Neetel Inside ニートノベル
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黒崎さんが大都会を熱唱してるところで眼を真っ赤にした村松くんが入ってきた。トイレで小便以外のものも流してきたらしい。黒崎さんをちらっと見たあと俺に耳打ちをする。
「黒崎さん……やばすぎるだろ」
「あぁ、あれが普通だよ。」
「いや、絶対普通じゃないよ」
  今回黒崎さんがカラオケに誘ったメンバーのなかで雄一来て、俺の代わりに犠牲になった村松くん。まぁ、誰も来なかったとしても俺を無理やり引きずり出して愚痴を聞いてもらうつもりだったらしいが……
  そもそも今回の怒りを全部俺にぶつけるつもりだったらしいのだか、村松くんはとんでもないジョーカーを引き当てたと同時に奇跡も起こしてしまったのだ。

  「黒崎さん、風俗なんかいかずに彼女さんとヤればよかったじゃないですか」
  世間一般の模範解答だが、これはいってはいけなかった。ただいま、黒崎さんとその彼女さんは休みがあわず、ご無沙汰な状態。会いたくてもまだしばらくは会えない。そんな状態である。ただ、それだけでは黒崎さんは暴走しない。村松くんの奇跡が嵐を呼んだ
「実は……ぼく、ガールズバーでナンパした子に振られちゃって」
  そこから黒崎さんのスイッチが入った。相談に乗るふりをして、人の傷口を見つけ出す。その畜生スマイルが今も脳裏に焼き付いている。

「で?何でガールズバー出禁になったんだっけ?」
「女の子に告白したからだよクソッタレ」
  村松くんは結構イケメンだし話上手だ、それを意識してるナルシストな一面もある。本人曰く絶対に落とせるはずだったらしいのだが、結果としては気持ち悪いですと言われ、嬢に出禁宣言をされたらしい。まぁなんというかアホである。更にそれを黒崎さんに執拗なまでにえぐられ続けられたのだからプライドを傷つけられたのであろう。だからって泣くなよナルシスト、と思う。
「なっちゃんお前の番だよ」
  歌い終わった黒崎さんが俺たちのほうにマイクを投げる。次のカラオケ予告には村松くんが入れた曲が写し出された。
「ナルシストのなっちゃんだよ」
  ばか笑いというか高笑いをする黒崎さん。歌い出す村松くんに執拗なブーイング。がんばれ村松くん、負けるな村松くん。池袋の夜はまだまだ長いぞ。

       

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