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★文芸・ニノベ作品感想★
1月22日ニノベ作品感想

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★1月22日ニノベ作品感想その1

10月の感想日は5回、11月は4回、12月は3回。
1月は2回。
もう少し感想日を増やしたかったのですが、もう27日ですからねぇ…。
徐々にペースが鈍っていますが、1月は他の事も重なっていたので…!(言い訳)
2月は少し余裕ができるとは思うので、今度こそ感想日増やしたいところです。
気になる感想日ですが、次は今から一週間後、2月3日更新の文芸作品としたいと思います。
節分の日ですねー。
鬼は~外!
福は~内!
と、食い切れないほどの恵方巻作品お待ちしております。


今回は以下の作品感想を書きます。


「ドン亀のヨーチン」
「したためたん」
「天に輝くものすべて敵」
「ゴールデンクロス・デッドクロス」
「ソナタ」
「魔法の国の少女」
「境界のアルカナ」

     

「ドン亀のヨーチン」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=16891



2014年9月30日に連載開始。
2015年1月22日で完結。
乙であります。
いや、甲種合格か!?
連載当初から見守っておりましたが、ツイッターでは良く反応がもらえないとぼやいていたこともありました。
その度に、「何を言っているんだコイツは・・・」という気分になっていましたw
正直、この題材でこれだけの反応がもらえていたら上等じゃないかと。
この感想企画でしつこく私が褒めていた効果があったのかなかったのか。
作品の持つ本来の力がようやく評価されたのか。
ここ最近はコメントの伸びも顕著。
超絶の「コメント数の推移」を見れば一目瞭然でしょう。
通常、漫画でも小説でも「初回更新」で読者を掴めなければ、その後は苦戦するケースが多い。
でも本作は尻上がりに伸びています。
実はこれは凄い事じゃないでしょうか?
徐々に評価されてきた「隠れた名作」というポジションなのですから。
前置きはそのあたりにして…。
本編の感想をしたいと思います。
前回、感想を書いたのが12月3日で、7「金髪の乗客」まで読んでおりました。
その続きからになります。

■8/眼上の敵
黴煙草を吸うシーンが良い。

>「黴ていようと新鮮な空気の下で吸う煙草は美味しいですね」
>「空気が刺身だとするならば、煙草は山葵だ」

面白い例えだし、ニヒルに笑う登場人物達の表情が伝わってくる。
前々からそうですが、戦闘シーンより幕間の日常的なシーンの方が本作では魅力的に感じる事が多い。
と言うのも、やはり生身の人間同士の戦いではないというか、敵味方による互いの主義主張や感情のぶつかり合いというシチュエーションがないので。
戦闘シーンが「自分達との戦い」の範疇のようでした。
一方で、相手の顔が見えないので平気で残酷になれてしまう。
8話はそれを良く描けていたと思う。
北中支の軍人・バルマ、少数民族サジ族出身のヒルン。
2人の敵側人物が出てきました。
バルマは天照人を猿、ダイマン人を豚と呼び、敵の大量殺戮に躊躇が無い。
ヒルンもそんなバルマを支持するのは、サジ族がダイマンの迫害を受けていたという事情から。
このあたりの人物描写がステレオタイプとコメント欄で指摘されてたのかな?
分かりやすい描写だとは思うけど、戦記物では定番ってぐらいで…。
むしろこういう分かりやすい敵、敵国ネームドキャラ自体が初登場。
もう8話なのに。
それこそテンプレな展開でない事の証左ですよ。
バルマに関してはいかにも第二次世界大戦で「ジャップ!」とか言ってたアメリカ軍人っぽい。
でもヒルンはサジ族の事情なども絡めてますし、敵には敵の正義がある事をしっかり描写している。
それで十分というか、癖のある変化球は、この先幾らでも出せるでしょう。
まずは直球を見せるので良いと思います。
一方、主人公・鱶爾は、代用珈琲の味に文句を言う貴族出身のフィナリアに嫌味を言う。
冗長になるかもしれませんが、代用珈琲がどういう原料でできていて、どういう味がするかも詳しく描写して欲しかった。
黴煙草と同様、世界観の広がりが感じられると思うので。
寒村出身で丁稚奉公に出された鱶爾に対し、もう少し感情移入ができればと思います。
フィナリアに嫌味を言いっぱなしでフォローもなしでは、単に嫌味なやつで主人公らしくない。
匹腹は鱶爾に注意するだけじゃなく公私混同っぽいけど鉄拳制裁しても良かったと思う。
兵卒ごときが同盟国の士官に嫌味を言うなんて問題行動も甚だしいし。
8話では看護兵の見せ場がまったくなかったし…。
上官の佐治潟や匹腹の方が主人公していました。
士官が兵と一緒に缶詰食べてるのはかっこいい。
でも逆はアカンというか、兵が立場を弁えずに士官に文句を垂れるのはみっともない。
一方、何かと足手まといだったフィナリアも砲撃戦で役に立ったし、匹腹とのやりとりも可愛らしくて良かった。
敵溺者へのゐ五八の残酷な対応について。
胸糞悪い限りですが、中世の騎士道などがあった頃のどこかのどかな戦争の時代と違い…。
感情の入らない機械による大量殺戮、愚かしい戦争の時代を良く表現できていますね。
第二次世界大戦って、まだギリギリ騎士道の残光があったと思うのですが、完全にそれがなくなった時代でもあります。
バルマかヒルン、できればヒルンあたりを生かしたまま、しもつき1号の捕虜にできれば良かったのですが。
そうすれば敵側の感情の代弁者ができ、もっと人間ドラマに深みが出せたかもしれません。
尺の都合でカットされたのかもしれませんが。
あと、北中支・ダイマンの人種的背景が気になる。
天照人は日本人がモデルと分かるけど、北中支もダイマンも西洋風の名前なので、モデルの国家があるなら暗示してくれるとイメージしやすい。
いや、ファンタジー世界だから敢えて詳しくは出さないというのも賢明ですが、設定&歴史好きとしては物足らないところもあります。

■9/武島の娼婦②
フィナリアをダイマン軍に引き渡すシーンは中々良かった。
彼女の株は大分上がりましたね。
父親がダイマンの司令長官だったのは何となく予想通りでしたが、名前にフォンがつくってことはドイツモデルの貴族なのかな?
フォルモリアって同盟国がドイツモデルだと思っていたが…。
鱶爾と美禰のやり取り。
あっさりしすぎでは?
もう少し感動の対面となっても良さそうというか、五銭硬貨縫い付けた人形を渡したり、美禰はもう少しデレていたような…w
辛気臭いという性格だからこんなものなのかな。
でも料金以上の金額を払った事に対して怒っているのは良し。
娼婦には娼婦のプライドがあるよね。
規定の料金以上を払う成金みたいな真似は余りよろしくないというか、娼婦としては面倒な客になる恐れがある。
美禰にとって鱶爾が客でなく情夫になっているなら、金を払うのは逆に失礼になってしまう。
鱶爾の立場が客から情夫に変化するかしないか微妙なところなので、彼の対応は難しいところ。
これから死ぬ可能性が高い訳だし、これ以上美禰の心に踏み込むべきではないという気持ちもあるでしょうしね。
うん、良いやつです。

■ /若き決死隊
話数が振られていないが10話で良いんだよね?
うわぁ、人間魚雷か…。
遂にそういうのが来ちゃったか…。
史実でもあったよね、伏龍とか回天とかいうのが…。
こちらは紋龍と名づけられてますが、実際には回天のようです。
前回の感想時でも戦況が逼迫してるんじゃないの?と思っていたが、嫌な予感が当たってしまった。
これを冒頭、鱶爾の昇進・叙勲式とセットで描写しているのが秀逸と思う。
一等兵から三等兵曹になるが、新たに配属されてきた人間魚雷の乗員二人も三等兵曹。
勲章とか昇進とかまったくもって無意味である。
死ねば二階級特進でしょうけど、本当に無意味。
使い捨ての人間魚雷乗員二人が幼いのもまた哀しいところ。
美禰との逢瀬を重ねる機会を得る鱶爾だが、ここは今までで一番主人公らしい。
軍人や戦争に対する考えが語られる。
ここは作者の代弁でもあるだろう。

■ /空母「ペヂィキン」を撃沈せよ!
11話、あらゆる箇所で息苦しさが伝わってくる文章でした。
作者も息苦しかったのか、これまで余り見られなかった誤字も少し。
しもつき1号の乗員全てが全力を尽くし、最高の戦果を挙げるまで。
間違いなく、これまでで最大の緊迫度だった。
そして絶望感も半端ない。
潜水艦の戦いは狩人・狙撃手の戦いに似ていると思っていたが…。
ある部分ではそうだが、自らを危険に晒さなければ攻撃できないあたり、狙撃手より過酷だ。
人間魚雷・紋龍は決死の兵器だったが、しもつき1号もそれに近いものがある。
つくづく潜水艦には乗りたくないものだ。
敵を倒すうんぬんの前に、酸欠で死にそうになるのは本当に真っ平である。
また、潜水艦の戦いの全てが凝縮された密度の濃い話だった。
極端に言えば、序章と同様、潜水艦の戦闘描写だけならこの話単独で読んでも問題ないだろう。
最後、沈み行くしもつき1号。
ここも序章と同じですね。
滅びの美しさすら感じる。
主人公達の容赦の無い死を描写する事が多いヤーゲン節の集大成でもあったと思う。

■終/ヨーチンの帰還
生きてた!?
しかも説明無しかよ!!!!!
酔っ払った美禰の夢か幻覚か?
五銭硬貨縫い付けた人形が化けて出てきたのか?
ご都合主義すぎて納得できない。
戦争の勝敗も語られていませんしね。
他の乗員らはどうなったのか?
鱶爾だけが生き残ったのか?
色々と疑問は残るが、はっきり死んでいるのは佐治潟と皐月雨だけ。
他はあくまで生死不明だし、海底潮流に上手く乗ってどこかに打ち上げられたとか?
「ふしぎの海のナディア」でも絶対全員死亡しただろうっていう描写でフェードアウトしたノーチラス号乗組員が全員生きていたことだし…。
読者の想像に任せるということかな?
それとも続編への布石?
またはあとがきで色々語られるのか?
そっちも期待したいところです。
と言うのも、説明もなく生きていた事にしてハッピーエンドにするのは、これまで徹底したリアリティを追い求めてきた本作には似つかわしくないと感じたから。
鱶爾の遺影を胸に涙する美禰が、自分の命があるのは鱶爾のおかげだと思いながら強く生きようと決意する…とかでも良かったような…。
まぁ、最終回で主人公は生死不明、どう考えても死んでるだろうけどあいつが死ぬはずがない!…で、主人公の生存をにおわす形で終わっている作品は他にもある。
アリと言えばアリなエンディング。
ということで、ある意味、沈没を偽装したりする潜水艦らしい最終回でした。
完結お疲れ様です。

     

「したためたん」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17359



いつも大量に新都社小説を読んでおられる岩倉キノコ先生作品。

■京都・鞍馬発出町柳、君のズボンの車窓から
性癖暴露アンソロジーの続きですか?w
ただ露出が好きな方の意見としては、これは薄皮一枚纏った温い露出です。
例えば和田駄々先生のHVDOの三枝さんのように、普段は優等生の仮面を被りつつ、その社会的地位の全てを投げ打ってしまうような露出に比べれば…。
自分のことを何も知らない町の人に見られる程度が何だと言うのでしょう。
それにタイトル読むだけで内容も分かってしまうw
とりあえず留置場の警察官はそんなに優しくないよ。

■コメント返信/01.18.2015
本編よりコメント返信の方が面白いwww
文章量だけで吹くわwww
細かく読んでねーけどwww

■お題①「ファッキンビッチが豚とやってろ」「ジョーカー」「新都社」
エロくないし弾けてもいないから面白くない。
シュール&ナンセンスではある。
エロありお料理教室で言えば…そうですね、えろま先生のトゥー・レイト・ショウのTITI`sキッチンを見習って欲しい。
異種姦&リョナ趣味を全てぶち込んで煮詰めていますが、完全に本作の上位互換です。

■孤独の帰省サバイバル
ここまでで一番良かった。
カーナビと運転をしてくれる女性型アンドロイド。
帰省中の主人公が独り言と妄想をだらだらと述べ、自爆してしまうまで。
大笑いはしないけどくすっとしてしまう面白さがありました。
ぼっちをこじらすとこうなってしまうという良い見本。
ある意味、新都社らしい短編小説でした。
厳しい事を言えば、どこかで見た事のある話の域を出ない。
文章表現も少し冗長なだけで特に魅力も感じない。
これが「岩倉キノコの持ち味だ!」というものがない。
誰か別の名義で書かれていても気づかない。
…といったところでしょうか。
まぁ、これ以上長ければ読むのが苦痛になるところだったので、ある意味これで良かったです。
習作という感じもしたし、人に見せるだけの体裁は整っていました。

>暮らしではい。

と、ここは脱字?
流し読みしましたが、それでも誤字脱字を見つけられる程度の推敲しかしていないのは頂けないです。
岩倉キノコ先生はタフだと思うので、これぐらい言ってもなにくそ!と奮起してくれるでしょう。
Leeの30倍の感想でした!

     

「天に輝くものすべて敵」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17082



2014年11月4日連載開始。
2015年1月22日完結。
それも書き溜めていたようですから、実際にはもっと前に書き上がっていたのでしょう。
速筆の顎男先生ですが、これは相当さくっと読める短編でしたね。
前回感想では18話まで既読でした。
今回はそこから最後まで読みます。

■19.いるべき場所
槌宮が赤木に色仕掛けをして、愛馬の戦場復帰へ協力させようとする。
半裸になりつつ身の上話と愛馬への想いを切々と語る。
「ベルセルク」でキャスカがガッツの前で半裸になってグリフィスとの馴れ初めを語るかのようでした。
もっと文章表現膨らませてドラマチックに表現できそうな気がするのだが…。
何と言うかあっさりしすぎ。
もったいない…。
プロットだけ読んでいる感じです。
小ネタだけど、高知の表現がいい。
「高知あたり」って…高知なのか高知でないのかも定かですらないのかw
余りいじめっぽく描写するのは好きではないですけどこれぐらいなら良いかな。
ぞんざいな扱いが妙な笑いを誘います。

■20.『最高の自分』
溝口のロボット作りを通じて語られる愛馬。

>「最高の自分だけが全てじゃない……じゃ、頑張れよ。主人公クン」

桜庭のエスパーぶり。
この作品中、やはり桜庭だけが異色の存在である。
文化祭の準備の描写は大変良かった。
ウキウキとした空気感が伝わってくる。

■21.決壊
遂に衝突する愛馬と槌宮。
夕方の教室でってところが良い。
雨が降っている時は誰かが泣いている時というのが定番だけど。
夕方ってのも物語の中で影がさす瞬間ってことが多いよね。
短いながらも文章表現的にも冴え渡っていたと思う。

■22. 電池のようにいつか 夢のようにいつか
み、溝口ぃ・・・!!
溝口が何したってんだよ・・・!
それはそうと、クロスアンジュ面白いよね。
戦闘機が生物的なデザインをしている理由とかあるんだろうか?
生物的ではあるが異形の姿で、より化け物っぽさを表現するには適してるからということかな?
槌宮が強行手段に出て、戦闘機で学校を破壊してでも愛馬へ復帰しろと脅迫する。
それを子供のように泣きじゃくって拒絶する愛馬。
槌宮はそんな愛馬を無理に連れて帰ることはできないと、自らに言い聞かせるように諦めの言葉を呟き、立ち去る。
桜庭は赤木にバイクのキーを渡し、槌宮を追いかけろと促す。
そうだ、クラスメイトは愛馬だけじゃないのだ。
借りたバイクで走りだす赤木。
熱いねぇ、青春だねぇ。
80~90年代の学園ドラマしてるねぇ。
クライマックスな場面だけあり、読んでいて胸が痛かった。
槌宮と愛馬とどちらの事情もどうしようもない事だ。

■23.天に輝くものすべて敵
赤木のパイロット適性試験のくだり。
この世界でのパイロットがエヴァンゲリオンのパイロットのようなものというのは分かった。
そう考えると槌宮はアスカであり、愛馬はシンジくんだな。
槌宮も十分天才だが、愛馬の代わりにはなれない。
ツッチー…哀しいな。
タイトルの意味も分かる。
実に過酷な世界である。
おい、やっぱりあかるいはなしじゃないじゃないか!…くそっまた騙された!
余談だけど、こういうパイロットの選び方しているのなら、もっとエリート教育徹底させるべきじゃない?
それこそ人間味をなくして洗脳するレベルで。
適格者になれるなれないは別にして、可能性がある年代の子供たち全員に徹底した軍事教育を行うべきじゃないかな。
周囲も、赤紙受け取ったら万歳三唱で出征に送り出せる感じで。
アイドルみたいなノリで「普通の女の子に戻ります!」が許されるのはどうかと思う。
世界存亡の危機というからには、それぐらいしていないと不自然というか。
まぁ、そんな感じになっていたらそもそもこの作品自体が成り立たなくなるか。
また余談だけど、「パシフィック・リム」っていうエヴァンゲリオンやマジンガーZなどのオマージュなハリウッド爆発物な巨大ロボット映画がある。
あれもトラウマを抱えた主人公が出てくるけど、それを克服して再びロボットに乗り込んでいた。
何が言いたいかと言えば、本作はそういう分かりやすいハリウッド物とは真逆なんだなぁと。
そしてやっぱりというかなんというか。
愛馬は「もう書けねぇ」となってる顎先生の分身。
槌宮は「それでも書く」となってる顎先生の分身。
愛馬に比べれば凡人だが、悲壮な覚悟を持ちつつ地獄へ落ちていく槌宮。
何ともかっこいいではないか。
うん、槌宮にはもう少し女子高生気分を体験させてあげたかったね…。
ちなみに私はエヴァではアスカが一番好きです。
スパロボではシンジは放っておいてひたすらアスカを強化します。

■24.Star dust fighters (終)
そして日常への回帰。
このゆるゆるした空気も槌宮の犠牲の元に成り立っていると思うとどうしようもない哀しさが漂う。
くるみ先生、桜庭、桃子、愛馬。
彼女らとのゆるゆるした日常にほっとするのも確か。
コメントでホットチョコレートのような…って形容があった。
私はインスタントスティックタイプの葛根湯のような味わいを感じた。
弱っている時に飲むと元気になれそう。
お手軽にだけど。

総括します。
というか、ツイッターで思わずぼやいてしまったが、感想を書くのがしんどい作品だった。
まず最初に甘い事を言えば、顎シリーズの中では抜群に読みやすかった。
そう、読むだけならねw
作品を評価したり感想を書くとなると難しい。
沢村~から続く路線の一つの完成を見た気分。
極端に文章量を減らした弊害として、読みやすくはあるけど物足らなさはある。
それでも洗練されているから余り気にならない。
文章センスは流石だし、笑わせてもくれるし、泣かせてもくれる。
他の有象無象の新都社小説をちぎっては投げられるハイレベル。
次に厳しい事を言えば、やはりインスタントだなと。
プロットが透けて見える。
予想外の展開には余りならない。
「顎はこういうものが書きたいんだな」というのが良くも悪くも伝わりすぎる。
レシピ通りに作れているんだけど、冷凍食品とかインスタントの味って予想通りの味すぎてつまらないよね。
ちょっとぐらいえぐみが出ても良いのでアレンジしちゃおうよって言いたくなる。
顎先生では初めて読んだのが「あの世横丁ぎゃんぶる稀譚」だったんですけど、別にあれぐらい重厚な描写をしてもいいと思う。
小説を書く目的が…方向性が…とか、難しいことはさておき。
そういうものを考えず、食べたいものを食べるように、書きたい事を書きましょう。
ボクサーじゃないんだからストイックに減量するのも程々にってところでしょうか。
私はボクサーよりプロレスラーの試合の方が観ていて好きです。
ボクサーの緻密さとプロレスラーの豪快さを併せ持てるなら、最強じゃないですか!
コーラがぶ飲みして、肉でも食べて太りましょう、顎先生!
もし神戸に来られたら神戸ビーフおごりますよ!
まだアンタは隠居したり老け込むような年じゃないはずだ。

     

「ゴールデンクロス・デッドクロス」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=16751




猫瀬先生の株式取引をテーマにした作品。
感想は書いていないものの、最初の方だけ読んでいました。
猫瀬先生と言えば、文芸のお題短編企画、遅筆友の会などで素晴らしい短編を書かれています。
そして何と言っても「高校生6人を密室に閉じ込めてみた」を高校一年生で書いたという才能。
今は新都社では読めませんが、あれは間違いなく名作。
さて、そんな猫瀬先生の新作です。

■01.「取引といきましょう」
偉大な株式トレーダーを父に持った主人公・三雲渡也。
小学生の頃は父のようになりたいと夢を語っていたが、現在の彼は何の変哲も無い普通科の高校生となっている。
投資の世界に何かトラウマがあって逃げてきた模様。
無気力でクラスでも孤立気味。
そんな彼の元に、株式投資研究部に所属する折花美雨という美少女が現れ、投資の世界へと誘う。
高校生によるバーチャルトレードコンテストがあるのだ。
拒否する渡也だが、美雨は取引(半ば脅迫w)の材料を持っており…。
こういう筋書き、結構ありますよねw
元天才が挫折してくすぶっていたところ、周囲に引っ張られて再び立ち上がるというの。
ベタというか王道な展開?
ジャンルは全く違いますが、最近見た中では「ガールズ&パンツァー」が近い。
戦車道の家元の少女が、トラウマを抱えて戦車道とは無縁な普通の高校に逃げてきたものの、結局そこでも戦車道の世界に誘われるというもの。
「ガールズ~」では主人公は仲間達との交流を通じて戦車道に楽しさを見出して復活するのだが、本作ではどうだろうか?
導入は洗練されていて読みやすかった。
これから胸躍らせる投資の世界が待っているのかどうか。
株ラノベというジャンル自体が珍しい。
オンリーワンになれる要素を持っている。
期待したいところです。
ただちょっと苦言を呈するとすれば、美雨の出した取引の材料が弱いかな~~?
渡也にとっては脅しに使える武器だったようだが、人によっては「そんなの小学生の話だし」と一笑に伏される程度のもの。
客観的に見て、取引断られる可能性の方が高いだろって思いました。
もっと強制力を持つような脅しの材料を用意してほしかったですね。
例えば、株式投資研究部が廃部の危機!
「三雲くんの力が必要なの! もし力を貸してくれるなら私の体スキにしてくれていいのよ!?」
とか良くありません!?
ねっ!(マジキチスマイル)

■02.「魔術師」
ハイリスクハイリターンの世界。
私も昔、投資の世界に携わっていたことはあります。
商品先物取引、そこはまさに狂気の世界でした。
最近ではFX取引がもてはやされていますが、商品先物取引も同じレバレッジ取引です。
100万の資金でその100倍の1億円の取引ができてしまう。
鬼が出るか蛇が出るか。
どうして自分だけが負けないなんて思っていられるのでしょうか?
戦場に行って自分だけ弾が当たらないと思っている兵隊のような愚かしさです。
渡也は恐ろしさを理解したからこそ、投資の世界から降りたようです。
その辺の事を分かりやすく描写できていました。

>失敗を想像しないやつらは成功する。しかし、それは最初に限った話で、何度もふるいにかけられ、それでも生き残った者だけが天才と呼ばれる。

そんな生き残った成功者が魔術師という訳ね。
これは他の世界でも言える事かもしれません。
天才肌の成功者は失敗なんて考えた事もない。
でも、誰もがそんな天才ではない。
渡也は失敗を意識してしまった。
彼も小学生時代はぶいぶい言わせていた訳だから、才能はあるはず。
底を知ってしまったが、そこから立ち上がることはできるのか?
失敗を知って尚立ち上がれた天才は強い…はず。
投資というテーマは興味深いけどそれだけじゃ弱い。
この第二のテーマが含まれているので、本作は普遍的な面白さを勝ち取っています。
株式投資研究部の部室へ行く渡也。
そこで見たのは驚異的なリターンを弾きだす美雨の取引の様子。
渡也を再び立ち上がらせるには十分な衝撃だったようです。
美雨の取引に父の姿を見たようですね。
そうですね、脅されてではなく、やはり自発的に主人公には奮い立ってもらいたいところです。

■03.「手と足」
美雨のキャラクターは実に良い。
魅力的なヒロインです。
取引に没頭する様子は精密機械のようで、外見は可愛らしい小柄な貧乳美少女。
胸ポケットに入った紙を取るところは渡也でなくてもドキドキしちゃうでしょうw
いいね、青春してるなーw
どこか遠くを見ているような瞳。
投資マシーンと化している美雨は、渡也が天才のまま成長した姿なのかもしれない。
渡也が投資の世界へ本格的に戻ることを決意する。
しかし本人も言っているがあっさりしているね。
投資を辞めたきっかけ(トラウマ)とか説明されていないし…。
ヤニ中になるのが怖くて煙草をやめたけど、煙草の匂いをかいでしまってまた吸ってしまったという程度のあっさり加減。
もう少しドラマを膨らませられるところなので、劇的なトラウマが過去にあったと含ませた方が良いかと。
トラウマを克服する主人公はかっこいいから。
おじいちゃんとの対話のシーン。

>なにかをやれるってことはそれだけで幸せなことだ。だから恥や迷いなんて持ったらいかん。自分の手と足よりも大切なもんなんじゃろう。

名言来ました。
良き理解者です。
手足をもがれるより大切な事。
カイジの利根川はこうも言っていましたね。
「金は命より重い」と。
まさに狂気の世界です。

■04.「科学と魔術」
株研の部員達はみんなハイスペックみたいですね。
湯波はプログラミング超高校級のようだし。
音瀬さんも有能そう。
美雨は投資マシーンだし。
それでもコンテストにはもっと強いやつがいる。
いや、人間であればまだ良かったが…。
本物のマシーンが相手のようです。

■05.「折花美雨」
良い雰囲気である。
文化系クラブの見た目は静かだが内面は激しいというのが伝わってくる。
囲碁や将棋の漫画で既視感がある。
「ヒカルの碁」や「3月のライオン」で「神の一手を!」と追い求めている感じ。
渡也は美雨の期待に応え、覚醒できるのか?
こんなか細い少女が戦っているのだ。
これで立たなきゃ男じゃないぞ。
(私は別のところが立ちそうだが!)
一方で、美雨がなぜそこまでしてトレコン優勝を目指しているのか?
という説明はまだない。
でもそこははっきり伏線と明示されている。
続きに期待。

■06.「見えないもの」
今までと違い、株式の専門的な知識や数字が多目に出てきます。
でもそんなに難しい話はしていませんし、株式初心者でも全然ついていけるレベル。
やはりヒカルの碁に何となく似ている気がします。
あれも詳しい碁の知識がなくても面白かったですよね?
20何巻と続いた漫画ですが、碁のルール説明は殆どなかったし、なくても楽しめた。
人間ドラマが熱い漫画でした。
そう、例えると…。
渡也は進藤ヒカル。
美雨は搭谷アキラ。
沙耶は越智。
そう、投資のライバルなのか、BLの対象として見ているのか分からないぐらい執着してたw
沙耶なんか、美雨に恋しちゃって、渡也へ嫉妬しているようにしか見えないw
トレコンの行方より人間ドラマの方に注目しちゃいますねw

■07.「もうひとりの彼女」
子供時代の渡也と父との対話。
父がかっこいいではないか。
いかにも子供に夢を語る父親している。
でも父も投資をやめているのか。
何が原因だったのか…?

>「自分のルールが、世界のルールに負けたときだよ」

渡也も沙耶に対し、投資をやめた理由をそう語る。
良く分からないが投資に大負けしたってことだろうか?
さて、なぜか文化祭が始まります。
文化祭の展示って物凄くてきとーにやってる部多いよねw
株研はまさにそのようです。
彼らにとってはトレコンの方が大事だから、そんなのに時間割いてる余裕は無いってことね。
そんな文化祭の最中、暇を持て余した渡也が美雨と出会うが…。
これは意外な展開。
まさかまさかの二重人格?
単なる絶滅寸前正統派美少女ではなかった。
そういえば「科学と魔術」ってタイトルあったよねぇ…。
本物の魔術が出てくるのか!?
更に面白くなってきました。
続きに期待です!

     

「ソナタ」
http://lapluie.kumogakure.com/novel.html



やっとこさ最新話まで追いついてきました。
現在、四十話まで既読。
思えばここまで長かった…。
いや、読めば面白いんですよ?
何でもっとコメント増えないかなぁ…。

■第四十一話 カフェ『LABYRINTH』
冒頭、「ソナタ」の舞台となっている町の位置関係などが描写されている。
申し訳ないがこれは頭に入ってこない。
いっそ地図を描いてくれた方が早いかなと思う。
「ソナタ」の魅力は、漫画的な登場人物達の掛け合いだと思う。
なので、町の描写や地の文はもう少し少なめの方が良いかもしれない。
さて、松平さくらが誘拐されたらしい。
元殺し屋が経営するカフェ『LABYRINTH』にて、菫と透がその事で話し合う。
さくらを誘拐したのは病院関係者か…!?
しかしこの町、本当に、ほんっとーに!
殺し屋多すぎるだろ!!!!!www
石を投げたら殺し屋に当たるっつーの!www

■第四十二話 椎名真赭
透と光の後輩、椎名真赭が登場。
好戦的で喧嘩っ早い女子中学生か。
どーしてこの町はこうもヤンキーだらけなんだwww
強さの序列を七色のスニーカーで表現するとかwww
明確には言われてないけど、ソナタの町って過疎化も進んでいるようだし、やっぱりちょっと残念な地方都市なんだね。
時代設定は現代ながら、完全に80年代か90年代あたりの光景。
その頃に青春時代だった私にとっては多少懐かしく感じる。
私の生まれ育った町、尼崎もヤンキーばっかりでしたからねぇ…。
本作に私が好意的なのは主にそのためです。

■第四十三話 飛んで火に入る夏の虫その①
石竹霙(小雪の姉)が本性をあらわしてきます。
光とコチニールは石竹霙に捕まり、鎖でつながれている様子。
光とコチニールは絡むと面白そうだと思っていたがやはり面白いw
完全に漫才になっているw
しかしそんな光がふと発した一言が結構意外。

>「いい事、この世の兄弟というものはね、上は下を絶対に見捨てられないし、愛さない筈がないのよ。どう足掻いても兄弟ならば、命がけで守るものよ」
>「兄の為に妹が動かないなんて事は、もっとありえないのよ」

もしかしたらソナタを読んでいて初めて。
光を「良いやつ」と思ったかもしれない。
いや、見直しました。
…と、次に医者達のパート。
おいおいおい。
とんでもないマッドサイエンティスト集団じゃないか。
身体と魂を入れ替える?
ああ、コチニールはそれで…。
チワワの身体に、やくざの魂を入れたって訳か。
何と言うサツバツ世界だ!!!
恐ろしい…。

■第四十四話 飛んで火に入る夏の虫その②
ローズ持ちというのは何なんだろう?
まさか…ニュータイプかっ!?w
身体能力の高い人間をみんな「ローズ持ちかもしれない」と言っているが…。
光たちの戦闘が続く。
ピンチの連続にも決して挫けない不屈の闘志!
主人公してますねー。
何だろう、不良達相手に戦っているより、よっぽど主人公らしいぞw
ただ注文をつけるとすると…登場人物が多すぎる。
私が書くならまず医者側の人物をばっさり一人か二人に減らしますね。
誰が喋ってるのかとか、分かり辛い部分が多い。
登場人物が多すぎるので、一人一人の掘り下げが不十分に感じます。
登場人物達紹介を見ながら本編を読みました。
これで書き直したとは思えないほど、第一部より読みにくいです。
もしかしてかなり話をカットされてるのでは?
だとしたら逆効果でしょうね…。

さて、やっと全部読み終えました。
自分を褒めてやりたい気分w
続きも更新合わせてくれたら読みますからね。
普通に面白いので、漫画の「品定め」ともども、頑張って下さい。

     

「魔法の国の少女」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=15730



今西美春先生作品。
どうも「時計の国の少女」「夢幻の国の少女」に続く作品のようですが…。
タグに「国の少女シリーズ・外伝」とありますし、これ単独で読んでも問題ないのかな?
初見なので最初から読めるところまで読みたいと思います。

■序章
凄惨な戦場から。
良いですね~この雰囲気、好みです。
余談ながら私も「魔女の詩」っていうファンタジー小説を書いているのですが。
それに似たダークさがあります。
世界を呪う魔法少女メディア・リターナーはどうなるのか!?
甘言を弄して近寄ってきた使い魔「ネームレス」との契約、そして計画とは?
「世界を滅ぼす」ことのようです…!
おー素晴らしいですね。闇堕ち魔法少女が主人公ですか!?
メディアかぁ…私の小説の主人公メディナと名前まで似てるや。
メディアならギリシャ神話でも魔女として名高いしね。
関係ないけど、私の小説のメディナの名前の由来は「イスラムの聖地」から来ています。
メディア・リターナーという名前にも意味があるんでしょうね。
好みの雰囲気と主人公の名前から、一発で最後まで読み続けたくなりました。

■第1章 最弱の魔法少女
ネームレス、改めビスビリオ。
古語で「囁く者」か。
多分猫みたいな容姿をしているのだろう。
気まぐれで主人に忠誠を誓うタイプではなく、あくまで共生関係、いやここでは共犯関係。
まぁ、安直な感想だけど「魔法少女まどか☆マギカ」のキュウべえみたいだよね。
使い魔としてのビスビリオの能力は魔力吸収。
使いようによっては最強の力を得る事もできるが、今現在では何の能力も持たないので最弱。
それをメディアに説明して、突っ込まれたビスビリオが話題を逸らそうとするあたりは正直くすっとしましたw
序章前半のダークな雰囲気に比べ、序章後半から第1章にかけては割と軽妙な文章で、これが本来の作者の書き方なのだなと分かる。
重くもなく、軽くもない。
丁寧な文章という印象。
ライトノベルだからって世界観を無視してやたら軽くする人もいますが…。
話の進め方とテンポ、登場人物の紹介と絡み、世界観の説明、そのバランスがとても良いです。
教官のサラ・モリス、新しい上官セシリア・トリスケイル、行き倒れていた家出少年ヴィットーリオが登場。
みんな善人であり、それぞれから励ましや優しい言葉をかけられる。
だがそれに対し、メディアが考えを改める様子はない。
ビスビリオはそんなメディアに対し、一人暮らしの孤独な老魔女を狙って魔力吸収をしようと提案。
卑劣だが効率的だ。
メディアは世界を滅ぼそうとしているのに、モラルにとらわれて躊躇する。
口先だけで、まったく覚悟ができていない。
真っ当に良識人です。
幾ら凄惨な戦場を見て、親友を失ったからと言って、いきなり闇堕ちするには無理がないかな?
勢いで「世界なんて滅んじゃえ!」と口走ってしまい、引っ込みがつかなくなってしまっているのでは?w
もっとゲスな主人公かと思っていましたw

■第2章 目覚め
メディアが老魔女ルイーザから火の魔力を奪うまで。
や~っとこさで、悪い事ができました。
ルイーザの背景についても丁寧に書かれています。
疎遠となった娘のこと、孫ができたこと、インコのような使い魔のこと。
だから余計に殺してしまうのは忍びない。
これって使い魔の魔力を吸い取るだけなら、魔女は殺さなくても良いのでは?
今回は目の前で使い魔の魔力を奪ったから、魔女の方も目撃者ということで殺さなくてはならなかったけど。
深夜に魔女の家に忍び込んで、使い魔の魔力だけ奪っていくとかじゃ駄目なのかな?
あ~いや、魔女が魔法を使う瞬間を狙わないと、魔力を奪えないのか?
覚悟できたつもりでもまだまだ良心の呵責に苦しむメディア。
そんなに苦しむならやらなきゃいいのにね~。
ビスピリオがいなければ何もできないくせに、いちいち皮肉っぽいし。
ぶーぶー不満を言いつつ、状況に流されているだけのような感じがします。
でもそれが普通かな?
どちらかと言えば余り優秀ではないメディアがいきなり大立ち回りできる訳が無い。
これぐらいのスローペースの方が自然ですね。
さて、第2章最後では思わせぶりな謎の魔女と使い魔が登場です。
メディアの行動をしっかりと見ている模様。
とすれば、メディアの今の状況も、手の平で泳がされているだけなのかもしれませんね。

■第3章 北へ
誤字脱字が数箇所。
ドズラフェル(老人キャラ)の台詞で不自然というか関西弁っぽくなってるところが。
セシリア(お姉さんキャラ)やドズラフェルのように、口調が特徴的なキャラクターは「誰が喋っているか」を分かりやすくしてくれるけど、地の文と違う口調になるからミスもしやすいのかもしれませんね。
この章は名前の無いキャラも含め、今までに比べて大勢のキャラが喋っていましたし。
更に言えば、「洋燈」という単語がありましたが、ハイファンタジーの本作ですから和洋など関係ないと思います。
ファンタジーでもワンピースみたいに「和の国」があるなら別ですけど。
さて、第3章で色々と話が転がってきました。
上官セシリアと共に、敵である鋼鉄の国に与する恐れがある中立地帯の少数民族マハルバの民がどう動くのかを偵察する任務。
マハルバの民は神への信仰(宗教)に篤い民族。
だがそれゆえに民族的に劣化してしまっている模様。
一方、鋼鉄の国は宗教を利用し、国として伸長著しいと。
この辺りの宗教への考え方はあっさりしていますが実に興味深くて面白い。
現実の宗教問題の真理を突いていますね。
また、鋼鉄の国は政略結婚を推し進め、マハルバの民を取り込もうとしている。
帝国主義国家として実に優秀です。
そんな大きな歴史のうねりを感じる章となっていますが…。
メディアは新人、しかも凡庸な魔女です。
話の展開に対して蚊帳の外というか、まったく見せ場がありません。
一方、セシリアの凄さは色んな場面で丁寧に描写されている。
けど、そんな彼女から魔力を奪えるのか?
まったく隙がありませんし、メディアがいつセシリアを裏切るのかとか気になりますね。
この章でも世界観・ストーリーの説明は本当に丁寧。
これまでずっと三人称一人(メディア)視点で進んでいましたが…。
後半、三人称神視点で、鋼鉄の国の様子も描写されています。
鋼鉄の国のボンボンっぽい皇子ナブッコス、脳筋っぽい皇女ギネヴィア。
短い文章でさらっと語られていましたが、それぞれ特徴的で記憶に残るキャラクターです。
ギネヴィアなんか国で大人気というのも頷ける。
「鋼鉄の国の戦乙女」なんて外伝でも読みたいぐらいw
会話中心ですが、国際情勢が緊迫しており、本格戦記ファンタジーとなってきました。
やはり私好みな作品です。

■第4章 反抗
誤字脱字がまたありました。
あと、近代オリンピックがある訳でもないのに「マラソン」という単語はどうかと思う。
%とかケセラセラも「こちら側の世界」の表現です。
ファンタジーなんですから他の言葉に言い換えられないかな?
比喩的な表現だとしてもうっかり出てくると興ざめです。
いや、意図的に現代的な表現を好むファンタジーだってあります。
それが誤りとは言わないけど、本作の雰囲気にはそぐわないと思う。
でも、もっと作者は軽くしたいのかな?

>「作戦名……、「花婿誘拐大・作・戦~どうしよう、僕の花嫁が魔法の国の少女だったなんて~」、よ」

いや、セシリアが軽いだけかw
でも使い魔達も調子を合わせているし、更に笑いを誘いますw
メディアちゃん、もう世界を滅ぼすとか物騒な事考えるのやめて、玉の輿狙っちゃえよw
ナブッコスって多分良いやつだし、かなりお似合いじゃないか?
作戦で偽装花嫁なのが勿体ないwww
それにしてもセシリアは随分と独断専行やっちゃう人ですね。
この作戦、成功すれば良いけど、失敗すれば魔法の国にもマハルバの民にも相当痛手のはず。
魔法の国の単独犯行とは鋼鉄の国も解釈しないでしょう。
「シュターリア皇国」というのが鋼鉄の国の正式名称なのかな?
魔法の国にも正式名称があるのかも。
文章的にはナブッコス、セシリア、メディアと視点がころころ変わります。
そのせいか、今までと少し雰囲気も違いますね。
戦記物としても実に面白い展開になってきました。
ナブッコスとギネヴィアを捕らえるのに成功した後、今度はナブッコスを擁立して鋼鉄の国の皇位を簒奪とは!
セシリアは軍神と呼ばれるのに相応しい発想と行動力です。
鋼鉄の国の魔法の国への侵攻の理由、これは物凄い言いがかりですねw
アメリカがイラクに大量破壊兵器を隠しているだろう!って言いがかりつけるようなものかw
ギネヴィアはがっちがちに頭固いですねー。
もっと魅力的な人物かと思っていたけど、テンプレな姫騎士だったので残念。
さっさと「くっ殺」を発動してレイプされてしまえとすら思ってしまいました。

さて、最新話まで読みました!
ところどころ気になる箇所はありますが、基本的に非常に面白い。
何より、私好みな作品です。
続きも期待して待っていますね~!



     


「境界のアルカナ」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17372



死々累々先生作品。
初見の作者さんですね。
まぁ、いつもの如く、本当に新人さんかは不明ですけど。

■序文 「軍隊の崩壊」
第二次世界大戦終結から百年。
現代から三十年。
そんな近未来でありながら、徴兵制の復活…!?
人口の三分の一って一体何歳から何歳の人口が徴兵されてるんだ!?
今のペースで少子高齢化が進んで人口減少したとしても、三十年後ならまだ日本人一億人前後はいるでしょ?
って事は三千万人の軍隊!?
女性や中高年も徴兵されてそうだよね。
ちょっと途方も無い数すぎるし、詳しく説明して欲しいところ。
何かの事象が起きて徴兵されているというが、国民に何の説明もないというのが謎。
某巨大掲示板って…。
2ちゃんねるが三十年後もあるかどうかはさておき、その時代になってもインターネットが旧来の技術でやってるのかも疑問。
近未来SFなんだったらもう少し未来的な要素を見せて欲しい。
徴兵に関しても、いくら大人しい日本人でも説明無しは暴動起きるだろ、常識的に考えて。
でもせっかく徴兵しても、朝から繁華街に行ったり小説読んでのんべんだらりとしている気楽な商売なサラリーマン軍人ばかりで何をするというのか。
軍人が日本人口の三分の一って…一次・二次産業は壊滅的だよね?
日本経済いったいどうなっちゃってるのやら。
そもそも、今より軍事技術は上がっているでしょうし。
大量に素人集めて使い物になるのか?
…と、色々とツッコミどころが多すぎますね。
こういう近未来が舞台のSFは、そういうツッコミを凌駕するだけの理論武装・独自設定・筆力がないと難しい。
本作には今のところ何もそういうところが見当たらない。
プロローグ部分だけでもそこそこの文章量あった割にね。
だからまぁ、どんな展開が待っているのか、まったくもって予想がつかない。
余り面白くなりそうとは思えないけど、ギャグとして読めば面白くなるかもしれない。
ってところでしょうか。
今のところ、大半の読者は何のコメントもしようがない作品だと思う。
私はめっちゃ感想書いてますけど、全部ツッコミだからねw

       

表紙

後藤健二 [website] 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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