魔法少女が宇宙を駆け巡るアニメ(2015年12月)

 私、ひかる。
 そんな私は魔法少女。
 月に初めて行ったのは今年の秋のことで、そこから太陽、土星、太陽系の外まで遠征して冬の終わりには宇宙の果てでブラックホールに吸い寄せられる星々を眺めていたんだ。いろいろな銀河と星団で冥土参りをしてきた私はドライブシャフト型のステッキを推進剤に使い宇宙を駆けに駆けてタコのような宇宙人と共に世界を破滅から救ってやった。宇宙人の名前は会長。そうはいってもこんなことは支離滅裂もいいところなので、この世界の人間には誰にも信じてもらえない。前の世界と引き続いて、こっちで友達になった同級生のあおいは以前と同様物分かりが悪くて「あんた前世で魔法杖に乗って対流圏でインメルマンターンしてたよ?」って言ったら、あーあーあ、おいおいこいつは頭大丈夫かよ?また頭がおかしくなちゃったかーって視線をまじまじと送ってくるから私はもうお手上げって感じで黙ることしかできなくなった。そこで分かったんだ。へー。そうなんだ、この世界で今までの記憶を引き継いでるのは私だけなんだってことがさ。でもそうやって孤独の少女を演じようにもさ、今ここで地球が弾け飛んでも生きていけるってぐらい鋼鉄の心を手に入れてハートがタフになってたし、何が起きても全然悲しくないし、それどころか虚しさまで感じてしまうから、別に大したことが無いのが悲しい。
 友達のあおいをからかうことで鬱憤を晴らすしかない毎日。正直退屈だ。
 だから同じ魔法少女仲間のすばるの恋バナをあおいに持ちかけたのは、ある日の午後。
 「あおい、すばるに彼氏ができたの知ってる?」
 「すばるに?まさかー、あいつに彼氏なんてできるわけないって、ないない」
 否定されるとは……。
 「茶髪でひょろひょろの背の高い子。名前はみなと。もうすばるは下の名前で呼び合ってたよ」
 「ひかる、お前また前世の出来事とか言うんじゃないだろうな」
 「そんなわけないじゃん」
 まあ前世の出来事なんですけど……。
 私が気になったのは、この世界線にいるすばるとみなとの恋は成就してるかってこと。
 考え方によるけど、私って神様じゃない? 前の世界のことを知っているから、どうすればベターな世界を形作ればいいか分かっているし。
 もし破局していたら私が元通りにすればいいし、付き合っているのなら長らく恋が成就するように邪魔者は排除すればいい、そもそも出会っていないのであれば過去から未来、未来から過去に遡って二人をくっつける、……まあ、これが一番難しいよね。
 私を含めて魔法少女はこの地区に五人いる。すばる、あおい、いつき、ななこ、そして……私。
これは何度世界を繰り返しても、私達は巡りあうようにできている。 世界線の配置は流動的だけど、ランダムではなくある一定の法則によって進行しているから、私達はどの世界でも繋がっていて、今もこうして顔を合わせられているんだと……思う。
 「でも、私みなとなんて奴のこと全然知らないぞ?」
 「幼馴染のあんたでも知らないってことは、ははーんさては余程恥ずかしいのかも」
 「分かった。じゃあ、すばるに聞きに行こう」
 「マジで!? ちょっと急すぎない?」
 「お前が言い出したんだろー」
 それであおいはすばるを尋ねる。すばるはそんな人知らないと言った。ということはまだ二人は出会う前なのか。人口五十万のこの街で同年代の男の子を探そうと思ったら普通の人間の場合何週間もかかるけど、魔法少女による魔法を使えば数時間とかからない。そして浮かび上がる事実。
 みなとという男の子は亡くなっている、ということ。
 元々体が弱かったらしく、私がこの世界に転生した頃には集中治療室で人工呼吸器にかけられていたようだった。
 魔力も万能じゃない。人を生き返らせるということも、作ることも出来ない。多分それはポコポコ人を生き返らせていてはこの世界のエントロピーが増加するからだと思う。メタだけど。
 じゃあどうするか。私は自分の力で、自分の魔法でみなとという男の子になろうと決めた。
 パチッと右手で指を鳴らして世界が変われば都合がいいだろうけど、そうはうまくいかないらしく、いつもすばるとみなとが結ばれることによって世界は別の世界へと零れ落ちていった。
 みなとがいない世界、つまりもう終わりなんだろうか。

 とにかく私の苦労はまた始まる……。

 途中で秋田。

 選考理由: 牧野由依のキャラがかわいかったから。