Neetel Inside ニートノベル
表紙

学者が助走をつけて殴るレベルの「古事記」
第五章「国譲り編-迅雷伝説 特攻のタケ」-その1

見開き   最大化      

 結局、都合三回も出雲に都合を出したにもかかわらず、一向に出雲との連絡手段の都合は付きませんでした。
「ここまで出雲との交流が難しいとは!! 読めなかった このアマテラスの目をもってしても!!」
(なーにいってだ)(節穴なんだよなぁ……)(アマテラスちゃん可愛い眼球舐め回したい)
 いよいよ「どうすっぺか」という話になった頃に、突如、見知らぬ神様が、アマテラスのサミットに割り込んで来ました。
「話は聞かせてもらった!」
 勢いよくバーン! と入って来たのは、伊都之尾羽張神(いつのおはばりのかみ 以下:オハバリ)という名前の神様でした。
「俺は、いつかイザナギがカグツチを殺した時に使われた十拳剣が神様になった者っす。わかりやすく言えばソーディアンっすね」
「……その節は、父が多大なるご迷惑を……」
「あっ、いえいえ。もう済んだ事ですから。何かアマテラス様が悩んでるって事らしかったから、俺ん家すっげぇ遠いんですけど、来ちゃったんすよ」
「えっ、本当に? わざわざごめんなさいね」
「大丈夫っすよ、友達に車持ってる奴いたんで。天迦久神(あめのかくのかみ)って奴なんすけど」
 どうやら一部始終を知っているらしいオハバリは、さっそくアマテラスに助言を与えました。
「俺の息子に建御雷之男神(たけみかづちおのかみ 以下:タケミカヅチ)ってのがいるんっすけど、コイツを出雲にやれば大丈夫だと思うんすよ」
「へー。でも、どうして?」
「強い」
「えっ」
「強いから何かあっても相手は死ぬ」

 そうしてオハバリが連れて来たタケミカヅチは、何かもう本当、見るからに強そうでした。
「任せろよ、”親父”ィ……俺が”出発(でっぱつ)”したら、”出雲”なんか”ソッコー”で”シメて”やっからよう……!?(ビキビキ)」
──!?
(怖い!)(超怖い!)(アマテラスちゃん可愛い腹パンした後抱きしめてナデナデしたい)
 こうして、タケミカヅチは出雲に降り立つ事になります。

 一方その頃、オオクニヌシは、稲佐之浜(いなさのはま)でバカンスを楽しんでいました。悠々自適の隠居生活です。
「いい景色だなー」とか思っていると、突然、空が暗くなり、雲が割れ、一本の剣が降って来て、海を割りました。
 振って来た剣は、刃を上にして、砂に突き刺さります。そしてその上に、天上世界から来たであろう神様が、胡坐(あぐら)をかいて降り立ちました。
 確認します。刃が上です。つまり、刃の上に胡坐をかいています。しかし、その尻に刃は刺さっていません。斬新なケツ筋アピールでした。
 タケミカヅチ、ダイナミックな登場シーンです。
「見つけたぜぇ、”オオクニヌシ”ィ? テメーに”話”があって来たんだよう……!?(ビキビキ)」
──!?
「えっ、何なのこの人怖い……」
 オオクニヌシが目の当りにした現象を簡単にまとめると、

・常夏の浜辺でバカンスしてたら
・海が割れて
・剣の刃に座った筋肉モリモリマッチョマンの変態に絡まれた

 こんな感じです。オオクニヌシも、これまでに、大概な数のブッ飛んだ神々と交流して来ましたが、流石に初対面でいきなりフルスロットルで絡まれると対応に困ります。
「”オオクニヌシ”ィ……オメー、”ドコ”の”ダレ様”がこの”出雲”仕切ってって思ってんだ? おう?(ビキビキ)」
──!?
「えっ? いや、多分、僕かなーと思ってるんですけど……いや、ちょっと顔近いんで……」
「ここぁ”アマテラス”クンの”シマ”だかんよゥ? オメーはただの”イインチョー”だぁ。”チョーシ”くれてっと”ひき肉”にしちまうゾ?(ビキビキ)」
──!?
「怖いし近いし!」
 タケミカヅチは、オオクニヌシの眼前にまで迫り、メンチを切ります。
 タケミカヅチの言いたい事を簡単にまとめると、「貴方はこの国を造って統治しているのかもしれないけど、実際『誰の物なの?』と聞かれると、それはアマテラス様のものなんだよ」という事でした。
 いきなり現れて、この言い草はありませんね。でも、オオクニヌシは強く言えません。だって怖いから。
「いやぁ……僕一人じゃ何とも言えないんで……あの、息子! 息子いるんで! 息子に聞いてくれればいいと思います!」
 結局オオクニヌシは、タケミカヅチにビビって、息子に丸投げしました。

       

表紙

六月十七日 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

Tweet

Neetsha