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「ミシュガルド戦記~~丙武従軍記~~」   丙武 作
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お待たせしました! 今回3作品目のミシュガルド作品。
作家さんはブッツ……初見の作家さんです。
ブッコロ大魔王先生に見える初見の作家さんです。
本作も含めてですがミシュガルド作品、いずれもなかなか強敵揃い。
読ませてくれます。魅せてくれます。
どの作品も独自の面白みがあり個々に優れているのではないでしょうか。
作家さんがた、みんなアプローチが上手い。
嬉ししいですね。これほど何を読んでも面白いって。
私もミシュガルド小説はほぼどれもチェックしています。
登録キャラクターは全部設定までは読み込んでいませんがそれでも楽しめます。
そこがまた嬉しいところでもある。




■各話ごとの感想
・アルフヘイムへ
甲皇国軍とアルフヘイムとの海戦では特攻人魚が迫り次々と友軍の船を沈めていく乱戦状態。そんななか、主人公・丙武は波打ち際で奇跡的に一命を取り留め意識が回復するのだった。
戦場の光景の凄惨な様がありありと描写される出だし。断末魔の兵士たちの恐怖や助けを求める表情が思い描けて痛々しさを感じます。血みどろで我先に逃げ惑う混乱の様子、書かれる文章から確かな作家さんの文才が伺え知れます。

・ペリソン提督
友人との会話でようやく落ち着いた丙武。命の恩人であるペリソン提督に面会。
丙武に郷愁がある。貴重さを感じました。それに対するペリソン提督の台詞も実感がこもっていて印象的です。

・兵舎にて
丙武、アルフヘイムの甲国軍支配下へ赴いた。
うんちくさい丙武、いじられていて面白かったです。
オークのハーフ女子。シュレックみたいなのでしょうか?
この回では亜人と人間の混血について書かれている。甲皇国が亜人を支配下においたら、亜人との混血具合で新たな格差社会が生じるのでしょうか。考えさせられる部分がありました。興味深い。

・出陣式
壇上演説の場に加わることになった丙武と乙文。乙文は緊張の蒼白面。そのおかげか丙武は落ち着いていられたもよう。
人物紹介になっている丙武の心理描写がシニカル。皮肉たっぷりな下りが本作の作家さんらしいカラーを感じられて嬉しいです。笑える。大好きですねこういう気配。



■まとめ
ガッツリと書きこまれる皮肉な表現や凄惨な光景の描写。えぐさを具体的に想像させてくれる力強い文章に並々ならぬ作家さんの力量を感じられるところがありました。そればかりではなく人間の魂に訴えかけてくる大切な心情も書きこまれていました。だからこそ感じられる人として大切にしたい一本筋の通った思想ってあるのではないでしょうか。マッド・トルネコでもそうでしたが、そこがこの作家さんの文芸らしい筆筋かと思います。
またも吸引力のある本作の綴られ具合を見ていると、あのとき(3月の感想企画で)読んだマッド・トルネコの興奮がまた甦ります。トルネコの微笑みが浮かびます。ああ、あの揺れる闇がまた味わえるのかと。心躍ります。未読の方は大長編ではありますがそちらも一読の価値ありと記しておきます。マッド・トルネコのほう、私もあまりの感動からアワードでノミネートさせてもらっています。
本作にもどると、物語はまだ序盤で悲しみや痛みで心揺らされる部分はまだ序の口と言ったところでしょうか。丙武の従軍記録が回を重ねるごとにどのように変化していくのか見もののような気がしました。
こちらも作家さん自らミシュガルドに登録した人物を作中で動かしているので期待を込めつつ、間違いなく興味深く読ませてくれるのではと高く買っている部分は確かにあります。
いや、羨ましい。文才と画才の両道。
私なんぞはまだまだ精進が足りませんなー。ははは。



以上感想終わり!

       

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