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「電波ジャッカーBLUE」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=9519



bookman先生の電波ジャッカー外伝です。

■外伝というものについて
外伝っていつ読めばいいと思いますか?
アニメでもガンダムシリーズいっぱいありますよね。
初代を見ないでもOVAの08小隊とか面白い?
まぁ、面白いけど、やっぱり初代を見ていないと分からない時代背景とかあるよね。
外伝から読んでも本編を読まないと意味が分からなかったり、逆に、本編だけ読んでいても唐突に外伝の設定が出てきて困惑したり。
外伝を創作するというのは、そういう読者がついていけなくなるってリスクもあるかと思います。
またこちらは小説ですからね。
漫画の電波ジャッカー本編は好きでも、小説までは…って読者も多いのでは?
少数派でしょうけど、小説しか読まない人は、漫画の外伝?イラネってなるかもしれない。
しかしながら。
上手く相互作用し合えば、「ああ、これは外伝で見たやつだな」とニヤリとなって面白くなる。
本編だけ読んでも話は通じるけど、外伝を読めば更にニヤリとできる。
また、外伝単体だけでも完結していて面白い。
作品世界の広がりを感じられる。
外伝とはそういったものが理想的かなと思います。
電波ジャッカーは、第一部・二部・三部…現在は最終章?に至っている長編漫画です。
この外伝となる小説は、第三部に関連する内容ですね。
つまり読み方としては…。
漫画・電波ジャッカーの第一部・二部を読んだ後、気に入ればこの小説も読み、そして第三部へと続けて読むのがオススメな順番。
次点は、第三部まで漫画を読んだ後、余裕があればこちらの小説も読めば良いかと。
いきなり小説から読むのは…正直オススメできないかな。
第一部・第二部には殆ど関係ない内容だし、主人公・春子への見方がガラッと変わってしまうでしょう。
また、内容も結構重たいものですしね。
位置づけとしてはそういうポジションかと思います。

■漫画・電波ジャッカー
これは「読むべき」作品だと思います。
新都社を語る上では外せない一作でしょう。
コメントランキング登録は外していますが、検索したら出てきます。
最初はゆるふわした日常漫画かな?と思われますが…。
第一部終盤からどんどん面白くなってきて、壮大なSFになっていきます。
それと共に、画力も向上、すっきりしつつも見やすくて上手い。
アクションあり、感動あり、1話ごとのツッコミ&お笑い成分多めなWEB漫画のお手本みたいな作品ですね。
正直言って後付けだろこれは…!とか。
福本漫画(特に最強伝説黒沢&カイジ)とGANTZの影響が大きいかなーというのはありますが。
どこまで計算して描いているのか分からない部分も含め、WEB漫画らしいなぁと思います。
私は断トツに史郎と妹ちゃんがお気に入りのキャラですw
実に愛おしくなるほどの駄目&クズっぷりwww
…と、漫画の感想はそれぐらいにして、小説の感想へ参りましょう。

■第一話【志村春子中学三年生】
本編より過去の春子が登場。
いじめについてです。
しかも主人公(春子)がいじめる側です。
その時点で、この小説を読むハードルは高いw
いじめの理由は実に理不尽。
あってないようなもの。
春子、中々のクズっぷり。
それも、愛おしくない方のね。
文章的には読みやすいし、幼く、支離滅裂になっている春子の感情が良く表現されています。
漫画を読んでいる場合、春子の顔が浮かぶからイメージしやすい。
bookman先生の漫画のテンポを知っているのもあって、余り過剰な説明がいらない。
つまり、漫画を読んだ上であれば、適切な書き方だと思います。
逆に、いきなり小説から読むのはキツイです。
何の感情移入もされていない春子がいじめっ子です~って言われてもねぇ…。
第一話だけだと「ふーん? ほんでほんで?」としか…w
余談ではありますが、私のいじめ体験について。
私が中学校の頃は、学校の窓ガラスが全部割られていたという校内暴力世代よりちょっと下なので、そこまで酷い不良はいなかったけど…。
いじめは普通にありました。
それも理由は「暇つぶし」で、いじめられっ子同士でボクシングやらせるとか。
手の平を机の上に置いて、指の間をボールペンやカッターナイフでトントンって渡らせるやつとかもありました。
ぶっさいくな女子に告白しに行かされたりとか、
その女子の前でパンツ降ろされたりとか。
タバコの火を押し付けられたりとか。
トイレでうんこしてたらバケツに入った汚い水をぶっかけられたりとか。
教科書に落書きされて切り刻まれたり、上履きゴミに捨てられてたりとか。
色々やられましたね…。
程度としては電波ジャッカーの描写より少しきついぐらいだけど、作中で言われている「分かりやすいいじめ」だと思う。
まぁ、90年代のことですからね。
それでも徐々に陰湿化していたと思う。
特定の誰かがジャイアンとのび太だったんじゃなく、ジャイアンが5~6人いて、スネオが5~6人いて、のび太が10人ぐらいいたって感じだった。
だから特定の個人にいじめは集中しなかったので、担任にも発覚せず、「クラスの雰囲気」で済まされるところがありましたね。
いじめている側もいじめられている陰キャラ連中を「構ってやってる」ぐらいで悪意はなかったのかもしれない。
実際、いじめがあると担任にちくりに行った奴の方が、いじめている奴より悪い!って雰囲気でした。
また、学校側の対応も臭いものに蓋って感じになるし、いじめられている奴に「黙っていろ」となるんですよねー。
結局、学校というのは社会の縮図です。
いじめで不登校引きこもりになっても誰も救ってくれません。
本当に嫌です。悪意の無いいじめって…。
…いや、あれは明らかに悪意あったなw


■第二話【報復とモラルハラスメント】
あ~~やな感じ~~。
いじめていた春子が、逆にいじめられている。
ラプラスというポケモンが出てくる(嘘)漫画本編を読んでいれば…。
もうありありと情景が浮かんでくる内容です。
大して悪いことしてないロケット団が正義面したサトシにぶったおされる流れです。
第三部の小学校のあれな~。
あれをそのまま中学校の春子に置き換えられています。
だからこれを読むと、どういう気持ちで春子が第三部で行動していたかが分かる。
こちらを先に読んでおくべきか、漫画の第三部を先に読んでおくべきか。
難しいところです。
でもどっちも読んだ方がいい!

■第三話【事態の収束】
やはりいや~な気分になる。
読んでたらぽんぽんにずきっと来る感じ。
見た目分かりやすい外傷はないけど、内臓抉られる感じです。
いじめ加害者のレッテルを貼られ、悶々とした日々を過ごす春子。
まぁ、そうなったのは春子の自業自得な訳ですが、反省しているから良いでしょう。
第二話あたりで禊は済んでいます。
春子の家族は救いですね。
あの適当に描かれていたおとんとおかんが常識人です。
干し柿を直接茶封筒に入れてたくせに!www
第三話ではもう、春子頑張れ!って応援したくなりました。
余談ですけど、90年代に描かれていたジャンプのいじめ漫画「元気やでっ」も関西が舞台だったなぁ。
あれは王道ないじめ漫画だったけど、こっちは特にスカッと解決せずに成り行き任せで終わるので、モヤモヤする部分はあります。
だがそれがぶくまんクオリティ…!

■【番外編】
第三部のプロローグ的な内容。
でもいきなり悠と言われても漫画を読んでいない人には「?」だと思う。
なので、やはり漫画読んでからかな、これを読むのは。

■更新:【陰キャラの定義】
高校時代の志村春子について。
まだ途中って感じですね。
陰キャラの定義が語られていますが、はっきりと「これ!」とは定義づけられていない。
でも何となく分かります。
私の中高校時代、クラスでも陽キャラと陰キャラで分かれていましたね。
思えば、みんなクラスの中で必死に陰キャラにならないように振舞っていたんだよな。
「みんな」…この言葉も嫌いなんでしょうね、bookman先生w
さて、高校時代の春子と言えば…あの北条も出てきますよね?
また胃が痛くなりそうですが、続きも期待したいところです。

さて、総括的なものとして。
この作品、小説外伝として書いて正解ですわ。
内容が内容なだけに、漫画本編で描くのは多大な労力がかかるでしょうし、それに比して重い展開でコメントも伸び悩むのは明らか。
小説でサラッと流し、電波ジャッカーの熱烈なファン向けに書いた方が適切かなと。
世界観の広がりを得られるので、補完的なストーリーとして第三部を読む前、もしくは読んだ後にこちらも読むと良いでしょうね。
北条というキャラは実に気持ちの悪いキャラでしたが、インパクトはあった。
小説ではどう書かれるのかも楽しみです。

       

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