろで握り飯でも作ってた方がマシ」と初代様に評されるが、他の祓魔一族の認識も大差ないくらいである。
 まともな討伐に出られる力のある祓魔一族内で序列は最下位、実力はぶっちぎりのドベであり、今日も今日とて威勢よく討伐に名乗りを上げてはやんわりと待機を命じられている。
 現当主のはなしは女子高生であり、女と逃げた父、それを受け失踪した母に代わって病気の弟の医療費をバイト(祓魔の事務作業や御守家の売り子等)で払いながら神狩家復興を図っている。
 神狩家は元々地位も低く裕福な一族とは言えなかったが、その霊力の高さは頭一つ二つ抜けており、代々他家との婚姻……と言うか政略結婚によってどうにかこうにか家名を保ってきた。
 分家筋もほとんど他家に吸収され、残った噺は(一族の危機のためか)歴代でも類を見ないほどの莫大な霊力……瑙乃光空をして「霊力の大きさのみに限って言えばこちら側に近いかもしれない」とまで言わしめるほどの並外れた容量を有する。
 それを見抜いている家も見抜いていない家も等しく彼女を狙っており、他家からの見合い話は絶えない。
 奨学金で学校こそ通えるものの、電話代を払う余裕もないしスマホも借金取りに没収されてまともなバイトも厳しくなり、風俗行きか嫁入りかを十時間悩んでいたところを「電話もスマホも捨てて暮らす覚悟を持った気概ある若者がいる」とどこからか嗅ぎ付けた紙矢家にソウルフレンド扱いされ無利子で金を貸されてどうにか純潔を守り抜いた噺。
 彼女は今日も一族の誇りと自分たちの生活の板挟みに苦悩しつつ、祓魔会議中にちまちまと紙矢からもらった内職のシール貼りに勤しんでいる。
 なお瑙乃の事は「女を食い物にするクズの匂いがする」と過剰な警戒心を持っており、近づこうともしない。


 神狩家のいいとこ
 〇霊力が高く、婚姻を結べれば優秀な子が成せる(特に現当主は相当の逸材)
 〇現当主が頑張り屋で好感が持てる
 〇どこかに人の家の術式を改良し実用的に仕上げられるような規格外の大天才でもいれば序列がうなぎ上りするかもしれない

 神狩家のアレなとこ
 ×弱い
 ×ものすごい貧乏
 ×現当主がいつもお腹を空かせてて可哀想(御守当主から毎回彼の分の茶菓子を頂いてる)
 ×可哀想すぎてみんな強気に出られない
 ×現当主が「悪いけど討伐に貢献できないと報酬が出ないから…」と言っても弁当目当てに討伐に付いてくる







◎祓魔一族・序列五位 繰鬼くるぎ

 悪鬼羅刹、魑魅魍魎、妖怪変化の類を使役し、自分の力とする力を持つ。
 妖の強大な力をそのまま戦力として使えるため、非常に有用な能力……ではある。
 繰鬼の人間は15歳で霊力がピークに達し、そこから先はゆるやかに低下するという体質を持つ。
 そのため15歳になると繰鬼家地下の巨大迷宮へと降り、その中に潜む妖から自分が使役できる範疇で一番強い一体を探し出して契約すると言う過酷な試練に挑む。
 それを無事乗り越えた者が繰鬼の祓魔として迎えられ、討伐に参加が可能となる。
 ここまでなら大しておかしい話でもないのだが……その戦闘方法は傍から見ればとても奇怪。
 繰鬼の者は契約した妖と共に戦線に立つ。普通に考えれば祓魔師は下がってその妖に戦わせる、とか祓魔師と妖が共に戦う、などと言った戦法が浮かぶが……
 なんと繰鬼の場合、祓魔師のみが前に出て戦い、妖は他の家の後衛組に混じってただ見守るのである。自分では何もせずに。
 初めて繰鬼の戦いを見た者は一同皆「えっ何、お前は戦わないの」と言った目で妖を見つめるが、戦わない……と言うか戦えない理由はちゃんと存在する。
 と言うのも、繰鬼と使役した妖の契約と言うのが、『妖の能力を繰鬼が使えるようにする』といった内容であるのだ。
 自分の霊力で契約できる上限ギリギリの妖を使役することにより、霊力減少のストッパー効果と同時に妖の能力を丸々上乗せし、『妖の力を持ちながら祓魔の技術を使える人間』として戦う事が可能。その力は個々で戦うよりも段違いに強力である。
 事実、現当主のあきらは雷獣・浮電(動物で言えば狐に近い外見)と契約した結果、紫電を握る女傑として祓魔一族でも有数の戦闘力を誇っている。
 晶が前線で大暴れしている一方、後方では晶に力を託しているが契約上あまりに離れられない浮電(この状態だと野良猫に3:7で負ける)が所在なさげに鎮座している。
 体長は6m、体高は2m近くもある巨体のため、後方支援組からしたら絶妙に邪魔。
 そのためそれとなく隅っこに誘導され、役立たず仲間の神狩当主にもふもふされたりしている。
 晶は浮電を溺愛しており、寝る時はその小柄な体を生かして彼の口から腹の中に入り込み「一緒になるって言うのは、こういう事だよね……」などと言う異常性癖者。
 浮電の方は勘弁してほしいと思っている。
 またいい歳(27歳)にもなって頑なに婿を取ろうとせず、「私は浮電がいればいいの! 浮電の子供しか生まない! 抱け浮電!!」などと言って周囲を困らせている。
 一番困っているのは浮電である。
 その性癖故に他家からやべー性嗜好者扱いされているが、「普段から丸呑みされてると代謝が活性化してお肌のツヤが全然違うんだよ」などと言ったら一部の女当主(例を挙げると終家)が反応を見せた。
 繰鬼側は瑙乃に対し「うさん臭いが実力は認めざるを得ない」と考えている程度だが、瑙乃側は珍しく繰鬼を……と言うか、晶と浮電を凄く避けており、半径5m以内に入ろうとしない。
 彼女らに少しでも接触して瑙乃に帰ると、狐の匂いを嗅ぎつけた花凛が露骨に不機嫌になるからである。

 繰鬼家のいいとこ
 〇遠近どちらでも戦える上に耐久力も高く、頼りになる存在
 〇妖の力と祓魔の技術を両方使えるので戦術の幅が広い
 〇祓魔一族の中でも一際妖に詳しく、特徴や弱点を見抜くのが速い

 繰鬼家のアレなとこ
 ×現当主がケモナーで丸呑まれニスト
 ×契約した妖が邪魔(二代前の当主は鯨の妖と契約しておりそれはもう邪魔だった)
 ×現当主が「あーあ、どっかに妖怪と人間で交配して子を産む方法とか知ってる人いないかなー」とか言って瑙乃をビクッとさせる







◎祓魔一族・序列一位 瑙乃のうの
 
 転生を繰り返し人々の記憶に菫色の軌跡を残す最強にして最古の祓魔、【原初の紫】瑙乃光時を祖とする祓魔集団。
 神の遣いも仏の化身も地獄の使者も残らず全て噛み砕き、焼き尽くし、日ノ本全土を恐怖に陥れた最強最悪の大妖……【国崩しの悪華】濡尾花凛を滅鬼の器に精製し、孕ませた子供にまた孕ませるという近親相姦を繰り返すことにより、瑙乃光時の力と役割を高い次元で受け継がせ続けている。
『わけのわからないものは、わけのわからないままに滅せよ』の掟を是とし、正体不明の敵のことを探るのは無駄だから即刻排除しろ、と言った超攻撃的な思想によってありとあらゆる災禍を断ち切る。
 その力は二位以下とは桁が三つか四つ異なり、現在存在する祓魔師の総戦力の、実に九割九分を担う程の圧倒的力量差を誇る。
『神罰』級に達している術者……一般的な祓魔からしたら天の上の存在とすら呼べる袁螺や御守風見でさえ瑙乃にとっては、

『相対的に見れば割と強いけど本当なら最低ライン(光海)』
『ギリギリ戦力に数えられるレベル、流石に少なすぎる(光空)』
『ガンダムで例えると神罰級=MSって感じかな……神罰もピンキリだけど到達してようやく土俵に立てるというかそれ以下は一般ジオン兵と言うか……(光年)』
『頑張れば、たぶん……きっと……みーのくんの方が、強くなる……と思うから、頑張ってね……(光姫)』
『ゴミ掃除役(初代様)』
『高級おやつ(花凛)』

 程度の認識であり、瑙乃が相手をするような敵は雑魚の部類でも最低一人の『神罰』がいないと勝ち目はないに等しい。
 人と妖怪のハーフとして陰陽を宿した身から発せられる正負の極限エネルギーを指数関数的に増幅させ、対象がなんであろうと問答無用で消し飛ばす【太極】の神髄や豊富な神罰にて数々の災厄を屠ってきた。
 極限まで凝縮した反物質を直接叩きこむに等しい荒業のため、本気でやろうと思えばその威力は日ノ本どころか惑星を消滅させることなど容易く、外宇宙からの超次元侵略生命体すら打ち破った実績を持つ。
 日ノ本に住む人を守ると言う役割のため、純粋な人間(人外の血がクウォーターより薄いと純粋な人間扱いとなる)を殺害することは不可能(光姫がやったように魂を残した上で肉体を食べるのは可能)と言った縛りを抱えているものの、「俺が攻撃したのは人間じゃねェし。日ノ本だし」と言った抜け道があるので、実質縛りはないも同然。
 とは言え、いい加減ながらも命に代えても役割を果たそうとはする程度の責任感は皆持っているので、今日も日ノ本は平和である。
 祓魔一族はほぼほぼ全員が初代様が「てきとーに孕ませた」人や鬼、神や妖怪の末裔であり、言ってしまえば他家は瑙乃の遠い親族であり、初代様は名実共に祓魔の祖ではある……のだが、本人にあまり自覚はない。
「あー、言われてみればそうなるかもなァ……。……って事は俺、祓魔の可愛い子にちょっかいかけても許されるンじゃねェか? 『君たちのおじいちゃんです! 魔を祓えるのも私のおかげだから偉いんです! ちんちんをしゃぶって崇めなさい!』とかできるンじゃねェか? 初代様天才じゃねェか? 頭つよつよ美少年じゃねェか??」
 とか言い出すレベル。直後カリンちゃんにぶん殴られて鳥取まで飛んでった。なんて可哀想な光年くん。
 祖を同じくしながら瑙乃と他家で天地の差がついたのは、やはり濡尾花凛の存在が大きい。
 そのへんのてきとーな人外(瑙乃基準だと濡尾花凛や一部の割と強かったけど男だったりなんかわけのわからないやつだったからとっとと倒しちゃったりで性交ができなかったもの以外は大体てきとーな人外扱いである)や人間では、初代様の力の三分も継げば上等な方であり、その『神罰』級も代を重ねればほとんどは薄れていく。
 一方、瑙乃の子らは初代様の力を八割半~九割程受け継いでいる(一部得意分野は初代様を超えることもある)ので、実力の上では母親よりも僅かに上回っている。もっとも、花凛は瑙乃を(色んな意味で)知り尽くした上、瑙乃は初代様以外一族総マザコンのため(これが無ければだいたいトントン)実戦では敵わないが。
 ともあれ、花凛と並ぶ人外が日ノ本に出てきた例は未だかつてないので、今日も日ノ本は平和である。
 なお、フリーの祓魔師に何人か『神罰』級がいるのは、離反した瑙乃の血筋である。そのため、彼ら彼女らの目はうっすらと紫がかっている……のだが、瑙乃の秘伝は口外厳禁のため、分家である事は知っていても宗家で何が行われているか知っている者はごく僅かである。
 力の代償に一族の寿命は総じて短く、四十を過ぎたあたりからは目に見えて老化が始まり、六十を超えて生きていた者は数える程。
 特に、日ノ本の危機と呼べる災厄の退治は、負けることはまずない(老化していたら相討ちはあり得る)とは言え力の消費が激しく、場合によっては子供が元服を迎える前に息絶えてしまう。
 光空光海光陸の三つ子の父親も、彼らが離散する前に命を落としている。
 『神罰』兵装を収集しており、所有する『神罰』は実に三桁にも及ぶ。花凛が帳簿(最近Excelを覚えた)を付けて管理をしており、状況によっては他家に貸し出したり、条件付きで譲渡することもあるが、十全に使いこなせる祓魔と神罰兵装の組み合わせは極々僅か。
 また、家は瑙乃結界で守られており、花凛が庭を歩いても全く問題ない程度には傍聴対策は完璧。
「試したことはないけど多分核シェルターより安心」な強度を誇るものの、なんてことないツッコミでぱりんぱりん割られている。
 

 瑙乃家のいいとこ
 〇いないと日ノ本が滅ぶ
 〇他の祓魔一族に滅多に殉職者が出ないのも当然ながら瑙乃家の存在が大きい
 〇美男子の一族であり、表立っては言わないが女性の隠れファンが多い
 〇瑙乃の婿を取った一族は数代の間序列がうなぎ上りする

 瑙乃家のアレなとこ
 ×いないと日ノ本が滅ぶ
 ×徹底した秘密主義のため信用されていない
 ×他家にあまり興味もなく協調性も薄い
 ×一族総マザコンにしてロリコン
 ×秘密が知られたらとんでもなく面倒くさい事になる
 ×自分の家に友達を呼べない
 ×倫理観とか性格とか性癖とかめっちゃ歪む
 ×狐アレルギーと称して狐っぽいものに意地でも近寄ろうとしない
 ×初代様が控えめに言ってキチガイ
 ×瑙乃に任せておけば基本どうにでもなり犠牲者もほとんど出ないためいまいち祓魔一族全体の緊張感が薄い
 ×光姫が戦闘中にうっかり周囲(3㎞四方くらい)を食べてしまったりするので他の家がビビる(到着前に元通りになるのでまたビビる)
 ×なんか急に詩屋家とかいう知らん祓魔家をねじ込んできた





 
 
●瑙乃家初代当主・瑙乃のうの光時みつとき(初代様)

『原初の紫』。両性具有にして輪廻を繰り返し戦い続ける祓魔の頂にして日ノ本の守り人。
 陰と陽の力を爆発させてありとあらゆるものを消滅させる【太極】の開祖であるが、実の所一般的な陰陽道と太極道からは相当にかけ離れた別物であり、ほとんど無関係と言ってもいい。
 何千年何万年、あるいはそれよりも遥か昔から日ノ本を守るべく戦っている戦人だが、戦い続ける自分の運命に嫌気が差し、跡継ぎを産むに足る『滅鬼の器』を見出し、長い輪廻からようやく解放される。
 伝説の英雄、嘆きの戦鬼、菫色の雷神、日ノ本の牙、紫の守……多くの異名が語るように、運命に縛られながらも戦い抜いた悲壮な超人と思われがちであるが、
 その実態は適当にしていい加減、嘘つきにして大ホラ吹き、色狂いの女好き、酒と博打とだんごが大好きなお調子者のおっちゃんである。
 独り身の美女を見るや否や即座に口説き、滅ぼすべき妖や鬼すらもいい女なら倒してから抱き、種をばらまく日々。
 そんなことを日ノ本創生以前からやっているので、程度の差こそあれ彼の遺伝子を継いでいない日ノ本人はほぼいないと言ってもよく、祓魔の祖にして日ノ本人の祖と言っても過言ではない。
 心の奥底まで見通すような紫の瞳に、小柄ながらも凛々しさと雄々しさを感じさせる顔立ち。
 その美貌は両性な事も相まって、女のみならず男すら虜にするほど……なのだが、本人的には『一応まんこ付いてるし胸も若干あるけど正真正銘男だ。男に興味はねェ』とのことで、未だ男と寝たことはない。
 彼の思考はかなり男尊女卑……と言うか、俺様系を地で行く性格なので、女性の事は大好きだが下に見ている節があり、それが『自分は男だ』と言う思考に繋がっている。
 性嗜好はサディスティックで女性をいたぶりながら犯すのが好き……と言うものだが、それでいて邪険には扱えないで行為後は優しくしてしまう典型的DV男でもある。人間相手には責めは優しく、妖や神相手だと凌辱に近いものになる事が多い。
 男と交わる趣味がない一方、乱交や3Pなど一人の女性を複数で貫くのは大好きであり、各所悪友を作っては乱痴気騒ぎを行うこともしばしば。
 また、結構なナルシストであり、男である事を度々強調しながらも自分の裸体で欲情することができる。
 気に入った女性が見つからない時は、姿見に移った自分の姿で自慰に耽り、女装することも一度や二度ではなかった。本人曰く『俺は超イケメンの美男子だが女装すりゃァ超マブい女装美少年にもなる、つまり無敵ッってことだな』
 そのため、花凛など一部の妖に男根を生やさせて女の部分や肛門で交わった事もあり、男と寝たことはなくとも処女ではなかったりする(もっとも、転生を繰り返すので肉体的には処女だったりもするが)。
 繰り返すがあくまで本人的には男性なので、光年に「百合じゃないですか!!!!」と言われると「ブッころすぞ」とキレ気味に返す。
 花凛を残して死んだことに関しては、「子孫に囲まれるから俺がいなくなっても寂しくねェだろう」と本気で考えており、彼なりの気遣いではあったのだが、ものの見事に裏目に出ることになる。
 好きな女性のタイプはかわいこちゃん全部(特に花凛)、嫁にしたい女性のタイプは強気でしっかりしていながらも抱くと可愛い反応するタイプ(花凛)、母親になってほしい女性のタイプはちゃんと叱ってくれるけどなんだかんだで優しい人(花凛)。
 ベッタベタのベタ惚れであり、花凛に出会えて、戦えて、種付けできて、嫁にできて、子を産んでもらえたことで、これまで生きてきて本当によかったと心から思っている。
 彼女を残して早くに死んだのも、戦い続ける事が生きることだった人生に、安らぎを見つけて満足してしまった事による『生き続けながら死に続けていた魂が成仏してしまった』事が大きく、完全に本人の意思と言うわけではない。
 本当は寿命で死ぬつもりだったが、子を産ませ、花凛の膝枕で微睡む中でふと『このまま死ンだら幸せだなァ』と思ってしまい、うっかりそのまま魂を手放し、眠るように息を引き取ってしまったのが真実である。
 そしてコピーとして光年の意識から覚醒した時、花凛はそれはもう怒っていた。
 コピーとなってからは現代の瑙乃が自分の庇護も必要ない事を知り、光年の身体を使って花凛とデートしたり、花凛に愛を囁いたり、光姫の風呂を除いたり、うまいこと若者二人をくっつけて自分も光姫をいただけないかと企み花凛にボコられたり、これまで離れられなかった日ノ本を出て外国人美女ナンパ道中に臨み国を跨いで花凛の追跡(追撃)から逃げ続けたりと現世を満喫している。
 好きなアニメは作画がいい作品。


 初代様のいいとこ
 〇英雄

 初代様のアレなとこ
 ×アレじゃないところが少ない






●瑙乃家大母・瑙乃のうの光女みつめ(濡尾花凛光女)

 元・日ノ本史における最強最悪の大妖怪、初代様が戦った中で一番苦戦した暴虐の渦にして、現・瑙乃の子を孕み続ける滅鬼の器。
 幾多の神、鬼、悪霊、妖怪、未確認生命体を打ち滅ぼしてきた初代様をして「間違いようもなく最大の敵」と言わしめたその実力は、【国崩しの悪華】の名に違わぬもの。
 怪獣とも呼べる巨体からは想像できない程の速度……正確には『変化』による瞬間移動はあらゆる攻撃をすり抜けさせ、瞬きをする間もなく敵を胃の中に移動させて、刹那とかからず溶かし消滅させる。
 その前足で殴られたものはあまりの威力に爆散するより前に断熱圧縮による発火で燃え尽き、濡れたような模様をした尻尾を振り回せば風圧で地形が変わる。
 祓魔師もそうでない人間も等しく、それこそ呼吸をするように喰い殺し、善なる神も悪魔の化身も関係なく灼き尽くす『純なる混沌』。
 この世の災厄を凝縮したかのような存在である一方、その姿は人、妖怪の両方の姿において美しく、日ノ本を絶望の淵に追い込んで尚彼女を崇める者が少なからず存在したほど。
 元々は大した力もない一匹の狸妖怪の、それも子供だったが、突然の妖の強襲によって火葬し損なった初代様の遺体を口にした事で力に目覚め、「同じものを食べたい」と言う感情のみで人を、特に(遠く及ばないものの)多少はその味に近い祓魔師を喰らい、ついでとばかりに神霊や妖鬼をつまみ、みるみる内にその力を増していった。
 人を喰らっていく内に可憐な少女の姿を得て、第二の姿とするようになった。瞳の色は紫ではなく、濃く深い深紅。
 実は彼女がそうなるようになったのは、力を持ちながらその狡猾さで初代様から逃れ隠れ続けた一体の狐妖怪が仕向けたものである。
「何度消滅されても力を増して復活し、いずれは瑙乃を上回る」
「転生する瑙乃を魂ごと呑み込んで完全に滅ぼし、瑙乃がこの世から完全に消え去ったと同時にその身は亡びる」
 と言った漁夫の利の術式プログラムを三千年かけて編み出し、初代様が死んで生まれ変わるタイミングで火葬前に遺体に術式を付与。その後強力な妖をけしかけて遺体を奪わせ、その妖に喰わせるというもの。
 遺体を奪わせるところまでは成功したものの、偶然通りがかった祓魔師と争っている間に腹を空かした狸に食べられてしまう。
 とは言え、正直なところ元々の強さは大した問題でもなく、実際彼女は狐妖怪の思惑通りに瑙乃を脅かす程に強くなった。
 誤算があるとしたら、その狸妖怪……花凛はこれ以上ないほどの美少女となり。
 初代様がそれに完全に惚れてしまったことである。
 死闘の果てに勝利した初代様は花凛を犯し、犯し、何度も犯し、繋がったまま全国行脚して「大妖怪の尻穴使い放題祀り開催だァ! 野郎共、たッぷりほじくり回してやンぞ!!」と散々いじめてやり、犯し、犯し、愛を囁き、犯し、犯し、滅鬼の器に精製、犯し、犯し、ぽっくり死んでしまった。
 初代様の魂を喰らった所で術式が発動、花凛も滅びる……はずだったが、既に『瑙乃』の名と瞳、そしてなにより瑙乃に足る力を引き継いだ子供が既に生まれていたため、花凛は死ぬことなく瑙乃の大母に至る。
 その後、狐妖怪は花凛と瑙乃にありったけの呪詛を吐き散らかしつつ(ほんと使えねーわお前って言うかそれなら私の方が七千万倍かわいいからバーカ死ねクソダヌキとクソ紫目)海外へ逃亡。力を増しつつ、また新たな術式を開発中。
 瑙乃の一員となってからの彼女は瑙乃以外の人肉を喰らうこともなく、かつての暴虐が嘘のような穏やかな母親になった(それはそれとして息子たちに暴力は振るう)。
 下積み時代で培った『百華繚乱』『千変万華』をはじめとする連撃の型の多彩さで翻弄し(大抵の相手は残像すら見えずに死ぬ)濡尾狸の一撃で仕留める戦闘スタイルであり、瑙乃入りしてからは真似事ながら祓魔技術も使用可能。
 変化の多彩さで遥かに勝り、現実改変までできる光姫をもってしても本気になった花凛には触れる事すらできない。瑙乃の子らもほとんどは後の先で対応することしかできず、速度において互角に立ち回れたのは初代様を含めて片手の指で数える程。
 人間に化ける妖ではあるが他の妖とは異なり、「人肉を喰らいすぎて人間の体質を得た」と言う他に類を見ない特徴を持つため、不完全だが太極手甲も使うことができる。
 瑙乃の一族が妖に傾くことなく人と妖のバランスが取れているのも、この体質のおかげで(はあるが光姫が生まれた理由にでも)ある。
 外出こそほとんどできなかったものの現代社会への順応はできており、最近ではWordにExcelも使えるようになったりネット通販や動画視聴なども行っている。
 瑙乃のシステム的に生まれるのは男児ばっかりであったため、初めて産んだ娘の光姫が可愛くて仕方ない。
 更に瑙乃は基本的に母親を愛するようにできているため、光姫の方もお母様が可愛すぎて理性が飛びそうになっている。
 光年はどうにかしてイチャコラする美少女の母親と姉でインモラルな関係……具体的に言うと瑙乃式日常母子姦女同士エディションさせたいと画策しており、初代様の復活とみーの君をダシにしてドサクサ母娘百合計画を着々と進めている。
 好きな男性のタイプは目が紫色の美男子(特に初代様)、夫にしたい男性のタイプは強くて守ってくれる俺様系(初代様)、父親になってほしい男性のタイプは付きっきりで相手をしてくれる自分の事を大好きな人(初代様)。
 ベッタベタのベタ惚れであり、初代様に出会えて、戦えて、種付けさせられて、嫁にさせられて、子を産まされ続けて、辛い事以上に幸せが多かったと述懐しており、彼が早々に死んだ時には後を追いそうになったほど。
 幼い息子の顔で思い留まるも、その悲しみは700年間……コピーとは言え初代様にもう一度会えるまで、和らぐことはあっても晴れることはなかった。
 初代様コピーが発現してからは「外出厳禁? 知らねェな、誰だそンなルール作ったの」とばかりに連れ回されたり、初代様に思う存分甘えたり、初代様と光空の二人に犯されたり、初代様をボコったりしている。
 好きなアニメは低予算を上手くカバーしてる作品。


 カリンちゃんのいいとこ
 〇瑙乃の柱
 〇ロリババア
 〇家族思い
 〇ネットリテラシーが高い

 カリンちゃんのアレなとこ
 ×国崩しの悪華
 ×暴虐の渦
 ×純なる混沌
 ×手が早い
 ×親バカ(特に光姫)
 ×それいる? ってアニメのブルーレイとか衝動買いしちゃう





●瑙乃家現当主・瑙乃のうの光空みつそら

 札術時点における瑙乃の当主。花凛の孫にして子にして婿であり、光姫と光空の父親。
 やや嗜虐的な性嗜好を持つ、三つ子の長男。
 常識人にして良識人であり、イレギュラーの光姫を(滅鬼の器はそもそも花凛がいるので)瑙乃の役割とは関係なく育てる方針を決めた(と言うか花凛に従った)。
(抜けている事を除けば)可愛い娘に(時々おかしくなることを除けば)聡明な息子を持ち、忙しいながらも充実した日々を送っている。
 光姫を可愛く思っているがそれはあくまで父親としてであり、「母子姦はともかく父娘姦はない」ときっぱり言い張る超・常識人(瑙乃基準)。
 更に、友人を家に連れてくることもできず、学校では目立たないよう常に微弱な変化をしている娘に理解のある男友達ができたことを喜ぶ、真っ当すぎる良識人。
 ロリコンでマザコンであると言う瑙乃の大前提さえ目を瞑れば本当に良識人。
 光年に初代様の人格が発現したことについては、花凛が嬉しそうで安心した反面、初代様の無茶に付き合わされる光年の身を案じている。
 祓魔としての得意分野は縛術であり、趣味は終家の女妖討伐を式神に撮影させ、家に帰って花凛に同じ縛り方をする事。
 好きなアニメは国民的人気作品。
 

 光空のいいとこ
 〇瑙乃史上でも屈指の人格者
 〇オンオフの切り替えができている
 〇比較的他の祓魔に関心を持ちコミュニケーションを取る方

 光空のアレなとこ
 ×地味
 ×抜け毛が多い
 ×光姫が一緒にお風呂に入ってくれなくなった時にショックのあまり花凛を娘扱いして無理矢理入れた(ものすごい殴られた)







●故人・瑙乃のうの光陸みつりく

 花凛の贄となって生涯を終えた三つ子の次男。
 穏やかな性格であり、愛する母親の花凛に全てを捧げた。
 近親相姦とペドと飲尿とおまけに授乳手コキ趣味であることさえ目を瞑れば、非の打ち所のない美男子であった。
 肉体も魂も完全に消滅しているものの、光空と光海が揃っていると不思議と花凛に力が漲るため、彼女の中で生きていると言う解釈も可能。
 祓魔としての得意分野は癒術であり、趣味は催眠(自分がかかる方)。
 好きなアニメは泣ける作品。


 光陸のいいとこ
 〇母親思いのいい子
 〇外れ役を進んで引き受ける
 〇庇護欲をそそる(花凛談)

 光陸のアレなとこ
 ×すごいマゾ
 ×瑙乃史上でも飲尿は初めてで花凛もドン引きした
 ×母親の声で作った催眠音声がPCに眠っている







●瑙乃離反者・光海みつうみ

 三つ子の末っ子。しっかり者の長男、優しい次男と別方向にいい子な二人とは打って変わった問題児。
 元・瑙乃にして今はフリーのロリコン……ではなく札術師。妖を祓うことはあまりないので祓魔師とは名乗っていない。
 力なき妖やはぐれ神霊……特に美少女のそれらを保護と言う名目の元収集し、愛でたりはべらせたりしている変態。
 瑙乃、ひいては祓魔全体の「魔は狩るもので神霊は見張るもの」と言う方針に異を唱え、出奔。
 主に瑙乃や二十一家が見向きもせず、祓魔協会が追うような弱ったらしい類のものを収集しており、その数は第五世代のポケモンより多い。
 また、美女や美少女ではあるが力のある妖……瑙乃なら躊躇も容赦もなく滅殺すべきものをも祓おうとせずに捕獲する、自称「出来損ない」。
 とは言っても、初代様も似たようなことをやっていたのである意味では彼に一番近い存在とも呼べる。
 性格はテキトーでクズ度が高いものの、弟子の窮地に駆けつけるなど面倒見はいい。
 祓魔に祓われかけていたところを光海に救われた山狗・笛吏は、彼の相棒にして一番信頼している使い魔。
 高い妖力故に同胞からも避けられ、孤独の中で祓魔師から逃げ続けて妖でありながら夜に怯える日々を過ごしていた所を捕獲され持ち帰られる。
 その身を改造され、神罰兼性玩具にされて尚「この身朽ち果てるまで貴方の盾と成ります」と絶対の忠誠を誓うような可愛い少女であった、のだが……。

「ロリはいっぱいいるし女子大生くらいで成長止まるようにしよっと」
 ↓
「やっぱロリが一番だな!」

 と、中途半端な所で成長を止められた上に扱いがぞんざいになった上、少女ばかりに構う光海にキレて頭をかち割り札の中に引き籠るようになった。
 一応光海的には「ロリ趣味を許容してくれる嫁って扱いにしたつもりだったんだけど……」と思っているが、笛吏はすっかりフテている。
 とは言え根本的なちょろさは残っており、「君にしかできない」と言われてみーの君の面倒を見ることになった。
「おめーもあまり『まー大丈夫だろ、あいつの事は俺が一番知ってる』とか言って女放ッておくと後々取返しのつかねェことになンぞ」
 と言う初代様の説得力のありすぎるお言葉を聞き、笛吏を返して貰おうか悩み中。
 祓魔としての得意分野は札術。趣味は幼女に囲まれて寝ることであり、表の職業はカードショップ経営。
 瀕死の笛吏に左肩の肉を食い千切らせており、凶狗の牙の毒により水平より上に上がらない。
 治せないことはないものの自分でやろうとするととても痛く、癒術(と縛術)を兄任せにしていたツケを払う形になったが、傷を見る度に笛吏の態度が柔らかくなるのでまぁいいやと思っている。
 好きなアニメは豪華声優陣の作品。
 

 光海のいいとこ
 〇面倒見がいい
 〇助けを求められたら美少女じゃなくても保護してしまうお人よし
 〇笛吏に完全に見捨てられない程度には優しい

 光海のアレなとこ
 ×クズ
 ×ロリコン度合に関しては瑙乃史上最上
 ×ハーレム野郎なのに女を平等に愛さない
 ×たぶん最期は刺されて死ぬ








●瑙乃家長女・瑙乃のうの光姫みつき(野々宮光姫)
 
 瑙乃の歴史において初めて生まれた女児にして、大妖怪・濡尾花凛の血を強く受け継いだ瑙乃の異端児。
 祓魔の血が薄く、妖としては年期も喰らった祓魔の肉と魂(実質皆無)もまるで足りていないため、同年齢時点の歴代瑙乃で最弱。
 悪状況が重なりに重なれば瑙乃以外の人間や妖……神罰級に達した実力者に不覚を取りかねないと言った落ちこぼれ。
 とは言え汎用性に関しては母親のそれとは一線を画す『変化』の応用力は凄まじく、ぶち切れた時は(腕は鈍り相棒は貸出中と瑙乃の中では弱い方だが)光海にUR切り札の一枚を使わせる程度の実力はある。
 光海の勘通り、才能に関しては弟同様並外れたものがあり、経験を積めば濡尾花凛の再来と呼ぶにふさわしい大妖怪になるかもしれない。
 その性格はマイペースののんびり屋、いやらしいことに興味深々の年頃少女。
 目立たないように、深い人間関係を築かないようにと『変化』をかけ、たぬき耳と尻尾を隠蔽。更に顔も印象に残らないようにしており、その端麗な顔に反して彼女の見た目に惹かれるものはいない。
 変化を解いて黙ってさえいれば憂いを帯びた目をしたミステリアスな獣耳美少女に見えるが、いざ喋ると二秒でポンコツっぷりが判明してしまう。
 正体を看破されたドキドキと恋のときめきを勘違いしてしまったのか、実力はまるで及ばないながらも君を守りたいと攻撃してくる光姫視点で言うとアホでしかないみーの君に惚れてしまうお花畑ガール。
 とは言え、みーの君をうっかり食べてしまってもあまり気にされなかったり、光姫も彼の唐突な全裸脱衣もガン見したりとくっついてみたら見事に凸と凹がはまるカップルだったので結果オーライと言ったところか。
 彼女の『変化』は「自分の姿を変える」の強化版と言うか拡大解釈であり、「周囲を勝手に自分と同一とみなして強制的に変化させる」と言った無茶苦茶な理屈を以てその権能を成す。
 その範囲は本気を出せば数kmにも及び、そこにあったもの、そこにいたものは全て一瞬で食べ尽くされてしまう……と言う並外れた被害をもたらすが、魂までは喰らわない(命を喰らって自分の力へと変えない)ため復元は非常に容易。
 国が揺れるレベルの大惨事である判明終わってしまえば実害はないっちゃないと言うわけのわからない事象を「ごめん、なさい……」で済ますが、とんでもない傍迷惑には変わりないため、緊急事態以外は使用禁止としている(割と簡単に破られる)。
「現実改変」「破壊と創造」とまで呼ばれる能力の通り、空間湾曲からの作成、領域支配も可能であり、応用で神罰の劣化コピー(の劣化コピーの劣化コピーと言ったレベルだが)の顕現すらできる。
 質こそ『紙粘土で作った玩具』の範疇を出ないが、量はいとも簡単に百、千を用意することができると言う瑙乃の外から見れば規格外にも程がある容量を秘めている。
 家族が大好きで、特にお母様……花凛の可愛らしさに日々悶えており、甘やかされて甘えてで毎日がハッピーな反面「自分が男児だったら花凛と交わっていた」と言う事実に(学校で)気づき、授業中にも関わらずぽろぽろ泣いてしまう程。
 母を愛する……それも性の対象と見るようになる瑙乃システムの弊害で立派なバイセクシャルムッツリスケベはらぺこ獣耳美少女となってしまった光姫の明日はどっちだ。
 ちなみにみーの君的には隙あらば親子丼キメたいと思っているため、むしろ母娘インモラルを提唱する光年に乗り気味である。
 好きなアニメはえっちなシーンや百合要素、BL要素が多い作品。


 光姫のいいとこ
 〇可愛い
 〇成長が期待できる
 〇いい意味(主観的意見)で性に奔放
 〇かわいく言えば天然
 
 光姫のアレなとこ
 ×現状瑙乃最弱
 ×辛辣に言えばアホ
 ×歩く傍迷惑
 ×甘やかされて育ったため一時的に数千人を食べるという新聞一面総ナメレベルの被害が軽いノリで許される(主に花凛が許す)





●瑙乃家長男・瑙乃のうの光年みつとし

 次代・瑙乃当主。
 光姫が誕生し、両親は大層驚き喜んだ(主に花凛が)ものの、瑙乃の仕組み上男児でないと跡継ぎになれないために生まれた。
 あるいは初代様に匹敵する才を持った麒麟児、珠玉の紫であり、実際に彼は初代様の人格を表層化することに成功する。
 と言うのも、彼も初代様に指摘するまで全く気付かなかったのだが……体内に女性器を有した両性具有であるのだ。
 入口は厚い皮を張っているように覆われており外からは確認できないが、ちょちょっと切開手術をすれば使用も可能。
 と、言う事を知った時の彼の第一声が「百合ができるじゃん!!!!!!!」であった。
 瑙乃一族の解説でちょいちょい出ていた通り、彼は母親と姉の濃厚なスキンシップを「トウトイ...トウトイ...」と呟いて拝むかなり重度の百合豚。
 ブレーキが外れてなんでもBLにしたがる腐女子の如く、光年は女性が二人いたらそこに突飛な関係性を見出し……と言うか妄想し、てぇてぇてぇてぇと口走る。実際母親と姉の愛情は親子のそれを軽く跳び超えているが。
 実際に半分女性とは言え、瑙乃一族もみーのくんもみんな揃って男性扱いする(本人もそうしろって言うし)初代様を頑なに女性と決めつけて、何が何でも母親との百合婚説を提唱するその熱意は初代様を以て「こいつ一番おかしいんじゃねェのか」と言わしめるほど。
 そんな彼も自身が半分女性と知って、「これで……これで、母様と姉ちゃんときゃっきゃうふふしても……許されるんだ……」と泣き崩れる。初代様は「別にしたけりゃすりゃァよかッたンじゃね……?」とわけがわからなそうな顔で見てた。
 なお、百合は三度の飯よりも好きだが彼はNL(そんな普通の事わざわざアルファベット使ッてまで言うことかァ?)を否定しているわけではなく、みーの君と姉の交際自体も「姉ちゃんが瑙乃に縛られず幸せになれる」と前向きに捉えている。
「思うんです、俺は……女の子はストレートでもレズビアンでもなく、バイセクシャルなのが自然な形なんじゃないかって……」と菩薩のようなツラで言うが、ちょっとわかるって顔をしたのは光海とみーの君くらいだった……割と理解者は多い。
 光年自体も初代様と同じく異性愛者(身体の方が半陰陽なので面倒くさいが)であり、恋愛対象として男に興味はない(ついでにBLもない)が、男友達と一緒にいるのは好きと言った普通の少年。ちなみに初代様は彼基準だと女の子なので「余裕ですね」とのこと。初代様げっそり。
 祓魔としての得意分野は幻術、心術(「自分にはこれができる」と信じ込む力)。
 フィジカル面においては初代様がトップであるが、メンタル面において光年に並ぶ者は誰一人おらず、それは初代様ですら例外ではない。
 初代様(コピー)の顕現に多大なリソースを割いているために彼に体の主導権を握られてしまいがちだが、そもそも『自分を消すことなく初代様を居座らせる』ことができる心の容量が並外れている。
 好きなアニメは百合要素がある作品とガンダム系。特にXとUC。


 光年のいいとこ
 〇天才
 〇家族思い
 〇一度心を決めれば初代様のやっていた事を何億年でも淡々とこなし続けることが可能な逸した精神力
 〇姉に比べて母親にぞんざいに扱われがちだが、自分もちゃんと愛されていると言う事を理解しているので全く歪むことなく育った
 
 光年のアレなとこ
 ×百合豚
 ×違う意味で歪んだ
 ×部屋でガンプラの塗装してるのでシンナー臭かったりする(換気しねーから頭溶けてンだよおめーはってよく言われる)
 ×「みーの兄さん、これを機に(?)TSしませんか? 瑙乃の術なら、やってやれないことはないと思いますが……」って真顔で言って逃げられたりする




●フリー祓魔師・喰谷くらたに 晴香はるか/鈴乃すずの

 祓魔連盟(二十一家+協会)に入っていないフリー祓魔の内、最高峰の実力を持つ術師。
 江戸中期に枝分かれした瑙乃の分家筋でありながら、当主が討伐よりも研究……それも人に妖の特質をそのまま埋め込むと言った敬遠されがちなものに力を入れていたために、
「嫁を入れると実験台にされる」という風評被害により祓魔一族に婚姻を避けられ、その血は見る影もないほど薄まっており、二十一家にも入れないほど弱く分家もない弱小祓魔一族「倉谷」の生まれ。
 幼い頃に嫉妬に狂った父母に禁呪を用いた改造を受け、姉妹共に「口に入れた物はなんでも食べる事ができ、その力を得ることができる」特質を手に入れられる。
 姉の晴香は術後も一応は正常だったが、妹鈴乃は直後に躊躇なく父母を捕食、殺害。そのまま身をくらます。
 晴香は「いくら食べても誰も咎めない」妖を狩るようになり、鈴乃は「食べたい時に食べたい物を食べる」と人も魔も選ばず喰らうけだものとなってしまう。
 姉妹共に食べた妖の力を得て力を増していくも、学校にも通わずにひたすら暴食を繰り返す鈴乃はみるみる内に強くなり、ついには獲物を横取りした祓魔協会員まで捕食してしまう。
 人の身でありながらついに祓魔連盟の討伐対象に挙がってしまった妹を自分の手で屠るべく、晴香は鈴乃との殺し合いに臨む。
 圧倒的な実力差に打ちのめされる晴香だが、自分の身体に喰らい付き捕食しようとする妹に逆に牙を突き立て、『大食い勝負』なら負けないと笑い、鈴乃も面白そうに笑みを返す。
 重なり合う咀嚼音はやがて同時に静まっていき、後には一人の少女が血溜まりに座り込んでいた……。


 と、言う話を血筋から決着まで語りたくて仕方ないが一般人相手にするとドン引きされる(された)ので知り合った祓魔師に自己紹介代わりに毎回語る(そしてドン引きされる)女子高生の少女、晴香。
「人間以外ならなんでも食べるって言ったのに人間の妹を食べてしまったのか、だって……?(聞かれてない) 違うね。鈴乃はもう、ヒトじゃなくなってたよ……」と目から一筋の涙を流して言うが、その手には目薬が握られている。
 両親にもあまり思い入れがなかったので倉谷の名を継ぐことはせず、フリー祓魔師としてその辺の妖をもぐもぐしたり討伐にふらっと現れて倒された妖を切り分けようとして止められたりしている。
 所有する神罰の全能包丁『神おろし』の切れ味は凄まじく、「あれをそのまま大きくしたら豆腐のように惑星を切り分ける」とまで称される業物。
 切れ味抜群の包丁と並の妖を軽く上回る身体能力は中々の実力を持つ……のだが、未だ神罰を十全に使いこなせているとは到底呼べず、『二十一家の中でもかなり強い方』止まり。
 その真の実力は、内なる妹に『代わった』事による桁違いの膂力と俊敏性、そして土地神を喰らった事で得た『領域支配』能力。
 自分に強化バフを、敵に弱体デバフをそれぞれ与える力は、相手を問わず優先的に発動される。
 現実改変級の光姫にはまるで及ばないとは言え、指定した『ホーム』で戦うと言う事は、彼女の口の中にいるに等しい。
「妖として討伐するなら二十一家では人的被害が予測される(瑙乃が出る理由になる)」レベルであり、祓魔としては文句なく神罰級。
 幸いにも、鈴乃の人格は「負けましたからね」と概ね素直に姉に従っており、今は人間に牙を剥くことはない様子。
 余談だが、百合フリーク……それも血縁関係のそれが三度の飯よりも好きな光年の推し姉妹である。
 大半が「もういいです……」って聞きたがらない彼女の自己紹介に興味を示し、「はい、はい! 姉妹レズセ……じゃなかった、決闘で食べ合った時のお互いの味はどうでしたか!?」と鼻息を荒くして質問し、
 晴香「のーこーでおいしかった。産んだ子供に転生してあげますからまた食べ合いましょうって言ってるから結婚するの楽しみだなー」
 鈴乃「美味しくなるまでずっとその身を貪る事を夢見てきた姉さんですから、この世の何よりも甘美でした。今もたまに身体を借りては味を愉しんでます」
 と言う答えを聞いて尊みでぶっ倒れた。


 喰谷姉妹のいいとこ
 〇在野に強い祓魔がいると手が回るので助かる
 〇ご飯を美味しそうに食べる
 〇フリーにしては珍しく敵を選ばない

 喰谷姉妹のアレなとこ
 ×戦い方と言うか退治の仕方がグロい
 ×自分史がグロい上に長い
 ×呼ばれてないのに祓魔の忘年会に来て料理を食べ漁る
 ×浮電を涎を垂らしながらじーっと見つめてたりするので繰鬼にすげー警戒されてる
 

       

表紙

えろま 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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Neetsha