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新都社 漫画評論集
HOT BLOOD(絵が古いのは罪なのか?)

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さて、今回は、hot blood 甘えび先生の漫画を評論しよう。

この漫画、前々から気になっていたのだが、ぼくが、野球を全く知らなくて、
したがって、この漫画の半分も内容を理解できないためになんとなく躊躇していたのだ。だが、今回、失礼を承知で、その状態で評論を試みさせていただいた。

1 甘えび先生のプロファイリング

これは、その漫画から、ぼくが推測する甘えび先生の姿である。

① 年齢は、40代~50代の男性
② プロか、元プロの漫画家
③ 過去、どこかの雑誌で連載経験があった。
④ 実は、アダルト系漫画が得意、もしくは、その手の雑誌で連載されていた。

⑤ HOT BLOOD は雑誌連載を前提とした、ネームがもとになっている。

念のために言っておくと、ぼくは、数年前、「だがしかし」のコトヤマ先生のことを絵が超絶上手いと絶賛していた恥ずかしい過去がある。現在のこの目で、あの絵を超絶上手い(普通には上手いと思う)とは決して思わない。人間の視点など移ろいやすいものなのだ。

なので、もしかしたら、現実の甘えび先生は、日本文化に憧れたアラブの石油王とか、暇を持て余している丸の内のOLとかかも知れないし、実は、俺の正体は、ドナルド・トランプだよ。ということもあるのかもしれないが、そのときは、ぼくのことを見当はずれなな奴だなと笑っていただきたい。

2 甘えび先生は、新都社で1番技術がある。

実は、ぼくは、この漫画より技術がある漫画を新都社内で読んだことがない。
以下、甘えび先生の漫画のすごい点を列挙しよう。

① 動きが完璧に描ける。
② 動いている人物を描いても、デッサンが狂わない。もしくは、デフォルメが不自然ではない。
③ 美術解剖学的な知識がある。
④ コマワリが完璧にできる。
⑤ パースが正確にとれる。
⑥ 試合場面における望遠レンズの圧縮効果を完璧に表現している。
⑦ アマチュアのサイトであるにも関わらず、手を抜かない。
⑧ 女性の身体表現が実は得意。
⑨ 驚くべきは、得点版(これ、名前なんというのでしょう。)の文字の大きさが、パースに合わせて、変化している点である。

まだまだ続けられるのだが、このくらいにしておこう。 
ようするに甘えび先生は、アダルト的な表現とスポーツの両方が表現できるというかなりすごい漫画家さんである。

3 甘えび先生の漫画は絵が古い

さて、ここからは、やや微妙な問題に触れなくてはならない。この件を考察していてある重要な事実について気付いてしまったので、そのことにも触れておこう。

甘えび先生は、おそらく、担当編集者より、このように言われたはずだ。

「絵が古い。」

あの佐藤秀峰先生も、ネーム大賞の講評で、参加者に「絵が古いのは罪だ。」とかすごいことを言ってたので、今回、この「絵が古い」という問題を深く考察したのだ。

と言うのは、甘えび先生の漫画に関しては、ぼく自身、絵が古いのは全く気にならなかったのだ。輪郭のはっきりしているこの絵はむしろ好きである。

非常に生き生きしている絵を描かれている。

ぼくが気になったのは、絵が古いのではなく、野球と言うテーマが古いとう方である。

4 そもそも、なぜ絵が古い漫画が罪なのか。

これは、極めて本質的な話である。大御所のプロ漫画家が、読者に飽きられてしまうのは、実は、「絵が古い。」ことが原因なのではなく、「線が死んでいく」ことなんじゃないだろうか。

これは、漫画家自身の加齢が原因なのかもしれないし、情熱を失っていくことが原因かもしれないし、作画の殆どをアシスタントに任さていることが原因なのかもしれない。

確かにプロ漫画家って、連載が長くなるにしたがって、急速に線が死んでいく。

皆、この線が死ぬ現象を、絵が古いと誤認している可能性がある。

5 我々は、新都社でこのような作品が読めることを感謝するべきだ。

甘えび先生が、漫画を描く情熱を全く失わないのは、奇跡だと思う。
今後も、着々と漫画を更新していただけると、読者としてとても幸福である。

       

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