Neetel Inside 文芸新都
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 ● 著作権保護期間延長の動き

 現在、著作権の保護期間を、50年から70年に延ばそう、という動きが活発になりつつあります。
 これはもちろん『ディズニー帝国・アメリカ』の差し金です。
 『映画』に関しては、いちはやく2004年に、保護期間を70年に延ばす、という法律が制定されました。
 ただ、これは、制定された年まではセーフです。保護期間が延びたからと言って、過去にさかのぼってアウトになることはありません。
 それで、1953年12月31日より前の映画・映像はパブリックドメインになる、という事なんです。

 おそらくは、ここ数年のうちに、残りの著作物に関しても、保護期間が70年に延長されるだろうと思われます。


 ● TPP発効による著作権保護期間延長(2019年追記分)

 2018年12月30日に、TPPが発効され、著作権の保護期間が、50年から70年に延長されました。
 今回のTPPにはアメリカが参加していないので、この決定は正直理解に苦しみます。
 恐らくは、現アメリカ政権(トランプ政権)後にアメリカがTPPに再度参加することを期待して、アメリカとの取り決めを忠実に守る、いつもの『深謀遠慮(弱腰外交)』なんだと思います。
 アメリカが将来、TPPの枠組みに戻ることになったとしても、より有利になるような変更を迫ってくるのは100%明らかなので、愚かな決定だと私は思いますが、いつもの事なんで、仕方ないですね。

 上に書いた通り、保護期間が延びたからと言って、過去にさかのぼって延長することはありませんから、今後20年間、パブリックドメインに加わるコンテンツがなくなる、という事になります。残念なことです。


 ● まとめ(2019年に加筆・修正)

 まとめとして、僕ら作り手が、自由に、誰の許可も取らずに、商用利用も可能で、パロディも作れる
『パブリックドメイン』となる条件を改めて記載します。

 個人の著作物(絵画・小説・マンガなど) : 1967年12月30日以前に作者が死去したもの
 音源・ラジオ放送など : 1967年12月30日以前のもの
 映画・ニュース映像など : 1953年12月31日以前のもの
 (2019年現在)


 ● 最後に 『法治国家の限界』

 あらゆる国家には限界があり、あらゆる法にも限界があります。僕らにも、法で許されていても、実際は許されない、
『アンタッチャブルな領域』というものがあります。
 有名なタブーとしては、たとえ法が許可していても

「ディズニー」
「チャップリン」
「美空ひばり」

 のコンテンツには触れるな、というものがあります。なぜならおっかないからです。
 マイケル・ムーア的押し問答が心の底から好きな、底意地の悪い人以外は、よけておいたほうがいいと思います。

 また、『ローマの休日』はパブリックドメインになって久しいコンテンツですが、ある広告代理店がTVCMのなかで、ウソ吹き替えをして使用したところ、ファンからの苦情が殺到して、CMを打った会社のイメージダウンを招いた事もありました。
 ファンがたくさんいるコンテンツのパロディは、リスクが高いという実例だと思います。

 これは法とは関係のない、個人的な意見ですが、パブリックドメインのベストな使い方というのは、もう忘れられてしまって、現在はカネを生み出していないコンテンツに、再利用で光をあてて、元のコンテンツも、自分のコンテンツも注目を浴びるような、
 いわゆる『win-winの関係』を築くのが理想なのかな、と思います。

 長い文章でしたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

       

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