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「蟲籠Ⅱ」
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黒兎先生作品。
「蟲籠Ⅰ」は公開停止につき読めないし、リアルタイムで読む機会がなかった…。
冒頭に「よくわかるあらすじ」があるので、前作はそれで知ったつもりで読みます。

■かっこいい文章
虫ではなく蟲。
一ではなく壱。
そういった難しい方の漢字を意図的に使った文章。
黒兎先生が思う「かっこいい文章」に、自身も酔いしれながら書いているのが目に浮かぶw
好きな事を好きなように書いているって感じで好印象。
難しい漢字が多いからところどころ読みづらいが、作法や見せ方については平易で読みやすい。
印象としてはどことなく時代がかってますね。
明治・大正時代の文豪が書いた文章を現代国語に翻訳した感じというか。
主人公・静馬も余り現代の高校生らしくないので、スマホとか出てくると違和感結構ありましたw
舞台を大正時代あたりにしていた方がフィットしそうな文章です。

■蟲籠Ⅰを読んでいなくても大丈夫
「よくわかるあらすじ」で大体の人物関係を把握できました。
物語の途中から読み出す違和感は多少あるけど、理解できない事はない。
例えは悪いかもしれないけど、「ルパン三世」みたいなもんですかね。
今時、原作漫画や70~80年代にやっていたテレビシリーズのルパンから入る人は少ない。
でもルパンと峰不二子の出会いなんて知らなくても、ルパンと峰不二子がどういうキャラクター・関係性か大体の人は知っている。
もしくは知っている前提で、最近のテレビスペシャルも話が進められる。
蟲籠Ⅱにおいても、静馬と火澄の紹介については「壹幕 影への誘い」でそのキャラクター・関係性は掴める。
丁寧で上手な話の作りをされているので、蟲籠Ⅰを読んでいないから分からん!という箇所は殆どありませんでした。

■現代ダークファンタジー
現代で普通に生きる高校生が、ある日突然怪異に遭遇し、超常的な力を得て戦いに巻き込まれる。
色んな漫画アニメなどで良くある設定ですけども…。
本作最大の特徴となる「蟲」の描写がかっこいいですね。
ただ注文をつけるなら、蟲遣いとなった静馬の能力と引き換えに被ったリスクについて。
何を食べても人間の血肉の味しかしないってのが…。
時期的にしょうがないけど「東京喰種」のぱくりじゃん!って感じてしまう。
東京喰種は人肉以外は何を食べてもクソでも食ってるようになるから逆だけど。
「人間らしい感覚を失う」という描写にするにしても、味覚以外にした方が良かったと思う。

■蟲遣いと傀儡師
半分人間じゃない「蟲遣い」
完全に人間やめちゃった「傀儡師」
分かりやすい善悪の分け方だし、組織同士の戦いにも発展していきそうですね。
ただⅡを通して読んだ印象では、まだまだ傀儡師の怖さが物足らない。
蟲遣いになりたての未咲でさえほぼ互角の戦いを演じていた。
例えば「寄生獣」だと、右手に寄生されただけのシンイチよりも、脳を完全に乗っ取られた敵達の方が身体スペックは高い。
だから右手しか使えないシンイチは人間の頭を使って何とか互角に戦っていた。
本作も傀儡師の方が蟲の能力スペックは高いと思われるのに、そんな怖さを感じなかった。
蟲籠Ⅲでは傀儡師の強さや怖さをもっと見せて欲しいところですね。

■総括
蟲籠Ⅱだけを読んでも話が通じるというあたりからそうだけど。
物語の構成力、文章、センス。
どれも書き慣れていて秀でています。
新都社文芸・ニノベ界でも間違いなく上位レベル。
この雰囲気が好きな方はどっぷり世界観に浸れるかと。
私も楽しませてもらいました。
読む価値のある作品です。



以下、簡単に各話感想。
最初に思い浮かんだ直截的な感想。
リアルタイムで読んでたらこんな感じでコメントしていたと思う。

■零幕 少女の試練
ヤンデレ百合かw

■壹幕 影への誘い
静馬は欧州かぶれか。
火澄は悪魔ほむらで再生された。
しかし幾ら美少女でも常につきまとわれるって地味に嫌だな。
オナニーもできないじゃないか。

■弐幕 眼球
蟲遣いとなった静馬は何を食べても人間の血肉の味しかしない…東京喰種の逆かな?
虚ろな目をした少女の登場シーンは綾波レイかと思った。

■参幕 土屋という男
瀬川はうっかりはちべえのようだ。
土屋はモブ。

■四幕 目醒め
静馬の欧州かぶれはちょっと理解しがたいというか、現代に生きる高校生とは思えない感覚。

■伍幕 隠れ家の水月
静馬は都会アレルギーみたいだから人ごみで囲むだけで倒せそう。
百合っ子は男嫌いだからこの態度?

■六幕 傀儡師
人間を数えるのに量はどうかと思う。
蟲遣いは人間じゃないのかもしれないが…。
と、思ったら人間じゃないのは傀儡師のようです。

■七幕 軋轢
瑛理香のツン度が高すぎるけど、静馬も実務的な話の仕方を知らなさ過ぎる。
静馬くん童貞かな?
あと周囲の大人も無能というか、この二人を見れば「相性が悪そう」ってすぐ分かりそうなものだがw
静馬と瑛理香が上手くタッグを組めるように取り計らわないのが悪い。
火澄もどうして瑛理香の前に姿を見せないんだろう?
誤字が一つ。

■八幕 蟲より団子
瑛理香、意識高い系蟲遣いじゃなかったのかよwww

■九幕 誘蛾のささやき
傀儡師の登場の仕方・タイミングが実に良かった。
友人が近くにいるというのもあって緊迫感が高まる。

■拾幕 影が欲しかったモノ
火澄さんヤンデレストーカーw

■拾壹幕 不知火
火澄さん性格わっるーーーwww

■拾弐幕 思惑
瑛理香ちゃんは魔女堕ちさやかちゃんだったのか…。

■拾参幕 開闢の火花
静馬の戦い方というか蟲の描写、オピオイドの繭化に通じる部分があってホラー。
火澄さんこの事態は半分以上あなたのせいなのでは?www

■拾四幕 昏
瑛理香の不幸な生い立ち、いやなんですぐ保護されなかったのよ…野良犬じゃあるまいし。
現代日本だよね?

■拾五幕 鬼の素顔
創魔www DQNネームwww

■拾六幕 刀槍矛戟
主人公、女の子に助けられっぱなしじゃないか。

■拾七幕 譲れない正義
未咲ちゃんかっこいいね。
彼女の心情についてもっと知るには蟲籠Ⅰを読むしかなさそう。

■拾八幕 眠り鬼
衍字が一つ。
童門深琴と百目鬼についての説明だったので少々混乱した。
影鬼チートだなぁ。
もう火澄一人でいいんじゃないかな?w

■拾九幕 悦び
鉈って…ひ、ひぐらしかな…?(ぶるぶる)
ヴァ、ヴァンダルwwwwww

■弐拾幕 一転攻勢
瘴気でありながらも正気w
サツバツな駄洒落だなぁw

■弐拾壹幕 業火の怪人
蟲遣い=寄生獣に体半分寄生されてる人間。
傀儡師=寄生獣に脳を乗っ取られてる人間の成れの果て。
というように感じました。

■弐拾弐幕 光と光
あれっ、もしかして(しなくても)主人公って火澄…?

■弐拾参幕 絶
かっこいい文章のオンパレード!
やっと静馬が主人公らしい。

■弐拾四幕 解毒の朝
瑛理香の人生追体験か…。
これ、戦う度に毎回同じ明晰夢を見るの?
5~6回も戦ったら狂ってしまいそうだな…。

■弐拾五幕 蟲毒のみちびき
蟲籠Ⅲは蟲毒についてとなるようですね。
ソーマくん、このままじゃ何しに出てきたのか意味不明だもんなw
次回、逆襲のソーマなるか?

       

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