「きっとあなたも独りです。」   椋木りょう 作
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椋木りょう先生の超大掌編集。
文芸界隈で本作を知らない方はおられないのではないでしょうか。
連載開始はなんと2013年。
以来ぽつりぽつりと順調に作品更新され今では174作品。
この継続力とネタの引き出しの多さには感服するばかりです。
コメント欄に一作分ごとコメントするとします。
確実に174コメントは得られるかと。
全作品に感想を書くのはさすがに大儀。
途中から一行感想に移行させていただきたいた。
それでは参ります。



■各話ごとの感想
001、
恋に慣れきってしまった。恋愛に初心がなくなった。そうしていつの間にか恋が人生で清涼感のあるものでなくなっていた。
侘しい感じがしました。毎恋度ごとに相手は違う。その人によってときめきや好きになる場所違ったりしなかったのでしょうか。同じだったのでしょうね、ここでの私。どうしようもないくらい好きな時期がなかったのでしょうか。温度を感じさせない乾いた気持ちの表現が印象的でした。

002、塩タン
あるとき嗜好の違う事されると戸惑いますね。身近な例ではルートビアは日本人にあわないイソジン風味のビールなのですが、それを突然上手いと言い出されたとき、友情関係を破綻させてやろうかと一瞬思いました。こっそり一人で確かめたりはしませんでしたけどw

003、3人
3人でも4人でも5人でも、どうしたっておひとりさま。そんな感じはあります。稀に話が合うときに、あわせることができる誰かにあわせればいい。四六時中同じように絡んでなくていいんですよ。友達関係はサービス業のカウンター業務ではないんだから。一生懸命やらないといけないものなんでしょうか。ああ、だから私もw

004、大学
大学行くのに勝ち負けがあるとは! 大学行ってまでグループ考察をしないといけないとは! そういうの皆面倒臭いと思ってないんですか? 好きなのかな? あ、そんなんだからw

005、ライカ
じわじわきます。かつ、ぼんやりしていてちょっと切ない。

006、コード
人様の曲を歌う事、しかも人前で歌う事私はほぼないです。ハードル高いです。そんな私からすればここでの気持ちは羨ましいです。こんなふうに思うこともできるのは歌える前提があるからです。歌えない私はみんなとカラオケに行ってもおひとりさま。

007、刹那
まずまずリア充の私。けれど眠りにつくのが怖いという私の語りです。
考えさせられたのは、自分が生き死について考えるとき、哲学みたいな思考が入ってくるのはどうしてなんだろうということ。誰でも自分なりの考えがあって、向き合うほどに深みにはまるものなんでしょうか。そうやって気持ちを整理するとも言うのでしょうか。何のために? 面倒なんですよ、そういうのは。目前に降りてこないとき以外、ふわふわどこかに浮かばせておきたいと思います。

008、ゴム
切ない。しかし揺れる。だって人だから。

009、夢
町を行く人たちが主人公に見える。この感覚なるほど関心。人の群れ、その一人一人に個々の行先、目的地がある。そこを終着点とするなら人の流は物語。そんなふうにも感じられる。例えば目の前を通り過ぎていく誰かを追っていければいずれはどこかに辿り着く。そしてまたどこかへ向かう。始まりと終わりの繰り返し。物語とどこか似ている。趣があると感じました。

010、M T
気に入りました。外面と内面の差異。無自覚だったか分からないけど、重ねてきた年月は長い時間の流れ。けれどそこに、重みはなくてまるで何もなかったかのように、感じさせてくれました。短いながらに密度がある一作。読後もすっきり。

011 、ジョグ
恋話すると不機嫌になる。そういうリアクションも、可愛げがあればいいんですけどねw扱いは難しいです。
個人的な考えを述べますと、筋肉を落としまう体重の落とし方は、お勧めできません。骨格を支える大事な物なので、死背が悪くなって猫背気味になる。そうなると身体のラインも綺麗に見えない。魅力半減です。そんな私も感想企画始まって以来、4㎏ほど太ってしまいましたので何とかしないといけないところですw

012 啓蟄
人情がいじらしくて良い。女性でしょうか、男性でしょうか。椋木先生作品からははかり知れないです。

013 祝福の中で
うはあ~。これも重かった。のしっと思いが重い。

014 ある女の絶望
怖かったです。

015 寝落ち
ネットで知らない誰かと話す。顔も見えない、互いの過去も肩書も知らないからこそできる話。刹那的に沸き起こった感情を、水に流すように憂さ晴らし。この網の世界にこそ、人の心の片鱗はばらまかれ、いたるところで絡まっているんでしょうね。目に見えないけれど。

015 エセーより
自分のこともよく分からないときがあるのに、他人のことがよく分かる人っているのかなと。分かったつもりでいるのは好まない。だからこそ分かり合おうと接点を持つ。色んな形の通じあい。そんなことを考えさせられました。

・印象深かった箇所
「ただ、時代の頭脳が命を燃やしてきた。だから学問は美しい。」

016 トゲ
告白、されたのでしょうか。毎度馴染の一文が苦い経験と時の流れを感じさせてくれました。

017 帰省
都会って独特な雰囲気があると思います。逆説的に田舎もそうなんだけど。都会は何もかもが多すぎるのに、何もかも深く触れてはいけない。お飾りものが沢山ある場所にも思える。だからそこにいると緊張でみんな疲れてしまう。

019 自撮り
人と会うのは嫌じゃない。けれど鏡を見るのはあんまり好きじゃない。整える、きれいにするとかいうことの、意識が低い人間なので。つまり人に会うためにするべきことを、嫌う人間だから必然的に人に会いに行かなくなるという説もある。私がね、そういう側面もっている。
だんだん読んでいると胸が痛くなってきた。

020 つり革
みんながそれをしないから。いつか誰かもそれをするかもいれない。けれどそんな思いはとどめの言葉に撃ち殺された気がしました。

021 特殊相対性理論
悲しい話が疲れに追い打ちをかけます。読むことが苦痛とかいうのではなく、心を持っていかれるのです。このお独りさまの世界へ。

022 網の目
オフ会には、ほぼ! 参加できないだろう私。新都社のことは概ね二次元でしか知りえない現象。それは心地よく孤独に磨きをかける術ではあるけれど、鬱憤溜まるときもあるんだよ。人恋しい時くらいありますよ。そりゃね。

023 横顔
確かに重い。

024 初恋
初恋って憶えてないけど、こんなにも色んなこと考えていたろうか。その記憶すらない。

025 バカ
バカとは、バカっていう人がバカって子供の頃に教わった。だから私はバカじゃないと思っている。
あ、だから私もおひとりさまか

026 IC
目線面白かった。確かに一理ある感。

027 春分
雷が鳴ると良く停電して困るんです。防災グッズはBBQセットまであるのが安心です。
可愛らしい姉妹関係でした。

028 予測
電源ボタンを押した時の衝動的反応に心が乱れました。

029 さん
自分だったら何日だろうと考えてしまいました。3はしかしよく耳にする数字。うん、なんか、そういうのを感じますね。3って数の便利さを。

030 爪
お~、痛いしなんだか重たい瞬間なんだけど。象徴的に見せられる手もとを見た気がします。あと、だんだんくたびれてきた。
 
疲れてきたので最新話読んで終ります。

0173 侘しさに効く特効薬
侘しさってそんなもんなのでしょうか。しかし案外簡単に埋められるものなんですね、寂しさは。割と刹那的な人との交流が心の隙間を埋めるときはありますね。

0174 遠近法
つかず離れずのぬるい距離感。心地よいとも言えず悪いわけでもない。摩擦のない心の関係。麻痺ともいうのでしょうか。いや、それもなんだか違う気がすると思わせられました。



 ■総括的感想
膨大な量の掌編。読んだ分だけでいいますが、そのどれもが深く心に沁みてくる。百発百中でえぐられるように胸を掻かれる。深く突き刺さる。じわっと痛む。読後の後味の重さや、深さ、強烈なインパクトは何物にも代えられない趣を持っている作品ではないでしょうか。たとえ恋や愛なんかはもうどうでもよくても、本作を読むとその味わいが良くも悪くも感じることができる気がします。
ただ、一気に何作も読むとなると本当に重い。辛いです。泣きたくなります。
他人ごとでない部分や身近に感じることが赤裸々に感じてしまう箇所もあって、お酒なしではいられない気持ちになりましたw
文章量が少ないはずなのに密度が濃くて疲れてしまうのですw これは褒め言葉。
言葉にし難い揺れや沁みる感情を読ませる作品はなかなか出会えないと思います。まして必ず最後の殺し文句。痛烈な一打をサヨナラで浴びせられたかと思えます。
おひとりさまはいつまで続くのでしょうか。
ひとまずここまでを感想とします。



以上この作品に関する4日更新分の感想はここまで。