Neetel Inside ベータマガジン
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「その倫理観、カリソメにつき。」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17371



柴竹先生の新作ですね。
初見となります。

■序章~排他的青少年
いじめがはびこる荒れた小学校。
小学五年生の少年・花見倫象はいじめに遭っている。
その為、「自分はこんな目に遭っているのだから、何をしても許される」と考えるようになる。
子猫を殺したり、自殺的な行為をして仮に死んでも別にいいやという自暴自棄な部分も持ち合わせている。
一方、小学六年生の少女・丸子乙も父親から虐待を受けている。
花見と丸子は、互いの闇に共感し、猫や犬を殺したりという悪い遊びに興じていく。

うーん…これ、つまらなくはないんですけどね。
ただこれを「面白い」と言って良いものか。
余り大っぴらには言い辛いところがありますね。
東京ニトロ先生がFAを贈っていますが、ああ、ニトロ先生なら好きそうって思いましたw
足立区ばりに荒れてそうですもんね、この札幌w
まぁ、世界を何度も滅ぼしちゃうニトロ先生が共感しちゃう内容です。

例えば、「藤色アワー」のジッキーは知的障害者な訳ですが…。
身体障害者、特に後天的な身体障害者の一部。
または、生活保護者の一部。
または、老人の一部。
「俺はこんなに弱いんだから行政が守るべきだろ」
というのを声高に叫び、社会に寄生虫としてはびこる。
アスノタカシ先生の「老人の町」でもありましたよね。
弱者だからしょうがないという理論武装でふてぶてしくなっていく。
死ぬにしてもあてつけのように周りに迷惑かけまくったりね。
花見と丸子からはそういう感じが見受けられる訳です。

こういうものは読んでいて不快な気分になりかねない。
難しいテーマだと思います。
弱いからといって社会に恨みつらみを覚えていくというのは心情としては分かります。
私も中学時代かなりいじめに遭いました。
でも不登校になるぐらいで、猫を殺したりっていうのはなかった。
いじめっ子を脳内で残虐に殺すぐらいは常にしていたけど。
うろ覚えですが、親や学校に少々の迷惑をかけてもいいぐらいのふてぶてしさは培っていたように思う。
そういった暴力性が他に向けられると、極端に走れば、恐らく神戸連続児童殺傷事件の「酒鬼薔薇聖斗」になるんでしょうね…。
酒鬼薔薇も頭が良く、犯行声明を出したりと、警察を翻弄していました。
そして、猫を殺して性的興奮を覚えていた。
花見も酒鬼薔薇のようになりかねない。
花見は「頭が良い」ということだけど、その頭脳でいじめっこに復讐しようというのはないんだなぁ。
いじめられっ子が強さを得て社会に復讐しようというものなら、漫画ではぶし先生の「魔王少女★アンリ・マンユ」がテーマ的には近い。
アンリの場合は、分かりやすい社会への復讐で、読者はカタルシスも得られる。
でも本作はどうなるのかまだ予想がつかないですね。
いじめっ子の描写が薄いってことは、復讐に走るという展開にはならないだろうし。
読み進めるのがある意味怖いところ。

それにしても、底抜けに明るい超絶リア充生活を送っている柴竹先生ですが…。
知的障害者のジッキーに続き、この花見というキャラクター。
普段のツイッターの言動とは真逆に思える闇を抱えていますね。
そういったキャラを次々に産みだす柴竹先生って…。
と、作者をプロファイリングしてみたくなりましたw

つけたし。
丸子が小学校から、花見の子猫殺しを目撃したという話。
ちょっと無理があると思う。
まずどんだけ丸子の目がいいんだと思ったし…。
花見は子猫がトラックに撥ねられるのを見ていただけ。
花見が言うように、別に直接手を下した訳ではない。
傍目には普通に「猫を可愛がっていたのに、その猫が目の前でトラックにはねられてしまった。可哀想な少年」という風にしか見えない。
なのに丸子が「花見が殺した」と断言してるのは不自然に感じました。
ちょっと説明が足らなかったと思います。

       

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