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「職責」
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読切です。作者はノンストップ奴先生。
ニノベでフーゾク体験記、異世界転生ハーレム物などを書いてらっしゃいますから、すっかりそういうイメージが先行しておりますが(笑)
実は先日、「バイバイ母ちゃん」というかなり重い文芸小説(読切)も書いてらっしゃいました。
自殺してしまった友人とその家族に関する話ですね。
先生のブログでもありましたがあれも実体験を元にして書かれていたようで、作中の文太と同じく、「何も言えねぇ…」となる内容でした。
まぁ、流石に今回の作品はフィクションでしょうけど、実際にありそうな医療・倫理問題についてでしたね。
癌手術を何度も繰り返している患者と、患者の父親であり手術の執刀を行う医者。
痛みに耐えかね殺してくれと懇願する息子だが、父親はそれでも淡々と手術を成功させていき…。
安楽死が認められていない日本において、医者の父親は職責を果たしていく。
何とも重い、重すぎます。
殆どの読者は「何も言えねぇ…」となっちゃいますね。
でもそれだけじゃ感想とは言えないので、私も私の名誉の為、職責を果たしたいと思います。
まず、文章について。
読み進めばすぐ分かりますが、冒頭部分で「誰が息子の手術を執刀したのか?」というのが分かり辛かったんですよね。
だって手術の執刀をしたという父親が、手術の成功を助手に尋ねていますから。
お前が執刀したのに知らないのか?って思っちゃいました。
ただその後の様子から、「息子の命に関する事を他人事のように語る父親」というキャラクターが描写されているので、効果的で良かったと思います。
あと全体としては、ちょっと単調かな?
例えばフーゾク体験記でもそうなんですが、「風俗行きました。気持ちよかったです!」だけなんです。
こちらも「医者の父親が患者の息子の体を切り刻んだ。父親は職責を果たして名誉を守った。今後も求められる職責を果たしていく」と、それだけで終わっている。
「安楽死」とか「職責」といった問題に対し、ノンストップ奴先生の考えが余り見えないんですね。
ど真ん中ストレートを豪速球で投げるのも良いとは思いますが、それだけのピッチャーに面白みはありません。
落ちたり曲がったりと変化球が欲しい。
作者が何かを考えながら投げてくれないと、読者も考えられないんです。
小説は読者とのキャッチボールでもありますし、これだと壁に投げつけているのと同じになっちゃいます。
ただ、別にこのままでも、私みたいに勝手に考えてくれる読者は良い反応をしてくれると思います。
ノンストップ奴先生が気持ち良く投げたいだけなら今のままでも良いでしょう。
でももう少し広い読者からの反応が欲しければ、考えて投げて欲しいところです。
またまた上から目線ですみません。

       

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