絶夢(努力しないと人生を詰む人たちに限って努力できない不条理)

さて、今回はやや古い漫画であるが、絶夢 sushi 先生の漫画を評論しよう。

http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=4193

この漫画はとにかく主人公の心理描写がリアルな漫画である。

現実にいる人間の心理に極めて近い。

ラストにいくにつれて、意外な展開をしていくのだが、一切希望を見せずに描き切った手腕は見事だと思う。
ただ、最初、読んだとき、ここまで理想的な駄目人間は、そうそういないのではないかと思ったのだが、その後の人生で、その認識を改める体験をしたので、まずそのことを書いておこう。

1 ぼくは、こうして理想的な駄目ワナビーに出会った。

2~3年前、ある漫画家志望者が主催するオフ会に参加したことがあった。
その漫画家志望者をAとしよう。、Aは、30代前半くらいの男だったのだが、まだ、漫画を1作も完成させたことがないとのことだった。

現在は、コールセンターのバイトをしているとのことである。

で、そのオフ会自体は、それで終わったのであるが、これで、終わらせてもどうかと思って、後日、Aに僕が直接、メールにて連絡をして飲みにさそったのである。

その際、さすがに一回会ったきりの相手なので、警戒されないように、

ぼく「アムウェイとか新興宗教とかの勧誘じゃないから大丈夫ですよ。」

と言う一文を添えておいたのだ。

で、後日、Aと飲むことになったとき、最初にAが言った一言

A「実は、ERIERIさんに最初に行っておかなくてはならないことがあるのです。」

ぼく「何ですか?深刻な話ですか?」

A「実は、ぼくアムウェイなんです。」

この瞬間、ぼくは絶夢の主人公みたいな人間が、この国には実は膨大な数いるのではないかと言う恐怖に襲われた。ぼくが、よく冗談で言うワナビー100万人説はこの辺の経験がもとになっている。

その後、Aの経歴を聞いたところ、

① 九州出身

② 高校卒業後、代々木アニメーション学院に進学(生活費まで、ご両親が仕送りしてたそうなので、卒業までに1000万円くらいかかってんじゃね?実家はかなり裕福なのか?)

③ 在学中に1作も漫画を描きあげられなかった。

④ 卒業後、東京でバイトを転々とし、現在は、コールセンターでバイトをしているとのこと。

⑤ その間、アムウェイの会員になり、アムウェイのキラキラした仲間に囲まれて今は幸せとのこと。

⑥ 気になったのが、Aの現実に対する検討能力の歪み方である。ぼくが現実の一般企業で事業計画や予算作成や有価証券報告書などを作成する仕事をしていると、何度も何度も説明しているにも関わらず、Aは、自分が取り扱ってるアムウェイの事業はどこよりも素晴らしい、一般企業よりも素晴らしいと言って、ぼくに彼の事業計画を見せて、説教を始めようとした。

彼が言ってる事業とは、年間、数万円から数十万円の売り上げのビジネス?の話であり、こちらが取り扱ってのは売上、数十億円規模の一般企業のビジネスであると何回も説明しているにも関わらずである。

⑦ 何故、Aに漫画を描きたいと思ったのかと聞いたところ、

「漫画家になりたかったから」

とのことである。

2 絶夢の主人公とAの共通した特徴は?

これは、以下の2点であろう。

① 現実に対する検討能力の喪失
② 努力ができないこと。

絶夢の主人公は、心理学でいうところも、防衛機制を激しく使いまくって、劣等感や不安を忘れようとしている。

そして、彼のペニスが超自我の役割をしている。
この処世術は、短期的には、主人公のメンタルを守ることに役立つが、長期的には人生を破滅させる。

人生を詰むという状態は、若年期と中年期では、まったく違う。

若年期の人生を詰む → 引きこもりになるくらい
中年期以降の人生を詰む → 死ぬ。(なぜなら保護する親がもういないから)

くらいの差がある。
なので、この現実の検討能力の喪失とその結果として、努力ができないというのは、死に至る病なのだが、この死に至る病に取りつかれている人って、実は日本に膨大にいるのではないか?

3 漫画を描くのを目的にしている人と漫画家になるのを目的にしている人は、努力の方向性が180度違う。

これは、説明の必要はないだろう。後者の人たちは、漫画を描きたいわけではないのだ。だから、Aのような人間が大量に出現する。

4 努力をしないと人生を詰む人たちに限って何故か努力ができない不条理

ワナビーとは、自分にとって適切な場所によって努力をできない言い訳として、漫画家になるのを言い訳とする人たちである。で、最近、アマチュアの漫画評論をやっていて、気付いてしまったのだが、漫画によって、一定の結果を出している人たちは、漫画以外の部分(仕事や恋愛などににおいて)、一定の適応をしている場合が多いと思う。

残酷な話だが、たぶん、これは真実である。

そして、努力をしないと人生と詰むにも関わらず、努力ができない人達が、実人生で、最終的にどこに行きつくかは、かなり明確であると思う。

それは中年以降の死。つまり寿命が平均より著しく短くなるのである。

5 結論

ぼくは、絶夢を深く検討して、非常に怖い結論に到達してしまった。
正しい努力と言うのは絶対に必要だと思う。