Neetel Inside 文芸新都
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この町に生まれて
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この町に生まれて
一章
一話 公園
あいつになら何を言っても傷つかないだろう、もし傷ついたとしても、面には出さない,そんな風に僕は思われている。
 夏休みから一か月たった月曜日。小学3年生の僕は宿題をランドセルに入れて、玄関に置いてある家の鍵を取って家を出た。
僕の家は歩いて5分ぐらいのところに学校があり、みんなからよく羨ましがられるが、僕は学校から近いのがあまり好きではなかった。だからわざわざ早く家を出て遠回りと寄り道をして学校に行くようにしている。寄り道をする場所は家の近くの山にある誰も行こうとはしないさびれた小さな公園。そこから歩いて学校に行くのは20分かかる。学校に着くのはいつも遅刻10分前だ。
今日も公園に着いた、この公園にはベンチが2つとブランコと滑り台あと小さな砂場がある。そしていつも僕は左側のベンチでこの町の風景を見ている
この町はとても小さな町なのでコンビニもないし、大きなスーパーもない。驚くほど不便な町だ、僕はこの何もない町が嫌いだ。でも公園から見る町の風景はすごく好きだ、まるで自分が大きくなったような気がするこの景色が大好きだ。
僕はこの公園に毎日来ている、雨の日も雪の日も来ている。僕はどんな状態でもこの公園の風景好きだ。
僕が左側のベンチでこの町の景色を見ているとひとりの女の子が右側のベンチに座った。
僕がこの公園を知って以来、僕以外の人が朝に来るのは初めてだった。僕は少しびっくりしたが何もなかったかのように景色を見ることにした。すると今度は僕に向かって女の子が話しかけてきた。
「ここの景色ってとってもきれいだね」
そう言った後、女の子は僕に向かって笑顔を見せて
「私、稲月優っていうんだ。ここで会ったのも何かの縁だから友達にならない?」
僕はその女の子が言ったことにびっくりしてうつむいてしまった。しかし、女の子は僕の返答を待つかのようにじっと僕に視線を送ってくる。僕はあまりはっきりとしない声で
「僕は関純って言うんだ、よろしくね、えっと・・・」
僕がそういうと稲月さんは少し怒った顔で
「友達なんだから名前で呼ぼうよ、私は純君って呼ぶから純君は優ちゃんってよんで」
勝手に友達にされているけどまあいいか、そして僕はその女の子のことを優ちゃんと呼ぶことにした
「よろしくね優ちゃん」
僕が右手を出し握手を求めると優ちゃんは慌ててスカートで手を拭いて
「こちらこそ純君」
しっかりと握手を交わし、これで僕たちはちゃんとした友達になった。
 握手をした後に時計を見ると7時30分ぐらいだったので優ちゃんと少し話をすることにした。
 まずは学校の話、びっくりしたのが優ちゃんは6年生だということ。てっきり背が僕より少し大きいぐらいなので四年生ぐらいだと思ってた。とても3歳も年上には見えなかった。
次に好きな食べ物の話をした、優ちゃんはあんまんが好きで、家に冷凍のあんまんが必ずあるくらいあんまんが好きらしい。僕はカレーが好きでそのことを優ちゃんに言ったらカレーを一人で作ったことがあるらしくいつか食べされてくれると言ってくれた。そのほかにもいろいろな楽しい話をしていたが、優ちゃんが時計を指さして
「ところで今遅刻10分前なんだけど純君ここから学校ってどれくらいかかるの」
 と質問されたが僕は間に合わないことを知っていたので
「とりあえず遅刻は確定だから焦らずに行こう」
といったのだが優ちゃんは遅刻の単語を聞くとじゃーねーとさよならのあいさつを言って走って行ってしまった。僕はそのあと少しだけ町の景色を見てから学校に向かった。
一校時の始まりあたりに着いた僕は教室に入ると先生に
「一校時目は廊下に立ってなさい」
と言われてしまった。
 僕は2時間目から授業を受けた、2時間目は国語で僕のあまり好きな授業じゃなかった僕はずっと優ちゃんのことを考えていた、なぜ僕に話しかけてきたんだろう、なぜ僕と友達になろうとしたんだろう。そんなことを学校が終わるまで考えていた。
 帰りの会が終わり。僕は帰ろうと昇降口の下駄箱を開けるとなにか手紙のような紙が入っていた。僕はびっくりして一回下駄箱を閉めてもう一度開けてみた。やっぱり僕の下駄箱の中に手紙のような紙があった。僕はその中身を確認してみることにした。中身には一言だけ
「朝の時の公園で待ってるよ
                 優より」
と書かれていた。僕は今日だけ帰りによりすることにした。

       

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