Neetel Inside ベータマガジン
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「青春小説」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17567


ヤマダ=チャン先生作品。
13日時点では1話まででしたが、現在は3話まで更新が進んでいます。
更新活発なのは素晴らしいですが、早く感想書かないと溜まっちゃう。
優先的に感想を書くこととします。

■粗筋
1、2話は飯島理緒の視点。
家族や学校のクラスメイトから浮いた存在となっていき、自己評価が低く、刺激を求めて援助交際に走る女子高生。
3話は笹本秋桜の視点。
周囲とは上手くやっているというか、パーソナルスペースが狭そうで、同性愛者。
まだ増えるかもしれませんが、この二人の満たされない青春が描写されています。。

■満たされない青春
友達がおらず暗い理緒。
友達が多くて明るい秋桜。
一見、二人は正反対のように見えるが、それぞれ同じように闇を抱えている。
理緒は「刺激が欲しい」
秋桜は「同性の恋人が欲しい」
社会道徳的に許されない危険な想いを抱え、決して心は満たされることなく、自分達を傷つけていく。
うーん、タイトルに偽りない。
青春しています。

■高二病の理緒
冒頭からいきなり援助交際シーン。

>まるで豚の鳴き声だ。

理緒の冷め切った性格が凝縮されており、秀逸な冒頭の一行です。
援助交際していて、ちんこを挿れられて肉体的に声は出るけど、心は感じていない。
理緒はまったく自分の事を可愛いとは思っていない。
そんな事ないだろうに、両親や姉から愛されているとも感じていない。
このままでは更なる強い刺激を求め、堕ちていきそうな様子が伺えます。
彼女の性格そのままの一人称なので文章は淡々としている。
かわいげがない。
理緒自身も述懐しているが、まったくその通り。
中二病ではなく高二病ですな。
無邪気にかっこいいものを追い求める中二病。
中二病は恥ずかしいと感じ、汚く暗いものを求めるようになる高二病。
刺激を求めてタバコやアルコールに手を出すのと変わらない感覚で援助交際をしている。
自分には若さしかないと思っている。
だから、若さゆえの過ちを繰り返しそうです。
どんどん過激な展開になっていくのかな?と、第一話では予感させました。
ところが第二話に出てきた秋桜により、風向きがガラッと変わりました。
ガール・ミーツ・ガールな小説となりそうです。

■同性愛者の秋桜
二話から登場する秋桜。
理緒と少し仲良くなったかと思えば、性急に告白してしまう。
理緒が援助交際している事も知っており、それを止めたいと考えている。
三話で秋桜の過去が語られる。
十二歳の頃にあこがれのお姉さんに告白して玉砕していた。
見た目も性格も悪くないようなのに、これは満たされませんわ…。
でも、割れ鍋に綴じ蓋というか、自分を壊そうとしている理緒には秋桜のような存在は救いになりそうである。
理緒の援助交際シーンといい、秋桜のオナニーシーンといい、エロ描写素晴らしいです。
情景がありありと浮かんでくるし、エロスを掻き立てられます。
また、同性愛に目覚めたシーンの丁寧さが素晴らしい。
こう…萌える何かがありました!w

>それから彼女とは会っていない。

最後の一行で切なさが炸裂ですな。

■淡々としていながらも高い文章力
初見の作家さんでしたが、新都社には謎の訴求力がありますね。
次々と上手な作家さんが出てくる。
キノコ先生も仰ってましたが、古参の人気文芸ニノベ作家と十分渡り合える文章力。
一人称ですし、心理や内面の描写が淡々と描かれております。
自然な女子高生に感じられ、リアル。
特に理緒は実にリアル。
カレー二杯にプリンをぺろりとたいらげるあたりもリアル。
女の子でもそれぐらい食べるよね、高校生って…。
それで太らないんだから羨ましいw

■コメントについて
淡々としていると書きましたが、コメントは貰いにくい書き方です。
文芸だからどうせコメントなんて少ないし気にすることはないですが、もし気にされてるなら少し修正すると良いかもしれません。
新都社でコメントを貰いやすい小説の書き方というのがあります。
・短く軽い文章で一話をまとめる
・話のどこかに明らかな「これでコメントして下さいね」的なツッコミどころを作る
・作者の知名度を上げる
突出した実力がなければ、やはりニノベ的な書き方が一番コメントはもらえます。
本作は明らかに文芸的な書き方ですから、コメントは中々つきにくくてもしょうがないかなと。
でも実力が認知されればもっと増えるでしょう。
個人的に、今回の企画で読ませて頂いた小説の中でも上位に入る秀作でした。
続きも頑張って下さい!

       

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