「マゾでかくやな乱れ咲き!」   黒兎玖乃 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17145

蟲籠Ⅱ更新後に引き続きageてくれたのがこの作品。嬉しいことですね同日二作目をぶつけて来てくれるその心意気。高く評価したいところです。さすが量産型速筆作家はやることが違う。もう一作更新してくださってもよかったのに…。もはや誤差(笑)
本作のタイトル、これも私どこかで見たような……。記憶はおぼろげ。何年か前に同じタイトルを黒兎先生の自サイトで見たような見なかったような……。ああよく思い出せませんねぇ。まいいや。
とにかくこの作品、蟲籠シリーズとは全く毛色の違うもの。並行連載でこうしてカラーを変えて作品を書いていくとき、作者の技量が試されると思います。ともすれば投げかねない。そんな不安も付きまといます。しかし文章の書き分けについてはひたすら感心するところが多くあります。


■各話ごとの感想

#01:真染修司
作品タイトルから見て解るようにマゾについてふれることのできるノベルのようです。登録欄ジャンルでは「ガス抜きコメディ」とも記載されています。作者のガスを抜くための作品なんでしょうか。
ガスを抜きためにマゾを書く→作者気持ちよくなる。
こういう解釈もできますか。ちょっと奥ゆかしいですね、方向性が。とても意地らしいです。
さすがエレガント。ざく切りにしていきましょうか。(ニヤリ
主人公の黒t……じゃなくて主人公真染修司の平素からのマゾ性についてソフトタッチに序盤が走り出します。個性の範疇、マゾヒストの脅威はさほど見られませんでした。猿ぐつわ? 何のことだろう。

#02:TRPGとは何ぞや
ああ、懐かしい。と思うのですがこのゲームスタイルは変わらず今もあるんですね。これを経験したとき、コンピューターゲームに押されていつかは消えてゆくものかと存在を案じていましたが、メンツが揃えばどこでもできるベースは古典的ではあるが分かり易い。そして面白い。これが現代でもこのゲームがすたれず残っている所以ですね。当時私はロードス島戦記のTRPGをやった記憶があります。
もろもろの過程を作者に省かれ生徒会へ組み込まれた修司、円満美野里会長の相手にツッコミ役に徹します。
同級の飯島佐知子には被虐性感帯をくすぐられている模様も笑わせる。心中の声で敏感に反応する黒と……ではなく修司の描写が笑いをそそりました。会長のボケ、絶妙です。

#03:テスト勉強
教科書があって先生の板書をノートに書き写す。それだけでも素晴らしい教育体制です。日本の教育は先進なんです。ごく普通に感じるでしょうがそんなことしない国もあるんですよ。たとえそれが経済的先進国であっても。勉強はできるうちにしておいたほうがいいわ~後になって気づいたってオソイワ♪
おかしな眼鏡キャラが出てきました。彼の活躍が期待されます。どう落として魅せてくれる? 絶対また出てくるだろうなこのキャラ。

#04:副会長、その人
せっかくなんでいっそカミングアウトしてしまえば黒兎先生は…あ、いや、真染修司はもっとマゾヒズムの経験ができるんじゃないかなぁと思ったのは私だけ?
脅迫されることも気持ち良かったりはしませんか?
100:0がむしろ気持ち良くないですか? マゾでしょう。精神的被虐性欲にも快感を覚えましょう?

#05:教育される方の合宿①
マゾを克服?心にもないこと考えている主人公クロ……ッ、修司。
合宿のオリエンテーションでやっぱり来たかこの人物、品行方正。しかも今回二人三脚で美女的(笑)相棒つれている。
「ウホッはあい」に、わはははは。
修司&飯島のペアと対決するらしい。

#06:教育される方の合宿②
作家のさりげなく随所に入れてくるマゾネタ。どっと笑うわけではないんですが「ぷっ」とか「くくっ」とかいちいち反応してる自分が悔しいです。
元ネタ、ゴリラbotかな。笑う。

#07教育される方の合宿③
てんやわんやの末、オリエンテーションをクリアした修司&飯島ペア。
主人公である修司本人は現場にはいませんが彼の扱いがとてもいい感じに人権無視されている。
もう、はやくマゾカミングアウトしてしまえばいいのに。
ラストの引きの部分。メキャアに笑った。


■人目を憚るマゾヒスト真染修司、学園生活を舞台に腐れド変態癖を克服するのかな?本当に?
一貫して見えてくるボケツッコミのテンポの良さ。ネタの配置ぐあい。何を書かせてもその技量への感嘆は絶えません。ああー憎たらしい。軽い軽いコメディです。作者、どんな顔して書いてるんでしょうね。マゾがネタじゃなかったらこんなに生き生きとコメディ作品書かれていたのでしょうかw……(どういう意味?)。いい感じでガス抜いてます。作家自身の自虐や八倒ぶりを思わせるマゾギャグ描写も爽快です。喜劇の台本を読んでいるようにすら感じました。読んだことないですけどね実物の台本なんて。
また、黒兎先生独自のセンスでもある巧みな言葉選び。これも的確に活かされてました。笑わせるときでも、ここにこの言葉を持ってくるとよいというのがしっかりあるのか、ツボをよく抑えて来てくれます。物語の傾向はライトでサクサク。その書き方もちゃんと心得ている見事な書きっぷりでした。
作中の登場人物のセリフで交わされる内容でも、まるで読み手とも意思の交換をしているように思ってしまう「知識」の引用。これもうんうんと頷けて憎らしいです。(褒めている)
考察を交えると、修司の性癖、これを今後どうしていくのだろう。もっと濃くしていくのか、克服していくのか、このまま現状維持を続けるのか、それを学園生活とどう絡めて来てくれるのかなと思うところです。性欲というからにはそこに探究心を見出すことも大いに含まれるでしょうから今後の彼の動向が気になります。
ライトなもので進むのか、ヘビーなものに落ちるのか、どちらになっても期待はしていますよ。


■作中特に印象深かった箇所
・欲望がはみ出てますよ、会長。
恥をともなう「はみ出る」というだらしない言葉使い。欲望流出の度合いを明確に表現している。良い!
・俺のことを観察しているのか、じっと向けられた視線を見ずとも感じる。これが視姦という奴か。ぞくぞくする。
全くしょーがねー野郎です。黒兎先生は…。(褒めています)
・下郎を憐れむような目で見下していた。
己のキモさを自覚したうえでの気持ちよさそうがよく伝わってくる。
・毎日のように怪我をするような事案が発生しているので、マゾであることを隠すのに必死だ。
作者のマゾ指数もかなり高いものとうかがえる一文。ここまでの下り良く思いついたと思う。
・『「君、マゾだね?」――以下割愛――バッターアウト!』
テンポ最高。良い!
・いちいち発言がメタい。
過去一度だけの登場なのに強気なキャラ品行へ草。作者の見切り発車の投入なんでしょうか? 笑った。こういうこと言われる人材は残り続けて欲しい。


以上この作品に関する13日更新分の感想はここまで。