あれから二年がたった。
モテ男は自らの力については隠し続け、日常を保ち続けていた。
彼ならきっと他の道も選べていただろうに。
「ふぅ、まったくモテ男は辛いよ」
そんな彼は今年で高校二年生、花の青春野郎だった。
「モテ男くーん」
「キャーキャー」
「ウホッ」
校内ではアイドルなんて目じゃないほどの黄色い声援が轟く。
その声援は男女問わず大きい物だったという。
そんな中にいた今回の犠牲者はクラス委員のアンポンタン。
彼女は長い髪にメガネ、まさにアレである。
「モテ男くん、早くプリント出しなさいよね」
などと偉そうに言うあたりが無性に腹立たしい。
そんなこんなで放課後。
「モテ男くん、帰ろう」
さて、この仔はモテ男が少し本気な女の子。
タイプは幼馴染、産まれてからずっと一緒。
そんな彼女もモテ男に気があるようで。
「おう、行こうぜぃ」
そうして二人は帰路につく。
はてさて何が起こるのか、これは見所。
と、危機は突然に。
道路に子猫がニャーニャーと。
それを庇おうと幼馴染が行く。そこへやはりトラックが。
「危ないっ」
ここでモテ男はベルトを思い出す。
ここで使わずいつ使うのだ、すぐに手をかける。
はてさて生贄に迷う、しかし時間がない。
咄嗟に前の方の歩道にいたクラス委員を犠牲にしようと考える。
「クラス委員の命を引き換えに俺はあいつを救う」
そう言うと光が彼を包む。
「変身!」
モテ男はこうして最強のヒーローと化した。
腕は鋼鉄、足はバネのよう、飛んだ姿はまるで鳥。
瞬間移動にほど近いダッシュで見事幼馴染を救う、ついでに猫も。
「ありがと…?」
少し戸惑う幼馴染、しかしこれで一件落着。
気を抜いて変身を解除する。
しかしトラック、目の前の状況に焦ったか、先の歩道へと突っ込む。
そしてクラス委員はこれに潰される。
この事態にみな唖然。
警察もやってきてちょっとした騒動に。
後ほどトラックの運転手は無事だったことや、瞬間移動する少年だなんだ言っていて錯乱していたことなどが分かった。
さあこれからどうなる、モテ男くん。