Neetel Inside ニートノベル
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「今宵の青竜刀は血に飢えている」
  それ青竜刀って言うのか、俺の顧問と同じことを言っててこの子の将来がちょっとだけ心配になる。
「でも待てよ、なんで俺なんだよ」
「ふっ、この決闘に生き残ったら教えてやろう」
  あり得ない。危険な2人組を無視して家にダッシュする。後ろからまてぇ!と声がするが無視だ。しばらく走っていくと俺の家がちなみに見えてきた。ぼろっちい木造アパートの、錆び付いた階段を3階までかけあがり303号室の部屋のドアノブをひねる。当たり前だが鍵は掛かっている。なので思いっきりドアを叩き喚く。
「ひさし!ひさしぃ!開けてくれぇ」
  数秒後、鍵が外される音がしたので思いっきり扉を開けて部屋に雪崩れ込み急いで鍵をかける。冷や汗がぶわっと吹き出す。
「あ、焦ったぜ。刀を持った女に追いかけられた……」
  当のひさしはぐったりしている。見ると俺の家が荒らされている。なんというか、動物に荒らされた?
「お前の妹が全部やったからな……俺は……」
  がくりと意識を失うひさし、なにがあったんだ?するとアパートの階段をかけ上がる音が聞こえる。しかも2つの。なんとも言えない悪寒がしたので部屋に戻り木刀を取りに行く。メルトはというと、朝敷きっぱなしの俺の布団ですやすやと眠っていた。一緒に寝たいがそれどころではない。机の近くに置いてあった木刀を手に取る。しかしここで違和感を感じた。確か井伊直虎という名前の少女を俺は知っていたはずだ。なぜかはわからないが本棚を見てみる。何故かぽっかり間の空いたスペースが……
  もしかして机の中か?そう思ったが井伊直虎という少女のヒントになるものはなにもなかった。が、なぜ俺が佐々木次郎坊という男に狙われるきっかけになるようなものを偶然見つけることができた。もし俺の予想が正しければこいつとんでもない理由で俺を襲っているぞ。なんて思っているとドアを乱暴にノックする音と共に「狩畑さん、出てきてください」なんて呼び掛けられる。玄関前に移動し、ひさしを移動させ万が一の時のために備える。だんまりを決め込むことにして数分、ノックの音が聞こえなくなったと思ったら信じられないことが起き、思わず仰天の声をあげる。そうそうないだろう。自分の家の玄関のドアが刀によって一突きされることなど。それが目の前で起きているのだから……

       

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