Neetel Inside ベータマガジン
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「快晴の嵐が丘」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17045



ムラサ先生の新作。
前回・前々回と同様、更新を合わせて下さっているようです。
でも、うーん…コメントにも書きましたが…。

[1] 山場も落ちもないままはちょっと読み進めるの辛い <2014/10/28 04:05:21>

これに尽きます。
以下、酷評注意。
更新されてからすぐ2時間かけて読みました。
2時間あれば映画1本観られます。
前作が良かっただけに、若干期待を込めつつだらだらと最後まで読んでしまった私も悪いけど。
文芸は読んでつまんなかった時のダメージが大きいんです。
でもそれだけじゃ何なので、ちゃんと読みましたという内容を交えた感想を書きます。
時間を無駄にしたとは思いたくない一心で。

主人公・耕介
・有名作家だが引きこもりとなった父、世界中を飛び回っている母をもつ。
・父と同じく引きこもり気味、屋敷は屋内にまでジャングルが生い茂る無秩序状態。
・それでも無頓着に汚部屋で暮らしている。自活能力は低い。
・マルチタスク能力持ち、2冊の漫画を読みながらゲームもできる。
・ゲーム廃人、メイドフェチでエッチなイラストを描くのが趣味。
・お嬢様の幼馴染の桜子とはキスする程度に良い仲。
・しかし桜子とは別の女の子ともキスをした過去を隠している。
・客観的に見て良いところが1つも無い。

耕介の幼馴染の桜子
・金銭感覚がおかしい。
・かなりのお嬢様で、ロッテンマイヤーさんみたいな家庭教師がついてる。
・スパルタ教育を受けているおかげで能力は高く、ピアノもできる。
・クッキーなどお菓子作りが趣味。でも明らかに消費期限切れのドーナツを平気で他人に食わせる。
・ファミレスで大量注文しても一口づつしか食べず、他は耕介に押し付ける。食べ物を大切にしない人。
・耕介が別の女とキスしたかも?という話があった時には刃物を持ち出すメンヘラ気味。

耕介の屋敷のメイドもえ
・存在感が薄くて耕介に中々メイドとして認識されていなかった。
・ターミネーターかロボコップみたいな萌えとは無縁の性格。
・メイドカフェを2日で首になった。
・屋敷の掃除と言いつつ、火炎放射器ぶっぱなすなど豪快。
・存在感薄いどころか、この人物が一番戯画的というかラノベ的。

耕介の父
・有名作家だが書斎に引きこもって最後の作品を仕上げようとしている。
・耕介は父に無関心、半年姿を見ていなくても、生死も気にしない。

耕介の母
・世界を股にかけるビジネスウーマン。
・母からの仕送りが耕介の生活費の頼みの綱だが、仕送りは三ヶ月途絶えている。
・耕介は母にも無関心、連絡なくても気にしないし、自分から連絡もしない。

以下、何とも非常識な登場人物達による、非日常がダラダラと描写されます。
そう、ダラダラと。

学校にて。
>「人っていうのはいきいきと生きるべきなんですか?」
>「ゲーテかね? ふん、どう生きようとその人間の勝手だ。何世紀も前の人間にどうこういわれる筋合いはない。ダラダラ怠惰に生きるもよし、コソコソ日陰に生きるもよし」
> そのとおりだ、と耕介は感動した。ダラダラ生きようがコソコソ生きようが個人の自由だ!
先生と交わしたこのあたりの会話がテーマになってくるのかな?
ダラダラ書いた文章を読まされている気がしていたので、そう感じた。

主人公・耕介は、本当に自堕落なやつ。
夏休み中は一歩も部屋から出てこなかったという引きニート気質。
二学期が始まってからも、ゲームするか、幼馴染といちゃつくか、エッチなメイドのイラストを描くかしかしていない。
桜子はどこが良くてこんな男と付き合っているのか?
いや、付き合ってると桜子は思っているけど、多分耕介は思っていないね。
それでもデートしてキスしてエッチなコスプレまでさせるとかとんだ畜生。
気にかかるのが、耕介の母からの仕送りが途絶え、家計がピンチという点。
じゃあメイドのもえは無給で働いているの?
食事や光熱費にも事欠く耕介ともえ。
九月も終わり、耕介と桜子は些細な事で喧嘩をして口をきかなくなる。
でも平和な日常はまだとりあえず続いている…。


…と、何の落ちもなく、引きもなく、前編が終わりました。
読み終わった後、まず「はぁ、ここで終わるの?」って腹立たしさを覚えた。
前作もそうでしたけど、ムラサ先生がこれで何を書きたかったのかは前編を読んだだけでは何も伝わってこない。
前作は「のんのんびより」みたいな感覚で微笑ましく読めたけど、今作は何というかシュールなだけ。
登場人物にしても前作は魅力的だったが、今作は魅力的とは言いがたい。
「こんな現実(いま)は嘘である」という作者コメント通り?
現実味の薄い登場人物達のだらだらとした非日常が描写されるだけ。
文芸というよりニノベっぽいです。
ニノベであるならニノベで、もっと文章にテンションの高さ・若さ・軽妙さが欲しい。
真面目で淡々とした文芸の書き方なのに、話の内容自体はニノベなので、非常に違和感があった。
例えるなら発射時の勢いが足らず、尿道に精液がたまっている三十路のオナニーというか。
この前戯は、丁寧ではなく、ねちっこい。
せめて最初にテーマなり結論なりを提示してくれたなら長くても読み進められるが、それがないのでイライラしながら読みました。
ドラゴンボールの「前回のあらすじ」と「ハァァァァァ……」を2時間続けられて、バトルがいつまで経っても始まらないようなイライラ。
また後編を読めば評価も覆るかもしれないが…。
前編でこれだと、かなり読者をぶった切りにきてると思う。
ただ、ここまで前置きしたんだから、後編には何かあると思いたい。
前作では後編で評価がかなり上がりましたしねー。
例えば、前・後編を合わせた壮大な叙実トリックなのかもしれない。
前編は耕介の都合の良い夢か妄想で、後編は過酷な現実とか。
もしくは、耕介も桜子も全て、登場してこない父親の創作だったとか。
あ、それと。
文章、妙にひらがなが多いですよね。
これは何か意味があるんでしょうか…?
前作でも少し思いましたが、ムラサ先生の文章の癖?
難しい漢字をこねくり回し、難解な表現を好む作家も多々います。
でも逆に、「つぎがわたしにとって最後の作品となるだろう」とか、小学校で習う漢字までひらがなにされると、かえって読み辛く感じました。
厳しいことばかり書いてますが、後編は一応期待しています。

・・・

と、ここまで感想を書いてから、その日のうちに後編もUPされました。
という訳で早速読みました。

桜子が学校を転校する。
桜子の父親の差し金で、耕介との付き合いを引き裂く為だった。
私が桜子の父親でもそうするかもしれない。
何せ耕介のクズっぷりはよ~く分かっているので。
ところが周囲の登場人物達の反応は違う。
桜子のメイドのロッテンマイヤーさんも、耕介のメイドのもえも、学校の担任まで、それは横暴だと反発する。
でも桜子は父親に逆らえず、耕介は引き下がってうじうじと引きこもってしまう。
思ったより耕介と桜子を隔てる壁(桜子の父)は分厚かったのだ。
と、そこで。
桜子からの「あいたい」というメールが耕介に届く。
かくしてロミオ耕介はジュリエット桜子をさらいにかけだすのであった。
もえが火炎放射器で桜子の執事達をなぎ払い、無事に桜子は救出される。
最後は耕介達の前で桜子がピアノを弾いてハッピーエンド。

長かった~~。
ダラダラ書いてみたがこの小説のテーマでしょうか?
当然、叙実トリックもありませんでした。
耕介の母親や父親も未登場のまま。
淡々というかローテンションというか、非現実的な登場人物達による非日常がダラダラと語られるだけでした。
前編でダラダラと語られていた登場人物達のキャラ付け・伏線が後編に活かされる事もなく、投げっぱなしの部分多々あり。
登場人物は、耕介、桜子、もえ、桜子の父、ロッテンマイヤーさんだけで良くない?
20分のテレビアニメを4時間の長編映画に引き伸ばした感じ。
途中で観客が次々と席を立つのもやむなし。
盛大に溜息をつき、背伸びして読了。
本当に残念です。
作者コメント通り、ムラサ先生の次回作に期待したいと思います。

       

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