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学者が助走をつけて殴るレベルの「古事記」
第五章「国譲り編-クニ・ノート」-その2

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 アマテラスが遣わした最初の神様は、天菩比神(あめのほひのかみ :アメノホヒ)という名前の神様でした。彼は、アマテラスがブフー! とした時に産まれた男神の次男です。
「アメノホヒ君、出雲世界を視察して来なさい」
「うん。わかったよ、おかあさん」
 アメノホヒは、アマテラスの命を受けて、出雲に降り立ちます。そして、現在出雲を治めている、オオクニヌシの所に行きました。

 アメノホヒは、オオクニヌシを前にして、威勢よく名乗りを上げます。
「ぼくは、アマテラスのこどもだ! やいやい、オオクニヌシ! くにをわたせー!」
「そうか、そうか。ここまでお遣いに来たのか、偉いなぁ」
「うん、がんばった」
「坊や、飴ちゃん舐めるか? 甘い飴ちゃん?」
「なめるー」
 アメノホヒは、オオクニヌシに盛大な接待を受けてご満悦です。
「どうだい、坊や? 出雲には美味しいものも沢山あるし、楽しいものも沢山あるよ。だから、天上世界には帰らずに、出雲に住まないか?」
「すむー」
 こうして、アメノホヒは出雲で暮らす事になりました。で、出雲の神になりました。

 三年の月日が経ちます。その間、出雲にやったはずのアメノホヒからの連絡は一切ありませんでした。アマテラスは、心配で心配でしょうがありません。
「どうしたのかしら、アメノホヒ君ったら。……もしかして、荒人神に誘拐されちゃったのかしら? それとも、グレちゃったの? お母さん心配!」
 居ても立ってもいられなくなったアマテラスは、新たに遣いを出す事にしました。次の遣いは、天若日子(あめのわかひこ 以下:アメノワカヒコ)という、腹に一つも二つも抱えていそうなクセモノの神様です。
「アメノワカヒコ君! アメノホヒ君の様子を見て来てちょうだい! あとついでに出雲の様子も! もしもの時の為に、武器も持たせるから!」
 そう言ってアマテラスは、アメノワカヒコに、天之麻迦古弓(あめのわかこゆみ)と天之波波矢(あめのははや)、要するに凄い弓矢を渡します。
 こうして、アメノホヒに続いて、アメノワカヒコが出雲に降り立ちました。
 アメノワカヒコは、出雲に降り立って、大層驚きます。そこには、自分の想像以上に素晴らしい世界が広がっていたからです。
 アメノワカヒコは、アマテラスの遣いという使命も忘れて、一つの野望を企てます。
「僕は新世界の神になる」
 何と、オオクニヌシから出雲を乗っ取って、自分が出雲を統治する神になろうとしたのです。
 その後アメノワカヒコは、オオクニヌシへの遣いの使命も忘れ、何と、オオクニヌシの娘の一人である下照姫命(したてるひめのみこと 以下:シタテルヒメ)と結婚してしまいました。こうなると、オオクニヌシの身に何かあった場合、その後継ぎは、婿養子であるアメノワカヒコという事になります。中々にクレバーです。知性派です。
 アメノワカヒコは、シタテルヒメに、天上世界の神達の計画を話します。当然、お父さんが一生懸命頑張って造り上げた国を、一方的な理由で奪おうとしている天上世界の神に、シタテルヒメは反感を抱きます。

       

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