「落ちこぼれの魔術士戦線」   黒兎玖乃 作
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今回二作品更新の黒兎先生の一作。
本作、実は新作ではありません。
ご存知の読者さんもおられるかと思いますが、別名で以前連載されていました。
こちらのタイトルになって新たに加筆修正など加えられているもよう?
私が以前読んでいたのは序盤のほうだけです。
それでもかなり文面に変化が感じられました。
黒兎先生、お身体のほう、やや心配でもあります。
くれぐれも無理のない範囲で、執筆活動に勤しんでほしいところです。
生きて事を成すってのは、やはり健康な身体あってこそ。
いま無理を強いると何年か後にまたツケが回ってくる気がします。
ご慈愛ください。



■各話ごとの感想
1「落ちこぼれの血統書」1~4
魔術士養成学校の入学式から一週間。主人公・名護瑛介はさっそく校内での一騒ぎ巻き込まれていた。
将来的に瑛介がどんな形で強者になるのか気になるところ。
名護瑛介の魔術適性レベル1というところに何か含みがあるように感じられました。0ではないのです。そこよ、そこ。後続する物語の中で何か触れられてこられるのでしょうか。やらしいなー。この1って数字。

2「狩人」1~4
「大魔道の血統」を守護する「騎士の血統」にあたる涼泉藍花のふるまいに瑛介は早くもうんざり。騒動の原因を作った敷島大護との模擬戦をひかえ、瑛介に課題は尽きない。
素敵な女子に身辺を固められる日々とういうだけで瑛介は感謝すべき。リア充扱いで殺されてもいい!
友人にまでさり気にディスられる様が心地よいです。もっとやられろ。
大魔道の血統書というのは辞退できるのでしょうか? 紛失はあるのでしょうか? などと小さな疑問を持った回でもありました。

3「戦いと闘い」1~4
模擬戦当日。放課後の校内に人が湧く。一点突出型の適性レベルを持つ敷島大護に瑛介が出す策はあるのか。
藍花と友人・颯が見守る。
作中、登場こそ早かった颯ですが、ここまできてどうも弱いと感じます。物語の進行や設定紹介の役割を担っているだけの存在……もよいのですが、颯自身の人物設定、とくに要らないかもと感じます。もやしっ子とコメント欄で記させてもらいました。バトルを見守るだけの友人で終るのかな?「七つの雄」などの知識があってこの学校にいるくらいだから、模擬戦での颯のコメント描写のぬるさに物足りなさがある。毒舌は?

4「持たざる少年の持っていたもの」1~更新分
模擬戦の結果に猜疑心を抱く観衆。短絡にも見て取れる大衆心理に敷島大護は吠える。
うーん、ここの大衆の扱い、さすがにクサさを感じますw おいおいそんな簡単にイカサマに書いちゃっていいの?ってなるのですが、バトルではつきものの感じはするので、まあいいでしょう。
戦闘シーンでの長い「語り」が本作にも見受けられましたw 黒兎先生らしい表現で安心しました。悪くない。
突如現れたフード男に笑う。



■今回更新分までの総括的感想
落ちこぼれと見えるのは一見魔術の適性レベルのはなし。しかし主人公・名護瑛介には誰にも知られることのない隠された才能があった。
蟲籠シリーズでお馴染み黒兎先生の作品。個性的な世界観漂うあちらの作風とは打って変わって、本作は魔法というラノベ分野では馴染みやすいモチーフ。しかし当たらなければ没個性でありきたりな代物。どう書いてくれるのだろうという期待をもって読ませてもらいました。
今のところさすがの一言。無難な褒め言葉になってしまうのが如何ともしがたい。
舞台は学園。分かり易い!そこはもう誰もが想像のつく範囲なので語るは省きましょう。ですが魔法、こちらの作り込み方が創作での賢さや、発想の豊かさを感じさせてくれた気がします。
主人公・名護瑛介の能力に関する設定や、魔術のありようなどに意外性があって面白いです。魔道具っていうのが身の回りに在る家電製品のように馴染めるところがあり面白い。好感が持てました。ただ私、個人的にはやはりクセの強い「蟲籠シリーズ」のほうが何倍も好きです。
本作、単体での物語で決着をつけるのなら、すでに話は出来上がっているように見受けます。連載は恙なくこなしていかれる……かな。某○○う登録から出戻ってニノベでタイトルを変え、連載再開ということだから、面白くしてくれなかったら許さないわよ!って言うぐらいには期待しておきましょう。作家さんには頑張ってほしい。
前回の登録作品のときよりも物語はのっけから穏やかなはじまりです。ガツンと世界観を見せてこないところにとっつき易さを感じました。
本作のタイトルの雰囲気「落ちこぼれ」という響きがどこか情けなく、どこかコミカルに感じていました。今までの「オピオイドの繭」や「マゾかぐ」の印象もあったせいでしょうか……。ギャグ要素が入っているのかとにわかに思っていました。ですが実際読んでみると以外にコミカル(ギャグ)なタッチは多く感じられなかった。クスッと笑えるところは確かにあるのですが、割と冷静に物語の展開を追って読んでいます。主人公の人柄のせいもあるのかもしれませんね。
蟲籠シリーズにしてもですが、轢かれながらも芯の強い系な主人公像がしっくりくる黒兎先生の作品の中では、名護瑛介はさほど女子に轢かれていない気がしました。その辺も新鮮といえば新鮮。
最新話、怪しげな人物も登場しましたので、まだまだこれからかどしどし面白くなるかと思います。
未読の方はこれから読んでも楽しめますし、完結後の一気読みでもよいのではないでしょうか。



■作中印象深かった箇所
・魔術なんて使わなくても人間は生きていける。
熟練された職人の「感」やスポーツ選手の「技」はどこか魔術と似ているところがあるようにふと感じた一文です。「才能」と片づけられてしまうこともある。科学ではどちらも説明がつかないところに共通の不思議な魅力がある。
・死ぬほど努力して、それを自慢するだけなら誰でも出来るからね
努力を自慢するのではなく、その先にある成果や結果を自慢することには意味はあると思うし、それへの評価も受けるべきだと思います。努力の時点での自慢はただの傲慢と変わらない。つき刺さる一文。
・だから塵を吸い込んで咳き込むこともないわ
防塵マスク……、空気清浄器……。→家電製品だ!



以上この作品に関する22日更新分の感想はここまで。