Neetel Inside 文芸新都
表紙

見開き   最大化      

第二話


それから何日か経った。
僕は毎日少しずつだけど。
アンパンマンネタや世間話をして。彼女との会話を楽しんでいた。
『今日もアンパンですね』
『アンパンマンだからね』
『共食いになっちゃいませんか?』
『ジャムおじさんやバタ子さんがいないから、自分でアンコを補給してるんだよ』
こんな話をしたり。
『あ。同じ物をよく購入する人といえば。あのおじさんもジャムパンよく買いますね』
『じゃあ、あのおじさんがジャムおじさんな訳だね』
『そんな事言ったら怒られますよー?』
こんな話をして。
ほんの少しの笑いを取って、彼女の笑顔を楽しむ。そんな浮かれた何日かが経った。


そして、ある朝。
コンビニを訪れると、店内は騒々しかった。
『なぁー、チカちゃーん。一回だけでいいからさー、俺とデートしてよー??』
『…今は仕事中だから…。ほんとにそういうの困ります…』
学のなさそうな男の声と、困った彼女の声が、レジから聞こえた。
見ると、ピアスを嫌ほどつけた金髪のガングロ男が彼女に絡んでる。
隣では、ドクロのプリントシャツと指輪をつけた金髪の男が、ニヤニヤと笑っていた。
どう考えても、二人とも彼女の友達とは思えない。
『いやいやー。困らせる気はないんだって。チカちゃんが俺とデートしてくれる、って約束してくれれば、すぐに帰るしさー』
無遠慮にガングロ男は、レジに腰をかける。

彼女は怯えながら。
『他のお客さんの迷惑になるし…。お願い。帰って下さい…』
消え入りそうな声で話す。
その時、男達の後ろから、怒声がなる。
『そうだ!お前らみたいなのと違って、こっちは忙しいんだ!迷惑だから、とっとと出ていけっ!!』
おじさんが叫んでいた。その振り上げた拳にはジャムパンが握られている。
『あんだよ?おっさん…、関係なくね?お前、この子の親父かなんかかよ?』
ガムを噛みながら、ドクロ男はジャムおじさんを睨みつける。
『…親ではないが…。私は…君達に公共の場での常識と言うものをだな…』
戸惑いながら、説得を試みるジャムおじさんの胸ぐらをドクロ男は掴んだ。
その手にはドクロの指輪がギラギラと光っている。
『おっさんさぁー。公共とか常識とか難しいこと漢字言う前にさぁー。他人の恋路を邪魔する奴はなんとやらっ、て話し、知らねぇのかよ?!』
そう言って凄むドクロ男を前に。ジャムおじさんは、ジャムパンを落として目を伏せる。
『なんだよ?さっきの威勢はどこいったんだよ?関係したくないなら、話してくんなよなぁー!』
ドクロ男はジャムおじさんを突き飛ばした。


第二話。
頑張れ!ジャムおじさん!!
終わり。第三話へ続く。

       

表紙
Tweet

Neetsha