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★文芸・ニノベ作品感想★
3月13日文芸・ニノベ作品感想

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★3月13日ニノベ作品感想

こんにちは、後藤健二です。
最終回となる今回はニノベ15作品、文芸7作品。
量が多いので書けた順から少しづつ更新していきます。
以下の作品がありますが、各話感想はやりません。
どれも通して読めたところまでの感想とします。
「読みづらい」と感じたら途中で切り上げて感想を書く場合も。
最後まで読めた作品はそう書きますし、途中で挫折した作品はどこでそうなったかも書きたいと思います。
13日更新から外れていても感想は書きますが、13日以降の更新分を読むかどうかは気分次第です。
まぁ、コメント次第。

■ニノベ
・ドラゴンズペニス
・平和と混沌の学園
・人を旅す
・稲妻の嘘
・蟲籠Ⅱ
・マゾでかぐやな乱れ咲き!
・女中の袖に手を入れて
・×××の塔
・週末のロストマン
・ソナタ
・欠けた天使の与能力(ゴッドブレス)
・探偵ロックンロール
・Bro.com!
・壁の中の賭博者
・彼女のクオリア

■文芸
・青春小説
・その倫理観、カリソメにつき。
・マッド・トルネコ
・大きな頭
・新しい都
・人間以下
・ピーラー

     

「ドラゴンズペニス」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17529


和田駄々先生の新作。
3月13日に更新されていた分が最早どこまでだったか分からないほど更新速度も尋常ではないw
だから早く感想書かないと宿題がどんどん溜まっていくプレッシャーを感じていました。
でも読み出したら最新更新分まで一回も止まる事無く読み終えてしまった。
まさにポルナレフ状態!
いやー面白すぎますわ、ドラペニ。
変態で馬鹿馬鹿しい事を真剣にやっている。
だから問答無用に面白い。
私の大好きなHVDOに通じるところがありますね。
そんな小説です。

■ストーリー粗筋
失ったちんぽの代わりにドラゴンのちんぽを手に入れた主人公の軍人グラーグ。
生き延びる為に他に選択肢がなかったとはいえ、ドラゴンとの契約は…。

>「わしの児を作れ。100匹でいい」

かくして、グラーグ本人が望むと望まざるとにかかわらず、ドラゴンの意思によって女を孕ませレイプしまくる重厚なファンタジーが幕を開ける。
敵国の捕虜となっていたが、ドラゴンズペニスの力で脱出したグラーグ。
しかし無傷で戻ってきた事からスパイの疑いをかけられ、国軍から追放される。
でもグラーグ本人としては軍に復帰して女王様の為に戦いたい。
そこで傭兵団を作り戦場で手柄を立てて軍に復帰する絵図を描く。
ただドラペニの意思により、女ばかりのハーレム傭兵団になる。
女達はグラーグにレイプされると心身共にグラーグの虜となるのだ。
団員を増やす為に夜毎レイプを繰り返すグラーグ。
敵国の姫様と魔女が追ってきたり、ライバル傭兵団も出現する。
ライバルとなるスヴェイル、彼もまたドラゴンの力を持っているようだが…?
というところまで読みました。(第一話11ページまで)

■地に足のついた世界観
テンポ重視で書かれているとあるが、世界観はしっかり練られている。
最初の拷問シーンからしてそうだが、ラノベにしては文章が重い。
雰囲気もダークでシリアスな展開が続く。
ドラゴン、魔女、ワーム、軍と傭兵団。
それらの設定は紛れもなく重厚にして王道ファンタジー。
でも主役はあくまでドラゴンズペニスであり、周辺の要素はドラペニを引き立てる睾丸ぐらいの存在感。
しかしながら、睾丸で産み出される精液が濃厚だからこそ、勃起に力が漲り、安心して貫き通して読める。
ジャンルとしては一応、異世界ハーレム物。
内容読まずに設定だけ聞けば普通にラノベ。
タイトルの破壊力も抜群だし、本当に商業化できそうなぐらい完成度は高い。
MF文庫あたりどうですか?

■シリアスとギャグの両立
バランスが良いという以上に、どちらも引き立っている。
グラーグまた意外にも実直な軍人。
一方、ドラゴンのマズブラウフア(名前覚えられないから以降ドラペニと略する)は、軽口も叩くひょうきんな爺さん。
この二人は普通に会話しているだけで漫才になってて面白い。
グラーグ本人は真剣に軍の為に戦おうとしている。
でもドラペニの意思によりうんざりしながらも孕ませセックスする。
ドラペニパワーで大勃ち振る舞いする。
ドラペニを使わないといけないせいで常時下半身丸出しの変態状態。
これを真剣にやってるのだから、実に秀逸なシリアスなギャグが成立している。
設定だけで既に大勝利。
うん、HVDOで見たやつだw
大好きです。
やっぱりちんぽには勝てないよ。
悔しいけど感じちゃう。

     

「平和と混沌の学園」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17052


昨年十二月三日時点で十三話。
今年三月二十五日時点で八十六話。
尋常ではない更新速度です。
ドラゴンズペニスと同様、早いところ感想を書かないとどんどん溜まってしまうw
ただ一話につき五~十分程度で読める短さと軽妙な文章。
実にテンポ良くすらすらと読めました。
まぁそれでも二日かかりましたけど。
粗筋も書きますが、ネタバレなので未読の方は注意です。
未読の方はそこはスルーして下の総括だけお読み下さい。

■一~二十一話までの粗筋
日本一平和な学校というキャッチコピーの私立陽光が丘高校。
だがその平和は偽りであり、適度にガス抜きをされているからこその平和だった。
「魔女」と称され恐れられる生徒会長・儚木縁。
彼女率いる生徒会により保たれている歪な体制。
確かに昼間は平和が保たれている。
だが夜間は飲酒喫煙・売春薬物・強姦強盗と何でもござれの無法状態。
そんな平和と混沌の学園だったのだ。
そこへ入学してきた一年・愁井こよみと渡辺ツバキ。
彼女達はそれぞれのやり方で、陽光が丘に変革をもたらそうとしていた。
地下闘技場で鮮烈なデビューを飾った二人。
地下闘技場には出てこない空手やボクシングなどの部活の実力者達も相手ではない。
一向に生徒会に従わない彼女らを粛清すべく、魔女は一計を講じる。
全校生徒を巻き込む頂上トーナメントの開催を宣言。
全三十二名によるトーナメントには、生徒会、部活や地下闘技場、表には出てこない無所属の実力者らが参戦する。
こよみとツバキを粛清しつつ、全校生徒に生徒会の力を改めて見せつけようというのだ。
トーナメントでは、飛び道具以外であればナイフなどの武器の使用も許され、重傷者続出は目に見えている。
またワンデイトーナメントで、十時間ほどで全試合を消化するという。
決勝戦まで戦うなら一日で五連戦を強いられる過酷なルールだった。

■二十二~八十六話の粗筋
トーナメントは進み、出場選手達の様々なドラマが繰り広げられる。
そんな中、生徒会とこよみの因縁が明らかとなる。
二十年前、こよみの母と魔女の父は、それぞれが陽光が丘高校に秩序をもたらそうとして争っていた。
こよみの母は破れ、魔女の父が勝ち、陽光が丘の現体制が作り上げられた。
こよみは、母の無念を晴らす為、いや呪縛から解き放つ為に戦っていたのだ。
魔女と因縁を持つのはこよみだけではない。
こよみの先輩・滝川アヤキ。
一年前に魔女の誘いを断り、戦いを挑み、そして敗れた過去を持つ男。
その時に何があったのかは、まだ語られていない。
一方、生徒会には「常闇」という暗部が存在している。
トーナメントの裏側で常闇は反体制のレジスタンス狩りなどをしている模様。
そのレジスタンスのリーダーは、圧倒的な力でトーナメントを勝ち進む後藤尋絵らしい。
そして準々決勝。
ツバキが生徒会副会長・片倉亜美に敗れる。
こよみも陽光が丘四天王筆頭・柊渉に苦戦するのだった。
…と、話数は多いけど、これでほぼ「話のキーポイント」は抑えられていると思う。

■総括
話数の割に、本当にテンポ良くさくさくと読めます。
「グラップラー刃牙」のような格闘漫画がさくさくと読めるのと同じですね。
小説で刃牙節をかなり再現できていると思います。
まぁ、文章的には「~~~~っ!!」が多すぎるかもしれないw
そして随所で必殺技名が出てきますが、純粋に少年漫画してて中二心がくすぐられます!
結構笑う時もありますけどね…「生徒会拳法」とかwww
ツバキちゃんはあんまりにも「星屑の…」を連呼するもんだからキュアフォーチュンかと思った。
作者が楽しんで書いているのが伝わって来ます。
三十二名のトーナメントというのが余りに壮大で、良くそれをプロット立てて進められるなぁと。
組み合わせとかもテキトーではなくちゃんと考えられているようだし。
三十二名のキャラ、中には「明らかにかませ」「こいつ負けるな」ってのがバレバレなのもいます。
でも主役やボス級ではなく、脇役同士の戦いなんか本当予想つかない。
短い文章の中で、一人一人のドラマや戦う理由をしっかり魅せてくれています。
また、序盤で早々に戦いから脱落したと思っていたツバキの取りまき三人、それにトーナメントに出場していない如月などがトーナメントの外で活躍したり。
トーナメントで敗退したキャラもその後少し話しに絡んできたりと。
キャラ数は膨大だけど、使い捨てにしてるキャラは殆どいない。
キャラの立て方が上手いなぁと感じます。
文章の引き出しは少なく感じますが、逆に引っかかるところがなくて読みやすい。
こうした文章の方が、読者的にはストレスがなくて良いんじゃないかと思います。



■各バトルの雑感
※未読の方はネタバレ注意。






ネタバレ準備OK?
では…。








一回戦
Aブロック
○ 渡辺ツバキ(無所属・1年A組)VS琴田響一郎(生徒会・2年D組)×

「魔女の懐刀」響一郎、実は「魔女のディルド」でもあった。
試合前の縁と響一郎のセックスはちょっとあっさり気味だけどびっくりしたw
試合の方はまぁ主役級が一回戦から負けるとは思えなかったから予想通り。
しかしツバキも負傷して「危うい」と思わせてくれた。
このトーナメントが激戦ばかりになりそうと思わせてくれる良い初戦だった。


× 瑠璃島樹理(無所属・3年G組)VS九条護(合気道部・2年C組)○

瑠璃島からはどうしようもないかませ臭がしたから予想通りw
九条護って凄い名前だよなぁ、親は左翼か?w
いじめられっ子だった九条護が合気道で強くなったというバックボーンは良かった。
ただ「いじめっ子 vs 元いじめられっ子」という部分をもっとクローズアップした方がカタルシスは得られたと思う。


× 笛吹奏(忍者同好会・3年E組)VS木坂ツクシ(メイド部・3年F組)○

色物対決w
しかしなぜメイド=ロボってイメージあるんだろうなぁ…。
誰が始めたんだその概念。
あと奏は名前から女かと錯覚した。
この小説は女が強すぎるし、女みたいな名前の男がいると少し混乱する。


× 初瀬希衣(ダンス同好会・3年F組)VS片倉亜実(生徒会・3年B組)○

まぁこれも予想通り。
しかし親に反抗してロックやストリートファイトかー。
実は相当なお嬢様みたいだね。
後に片倉亜美の悲惨な生い立ちを知ると、色々と複雑な対決ではあった。


Bブロック
× 矢岳昇介(柔道部・3年C組)VS愁井こよみ(無所属・1年B組)○

これまた予想通り。
流石に一回戦で主人公敗退はねーよなと。
ただ、矢岳って「凜ちゃん奮闘記」の牛島パイセンぐらい強そうなのに…。
超あっさり巨体の柔道家が負けちゃうのには、まぁファンタジーだなぁと強く感じさせられた。
矢岳は黄金聖騎士のアルデバランポジション。


× 保志圭次(ボクシング部・3年I組)VS苅夜巫女人(無所属・3年E組)○

保志は一度主人公に負けてるからねー。
ただ、九条が瑠璃島に勝った事だし、保志も苅夜に勝つかも?と一瞬思った。
似たようなタイプの戦いだったので。
しかし結果は逆に。
苅夜の本能によりオートで体を動かすって技、幾ら修羅場潜っててもそれはねーよと思うw
しかし分かりやすい小悪党が次の主人公の相手なので、二回戦に期待が集まる。


× 神風ミリル(無所属・2年B組)VS西園寺逢衣(プロレス同好会・3年D組)○

ダークホースのミリルは実は生徒会の隠密部隊だった。
しっかし鎖鎌は飛び道具に入らないの?
うーむ、西園寺さんはできた人間だなぁ。


○ 柊渉(柊流格技同好会・3年H組)VS神田未知子(無所属・1年F組)×

柊君もできた人間だ。
シリアルキラーを保護観察状態にするとは…。
いやしかし未知子ってもう殺人とかやっちゃってるんじゃ…?
家族を語る時、過去形だったのめっちゃ怖いんですけど。
そこは警察につきだすなりしなくて良いのか、柊!?


Cブロック
× 田嶋恵士郎(軽音楽部・3年E組)VS白木沙耶(総合格闘技部・2年F組)○

善人っぽい人が連勝していたから田嶋が勝つのかなーと思いきや敗北。
まぁ、軽音楽部だしね…。
しかしこの小説における女性キャラの恐ろしさは一体何なのだ…。
まともなのは水夏ちゃんだけじゃないか!


○ 滝川アヤキ(無所属・2年A組)VS鳥月玲奈(都市伝説同好会・3年F組)×

流石に主要キャラだしアヤキは勝つよねー。
未知子と玲奈はちょっとキャラが被りすぎてる。


× 杭瀬改新(何でも屋・3年C組)VS葉山葉月(合気道部・3年I組)○

今のところ小悪党でまだ制裁が加えられていないのが杭瀬。
試合開始直後に棄権しちゃったから未だノーダメージ。
早いところこいつがぼこぼこにされるのが見たい。


○ 後藤尋絵(無所属・?年?組)VS夕凪みのり(生徒会・2年A組)×

戦いを見ても後藤の正体は掴めなかった。
何か容姿の描写からしてちょっとファンタジー成分高めだよね。
異世界人か宇宙人あたりじゃないだろうか?


Dブロック
× 胡桃ヶ丘夢悠(ボランティア同好会・2年J組)VS救堂ダルク(ボランティア同好会・2年I組)○

クルミ教wwwww
いくさ歌wwwww
もうね、笑うしかないよ…。
救堂は実につまらないキャラなので、クルミちゃんに勝って欲しかった。


○ 澪瀬澪音(無所属・3年B組)VS天架舞華(トランポリン同好会・3年G組)×

出ました共依存のヤンデレレズ。
舞華ちゃんあっさり負けちゃったけど、後の澪音の正体を知った後では…。
大した怪我もなくて良かったと思わざるを得ない。


× 橘蜜柑(家庭部・3年C組)VS御堂ゆずき(キックボクシング部・3年A組)○

小学生にしか見えない高校生女子。
それを90キロのヘビー級男子が本気で蹴り抜くとか…。
骨折・内臓破裂も必至とか言ってるけど、ほぼ殺人だよね?
幾ら最強を追い求めているからってやりすぎ。


× 東條凍牙(無所属・3年J組)VS儚木縁(生徒会・3年A組)○

東條からもどうしようもない「かませ臭」がしたw
ラスボス相手に頑張ったなぁとは思うが…。
サウザーではラオウには勝てんのだ。


二回戦

○ 渡辺ツバキVS九条護 ×

二回戦からは割と勝敗が予想つかなかった。
それぞれ一戦一戦がちょっと長くなったりもしたし。
ツバキちゃんはこよみより好感度高いので勝てて良かったです。


× 木坂ツクシVS片倉亜美 ○

忍者の技を覚えるメイドロボ。
そんな簡単に使いこなせるものなのかよー?!
まぁ、結果は残当。


○ 愁井こよみVS苅夜巫女人 ×

苅夜ってこのトーナメント屈指の小物だよね。
主人公補正もあるかもだけど、明らかに組み合わせに恵まれている。


× 西園寺逢衣VS柊渉 ○

地味なカード。
格闘家同士のクリーンファイトだけどね。
余り面白みはない。


× 白木沙耶VS滝川アヤキ ○

沙耶とアヤキの過去の描写は中々良かった。
やはり一人一人のドラマの掘り下げしっかりしてて凄いね。
プロットどこまで組んで書いているんだろう。
沙耶は狂人設定が実は演技だったという当たりから負けフラグびんびんだった。


× 葉山葉月VS後藤尋絵 ○

恐らく最も人格者であろう葉月部長が…!
左目マジで失明しちゃったのか?
歯を飛ばすとかそんなのアリかよーーーっ!
葉月部長が可哀想すぎて読むのが辛かった。
後藤はレジスタンスリーダーってことらしいが、善人ではないな。
生物として上位って…やはり宇宙人?


○ 救堂ダルクVS澪瀬澪音 ×

正義対愛。
脇役同士だというのに面白い。
ヤンデレレズだけじゃなくNTRフェチまでとか救いようがない…!
ほたるは菩薩か。
ハルバードは笑うしかなかったw
スマホとかも持ってきてるし、正義なのに姑息すぎw


× 御堂ゆずきVS儚木縁 ○

ゆずきざまぁw


準々決勝

× 渡辺ツバキVS片倉亜実 ○

ダブルノックダウン、その後ツバキが立ち上がって勝利するも、重傷でその後は棄権。
って感じになるのかな?と思ったらガチで負けてしまった。
ううむ、主人公のライバルキャラが準々決勝で敗退かぁ。
準決勝でこよみと戦うんだろうと思ってたわ。



と、今のところここまでですね。
こよみと柊のバトルは途中だし。
トーナメントの裏側では如月が戦っていたりしますが、そっちも誰が勝つか予想がつかない。
脇役同士での戦いって意外と熱いなーと感じます。

     

「人を旅す」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17568


ヤングなどで多数の漫画を連載されていたもってぃ先生のニノベデビュー作。
もってぃ先生と言えば…。
「勇者ギルドの皆さんは」
「ラ・リーリア古代都市」
「魔王軍養成所の皆さんは」
この3作が特に印象に残っている。
本作はそれらの連載で培われた要素が合わさったような印象を受ける。
「ドキュメンタリー風」というジャンルに偽りなく、語り口は「勇者ギルド」や「魔王軍」の調子。
そして全体的な世界観は「ラ・リーリア」のようなファンタジー。
四十台半ばのおっさん冒険家を主人公にして、ファンタジー世界の旅行記の様相を呈している。
空中都市での鳥人との交流、地元の名産品を食し、何故か空中都市にいる人魚の歌に耳を傾ける。
主人公の冒険家マーク=クラウゼンは、親父ギャグは寒いものの、飄々としていて親しみやすい。
序盤なのでまだ空中都市を散策しているだけだが、これから遺跡に冒険に行って危険な目にも遭ったりするのかもしれない。
ただ、マーク=ラウゼンの著書でそれらが語られるというスタイルだ。
冒頭もマーク=ラウゼンが読者へ語りかけるところから始まっている。
なので主人公が死んだりする事はないだろうという安心感はある。
インディ・ジョーンズのファンタジー版って感じを目指しているのかな?
(インディシリーズもファンタジー要素多いけど…w)
そういう印象を強く持った。
「ラ・リーリア」にとても近い雰囲気がある。
「ラ・リーリア」は「魔王軍」と同時連載していたけど、コメント数が倍以上あった「魔王軍」ばかり更新されてしまい、「ラ・リーリア」は投げられちゃいましたよね。
でも個人的には「ラ・リーリア」の方を楽しみにしていました。
もってぃ先生が本当に書きたいのはこっちじゃないのかな?とも。
文章はまだまだ書き慣れていない感じはしますが、瑣末な事です。
もってぃ先生が書きたい事を優先し、雰囲気重視でとにかく沢山書く事をおすすめしたい。
応援しています。

     

「稲妻の嘘」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17543


顎男先生の新作。
ラードノベルとか言っちゃってますが…相変わらずメンタル面が心配です。
まぁ、ファイアーエムブレムに艦これにと、元気にゲームやってるようなので大丈夫かな?
顎エムブレムはやたらと命が軽かったが、顎鎮守府も同様の模様。
捨て艦戦法など編み出している様を見て少々驚きました。
そんな発想をする提督がいたとは…。
顎男先生はゲームでも小説でも「死」に魅力を感じているのかもしれない。
やっぱりメンタルが心配です。

■粗筋
「死んだカイジが幽霊船エスポワール号で賭博して蘇生を目指す話」と言えば一行で説明できますが…。
主人公・慶は死んで幽霊となった賭博師。
ヒロイン・エンプティはメイド服の奴隷人形。
彼らが挑むのは幽霊船の賭博師達。
勝てば再び肉体を得て蘇生できるかもしれないが、負ければ燃え尽きた蝋燭のように消滅する。
幽霊とは炎のようなもの。
自身の存在をラードというチップに換え、生死を賭けて燃え盛る。

■洋風あの世横丁?
成程、ラードとはそういう意味だったのか。
ってこれは…「あの世横丁」の設定だけ変えたものなのでは?
ホラーな雰囲気も似通っています。
幽霊船<アリューシャン・ゼロ>、ヒロインのエンプティ、最初の敵セルディム。
これの描写からしても、洋風あの世横丁といった趣。
ただ、慶はこれまでの顎ラノベ主人公に比べ、傲慢にして不敵。
カッコ良さ中二度指数はかなりの上位に入ります。
いずるよりもギラつき度が高くて生命力が高そう。
ストーリー的にも蘇生を目的としていますし、貪欲な生き様が(もう死んでるけど)賭博師らしくて良い主人公です。
ヒロイン・エンプティは奴隷人形という脂貨<ラード>で動く機械人形。

>「あなたが負けたら、わたしが、綺麗にしてあげますから」

こう言い、そっと慶の手を掴む…という描写に見られるように…。
人形らしく感情が欠落したかのようでいて、実は母性を感じる温かみのある性格。
それに存外、「ほえ~」とか「はわわ」とか言っちゃいそうなあざとさも兼ね備えている。
のんのん顎風味が隠し味かな?
飛縁魔からの顎先生の女性趣味の変遷が見て取れます。
と、これまでの顎ラノベを未読の読者には意味不明の解説ですみませんw

■カッコイイとはこういうことさ
本作は顎男先生が「好きな事を好きなように書いたもの」と認識しました。
ジブリの宮崎駿が「紅の豚」を制作したように。
商業的には余り受けないかもしれません。
でも「紅の豚」のキャッチコピーのごとく…「カッコイイとはこういうことさ」
顎男先生の趣味のエッセンスが詰まっているのではないかと。
蒸気船<アリューシャン・ゼロ>
賭博師<フーファイターズ>
幽霊<バラストグール>
奴隷人形<スレイブドール>
などなど、人名を含めてカタカナ語が並びますが、中二してて良いですね。
商業的に売る気はないのかもしれませんが、商業に歩み寄った部分も見てとれます。
案外、完結した後に投稿しても良いところまでいけるかも?
滅神や天敵よりはこちらの方がむしろ商業向きかもしれません。
顎男先生らしさが全面に出ているので。
好きな事を好きなように書く。
それこそが作家の真骨頂を出せるものと信じています。
顎男先生にしてはコメント数が伸び悩んでいますが、私個人の評価としては高いです。

     

「蟲籠Ⅱ」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17247



黒兎先生作品。
「蟲籠Ⅰ」は公開停止につき読めないし、リアルタイムで読む機会がなかった…。
冒頭に「よくわかるあらすじ」があるので、前作はそれで知ったつもりで読みます。

■かっこいい文章
虫ではなく蟲。
一ではなく壱。
そういった難しい方の漢字を意図的に使った文章。
黒兎先生が思う「かっこいい文章」に、自身も酔いしれながら書いているのが目に浮かぶw
好きな事を好きなように書いているって感じで好印象。
難しい漢字が多いからところどころ読みづらいが、作法や見せ方については平易で読みやすい。
印象としてはどことなく時代がかってますね。
明治・大正時代の文豪が書いた文章を現代国語に翻訳した感じというか。
主人公・静馬も余り現代の高校生らしくないので、スマホとか出てくると違和感結構ありましたw
舞台を大正時代あたりにしていた方がフィットしそうな文章です。

■蟲籠Ⅰを読んでいなくても大丈夫
「よくわかるあらすじ」で大体の人物関係を把握できました。
物語の途中から読み出す違和感は多少あるけど、理解できない事はない。
例えは悪いかもしれないけど、「ルパン三世」みたいなもんですかね。
今時、原作漫画や70~80年代にやっていたテレビシリーズのルパンから入る人は少ない。
でもルパンと峰不二子の出会いなんて知らなくても、ルパンと峰不二子がどういうキャラクター・関係性か大体の人は知っている。
もしくは知っている前提で、最近のテレビスペシャルも話が進められる。
蟲籠Ⅱにおいても、静馬と火澄の紹介については「壹幕 影への誘い」でそのキャラクター・関係性は掴める。
丁寧で上手な話の作りをされているので、蟲籠Ⅰを読んでいないから分からん!という箇所は殆どありませんでした。

■現代ダークファンタジー
現代で普通に生きる高校生が、ある日突然怪異に遭遇し、超常的な力を得て戦いに巻き込まれる。
色んな漫画アニメなどで良くある設定ですけども…。
本作最大の特徴となる「蟲」の描写がかっこいいですね。
ただ注文をつけるなら、蟲遣いとなった静馬の能力と引き換えに被ったリスクについて。
何を食べても人間の血肉の味しかしないってのが…。
時期的にしょうがないけど「東京喰種」のぱくりじゃん!って感じてしまう。
東京喰種は人肉以外は何を食べてもクソでも食ってるようになるから逆だけど。
「人間らしい感覚を失う」という描写にするにしても、味覚以外にした方が良かったと思う。

■蟲遣いと傀儡師
半分人間じゃない「蟲遣い」
完全に人間やめちゃった「傀儡師」
分かりやすい善悪の分け方だし、組織同士の戦いにも発展していきそうですね。
ただⅡを通して読んだ印象では、まだまだ傀儡師の怖さが物足らない。
蟲遣いになりたての未咲でさえほぼ互角の戦いを演じていた。
例えば「寄生獣」だと、右手に寄生されただけのシンイチよりも、脳を完全に乗っ取られた敵達の方が身体スペックは高い。
だから右手しか使えないシンイチは人間の頭を使って何とか互角に戦っていた。
本作も傀儡師の方が蟲の能力スペックは高いと思われるのに、そんな怖さを感じなかった。
蟲籠Ⅲでは傀儡師の強さや怖さをもっと見せて欲しいところですね。

■総括
蟲籠Ⅱだけを読んでも話が通じるというあたりからそうだけど。
物語の構成力、文章、センス。
どれも書き慣れていて秀でています。
新都社文芸・ニノベ界でも間違いなく上位レベル。
この雰囲気が好きな方はどっぷり世界観に浸れるかと。
私も楽しませてもらいました。
読む価値のある作品です。



以下、簡単に各話感想。
最初に思い浮かんだ直截的な感想。
リアルタイムで読んでたらこんな感じでコメントしていたと思う。

■零幕 少女の試練
ヤンデレ百合かw

■壹幕 影への誘い
静馬は欧州かぶれか。
火澄は悪魔ほむらで再生された。
しかし幾ら美少女でも常につきまとわれるって地味に嫌だな。
オナニーもできないじゃないか。

■弐幕 眼球
蟲遣いとなった静馬は何を食べても人間の血肉の味しかしない…東京喰種の逆かな?
虚ろな目をした少女の登場シーンは綾波レイかと思った。

■参幕 土屋という男
瀬川はうっかりはちべえのようだ。
土屋はモブ。

■四幕 目醒め
静馬の欧州かぶれはちょっと理解しがたいというか、現代に生きる高校生とは思えない感覚。

■伍幕 隠れ家の水月
静馬は都会アレルギーみたいだから人ごみで囲むだけで倒せそう。
百合っ子は男嫌いだからこの態度?

■六幕 傀儡師
人間を数えるのに量はどうかと思う。
蟲遣いは人間じゃないのかもしれないが…。
と、思ったら人間じゃないのは傀儡師のようです。

■七幕 軋轢
瑛理香のツン度が高すぎるけど、静馬も実務的な話の仕方を知らなさ過ぎる。
静馬くん童貞かな?
あと周囲の大人も無能というか、この二人を見れば「相性が悪そう」ってすぐ分かりそうなものだがw
静馬と瑛理香が上手くタッグを組めるように取り計らわないのが悪い。
火澄もどうして瑛理香の前に姿を見せないんだろう?
誤字が一つ。

■八幕 蟲より団子
瑛理香、意識高い系蟲遣いじゃなかったのかよwww

■九幕 誘蛾のささやき
傀儡師の登場の仕方・タイミングが実に良かった。
友人が近くにいるというのもあって緊迫感が高まる。

■拾幕 影が欲しかったモノ
火澄さんヤンデレストーカーw

■拾壹幕 不知火
火澄さん性格わっるーーーwww

■拾弐幕 思惑
瑛理香ちゃんは魔女堕ちさやかちゃんだったのか…。

■拾参幕 開闢の火花
静馬の戦い方というか蟲の描写、オピオイドの繭化に通じる部分があってホラー。
火澄さんこの事態は半分以上あなたのせいなのでは?www

■拾四幕 昏
瑛理香の不幸な生い立ち、いやなんですぐ保護されなかったのよ…野良犬じゃあるまいし。
現代日本だよね?

■拾五幕 鬼の素顔
創魔www DQNネームwww

■拾六幕 刀槍矛戟
主人公、女の子に助けられっぱなしじゃないか。

■拾七幕 譲れない正義
未咲ちゃんかっこいいね。
彼女の心情についてもっと知るには蟲籠Ⅰを読むしかなさそう。

■拾八幕 眠り鬼
衍字が一つ。
童門深琴と百目鬼についての説明だったので少々混乱した。
影鬼チートだなぁ。
もう火澄一人でいいんじゃないかな?w

■拾九幕 悦び
鉈って…ひ、ひぐらしかな…?(ぶるぶる)
ヴァ、ヴァンダルwwwwww

■弐拾幕 一転攻勢
瘴気でありながらも正気w
サツバツな駄洒落だなぁw

■弐拾壹幕 業火の怪人
蟲遣い=寄生獣に体半分寄生されてる人間。
傀儡師=寄生獣に脳を乗っ取られてる人間の成れの果て。
というように感じました。

■弐拾弐幕 光と光
あれっ、もしかして(しなくても)主人公って火澄…?

■弐拾参幕 絶
かっこいい文章のオンパレード!
やっと静馬が主人公らしい。

■弐拾四幕 解毒の朝
瑛理香の人生追体験か…。
これ、戦う度に毎回同じ明晰夢を見るの?
5~6回も戦ったら狂ってしまいそうだな…。

■弐拾五幕 蟲毒のみちびき
蟲籠Ⅲは蟲毒についてとなるようですね。
ソーマくん、このままじゃ何しに出てきたのか意味不明だもんなw
次回、逆襲のソーマなるか?

     

「マゾでかぐやな乱れ咲き!」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17145


黒兎先生作品。
マゾヒストの男子高校生の日常を書いた話。
他作品を書く息抜きに創作された作品のようですが…。
確かに息抜きですねw
ろくに推敲されていないのか、誤字も多い。
まぁ、射精後のザーメンティッシュなんかしげしげ見たりしませんしね。
オナニーはその一瞬一瞬のノリと勢いが全てです。

で、一話一話は短いし、かなりライトなノリ。
八話まで全て読むのに一時間ぐらいだったかな?
ただちょっと時間を返せと言いたくなる下らないノリですw
エロを期待したのにギャグだったのがかなり残念。
タイトル詐欺でしょう。

黒兎先生は他の作品に出てくる女性キャラは軒並み暴力的だったり陰湿だったりと。
かなりSっ気の強い女性ばかりです。
そういう女性を好まれるなら、黒兎先生自身もマゾヒストなのかもしれません。
なのでもう少しその性癖を押し出した形になるかと思っていました。
でも性癖を晒けだすのが恥ずかしかったのかな?
それでマゾを名乗るとはちゃんちゃらおかしいですね。
私の漫画「本当にあった後藤健二の話」は、実はマゾ漫画でもあるのです。
自分をこれ以上なく晒して快感を得ている。
フィクションでも良いのでそれぐらい目指して欲しいところですね。
新都社作家で言えば、坂先生の小説がそうですね。
彼もまた相当なマゾヒストです。
どうせ息抜きというなら、あれぐらい突き抜けて欲しかった。
坂先生のマゾ小説を読んでいるので、本作はそれを何十倍にも薄めていると感じます。

しかしながら、かえってこれで良かったかもしれません。
浅薄な知識でSMを語って欲しくはないので。
実際、内容を見れば「ああ、やっぱり…」と、頭を抱えたくなるようないかにもなテンプレ的SMでしたし。
ラノベといえば異世界転生ハーレムだよねーというぐらいテンプレ。

良く誤解されるのですが…。
SM=痛いもの、怖いもの…というイメージがあります。
漫画的に分かりやすいので、SMと言えばボンデージを着た女王様が鞭で叩いてくるようなイメージが浮かぶでしょう。
確かにSMの中に暴力を受けるものもありますが、それはごく一部の話。
暴力も快楽に変えられるものの一つの手段に過ぎない。
それ以外にも多くの手段があり…。
と、ここはそういう事を語る場ではないので割愛します。
一つ言えるのは、マゾも人それぞれで、百人いれば百通りのマゾがいます。
暴力は一番分かりやすいけど、作品として見せるならそればかりでは飽きるでしょう。
マゾ小説の金字塔であるマゾッホ「毛皮を着たヴィーナス」や沼昭三「家畜人ヤプー」を目指せとは言いません。
でもマゾを語るなら、暴力以外の何か目新しい要素が欲しいところですね。
これはマゾ小説ではなくギャグ小説だというなら別に良いのですが。
それだとタイトル詐欺のままでしょう。

厳しい事を言いましたが、本作は薄い内容ではあるけど、気楽に読めはします。
マゾをそこまで深く追求していないので、全年齢対象の安心のギャグ小説で、万人受けしやすい内容。
私個人としてはク…低評価だけど、一般的にはそこまで酷くはないでしょう。


以下、各話感想。

■#01:真染修司
初回で生徒会長がどう変人なのかをもう少し紹介した方が良かった。
猿轡や浣腸に触れる程度では特に変態とまでは思わない。
それに猿轡や浣腸を真染に渡す「だけ」なのもパンチが弱い。
単なるエロに興味津々な女子高生って印象。
卑猥なアダルトグッズを用いて自身だけで変態行為を実行しているなら変態と言えると思う。
また、会長はもう真染がマゾヒストだと知っている前提の行動のように思える。

■#02:TRPGとは何ぞや
エロネタが来ると思いきやTRPGや人狼などについて。
会長、真染、いちこの立ち位置と性格が大よそ分かる。
会長…ボケ
真染…ボケ・M
いちこ…ツッコミ・S
ここで一つ思うのは、ボケはMになりやすく、ツッコミはSになりやすいということ。
ボケだがSとなる場合もあるが、スタンダードなボケはMです。
真染はボケでM、いちこはツッコミでSだが、会長自身はまだ読めない。
SもMも両方いけそうな要素が垣間見えますね。

■#03:テスト勉強
エロよりギャグが強めな話。
ただちょっとコテコテすぎて読むのが辛い。
そんな中、会長が興味深い発言。

>だがな、真染くん! パンツというものは見るよりも見える方がいいに決まっているんだ!

中々良く分かっています。
そう、不可抗力で見えちゃったパンツの方がエロく感じると思います。
マゾ性癖の一つに「パンチラキック」に興奮するというものもあるぐらいですしね。

■#04:副会長、その人
副会長の二階堂さんが登場。
この登場の仕方は完全にヒロインのそれですね。
会長がヒロインだと思っていたが違ったようだ。
マゾヒストたるもの、性癖を世間にばらされると脅されるのは実に定番ですね。

■#05:教育される方の合宿①
ライトですねーw
やはりエロよりギャグ重視なのか。
メタも入っているし、ルビでの文章遊びも面白いです。
実に気楽に読めます。

■#06:教育される方の合宿②
すげー下らないw
「燃える!お兄さん」とか「奇面組」とか、80~90年代のジャンプのギャグ漫画的なノリ。
嫌いじゃないよ。

■#07:教育される方の合宿③
品行とメスゴリラのくだりとか、このベタベタすぎるギャグはどうなんだろう。
書くのさえ辛くて息抜きにはならなさそうだけど黒兎先生的になってるのかな?
いや、だからこそマゾヒストな作者には楽しいのかもしれない。

■#08:のぞき、それは青春①
猪のタックルに耐えた真染だが、さすがに対戦車ライフルは無理だろwww
でもギャグマンガ補正でぴんぴんしてるかもしれないw

     

「女中の袖に手を入れて」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=15754


えろま先生作品。
本作は短編集「トゥー・レイト・ショウ」の中の一作です。
しかし短編と言いつつ、これ単独で十分長編になっている作品。
今回の更新で「女中の袖に手を入れて」は完結。
以前(11月3日ニノベ作品感想その2)も17話までがっつり感想を書いたのですが、総括的な意味を込め、通しでの感想を書きたいと思います。

■粗筋
金持ちだが頭に海綿体が詰まった変態ペド野郎ハル。
ご主人様の為なら気狂い淫乱サイボーグ肉便器になるメイドの満月。
売春宿で性奴隷とされていたがハルに身請けされた少女マルカ。
この三人によるエロと倒錯と共依存と感動に満ちた物語。

■変態紳士
「手を袖にする」ということわざがある。
手出しをしないで傍観するという意味。
本作はそれとはまったく逆で、メイドに手出ししまくるご主人様がこれでもかと描かれる。
だが嫌味がない。
変態だが紳士。
口にする言葉も行動も変態そのものだが、根っこの部分は愛情に溢れている。
同じハルを主人公にした作品でも「料理店」に比べると「女中」の方が遥かに好印象。
料理店だと獣人少女達の弱みにつけこんで陵辱しているだけに見える。
女中だとハルの重い過去も語られつつ紳士的な善行を重ねている。
またそれだけではなく、満月やマルカがそんなハルの変態紳士ぶりを受け入れていく。
プレイはアブノーマルだけど、物語的には純愛です。
エロはエロだけど官能小説ではない。
脂ぎったハゲ親父の体臭が漂ってくるような、しつこくねっとりしたエロではない。
あくまで若者向けでライトノベルしてるエロです。
それもどちらかというと「はいはい、しょうがないなぁ」と呆れながら笑っちゃうような。
バカな子ほど可愛く感じる。
本作にはそんな魅力があると思います。

■男の夢実現ストーリー
「トゥー・レイト・ショウ」全作において言える事ですが。
全て「男の夢を実現」してるような内容なんですよね。
「女中」は特にそれが顕著で、男なら誰しもハーレムの一つでも持ってみたいと夢見るもんです。
どんな変態欲求も受けいれてくれるメイドさんが欲しいと思うもんです。
昨今だと近寄るだけで犯罪となっちゃうようなロリに慕われたいと思うもんです。
本作はそれが全て実現できる。
小説ってそういう夢を叶えてくれるんですよね。
本当に素晴らしいなぁと思いますw

■SMとしての「女中」
そもそも「ご主人様とメイド」という主従関係そのものがSMです。
ですからいちいち「これはSMだ」とは明言せずとも、自然にSMプレイになります。
ただ、SMは難しいものです。
往々にして自己満足でしかなく、Mに何の配慮もなく、粗雑なプレイに走る「勘違いS男」が多い。
Sとしての力量も気構えもないくせに、「俺って超どSだから!」と自慢するように、周囲に喧伝するように言う。
おいおい、別にSだから男らしいって訳じゃないぞ?w
私自身、商売柄、そんな愚かしいS男を嫌と言うほど見て来ました。
その点、ハルはSとして微妙な時もありましたが、概ね立派だったし合格です。
マルカの心と体の傷が癒えるのを待ち、すぐ手出しをしなかったのも良かった。
クライマックスで王子様となったハルがお姫様となったマルカを迎えに行きますよね。
男の夢を全て叶えていく本作ですが、究極的には少女の夢を叶える事にもなります。
そこでハルはS男、マスターとして立派だったと思いました。
優れたマスターは、サーバントの望みを全て受け入れ、叶えなければならないのです。

■泣きエロゲ
「これ何てエロゲ?」と思うシーンが幾つもありましたw
でも分類的には泣きエロゲですよね。
真剣にゲーム化して欲しいですね。
満月とマルカの好感度によってストーリー分岐したりするの。
プリンセスメーカーみたいにマルカを育成して、最終的にプリンセスになるか娼婦に逆戻りするか分岐エンドになる。
あれ? マジで面白そう…。
…とまぁ、冗談はさておき。
本作の「泣き」の部分は、ハル金持ち設定で大体解決しちゃうんですよね。
感動するのは感動するのですが、ちょっとハルがチートすぎてなぁ…。
「Z軸」の四谷チート最強設定並みに、ハル富豪設定はチートです。
もう少しはらはらさせて欲しいところではありました。



そんなところですかね。
さて、「女中」完結後は「フェアリー」ですか?
それとも「料理店」?
男の夢をどんどん叶えていって欲しいところです。

     

「×××の塔」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17570


針山先生作品。
少年VIPで「キングの塔」を連載されてる方でしょうか?
ちらっと読みましたが、漫画はデスゲーム物みたいです。

って、こっちはプロローグだけかぁ。
それも同じ内容のものを何故かコニーにUPしているようですが。
パスワード忘れたなら編集部で申告して、始まったばかりですし作品削除してもらいましょう。
で、コニーに投稿してるのも掲載雑誌間違えてるせいで叩かれてますし、自分で消しましょう。
それから改めてニノベで新規投稿すると良いでしょう。

でもそこまでして、これだけの文章量だけの作品をUPするのもなぁ…。
漫画における「いっぱげ(1ページだけでUPする行為・叩かれる)」と変わらない。
人に見せる段階ではない。
プロローグだけでも起承転結つけた一つのストーリーを見せて欲しいところですね。
なので感想書く気にまったくならないのですが…。
まぁ、せっかくなので一つ一つ検証します。

第一印象。
これだけ短い文章で、状況説明すら意味不明というのはある意味すごい。

・塔が倒れた
・主人公はどこにいたのか?
・宇宙語が耳に飛び込んできた

気になったのはこの三つです。


■塔が倒れた
塔が倒れた様子を劇的に書こうとしたのは伝わりました。
しかし分かり辛い。
そもそもこれは誰の視点なのでしょうか?
最初の書き方は明らかに一人称ですから主人公から見た描写かと思います。
「校舎」とあったから学生なんでしょう。
つまり学校の教室の中かどこかから外を見て、塔が倒れたのを目撃した。
普通にそう書けばいいのに、行間を空けて何行も費やし、回りくどい書き方をしている。
漫画でも小説でも「最初のページ」は一番大事な部分です。
ここでぐっと読者を物語に惹きつけねばならない。
それをこんな駄文で浪費するのは勿体ないでしょう。
普通は一行で済む文章です。


■主人公はどこにいたのか?
最初は校舎にいると思ったのですが、塔にいたのかもしれない。
校舎と塔は相当離れているようです。
しかし宇宙語が聞こえてきたという描写もあった。
校舎の中に宇宙人が入り込んできたのか?
塔というのがちょっとミステリーな要素ですよね。
RPGにおけるダンジョン的な不思議な存在。
だから宇宙人が倒れた塔の側にいた方がまだちょっと自然に思えるけど…。
ああやっぱり分からん。
意味不明すぎて気持ち悪い。
吐き気がしそうです。


■宇宙語が耳に飛び込んできた
主人公はなぜそれを宇宙語と認識したのか?
意味不明な言語であれば、どこかの外国語と思うのでは?
それとも発音が人間の声のようには聞こえなかったとか?
それならそう「人間のものとは思えない意味不明な言語が耳に飛び込んできた」
とかでも良いのでは?
そもそも言語と認識できない音波かもしれないのに、即座に「宇宙語」と理解した主人公は何者?



とまぁ、突っ込みどころだらけです。
「言語崩壊」とありましたが、全編宇宙語で書いてみたらどうでしょう?
ある意味斬新ですよ。
以上!

     

「週末のロストマン」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=15812


硬質アルマイト先生作品。
この企画始まって以来、初めて更新合わせて下さいましたね!
古参の文芸ニノベ作家を語る際には外せない作家さんの一人。
文藝ではおなじみのアルマイト先生ですが、何気にニノベではデビュー作のようです。
ニノベを意識してか、文藝の過去作よりかなり読みやすかった。
初見ですから最初からの感想です。

■粗筋
少年時代、ギターを手に戦う少女のアニメに憧れ、音楽を始めた主人公・鳴海。
大学生となった彼は、この先訪れるであろうつまらない現実に打ちひしがれ、夢を諦めかけていた。
そんな鬱屈した鳴海の前に現れたのは、あのアニメのようにギターを手に戦う少女。
これは、どういう道を歩めば良いのか迷子(ロストマン)となった青年による…。
楽器を手に戦う能力バトル物・現代ファンタジーです。

■心理・内面描写が秀逸
2012年の文藝インタビューでアルマイト先生とお話した時に、「Pure and Easy」というバンド小説を読んでいました。
あと、その後につばき先生との合作「涙雨」も読みました。
それらの作品でも強く思いましたが、本作でも心理描写はとても巧みです。
繊細で、自然で、強く感情に訴えかけてくる文章。
楽器バトルを行うプレイヤー達は、それぞれがネガティブな感情を抱えた人達。
主人公・鳴海が最たるところですが、ヒロインの律花共々、心理や内面描写が実に丁寧。
戦えない主人公に随分とイライラさせられましたが、戦うまでの理由づけや布石は着実にされていました。
序盤からすぐ派手にバトルするのかと思いきや、主人公ずーっと戦わないんだもんなぁw
でも派手なバトルは律花がやっていたからそこまでストレスは感じない。
八話でようやく満を辞して主人公が覚醒した時は喝采しました。
実に堅実な物語の運び方です。
恐らく、しっかりプロット立てて書いてらっしゃいますね。

■楽器バトルがシュール
過去作でのアルマイト先生は、心理描写は巧みだけど背景が少ない少女漫画的というか、情景が浮かびにくいところがあったんですよね。
でも本作は全然そんなことありませんでした。
まぁ、バトル物ですからそうでなくっちゃね。
ありありと情景がイメージできます。
それもギターで物理的に殴ってくる少女ですよ。
もうそれだけで絵になりますよね。
ムーンマーガレットの衣装も実にホットホットホット!
これ、絶対FA映えしますよ。(漫画作家さん注目!)
で、そんな楽器バトルですけど実にシュール。
音符が矢のように「音撃」として飛んでくる。

m( ゚皿゚)m‥‥…━━━━━♪ピーーー!

AAで表したらこんな感じ?w
そしてギターやベースでチャンバラする!w
漫画やアニメ化されたらめちゃくちゃ面白そうですwww

■現実とどう折り合いをつけるのか?
物語の鍵となっている要素だと思いますが、現実で鬱屈を抱えた人間がプレイヤーとなる。
では、そんな彼らが戦いを終える時はどうなるのか?
鳴海や律花は現実での問題を解決していけるのか?
完結まであと少しのようですが、そのあたりが語られないと話は終わらないでしょうね。
結局、あのモッシュピットでのバトルは現実逃避のようなものですし。
また、創作者としても見逃せない部分もある。
音楽も漫画や小説の創作と似た世界。
成功するのはごく一部でお金になりにくいし、でも好きだからと趣味で続けている人達は多い。
絶夢エンドにはなりそうもないから安心して見ていられますが、そう甘くもなさそう。
恐らくビターエンドになる予感。
どういう結末を迎えるかは大変興味深いところです。
アルマイト先生は最高にイケメンですが、鳴海はそれに及ばずとも匹敵するイケメンのようです。
きっとイケメンな選択を取るでしょう。




以下、各話感想です。

■第一話「ライドオンシューティングスター」
まだ情熱を失っていない友人の沙原に対し、うだつの上がらない現実に挫折しかかっている鳴海。
鳴海みたいなキャラ、アルマイト先生、好きそうですねw
結構、既視感があるのだが…。
で、今度のヒロインはギターで殴ってくるのか!
てっきりバンド物が始まるのかと思ったので意表を突かれました。
グーッドです!

■第二話「ムーンマーガレット」
律花のキャラはまぁ、割と良く見る「表面を取り繕うお嬢様、実は内面に熱いものを抱えている」ってやつですね。
あれ、やっぱり既視感が…って、あんどーなつっぽい?w
単にアルマイト先生の好み…?w
ホットパンツにすらりと伸びた足、帽子を目深に被り、ギターを手に戦う時にちらりと見せる不敵な笑み。
うーん、様になる。
やはりFAを描きたくなるビジュアルです。
律花に感化され、鳴海にくすぶっていた少年時代の夢が蘇ってきた。
能力バトルと正統バンド物という違いはありますが、根っこは「Pure and Easy」に通じるものが。
屋根裏のこやしにした偽リッケンバッカーを取り出す時か!?

■第三話「ローファイボーイ・ファイターガール」
堅実な話運びですね。
律花の憂鬱な家庭の事情、鳴海の覚醒、次々と現れるプレイヤー達。
起承転結の「承」の部分でどんどん世界が広がってきています。
仲間になりそうなジョニー・ストロボ。
ラスボスになりそうなラストホリディ。
中二的ネーミングが心地良い。
オーディエンスの正体についても概ね分かりました。
でもプレイヤー同士が戦う理由は何なんでしょう?
単なる縄張り争いってだけ?
その辺が三話までを読んだ段階では不明で…。
「お前ら音楽を戦争の道具にするんじゃねぇ!」
って、マクロス7のバサラのような気分になりましたw

■第四話「レモンドロップス」
律花の学校生活、週末の姿とのギャップ激しいな~w
こりゃネガティブパワーも溜まるわ…。
レーベルについての説明、プレイヤー同士が戦う理由。
その辺についてもおおまかに説明される。
なるほどねぇ、ブッキングするのは好戦的なプレイヤーって感じか。
マジで縄張り争い&ストリートファイターかw
オーディエンス専門で戦うレーベルは善玉って感じで、主人公がつく勢力としては適切だ。
ここまでで大体の音楽用語を能力バトル物に置き換えられた感じかな?
やはり丁寧な話運びです。
バンド物をバトル物にしたらこうなるんだなぁ…。

■第五話「ブラック・シープ」
自殺しようとした少年のくだり、結構読んでいて辛いところでした。
心理描写が巧みだから、こっちまでネガティブになっちゃいそう。
モッシュピットに迷い込んだ一般人の悩みに干渉すべきかどうか。
レモンドロップスと鳴海の会話がとても考えさせられる。
まぁ、プレイヤーはオーディエンスをぶん殴るだけの社会的責任はあるかもしれませんが。
別にカウンセラーではないですからね。
干渉すべきではないかと思います。
そもそも音楽やってるやつなんて大体がろくな奴らじゃない(偏見)
アイドルに入れ込むドルオタも、麺に惚れるバンギャも、大体不幸になりますからねw

■第六話「バッドドリームス」
冒頭の律花のバトル。
まるでストリートパフォーマンスしてるみたいですね。
やはり週末のムーンマーガレットは輝いている。
しかしリアルの白部律花はどんどん淀んでいく。
白部家の緊迫した様子は、読んでいて胃が痛くなりそうだった。
律花の兄、初登場時もいやなやつって印象でしたが…。
デッド・オブ・ナイトの正体も予想通り。
律花、これは辛い。
優等生が隠れてやんちゃしてるのをリアルばれするのはねー。
もう、やめてあげて!って感じ。
流石にそこから薄い本展開にはなりませんが、ムーンマーガレット大ピンチ!
そこで満を持して主人公登場!
いやー、燃えますね!
ところでレモンさんは姉御肌なのに実際は鳴海より年下だったんですねぇw
もうこれはレモンさんじゃなく、レモンちゃんだわ。

■第七話「プリーズ、ミスターロストマン」
主人公覚醒は燃えますね!
アニメのドラゴンボールZでセルに対してブチ切れた御飯ぐらいかっけえ。

>響くような低音と共に突如上がった土煙

ここ!
ここ、是非アニメで見てみたいですね。
アニメが無理でもサウンドノベルで読みたい。
痺れます。
というかこの小説全編に言えますが、サウンドが欲しい。
私、普段は小説読む時は邪魔にならないよう、大人しいジャズやクラシックをかけています。
でもこの小説だと…BGMは何が適切だ?
やっぱりロックか。

■第八話「リトルバスターズ」
いや…もう散々やってきたから分かってるんですけどねwww
楽器を武器にしたバトル、やっぱりシュールwww

>ギターを構える奏汰に唐竹、右袈裟、左袈裟と次々に斬りこんでいく。リーチの長いベースはギターに比べて少々振りが遅いが、それでも一撃一撃の威力はギターよりも優れているらしい。

爆笑www
もはやこれには流石のバサラも苦笑いwww
熱いのだけどシリアスなのだけど…やっぱりシュールw

     

「ソナタ」
http://lapluie.kumogakure.com/novel.html


三浦先生作品。
前回の感想で44話まで読んでいました。
今回で46話まで更新されていたので最後まで読みました。

■登場人物が多すぎる
前回感想でも指摘しましたが、やっぱり登場人物が多すぎるんですよね。
多くの人物が一同に会した中で、それぞれが好き勝手喋るんですけど…。
誰が何を喋っているのか頭に入ってこない。
赤丹、霙、孔雀、若芽、珊瑚、木村。
この六人は透輝大学病院側の人物なんですが、それぞれ喋る前に名乗って欲しい。

霙「……」

とか、そんな感じでSSのようにしてくれたらギリギリ理解できたと思います。
それぐらい内容が頭に入ってこない。
そんな状態で45話から読んだらやっぱり意味不明だった。
圧倒的に一人一人の人物掘り下げが足りていないですね。
それに加え、六人の人物が同じ場所にいる中で、それぞれが好き勝手喋るという状況を書くには力不足というか…。
三浦先生の中では分かっているのかもしれませんが、読者はついていけないと思います。
一人一人の掘り下げができていれば、それなりに理解もしやすいでしょうが…。
透輝大学病院編は一度リメイクされているのですが、話数が今より多かったんですよね。
つまり内容をかなりダイエットしてしまった。
その前の内容を読んでいないので断言はできませんが、ちょっと無理なダイエットだったのかもしれません。
脂肪は減ったものの、魅力的な胸までしぼんじゃった女性のようです。
もう少しゆっくり進めるか、話数が減った分だけ登場人物を減らすべきだったかと。

■46話のペースでいくべき
厳しい事を書きましたが、だからこそ道重珊瑚の過去を書いた46話は素晴らしかったです。
珊瑚視点で、彼女の重い過去がきっちりと書かれていた。
やはり「日常編」の1~37話と同様、登場人物を一人一人丁寧に描写するべきです。
話数が多くなっても登場人物の強烈な個性が光れば読みやすくなるでしょう。
「ソナタ」の魅力は群像劇だと思います。
主人公は光と透だけど、実に個性豊かな登場人物が目白押し。
それら一人一人を丁寧に描写していくだけでも相当な話数になると思いますが、それと並行してでも物語は進められるはず。
三浦先生の世界の中で、「ソナタ」の登場人物はみんな大事なんでしょうね。
ドミノを外伝の主役に据えておられるように、一人一人が主役級にあくが強い。
でも強すぎてちょっとえぐみが出てますね…。
素材の味を活かし切れていません。
ソナタと言えば奏鳴曲という意味。
でも扱いをしくじると不協和音となってしまいます。

■漫画にすべきか?
ツイッターで呟いておられましたね。
「ソナタ」を漫画で描くべきだったかな?と。
最初の方に書いた感想でも述べていたと思いますが、とても漫画的な小説ですものね。
作風に合っていると思います。
労力は小説の比ではないと思いますが、三浦先生は魅力的な絵が描けるので、したいのならそうしても良いかもしれません。
コメント数も読者数も十倍ぐらい増えますし。
ただ、別に小説のままでもやっていけると思いますよ。
仰るように、心理・内面の描写は小説の方が書きやすい。
やはり四十話以上も小説を続けて書けるだけの情熱があるのですから。
ここまで書いたのだから、文章表現だけで全てを書き表す!という矜持で臨み、是非完結して欲しい。
小説完結後、情熱が残っていればゆっくり漫画化しても良いかなと思います。

最後に、しつこいようですが完結させて欲しいです。
ここまで読んだのに完結されなかったらショックはめちゃくちゃでかいです…。
この企画が終了後も、一話一話では読まないと思いますが、完結したら必ず一気読みします。
どうか頑張って下さい!

     

「探偵ロックンロール」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17422


七瀬楓先生作品。
この企画が始まって以来、顎男先生と並んで新作を様々ぶつけて下さいましたね。
本当にありがとうございます!
(でも完結率は…w 虫と戦うプリキュアとか、学園スパイ物はどうしたんだ…!?)
それはさておき、本作はまだ始まったばかりですね。
続きが書かれるのかは分かりませんが。

■探偵×ロック
タイトル通り、ロックが好きな高校生が探偵しちゃう話のようで。
これまた七瀬先生が「かっこいい」と思うものが詰め込まれていますね。
コメント欄でも指摘されてるけど「氷菓」に近い…というかコピー?
折木にロック要素を足しただけのような…。
タバコ吸ったり授業ふけたりするのが反骨精神(ロック)なのかな?
超絶頭悪そうって思うのだが、逆に頭が切れるのか…。
授業はできないけど、地頭が良いってやつなのかな?
うらやましい、これはリア充だわ。
できれば、ロックが好きなだけの主人公が、なぜ鋭い推理ができるのかって理由づけが欲しいですね。
「氷菓」の折木は省エネな生き方を模索したら頭が良くなったというのに説得力ありましたし。
あと、黒髪巨乳清楚ヒロインは、今のところそのまんま千反田えるコピーですが、独自性も欲しいです。
他のバンド仲間は、本作最大の特徴と思われるロック要素を強調しますね。
「名探偵コナン」の少年探偵団の光彦、元太を高校生にしただけのような…。
どうロック要素を活かしてくるのかに期待したいところです。



以下、各話感想です。

■0『黒髪ストレンジャー』
怠惰だがロックが好きで頭が切れる男子高校生が探偵。
ラノベ的にはストレートな王道(やれやれ系)主人公ですね。
一方、黒髪眼鏡巨乳清楚なセーラー服の女子高生が依頼人。
これまた豪速球でストライク取りに来てるヒロインです。

■1『セレナーデ-愛しのアンブレラ-』
バンド仲間のナルシーとタムタム。
うーむ、これ以上ないぐらい分かりやすいテンプレキャラだ。
技のナルシー、力のタムタム!
助さん格さんみたいな。
七瀬先生の持ち味とも言えるキャラ造形ですね。
パワーこそ正義というか、分かりやすさこそ正義?

     

「欠けた天使の与能力(ゴッドブレス)」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17573


滝杉こげお先生作品。
今回の企画で良く更新合わせてくださいましたね。
まぁ、他の作家さんにも言える事ですが、この企画で手ごたえを測るのに使って頂いて構わないと思います。
でも私の感想で不評だったからって、消したり投げたりされるとちょっと悲しい…。
今後、文芸・ニノベ作家の皆さんは、キノコ先生の感想を狙って更新合わされると思いますが…。
私にしてもキノコ先生にしても一人の感想に過ぎないので、そこまで重く受け止めなくても宜しいかと。
と、予防線を張りつつ感想に移りますw

■滝杉こげお最高傑作
世界観・設定に興味がそそられました。
神が捨てた負の感情を核として天使が作られるという。
主人公アーエルは優秀な天使だが、一部の感情が欠落している。
「達成感が得られない」というのは確かにきついと思う。
何をしても空虚に感じられてしまうだろうから。
拡大解釈をすれば、努力が無為に感じられるだけでなく、食事や睡眠やセックスも満足できないのでは?
ウーエルの闘争心が抑えられない、オーエルの自信が持てないというのも大変そうだが。
それよりも達成感が得られない方がきつそう。
それなのに努力を続け、優秀な天使となったアーエルは凄いと思う。
ただ、随分と捻くれた性格になってしまっている。
表面しか見ていない女の子達はアーエルにキャアキャア言っておりますが、親しみやすく感じるのは明らかにウーエルやオーエルの方ですね。
第一話でキャラクターと世界観説明、第二話で何かが始まる予感、第三話で神様選定。
ペース配分・描写のバランスとても良いと感じました。
平易で分かりやすい文章で、テーマ的にも興味深い。
個人的には滝杉こげお最高傑作ですね。
完成度高いです。


以下、各話感想です。

■第一話 欠けた天使は夢を見る
あーこりゃ神様にはなれないわ、アーエルw
知ってるか、それフラグって言うんだぜ…。
神と天使の解釈については新しい。
似たタイトルの他作品「欠能力」とどこかでリンクしてくるのかな?

■第二羽 何かの足音
神様になるのは自分だと思いつつも不安を拭い切れないアーエル。
オーエルの予知夢に更なる不安を募らせる。
ちょっとフラグがあからさまw
内心毒づいているところはあるにせよ、特に悪いやつじゃないんですよねアーエル。
しかしその余裕は、他者より優れているという傲慢さと表面を取り繕っているゆえのこと。
選ばれなかった時、余裕をなくしたアーエルが早く見たいところですw
あと数箇所、誤字があります。

■第三話 崩れた天使の向かう先
やっぱり選ばれなかったアーエル。
茫然自失となり内なる自分と問答する。
一人称だからという以上に、今迄の滝杉こげお作品で一番良く心理描写が書けている。
ぐっと物語に引き込まれました。
逆に言えば、今迄の作品では心理描写がちょっと薄っぺらく感じていました。
今作はテーマ的にも書かざるを得ないからでしょうが、成長を感じます。

     

「Bro.com!」
http://chaosstory.web.fc2.com/bro.com/brodotcom.html


キツヌコ先生作品。
小説で自サイトとは珍しい。
登場人物紹介が最初にあるのは嬉しいですね。
あれ? ヤングの漫画と絵柄違いますね。
と、思ったら人物絵は別の方によるものか。
大変可愛いです。

■少女漫画のような印象
第四話まで読みましたが、総じてドタバタラブコメって感じで少女漫画してます。
親が再婚し、同級生が姉弟となって同居する事に…。
「彼氏彼女の事情」で見たことあるな、そのシチュエーション。
少女漫画では良くあるんでしょうか?
主人公・絹子はちょっと変わってるというか喜怒哀楽が激しいですね。
一行一行で感情がころころ変わっているぐらい。
おっぱいも大きいしヒロインとしては申し分なく可愛いです。
もう一人の主人公・信太。
こいつは無個性で何ら光るところがない。
読んでてイライラしながらずーっと思っていたが、何故こいつがこんなにモテてるのだ!?
まぁ、小川とか比護とかいうモブ男子も彼女がいるようだし、リア充が多いのかもしれんが。
状況に振り回され、絹子と風喜のおっぱいでオナニーしてる性欲猿にしか見えないので納得いかん。
文章全体の印象としては、絹子と信太視点の一人称で交互に語られていますが…。
ケータイ小説のノリが少し見えるというか、展開が唐突だったりします。
誤字も散見されますし、余り小説を書き慣れているようには見えない。
読みづらいとまではいきませんが、読みやすくもないですね。
でも話の方は、ぶっちゃけヤングの漫画よりこっちの方が遥かに面白い。
なぜこちらを漫画で描かなかった…!?
もし漫画化するなら勿論きぼんでw


以下、各話感想。

■プロローグ
居酒屋でのやり取りで、主要登場人物の関係や性格は掴めます。
でも若干、描写不足かも?
再婚するなんて重大な話をちゃんと話さず、居酒屋で酩酊している時に軽く話す父親はちょっとなー。
さて、絹子が言う裏切り者とはどういう事だろう?
信太とはどういう経緯があったのやら。

■第一話 同居開始!
あー、絹子は信太の事が好きだったけど振られていたのか。
それで同居はありえないというか気まずすぎるw
絹子は思った事はすぐ口に出ちゃうタイプ。
でもちょっと考えなしに発言しすぎだぞw
ツンデレというより未熟で情緒不安定って感じかな。
高校三年生のようですが年齢より幼く感じます。
多分、付き合ったら疲れるタイプだw
一方、信太の方は繊細だなー。
でも何でこいつがそんなにモテるのか…。
二人の女の子から好かれる程の魅力は感じない。
同居が始まった訳だが、姉弟になれるかっていうと、ちょーっと厳しそう。
絶対、互いに異性として意識しちゃうだろw

■第二話 波乱万丈!
絹子は変人だと思ってたけど実際そういう設定なのねw
演劇部だったのか、それは合ってる。
公務員になるみたいだがそれは合いそうにないw
あと教師との会話を見て思ったが、年齢設定が結構絶妙だよね。
就職や進学を控えた高校三年生な訳だ。
大人として一人前になる前だし、やはり難しい年頃だと思う。
両親は子供がそういう大事な時期なのに、再婚を急がなくても良かったのでは?ってどうしても思ってしまうな。
そのあたりの情緒の揺れ動きを楽しむなら、もう2~3歳年齢設定を下げても良かったかもしれない。
信太の現彼女・風喜も登場したが、この子ヤンデレ臭がする。

■第三話 思春期故?
信太…やっぱりこいつが何故モテるのか分からんw
うらやまけしからん。
ブログの件といい、今回のメールの件といい、繊細という割にアホすぎるだろ。
一方、風喜は怖い顔を見せ始めてる。
風喜の登場シーンで例外なく絹子がひやっとするところが面白い。
ひやっとするのはやましいからでは?

■第四話 修羅場也!
風喜の本性がどんどん出てきていますね。
まぁ、女子ならこれぐらいの裏表は良くあるし可愛いもんじゃないでしょうか。
まるで同じ人間じゃないみたいに怖がるほどのことでも…って、そう感じる私が変わっているのかな?w
それより好みの女の子じゃなくても迫られたら性欲に抗えない信太もどうかとw
オナニーしすぎだろお前www
絹子が小川と付き合ってるという話にも、それがデマ返しと分かっているのに嫉妬しちゃってるし。
信太と風喜は似たもの同士でお似合いじゃないの?w
絹子は男なんか捨てて、來音もしくは郷重とレズカップルになるべき。

     

「青春小説」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17567


ヤマダ=チャン先生作品。
13日時点では1話まででしたが、現在は3話まで更新が進んでいます。
更新活発なのは素晴らしいですが、早く感想書かないと溜まっちゃう。
優先的に感想を書くこととします。

■粗筋
1、2話は飯島理緒の視点。
家族や学校のクラスメイトから浮いた存在となっていき、自己評価が低く、刺激を求めて援助交際に走る女子高生。
3話は笹本秋桜の視点。
周囲とは上手くやっているというか、パーソナルスペースが狭そうで、同性愛者。
まだ増えるかもしれませんが、この二人の満たされない青春が描写されています。。

■満たされない青春
友達がおらず暗い理緒。
友達が多くて明るい秋桜。
一見、二人は正反対のように見えるが、それぞれ同じように闇を抱えている。
理緒は「刺激が欲しい」
秋桜は「同性の恋人が欲しい」
社会道徳的に許されない危険な想いを抱え、決して心は満たされることなく、自分達を傷つけていく。
うーん、タイトルに偽りない。
青春しています。

■高二病の理緒
冒頭からいきなり援助交際シーン。

>まるで豚の鳴き声だ。

理緒の冷め切った性格が凝縮されており、秀逸な冒頭の一行です。
援助交際していて、ちんこを挿れられて肉体的に声は出るけど、心は感じていない。
理緒はまったく自分の事を可愛いとは思っていない。
そんな事ないだろうに、両親や姉から愛されているとも感じていない。
このままでは更なる強い刺激を求め、堕ちていきそうな様子が伺えます。
彼女の性格そのままの一人称なので文章は淡々としている。
かわいげがない。
理緒自身も述懐しているが、まったくその通り。
中二病ではなく高二病ですな。
無邪気にかっこいいものを追い求める中二病。
中二病は恥ずかしいと感じ、汚く暗いものを求めるようになる高二病。
刺激を求めてタバコやアルコールに手を出すのと変わらない感覚で援助交際をしている。
自分には若さしかないと思っている。
だから、若さゆえの過ちを繰り返しそうです。
どんどん過激な展開になっていくのかな?と、第一話では予感させました。
ところが第二話に出てきた秋桜により、風向きがガラッと変わりました。
ガール・ミーツ・ガールな小説となりそうです。

■同性愛者の秋桜
二話から登場する秋桜。
理緒と少し仲良くなったかと思えば、性急に告白してしまう。
理緒が援助交際している事も知っており、それを止めたいと考えている。
三話で秋桜の過去が語られる。
十二歳の頃にあこがれのお姉さんに告白して玉砕していた。
見た目も性格も悪くないようなのに、これは満たされませんわ…。
でも、割れ鍋に綴じ蓋というか、自分を壊そうとしている理緒には秋桜のような存在は救いになりそうである。
理緒の援助交際シーンといい、秋桜のオナニーシーンといい、エロ描写素晴らしいです。
情景がありありと浮かんでくるし、エロスを掻き立てられます。
また、同性愛に目覚めたシーンの丁寧さが素晴らしい。
こう…萌える何かがありました!w

>それから彼女とは会っていない。

最後の一行で切なさが炸裂ですな。

■淡々としていながらも高い文章力
初見の作家さんでしたが、新都社には謎の訴求力がありますね。
次々と上手な作家さんが出てくる。
キノコ先生も仰ってましたが、古参の人気文芸ニノベ作家と十分渡り合える文章力。
一人称ですし、心理や内面の描写が淡々と描かれております。
自然な女子高生に感じられ、リアル。
特に理緒は実にリアル。
カレー二杯にプリンをぺろりとたいらげるあたりもリアル。
女の子でもそれぐらい食べるよね、高校生って…。
それで太らないんだから羨ましいw

■コメントについて
淡々としていると書きましたが、コメントは貰いにくい書き方です。
文芸だからどうせコメントなんて少ないし気にすることはないですが、もし気にされてるなら少し修正すると良いかもしれません。
新都社でコメントを貰いやすい小説の書き方というのがあります。
・短く軽い文章で一話をまとめる
・話のどこかに明らかな「これでコメントして下さいね」的なツッコミどころを作る
・作者の知名度を上げる
突出した実力がなければ、やはりニノベ的な書き方が一番コメントはもらえます。
本作は明らかに文芸的な書き方ですから、コメントは中々つきにくくてもしょうがないかなと。
でも実力が認知されればもっと増えるでしょう。
個人的に、今回の企画で読ませて頂いた小説の中でも上位に入る秀作でした。
続きも頑張って下さい!

     

「人間以下」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17577


山田一人先生作品。
他にも多くの連載をされてますが、残念ながら私は初見の作家さんです。
本作以外は2012年ごろの連載なので、最近復活した作家さんというところですね。
活発に更新されて、もう三話まで進んでいます。
早めに感想書かないと溜まりそうなので、優先して書く事にします。

■粗筋
24歳無職童貞の高崎。
金もないのに居酒屋で飲み食い、遅れて来るはずの友人の金をあてにする。
ところが友人が来れなくなり、無銭飲食となってしまいそうになる。
そこで飲むのをやめればいいのに毒を食らわば皿までと飲み続ける。
救いの手は、高校の先輩・曽根からの突然の電話。
紹介する仕事につくなら支払いをもってくれるという。
高崎はそれに乗り、曽根にとある豪邸へ連れていかれる。
豪邸の地下には、人間以下と見なされたクズを真っ裸にして檻に閉じ込める「人間動物園」があった。
高崎へ紹介された仕事とは、その人間動物園の管理人だった。

■東京闇虫的アンダーグラウンドワールド
文章はとても書き慣れていて上手い。
個人的にこういうテーマは大好きですし、ぐっと惹きつけられました。
主人公の高崎は、まさに新都社作品では模範的とも言える主人公(クズニート)です。
何か同情すべき事情があるという訳でもない。
今の状況も自業自得というエリートクズです。
居酒屋のくだりは、これから高崎に何があっても「同情しなくていいな」と感じさせるに十分。
漫画「闇金ウシジマくん」にも近いですが、どちらかといえば主人公が悪に染まっていく様子は「東京闇虫」を思い起こさせます。
自分とは無縁の世界、アンダーグラウンドのクズや底辺を見て嘲笑うという趣向なのか、サスペンスダークホラーとなっていくのか。
まだ物語は序盤ですからどうなっていくか分かりませんが…。
現在の流れだと高崎はますます悪に染まっていきそう。
でもその先、ただ堕ちていくだけなのか、別の道はあるのか?
そこに注目していきたいですね。

■娯楽としての人間以下観察
古代ローマから闘技場で奴隷を戦わせるという娯楽はあった。
動物を使ったサーカスと同じく、人間同士の殺し合いも娯楽だった。
それに比べると、本作における人間動物園はソフトに思える。
この人間以下のクズ達に殺し合いをさせるとかならまだしも。
単に見世物にするだけなのか?

>「私のような成功者になるほど、ここにいる動物たちの存在に自尊心を満たされるものなんだ。だから他の成功者にも有料でここを解放している。

葛城はこう言うが、ウシジマくんに出てくるような底辺を見て喜ぶのは、どちらかと言えば中流層ではないでしょうか?
底辺・下層くんを見て、「自分はこいつらよりマシだ」となる。
成功者・上流階級は、そこまで底辺を見て喜ぶだろうか?
それこそ古代ローマのような殺し合いレベルの過激さならともかく。
ですから、これからこの「人間動物園」がどのようなエンターテイメントを見せてくれるのか?
葛城は曽根以上にヤバイ雰囲気を持っていそうですしね、絶対こんな程度じゃないはず。
えぐい展開期待しています。(ゲス顔)



以下、各話感想です。

■第一話「24歳、無職、童貞」
居酒屋でのくだり、実に清々しいクズっぷり。
童貞である事も強調されているが、ついでなのか伏線なのかどうかが気になる。
高崎は24歳で童貞だが風俗に行くのもプライドが許さないという。
自分が底辺だと自覚しているし、一見そんなに自己評価は高くない人間のように思える。
風俗に行かないのも、金が無いから行けないだけなのか?
少しでも金があれば行っているのではないのか?
純愛とか清い交際とかに憧れているロマンチックな男には見えない。
風俗なんて1~2万もあれば行けるのだから、バイトで食いつないでいるにせよ行けない事はないだろう。
2~3日分の日当が消えるだけだ。
「ウシジマくん」に出てくる金が無い債務者でも行っている。
むしろ自己評価が低い人ほど、風俗に行くのに躊躇が無い。
風俗という底辺の世界を覗くには、気位が高い人は目線が高すぎるのだ。
だから、プライドが高いというのは本当なのだろう。
プライドが高い=見下されてもしょうがない現状には不満を抱えているはず。
自己評価は本当はもっと高く、チャンスがあれば自分の能力を誇示したいと考えている。
他者を見下しているから、簡単に残酷になれる。
約束をドタキャンした松野に対し、「来ないと殺す」と悪態をつくあたりからしてそう。
実に嗜虐的な性向が透けて見える。

■第二話「Welcome To The Underground」
高校時代の高崎の回想。
不良の曽根とつるんでいた話。
当時は曽根ほどの悪には染まりきっていなかったものの、簡単に状況に流されている。
縄跳びでの鞭打ちをやったのかやっていないのか?
曽根との付き合いがすぐに復活したあたりからして、やったんだろう。
現在に戻り、豪邸に連れてこられる。
神戸市灘区篠原本町4-3-1あたりの光景に近いですねw
曽根よりヤバそうな葛城という悪のカリスマが出てくる。
何を考えているのか分からない不気味な雰囲気が良く出ています。
穏やかそうに笑うけど目は笑っていない。
有無を言わせない迫力。

■第三話「ZOO」
曽根同様、葛城にも感化され、すっかり悪に染まり切っていく。
動物園の猿ぐつわの男に首を絞められ、ババアに絞められた時に比べれば…と出てくる。
母親に殺されかけた事があるのか。
気位は高くても金を掴まされた途端、罪悪感も弄ばれているという不快感も消えうせる。
やはりクズであるw

三話まで読みましたが、非常に読ませる内容だし、文章力も読みやすい。
大変レベルの高い作品です。
読んで損はない、文句なしにおすすめです。

     

「大きな頭」
http://hidekikobayashi1982.web.fc2.com/atama/


刺身先生作品。
ここ最近、小説も漫画も沢山投稿されてますよね。
精力的で何よりです。
余談ですが私も「やさしいおくさん」が欲しいです。
二作品別々に作品登録されてますが、短編集という形で一つにまとめてもよろしいかと。
今後、他にも書いていかれるなら、編集するサイトが一つで済みますしね。

■文章に特徴が無い
ごくごく凡庸な内容です。
文章は上手くもなく下手でもない。
特徴が無いという方が正確かな?
色んな小説を読んでいると、漫画における絵柄のように、文章の特徴があるのに気がつきます。
漫画の絵柄のように分かりやすくはないけど、文章から受ける印象は全然違う。
良くネットで見かけますが、色んな商業作家が書く爆発シーンのコピペとかご存知でしょうか?
物凄く色んなバリエーションがあるなぁと感心します。
新都社作家も負けておらず、こういうアンソロジーがあります。

「新都社作家の後ろで爆発が起こった企画」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=12323

こういうアンソロジーでいかに自分が出せるのか?…というのも、刺身先生の力試しには良さそうです。
でもまぁ、別に「文章が上手くなりたい」という訳ではなく、「書きたい内容を出しただけ」って作家さんも多い。
ちょっとお節介だったかもしれませんね、すみません。

■違和感だけがある
内容についても凡庸と切って捨てちゃいましたが…。
・展開に起伏が無い
・突っ込みどころが突っ込まれずに終わっている
・ゆえに違和感だけがある
と、感じました。
ガンガン突っ込みますね。
「頭の回転が速い」という言い回しには、学校の勉強はできなくとも生きていく上での賢明さをさすことが多いと思う。
学校の勉強ができても、他人の秘密をべらべらと喋って恨みを買って苛められている。
そういうのは単なる頭でっかちで、賢くはないと思う。
イジメと安野についても勿体ない使い方をしている。
酷いイジメやNTRで、物語に起伏をつけるチャンスだったのに全然大したことがない。
主人公は特に試練もなく、都合良くハッピーエンド。
漫画の「やさしいおくさん」もそうですが、旦那は何を言われても働かない屑なのに、おくさんは一人で働き妊娠までしちゃう。
一見、不幸な話のように思えるのに、物語自体はとてもハッピーというか緩い雰囲気で進んでいる。
漫画と小説の違いはありますが、基本的な部分は同じですね。
読者は「え?」と思うような引っ掛かりを感じているけど、物語はそこを拾わずにすんなり終わってしまっている。
敢えて語らず、余韻を残しているのかな?と、漫画では思っていましたが…多分違うな。
本作ではこの上ないハッピーエンドな結末として描写されていますから。
読者の疑問は置いてけぼりで、作者は余すところなく書ききったつもりで満足している。
本作における違和感はそれに尽きると思います。
…と、厳しい事ばかり書きましたが、良い点としては掌編として良くまとまっている点。
こういう掌編をもっともっともっともっと書いてみて下さい。
これだけでは読み足らないし、刺身先生の良さは伝わってこないと思います。

     

「新しい都」
http://hidekikobayashi1982.web.fc2.com/atamiya/


■新都社賛歌
「俺の事を書くのはヤメロ」とか思った人が結構いそうな内容ですw
実際、新都社で漫画をアップしている作家の多くは、小中学校でノートにマンガを描いて遊んでいた経験ありそうですね。
私は小説だったけど。
趣味として漫画を描いていたけれど、環境が変わって忙しくなり、いつしか描く事を忘れていた。
そんな時に新都社を見つけ、また漫画を描いてみようかなという熱が戻る。
本当に「あるある」な内容。
私もまったく同じなので、とても共感いたしました。
いや~本当に、新都社って素晴らしいですね!
居場所が得られ、創作意欲を刺激され、読者としても楽しい。
このサイトのおかげで、私かなり救われていますよ。

■物足らなさも
本当にすぐ読み終えてしまいました。
「え、それだけ?」と思っちゃいますねw
「新都社応援文章」とあるから、小説というよりはテレビコマーシャルの一分間で語れる範囲のミニドラマって感じがします。
書いている内容には共感するし、普通に読みやすくて「大きな頭」よりすっと入りこめます。
それだけに、新都社について語っただけなの?という物足らなさが。
恐らく、刺身先生の書きたい事はもうこれで全てなんでしょう。
だから続けるのは難しいでしょうが…。
ただ、何かのプロローグとしてこれが来て、次に新都社を見つけた主人公の物語が始まる!
…というのなら、凄く盛り上がりそうだなと思いました。

     

「ピーラー」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=10938


53先生作品。
2012年の文芸インタビュー時にも読みましたが、あれから結構進んでいました。
遅筆ではありますが、女性の生々しさが武器というか惹きつけられるものがある53先生作品。
今回改めて最初から読み直してみます。

■退廃的JK日常
ピーラー、指の逆剥けを血が出るほどに剥く行為。
主人公・舞がイライラする時、随所に出てきます。
リスカに似た自傷行為の一種?
子供は母親のおっぱいを求めて指をしゃぶるけど、ピーラーはそれに近いようでいて逆の意味かもしれない。
舞は両親に余り頼れない身の上ですしね。
イライラをぶつけているだけのようだが、人生ままならないもどかしさからくる不安感がそうさせているように見える。
きっと舞が大人として自立して精神的に成長できたらピーラー癖は治るのだろう。
さて、本作の分類としては「日常系」になりますかね。
ただ、4コマ誌で連載されているようなポワポワゆるゆるなJK日常漫画とは違う。
どちらかと言えばサツバツ世界な退廃的JK日常です。
男とセックスし、煙草を吸い、心許せる友達は作らず、内心毒づきまくっている。
その時々でイライラしてピーラーしてますが、基本的に舞はマイペースですね。(上手い)
日常系漫画でも良く言える事ですが、ずっと同じ調子で話が語られるので、段々飽きてきます。
本作でも舞の内面描写が主ですが、生活描写が淡々と書かれる。
人によっては冗長に感じられ、飽きてくるかもしれません。
まぁ、十分レベルの高い文章力なので、普通にどんどん読み進められましたが。
内容については、舞が色んなものを切って捨てていくのが痛快に感じます。
彼女、誰にも依存せず、一人で逞しく生きていく方が幸せそう。
でもそこまでは達観できておらず、次々と様々な人と係わり合いになっていっている。
最終的に、誇り高い孤立を選ぶのか、誰か心許せる友達や恋人ができるのか。
そういうところに注目したいところです。

■女性目線の生々しさ
コメント欄でも良く「生々しい」と評されてますが、実際とても生々しい。
私のエッセイ漫画でも良く「生々しい」と言われますが…。
読んでいてどうしても舞=53先生に思える。
2012年の文芸インタビューでは「半々です」と仰ってましたね。
一人称小説って、どうしても主人公が作者の分身っぽくなります。
実体験部分、恐らく女子グループのくだりとかがそうなんでしょう。
あと、女性目線でのエロ描写がとても客観視していて冷めてて良い。
男の情けなさ、独りよがりが浮き彫りになる。
男としては読んでていたたまれなくなりますw
男の責め方がワンパターンなのは大体AVのせいです。
立花君のくだりなど、「もうやめてあげて!」とすら思いましたw
女性目線の残酷さゆえに、性描写は余り露骨にエロくは感じられない。
男性にサービスする為の性描写じゃないから当然ですが。
ただ、素人援交物とか好きな男性なら美味しく頂けると思います。
AVや風俗における素人の生々しさは、しばしばプロの仕事を上回りますからね。


以下、各話感想です。

■一、スロースターター
社会人の「お兄ちゃん」とのセックス、煙草、ピーラーという自傷行為。
主にそれらでストレスを発散させながら、高校入学から夏休みまで。
舞、よっしー、ナギー、セーラ様、花音の5人グループの出会いと決別までが語られる。
女子高生に限らないけど、女子グループってこんなんだよねぇ…。
とっっ……っても、面倒臭いです!!!(半ギレ)
もう身に覚えがありまくるというか…出島の長文メールとか本当「あるある」です。
出島は明らかに一番係わり合いになりたくないタイプなのに…見えている地雷を踏みに行っているなぁ。
椎名林檎が好きな保健室の先生が良い味出している。
舞は成長したらこの先生のようになりそう。
小学生だった舞に手を出したロリコンお兄ちゃんは死んでいい。

■二、ブルーサマー
ナンパしてきた営業マン、お兄ちゃん、カーセックスのヤンキー、そして立花君。
うーん、それぞれの男達のキモさが実にリアル。
で、特に描写に力が入っていた立花君。
私の高校時代に一部似ていて、めちゃくちゃ胸が痛いんですけどwwwwww
あ、いや。
マザコンでもないし、ここまでキモくはなかったと思いたいけど、小説など趣味での拗らせ具合が近い。
確実に黒歴史です。
「うわああああ」って枕に顔を埋めたくなる。彼を見てると。
実際、読んでて何度か目を背けてしまい、読み進めるのにすっごい時間かかった…。
途中、立花君の自作官能小説?が出てきますが、ここはもう本当に見ていられなかった。
良くそんなもん好きな女子に見せられるなーーーー。
何でこんなキモくて童貞くさい中二病男子をリアルに書けるんですか、53先生ッ!!!!!
まるで見てきたかのように…ハッ、まさか立花君にもモデルが…!?
そういえば53先生の他の小説「ケッテイを放棄」でもひたすらキモい男子高校生書いていましたよねー。
この女性目線の男のキモさは、男には書けないかと思います。
それにしても、ナンパしてきた男を退けたとは言え、良く立花君なんかに付き合ってあげたなぁ。
稚拙でキモい小説を律儀に全部読んであげて感想書いてあげるとか天使か。
カラオケボックスのくだりはどう考えてもご褒美じゃないか!!!!!
何だそのエロ漫画的展開はwwwww
舞はどうも見えている地雷を敢えて踏みに行っているよう。
二話を通して読んで思ったのが、「逆・耳をすませば」でした。

■三、アンチピーターパン
男達のキモさとは裏腹に、セーラ様が好感をもって描写されている。
ギャルな見た目とは裏腹に安定志向で勉強できて公務員志望。
いいわー、カッコイイ。
そして新たに現れる生物部のイケメン先輩。
また舞にぶった切られる男の一人になるのかw
タイトルの「アンチピーターパン」とは一体…。
年齢より十歳ぐらい大人びていると評される舞は、まさにアンチピーターパン。
早く大人になりたがっているように見えますね。
一学期、夏休みと続いて二学期が語られていくのでしょう。
プロットしっかり立ててらっしゃる53先生ですし、三話か四話でまとめて終わりそうな気配。
舞がどういう結末を迎えるのか、楽しみにしております。

     

「マッド・トルネコ」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=13695


ブッコロ大魔王先生作品。
長期連載で文章量もかなりのものになります。
「漫画のアリキリは好きでも、こんな長い小説読めるかよ!」って読者も多いでしょう。
という訳で、かいつまんでそのエッセンスをお届けしたいと思います。

■粗筋
魔王デスピサロ討伐後のドラクエ4の世界。
軍をリストラされたライアンは、職安(ダーマ)で不思議なダンジョン探索の冒険者となる事を勧められる。
ダンジョンに詳しいかつての仲間トルネコを訪ねると、彼もまた商店や家庭から見捨てられ、最低な生活を送っていた。
二人は一発逆転人生を目指し、ダンジョンへ潜る。
モンスターを虐殺し、略奪し、恨みを買う。
良いところまで潜ったが敗退したトルネコは、かつての仲間達を召集する。
アリーナ、クリフト、ブライ、マーニャ、ミネア。
そしてトルネコの息子ポポロ。
それぞれが悲惨な境遇を抱え、人生逆転を志し、再度ダンジョンへ潜る。
だが、待ち受けるモンスター達にも様々なドラマがあり…。
という感じです。

■暴力、混沌、そして孤独感
同じ作者だから当然ですが、漫画におけるブッコロ大魔王先生の特徴は、小説においても遺憾なく発揮されています。
いや、むしろ小説だからこそ、その臭いは強くきついものとなっている。
これは、私が絵より文章からの方が強いイメージを受けるからというだけではない。
ブッコロ大魔王先生の漫画同様、小説も素晴らしいからでしょう。
暴力、混沌、そして孤独感。
暴力と混沌については言うまでもないですが、ここでキーワードとなるのが孤独感です。
漫画「新・アリとキリギリス」においてもそうでした。
虫達は集団生活を営んでいるものの、様々な危険によりいつ命を落とすか分からない。
頼れるのは自分だけ。生きる時も死ぬ時も一匹きり。
本作序盤でトルネコとライアンがパーティーを組みますが、一緒に魔王を倒した仲だというのに決して信用し合っていません。
むしろ内心、互いに毒づいている。
商店や家庭から捨てられたトルネコ、軍から捨てられたライアン。
社会の底辺に落ちぶれた彼らですから、そういう性格に捻くれるのも仕方がないのでしょう…。
ここで感じるのが「RPG版闇金ウシジマくん」です。
人は誰もが孤独。
信じられるのは金だけ。
世界は奪うか奪われるか。
勇気や愛なんてケツを拭くちり紙ほどの価値しかない。
最低だが最高でもあるショーへの期待が高まります。

■多人数一人称形式・丁寧すぎる書き込み
本作の特徴は、膨大な登場人物を出しながら、彼らほぼ全ての一人称が随所で出てくる事です。
最初に出てくるトルネコとライアンだけではなく、彼らと戦うモンスター達にまで。
中盤ではかつての仲間達であるクリフト、ブライ、マーニャ、ミネア、アリーナも合流。
トルネコの息子のポポロも加わります。
人間側だけで8人、更にその章ごとに関わってくるモンスター達も余すところなく心情をきっちり書いてくる。
「ソナタ」でも思いましたが、複数の登場人物を一堂に出して描写するのは相当な力量がいります。
そこを本作は多人数一人称視点で何とか乗り切ります。
破綻しそうでギリギリで破綻しない絶妙なバランス。
やっぱり所々、読みづらいのは仕方ないですが…。
同じシーンでも時系列を戻してまで、その場に居合わせたトルネコ達とモンスター達それぞれの視点で描く。
かなりの労力が必要だし、ストーリーを進めるのも遅々とします。
でも丁寧に、辛抱強く、むしろ粘着質に。
ブッコロ大魔王先生の描かれる漫画とそっくりです。
本当に細部に渡り、脇役一人一人に至るまで余すところなく、しっかり書き込まれています。
やはり漫画と小説とフォーマットは違えど、同じ作者さんだなぁと感じました。
読むのは疲れますが、読後は程良い充実感があります。

以下、各話感想です。


■旅の準備
原作であるゲームのドラクエ4。
戦士ライアン・商人トルネコ。
若者揃いの勇者達の仲間の中でも加齢臭漂う中年男性という事もあり、恐らく多くのプレイヤーから省みられる事がなかったのでは?
(ブライはまだバイキルトが使えるから出番はある)
ドラクエ4では1章がライアン、3章がトルネコとそれぞれ単独主役である。
1章ではホイミンが、3章では傭兵が数人仲間になるが…。
別に彼らを仲間にしなくても章のクリアはできる。
基本的に彼らは最初から最後まで孤独なのだ。
そう、孤独。
軍をリストラされるライアン。
商店ではネネに実権を奪われ、家庭的にも見放されたトルネコ。
彼らの孤独感・闇の深さが非常に際立って漂っている。
彼らを主役に据えたブッコロ大魔王先生の好みが伺える。

■そしてダンジョンへ
雑魚モンスター達を虐殺するトルネコ。
武器は2番アイアンや近代兵器。
ゲームの世界観と現実がごちゃごちゃになっているカオスはあるが…。
アリキリでも蟻達が何故かライフルなどの近代兵器を使っていた。
余り細かい事は考えない方が良いのかもしれないw
モンスター側の視点でトルネコ達が描かれると、やはりえげつなさが際立つ。

■さらにダンジョンの奥へ……
ドラクエに加え、ハガレン・シレンの世界観とも一緒くたになってますなw
何とも混沌とした世界観です。
カレーのくだりが狂いつつも笑えますwww
家庭から捨てられた既男と、元から一人の毒男の侘しい食事風景。
哀切漂いまくりですわwww(涙)
そして食事の後、変化の杖でモンスターを女性にしてレイプ三昧。
欲望全開すぎるだろ。
そしてライアンはショタホモかよwww
いやぁ、実にえげつない。

■特殊階層
トルネコ、ライアンがメインだが、時折モンスター視点も入るし、一人称がころころ変わるので読みづらいところが出てきました。
バーサーカーがどんどん強くなっていくのは不気味ですが、ゲームをした事がない人にはどういう仕組みなのか分かり辛いでしょうね。
ここまで読めたなら、ブッコロ大魔王先生の文章のノリにもそろそろ慣れてくるでしょうから、まぁ読めます。
ドラクエを基本的な元ネタとしつつも、ブッコロ大魔王的世界観が非常に強いですし。
ただ、できれば原作を知らない方でも読みやすいようにしていって欲しいです。
印象深いシーンとして、ライアンがモンスターハウスに入ってしまって、戦闘しながら述懐するくだりが良かった。
動きのある戦闘と心理描写を両立させ、テンポ良く感じます。
あと、トルネコがサブマシンガンをバーサーカーに対して乱射するシーンも。
ライアンは軍人として、トルネコは商人として、それぞれの経歴から来る物の見方と戦闘思想が見えて面白い。
トルネコの使う近代兵器は少々チートすぎやしませんかねw
勿体つけた口上を垂れているゾーマに火炎放射器浴びせるあたりとか、モンスター側に同情しますね…w

■黄金の弓
主にモンスター側の視点でトルネコ・ライアンの虐殺行為が語られる。
勇者一行の戦闘描写が途中で出てくるが…。
これは過去の回想?
やはり視点がころころ変わるので、読めない事もないがちょっとだけ読みづらい。

■新たなる敵
緊迫した戦いである。
悪魔神官にキラーマシンにアークデーモンの恐るべき連携。
いずれもドラクエでは高レベルモンスター。
それでもトルネコ・ライアンを倒すには至らない。
トルネコの肉の壁分厚すぎるだろwww

■そして復讐へ
スライムの罠にハマるトルネコ・ライアン。
キラーマシンやらを倒してきたというのにこのざまwww
ここまでずっとモンスター側の事情も描写されてきただけに、さすがにスライムを応援してしまうw
リリパットの族長は復讐で周囲が見えなくなってるな。
案外冷静なスライムと違い、まさに老害だ。

■かつての仲間たち
クリフトが一番悲惨な件www
様々な厄介事を押し付けられ、酒と麻薬に溺れ、狂人とならざるを得なかった姿には涙を禁じえない。
まとめるとこんな感じですね。
・トルネコ…家庭と仕事から見放されている
・ライアン…軍からリストラされる
・クリフト…酒と麻薬中毒者
・ブライ…国と教会の負債
・アリーナ…勇次郎
・マーニャ…ギャンブルで負債
・ミネア…マーニャの負債
・ホフマン…開拓町の実権をネネに奪われ失意のバイト生活
落ちぶれすぎだろみんなwww
世界を救ったはずなのにどうしてこうなった…。
と、勇者の現在が不明ですね。
回想では一番えげつない人でなしのように描写されてますが、一人だけハッピーエンド中なのか?
さて、勢いで読めているのですが、これだけの人物をまとめて描写するのに無理があるところも。
大体は口調などで分かりますが、時々誰が喋っているのかわからない時がある。
せめてもう少し一人称で語る人物は絞って欲しいところです。

■グリード・ラビリンス
バーサーカー怖すぎですな。
それもどうも彼はドラクエ3の勇者の仲間だった模様。
道理で強いはずだ。
それがゾーマのしもべとしてドラクエ4の勇者の仲間達と戦うとは…。
モンスター側の事情もまた面白いんですよねぇ。
バラモスゾンビとのやり取りは結構笑いましたw
次々と襲われ、死んでいくトルネコ軍団。
ホラー映画のようでした。
ただ、冗長です。
面白いんですが、流石にくどい。
登場人物が増えた事でやむを得ないですが、トルネコ軍団だけでポポロ含めて8人。
バーサーカーなどのモンスター側の視点も入る。
しかもパーティーがバラバラになり、追うべきシーンが多い。
そりゃ長くなりますね。
時系列も時折どうなってるのか分からなくなる事があり、ちょっと理解するのが辛かった。
ぶっちゃけ本筋だけ追えば4分の1ぐらいにカットできると思う。

■グレイト・ヴィレッジ
ここまでと違い、三人称で客観的に書かれています。
誰の視点でもないのはこれが過去の話だからでしょうね。
ポポロがグレイトドラゴンとギガンテスを使役するようになるまでの話のようです。
三人称でモンスター側の話が中心、しかも童話のように語られているので、アリキリのような印象を受ける。
更新の時系列的に、アリキリの作風に少し引っ張られていたのかもしれないですね。
大自然と一体化のくだりとか特にwww
それにしても、ポポロはおっそろしいガキんちょです。
村の内部に入り込んで内部崩壊させていく様がありありと描かれていて。

>その表情は、親子だからだろうか、トルネコの表情に似ていた。トルネコが虐殺のときに浮かべる、あの表情に。

ゾッとしますね。
結局は親子なんだなぁ…。
トルネコの物理的な虐殺に対し、ポポロのは精神的な虐殺ですね。
私はドラクエは本編しかやった事がなくて、モンスターズの方は良く分からないんですが…。
ブラック過ぎますね、魔物使い。
ドラクエ5から出てきた魔物使いですけど、仲間にする方法が「魔物使いを含むパーティーでモンスターを倒すこと」だったので。
何となくだけど、「拳と拳で語り合って友情が芽生えた」という解釈をしていたんですよね。
でも本作における魔物使いというのは…。
うう~~ん、ブラック。
微糖すら許さない苦々しいブラック。
内容的にも文章的にも、このグレイト・ヴィレッジ編が一番好みです。
長かったけど一番読みやすかった。
常に三人称でしたが、終盤でシーザー、ギーガ、ポポロ達の一人称に切り替わるんですがそれも効果的。
ぞっとするマッド・トルネコ世界を存分に堪能できました。
まさかポポロの過去を書くのに、ここまで丁寧にやるとは…。
シーザー・ギーガ・ドラキー達が哀れでならない。
生き残り組であるネックとスラ吉にもこんなドラマがあったなんて…。
やっぱり人間側がどうしようもなく鬼畜で、モンスター側に感情移入してしまう。
で、こんなにモンスター側に感情移入させておいて、バッサリとポポロの思惑通りに大虐殺ですよ。
諸行無常を感じますね!
本当にこの章は素晴らしかった。
次回以降、バーサーカー、ライオネック、バラモスゾンビ達の逆襲に期待したい。
アリキリだって69号が最後くたばったんだから、主役死亡エンドだって十分ありえますからね。

     

「その倫理観、カリソメにつき。」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17371


柴竹先生作品。
前にも感想を書いた事のある作品ですが、少し進んでいますね。
かなり更新活発にされているので、読むのに大変な量かと思ったのですが案外すぐに読めました。
マッド・トルネコの後だったのでむしろ軽く感じますw
いや、柴竹先生の文章が綺麗であっさりしていて、読みやすいだけかもしれないですね。

■粗筋
小学五年生の男子、花見は陰湿なイジメを受けていた。
事なかれ主義の教師達は助けてくれない。
いつしか花見は、「こんなに悲惨な目に遭っている俺は、何をしたって良い」と考えるようになる。
ある日、学校の屋上に忍び込んだ花見は、丸子という小学六年生の女子と出会う。
親から虐待を受けており、花見と似ているが少し大人びた年上の少女。
互いに小動物を殺して憂さを晴らす暗い友情。
丸子は卒業まで生きていたくないと考え、自殺する為に花見とセックスする。
小学生で妊娠すれば自殺の理由になるからと。
花見は丸子とのセックスを通じ、彼女を大切に感じるようになり、共に生きたいと願う。
だが丸子は既に父親からも性的虐待を受けており、その闇の大きさは花見に受け止められるものではなかった。
丸子は屋上の鍵を妊娠検査薬の空箱に入れ、去っていく。
六年生になった花見は相変わらずイジメられていた。
クラス中がそれに加担、もしくは傍観している。
以前と違い、花見はクラスメイト全員を殺してやろうと決意する。
ホームレスに給食を与える事で、クラスメイト達への暴行を依頼する。
最初に犠牲となったスポーツ少年の後藤は二度とスポーツが出来ないような体にされる。
花見はその様子を見ながら射精をしていた。

■倫理観の欠如
最初の感想と余り印象は変わりませんでした。
どういう印象かは「2月3日更新文芸作品感想」を参照になさって下さい。
「弱者だから何をしても良い」と考える歪んだ倫理観。
これが個人的には、とっても気持ち悪いのです。
虐げられる弱者。
それが奮起して弱さを克服していくストーリーなら好感を持てますが、そうじゃない。
歪んだ性癖を発症し、復讐にも手を染めていく。
ひたすら陰鬱な方向へと進んでいきます。
まぁ、綺麗な文章で書かれているし、丸子との交流は暗い青春ですが情緒的で良かった。
醜く汚いものを綺麗に書くのが上手いな、と感じます。
花見は小学五~六年生という年齢にしては語彙も豊富だし大人びているように見える。
逆に言うと、表面的には子供らしくなくて可愛げがない。
でも内面的にはやはり子供で、浅薄で安易な残酷さを持っている。
猫や犬を殺すだけならまだしも、躊躇なく人にも手を出し始めている。
普通はそこで躊躇するところだが、普通の倫理観が育っていないので…。
暴行されたクラスメイトを見て射精する。
まんま神戸連続児童殺傷事件の酒鬼薔薇聖斗です。
どうせ少年法に守られているし、更に大胆な事やっちゃいそうですね。
ただそういうものは読んでいて不快に感じる人も多いでしょう。
好きな人は凄く好きでしょうが。
歯キャラメルくんはこういうの好きでしょうね、いっぺんまともに読んでみるといいよw
藤色アワーよりこちらの方が絶対好みだと思う。
さて、余談が過ぎました。
後藤君は、積極的にイジメに加担していた側ではなく、どちらかといえば傍観者の方だったんですよね。
それなのに最初の標的とされてしまう。
これから描写されるのかもしれませんが、イジメ主犯格らは名前すら出てこない。
倫理的な事はさておき、イジメの主犯格らが標的とされた方が読者的にはカタルシスを得られそうだけど…。
そうしないところに良い意味での作者の性格の悪さが滲み出ている。
焦らしてきますねw
この先、花見の目論見通りにクラスメイトを一人残らず殺せるのか。
それとも花見が逆襲を受けるのか。
読んでいて面白くはないと言いましたが、陰鬱なストーリーがどうなっていくのかは純粋に興味深い。
花見を笑ったクラスメイトの少女をホームレスにレイプさせたりとか?
目が離せないところです。
それにしても…今回更新された文芸・ニノベ作品、暗かったり捻くれた主人公が多いなぁ。
ちなみに一部ですが誤字ありました。
せっかく綺麗な文章だし、そんなに多くない文章量です。
是非、推敲お願いいたします。

     

「壁の中の賭博者」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17513


顎男先生作品。
この企画で様々な顎シリーズを拝読してきました。
これが最後かと思うと感慨深いものがあります。
まぁ、企画が終わっても顎作品はまた読んでみたいと思うものが多かった。
滅神、天敵、パル夏、稲妻…。
その中で作品として良くまとまっていて完成度高いのは天敵かなぁ…。
でも好みなのは稲妻。
方向性が違う作品だから比べられるものではないけど。
さて、本作はどうでしょう。

■樹畑錬という主人公
あとがきを読む前、「樹畑は顎男先生の素面に最も近い主人公」と感じていた。
なので「俺は主人公がとても嫌い」って書いててマジかよってなった。
嫌いなタイプのキャラを主人公に据えて一人称で書けるものなのかなと思うんですよね。
樹畑のどこが嫌いなんだろう。
弱いところ?
世界から拒否され続け、愛されたいけど愛されない。
性格捻じ曲がっちゃうのも仕方がない。
どこまでも報われない樹畑ですが、もがきながらも戦う。
その姿は割とマジでかっこいい。
やはり、樹畑は顎男先生の一部だと思います。

■屑ばっか
全編通して読んでいて辛いな、と感じる。
賭博で勝った時でさえ、カタルシスは一度も得られない。
主人公の樹畑含め、殆どの登場人物が屑ばっかです。
アキト、アヤカ、凍理先輩はまだちょっとましですけど…。
それ以外はかなり酷い。
まったくラノベっぽくないというか、読者を楽しませようという意図が感じられない。
屑は屑でも愛すべき屑ではなく、笑えない屑です。
いや、屑というだけなら敵として出てきて、弐倉のように倒せた時はちょっとスッとします。
でも敵としては出てこず、単に「主人公に対して優しくない」ってだけの人物が多い。
意図的なキャラ造形なんでしょうが、読んでいる方としてはストレスが溜まります。
主人公に自己投影して読むと、この世界の理不尽さに憤慨してしまいますね。

■作品全体を通して
あとがきも読みましたが、「失敗作」というのも頷けます。
でもところどころ、印象深いシーンもある。
ゲーム部分はまぁそこまで分かりづらいものではない。
麻雀やらない私でもこれは亜種麻雀だし雰囲気は良く伝わりました。
ストレスを感じてしまう時点で、エンタメとしては確かに失敗作でしょう。
三人称で書かれていたらもうちょっと面白く感じられたかもしれない。
でも樹畑の心情を書くには一人称でないといけないと思う。
ひりひりする空気感、樹畑のやるせない感情。
そういうものが強く伝わってきて、賭博小説というだけではなくて…。
一人の屈折した少年がもがく様としては、心に迫るものがありました。
だから読後感も悪いものではない。
心に焼き付くという意味では、他のあかるい顎シリーズよりも優れている。
読んで良かったと思います。


以下、各話感想です。


■01.樹畑錬
一人称小説ではより作者の性格がそのまま現れていることが多いけど。
樹畑はこれまでで最も強く顎男先生の分身、素面、本音のようなものが出ていると思う。
稲妻の真嶋慶が「かっこつけてる顎」
本作の樹畑錬が「かっこつけてない顎」
…じゃないかな~とw
文章がとても簡潔だからでしょうか、より凝縮された顎っぽさが出ている。
壁殴るところとか、自己評価は低いなりに負けん気は強そうな主人公。
うん、やはり顎男先生だ。

■02.善悪選別ゲーム
簡易麻雀でしょうか。
これは良いですね。
麻雀のルールを知らない読者にも興味持ってもらえる。
天使は間違いなく性格悪い。

■03.〈ダスト〉
ひゃー。
ヒロイン()
ちょっとこりゃないよー。
どうすんのこれw
可憐な美少女からの醜い末路。
容赦ないなー。

■04.死者は還らず
樹畑家の家庭の事情、重いなぁ…。
月島ちゃんが発狂するのと、錬が働きたくないと発狂するのとが被る。
つまり顎先生も死ぬほど働きたくないんですね、分かります。
そして知野や弐倉。
何なんでしょう、このまったく好きになれないキャラクター達。
暗いストーリー。
サクサクノベルで読みやすいのですが、ちょっと心が痛くて辛くなってくる。

■05.弐倉
ゲームの行方よりも、樹畑と弐倉のいがみ合いが面白い。
子供、生徒、それも劣等生の立ち位置から弐倉への恨みつらみを述懐する樹畑。
大人、教師、それも嫌味な教師の立ち位置から樹畑を批判する弐倉。
どっちもどっちという感じではあるw
そして弐倉に勝利し、文字通り地獄に叩き落し、得た一億円。
だが知野にも、両親にも「ありがとう」と言ってもらえない。
救われないなぁ…。

■06.黒夢
樹畑が顎男先生の素面に一番近いように思える。
…と言いましたが、どんだけ鬱屈してるんだろう、闇が深い。
読んでて辛いっていうか、胸が痛いよーーー。
生きていても地獄と変わらない。
冷蔵庫にカップ麺とか本当にこの世界狂ってますね。
だが樹畑の不器用な生き方が、時間はかかったけどここにきてようやく好ましいものに思えてきた。

■07.凍理先輩
人格破産者って言い回し良いですね。
人格破綻者じゃなくて破産者。
ギャンブラーに相応しい。
そして凍理先輩と双葉とミカヤ。
いずれも美少女っぽいし、やり取りが軽妙です。
何だかんだでラノベしてきました。

■08.片端者
孤児院で餓死者がバタバタと出るくだり。
ここは日本なのか…恐ろしい。
アキトの仇をとったのに、やっぱり「ありがとう」と言ってもらえない樹畑。
心に木枯らしが吹きすさぶエンドです。
虚しいなぁ…。
でも、樹畑は苦しみもがきながらも生きていくのだろう。
顎男先生も頑張って下さい!

     

「彼女のクオリア」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=16933


東京ニトロ先生作品。
本作の感想を書くのは三回目となります。
初回は昨年10月7日ニノベ感想にて。(2話まで)
二回目は11月3日ニノベ感想にて。(5話まで)
今回は完結して更新を合わせて下さいました。
この企画を知ってラノベデビューした上、企画終了と共に完結。
お見事と言うほかありません。
ちなみにツイッターのTLから流れてきた情報によれば、この感想がUPされたら作品消しちゃうと宣言されている模様。
残念だったな…既に魚拓はとってるぜ!w
(作品削除後、もし読みたい!って方がいらっしゃいましたら、私にDM送って下さいw)

作品通しての印象。
SF小説としては、序盤は難しくないが、後半やや難解。
私の頭が悪い為か、「お前ら何言ってんだ」と一部何となくでしか理解できなかったところもある。
難しい言葉も良く出てくるのでググりながら読んでいました。
それでも細部については理解できなかったので、感想というか分析は難しい。
なので総括だけします。

■秀逸な背景小説
ニトロ先生の漫画を読んだ事のある方はとっくにご存知の通り。
偏執的なまでの背景愛。
それは小説においても健在です。
絵と活字という違いはありますが、背景描写の濃密さに比べ、人物描写は最低限。
ゆえに全編通して思うのは、雰囲気小説、それを通り越して背景小説だなということ。
SF要素はありますが、それも背景の一部という感じです。
ヴォイジャーに関するニュースや別宇宙がどうのというSF描写がされますが、正確に理解する必要はないかと。
活字を詩のように追っていくとスラスラと読めるところがあります。
作中、モブの台詞は「」で段落区切られたりもせず、地の文で描写されます。
ヒロイン以外、キャラ描写は大変薄く感じるが、人物も台詞も背景の一部なんですよね。
で、その書き方が心地良い。
小説において背景を濃密に描写しすぎると、長くなり、くどく感じてしまいます。
それが人物と背景が一体化したような状態で進み、濃密な背景描写なのに簡潔でくどく感じない。
実際、文章量もそこまで多くはない。
そして最初から最後まで、物語は破綻もせず、横道に逸れる事もない。
ちゃんとプロットを立てて最初の構想通り、起承転結きっちりつけて終わっている。
絶妙なバランス感覚。
本当にこれが小説デビュー作かと思う秀逸さだと思います。
って、褒めすぎてますが、足立区のDQNのような感覚(クオリア)がない人は理解しなくて良い!
というぐらい、バッサリと本作を観測できない人を置いてけぼりにする冷酷さを感じる。(特に後半)
そういう意味では人を選びそうです。

■目標と目的、哲学的ゾンビ
普段からのニトロ先生のツイッター社畜ツイートの言動を見ていると常々思いますが…。
ニトロ先生もまたゾンビになっているのかなと心配してしまう。
作中に「哲学的ゾンビ」という言葉が出てくる。

哲学的ゾンビ
すべての面で普通の人間と何ら変わりないが、クオリアだけは持たない、という仮想の存在。

「クオリア」でwikiで調べたら出てきた一文。
一話から足立区の住民を形容して、ゾンビのようだと描写してきた。
目標と目的を持たず、ゾンビのように生きながら死んでいるような連中。
果たして本当に、ゾンビではなく人間として生きているのか?
そう、読者自身も強く問いかけられている気がする。
作中では、目標と目的を持っていた只一人の少女との出会いと別れが語られる。
主人公は一度彼女を見失い、典型的足立区住民、ゾンビ人生を選択する。
だが彼女と再会することで、彼女が好きだった自分を取りもどす。
SF要素も強いものの、青春要素もちゃんとあり、ボーイミーツガールしていました。
なので読後感は非常に爽やかなものとなっています。
あなたにクオリアはありますか?

       

表紙

後藤健二 [website] 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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Neetsha