青春小説   ヤマダ=チャン 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17567

文芸で初見の作家さん、作品も新連載です。今回一話目だけの更新となっていましたが、手ごわい作品でした! 実に手ごわい作家さんの登場だと思います。これ嬉しい! 新都社も10周年を迎え、文芸・ニノベでの執筆歴の長い作家さんは少なくありません。その中である程度以上の文章力をもつ作家さんはやはり長年生き残って作品を作ってくれます。そして力がない作家さんは残念ながらただ一作品すら完結させることなく作品登録欄から消えて行ってしまいます。悲しいかな、そういう作家さんの文章的成長をみることもままならず……。弱肉強食ですね。ですがそんな文芸・ニノベ作品の更新欄の中で、新人作家名がポッと出てくるととても嬉しい気持ちになります。その新人作家さんの作品に確かな実力を感じられれば喜びもまたひとしお。
こちらの作家さんはそんな喜びを感じさせてくれました。
ヤマダ先生も硬質アルマイト先生同様、音楽がらみの趣味をお持ちのようです。音楽やる方は文章表現にも自然と滲む才があるのでしょうか……。凄いですね。


■援助交際をする女子高生の話。
うっとなる割と執拗な性描写で序文始まっていました。なかなかリアルで読みごたえがある。
いいぞ! もっとやれ。
女子高生という肩書や制服がブランドである自分もあと一年もすればその価値はなくなる。何がいけないのだろうと思うがヒロインは少し愁いている。物質的になにか困っているわけでもないのに続ける援助交際は背徳的な刺激を満足させるための手段に過ぎない。
そんな悪いことするお嬢ちゃんに手を出しちゃうのは所詮考え浅いおっちゃん連中。金払うならちゃんと優良店へ足を運べよ……と、思いますね。
カレーに関していうなら、ルーはご飯に丼のときみたいにべちょ~と全面かけます。そして生卵、ウスターソース。これ鉄板。さすがに2杯は食べなくなりました。
ヒロイン理緒、彼女にはお姉さんがいます。とても良いお姉さんで明るく屈託がありません。理緒の思春期特有と言ってもよい心の闇をお姉ちゃんは浮き彫りにしてしまう存在です。
文章面ではとても魅力的な部分がたくさんありました。たかだか一話分だけなのですが。
多感な年頃に見失う退屈な日常のありがたみ。しがらみへの漠然とした反抗心や開放欲求など、それらを考えられたうえでそれなりに器用に良い子ぶる理緒が良く書かれていたと思いました。高校生らしい自己中心的な冷めた目線でものを考え、もう一歩先へは考えが及ばない未熟さを感じさてくれる作品になっていました。
大人になれば自由なんてどこにもないのが当たり前。それが理屈でわかってきます。ですがこの年頃はそんな理屈はまだ受け入れられず、自分で気づくこともできない。それでいて社会(学校)の中で心地よく周りからも受け入れられる場所へ身を置かなければいけない。そこで沸き起こる背徳感を求める気持ち。人と違うことをやって刹那的に満たされたように勘違いし達成感を得る気持ち。心を満たすにはあまりにも短絡で浅はかな理緒の行動から、彼女がこの先得ること(もの)はなんだろうと思わされました。
のこり一年で女子高生生活も終わる。ならばその期間に何かあるのでしょうかね? 今後に期待したいところです。


■作中特に印象的だった箇所

・猫は自由で、羨ましい。
この文、理緒の未熟な目線を鋭く表していると思った。猫にだって不自由はあるけど、そこは見ない理緒。自己完結して猫は自由と決めてしまっている。
・強いて言えばつまらない毎日に刺激が、変化が欲しかっただけ。
物質的に満たされ、それで刺激が得られる。なんと軽い価値観。さすが高校生だ。こういう年頃の女子の特徴をよく掴んでいると思った。
女子高生でやたらケバい子、もう、よくわらん。泣く。


以上この作品に関する13日更新分の感想はここまで。