Neetel Inside ニートノベル
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はりぼてと突っ張り棒
番長、現る

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  いつからここにいたかもわからないし、どこからきたのかもわからないがここにいるのは間違いなかった。昨日騒動があった時間に通りで例の彼を待つことにした。待つこと5分で現れた。不機嫌そうな顔だが話しかけるのは今しかない。
「あのぉ、昨日ここで喧嘩をした人っすよね」
「…………」
  このデブ、話聞いてるのか?
「あのときたまたま見てたんすけどかなり格好よかったっす。できればおはなししてみたいなぁ……なんて」
  無反応。それどころか俺を無視してどっかに行こうとしやがる。なめやがってあのデブ。俺はデブの行く手を遮るように正面にたつ。あれ?結構でかいな、180いやそれ以上あるように見える。横幅が規格外というのもあるかもしれない。
「いや、そのぉなんというか自分昨日の喧嘩をみて、すげぇな俺もあんな風に悪を、やっつけてみたいなとかおもっちゃったんスよ」
  適当ぶっこく俺を見下ろすデブ。不細工な無表情は結構怖い。
「あの……だめっスか?」
「…………」
  デブは動こうとしない。
「だったら後ろについていくだけでもいいスか?マジお願いします」
  あれ?なんで俺こいつなんかに頭なんて下げてるの?意味わかんね、受ける。頭を下げている間、でかいなにかが俺の横を通っていった。頭を上げ後ろを振り返ると奴はのそのそと歩いている。
  いいよな?ついていって。
「そしたら、名前!名前だけでも教えてくれませんか?どう呼べばいいのか、自分わからなくて……」
  さすがにデブさんと呼ぶわけにもいかない。しかし返事は帰ってこない。どうしよう?くまさんって柄じゃないし岩尾さん?ちがうちがう、そんなんじゃなくて……そうだ!
「ば、番長!自分、あなたのことを番長って呼ばせてくれませんか?」
    番長はぴくりと動きを止めるが再び歩きだした。どうやら脈ありか?
  命名の由来は昨日のオラオラ節が決めてだった。若干、舐めてるって言うのもあるかもしれない。オラオラ系のデブサイクに番長……笑いが出そうだ。だけどなんかしっくりくる。なぜかは知らなかった。なんでだろうな。
  その日はずっと番長の後をついて繁華街を徘徊するだけで終わってしまった。

       

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