「ソナタ」   三浦 作
http://lapluie.kumogakure.com/novel.html

こちらの作品と作家さんを知るきっかけになったのは後藤先生がなさっていた文芸・ニノベ作品感想からでした。面白いけどコメントが少ない。そこに興味を持ち「ほほう、ならばちょっくら良作発掘の意味も込めて読んでみるか」という感じで読み始めました。するとそこでこの反応「お、これはなかなか!」
ニノベの登録は2014年2月10日から連載開始とあります。その時第一話から更新されていたのでしょうか? だとしたら確かにコメント少ないのは謎ですね。おそらくですが、これ私的見解、ニーテル登録様式で小説を読み慣れている読者には、自サイトの小説が馴染みにくいのではないかと思いました。紙面、書籍でもいえると思います。文庫で読みなれると突然豪華なハードカバーを手にしたら幸せだけど少し圧倒される。そんな感覚だと思います。私の場合は紙面で読ませてもらいましたので読むのに色んな意味ですんなり読めました。そして実は私も処女作(削除済み)は自サイトでした。でも管理が面倒なのと、他の作品と同じように文章を平易に読んでほしいと思ったので次の作品からはニーテルにしたのでした(笑)
コメントを存分できなかったのでここで思いっきり感想を書きたいと思います!


■各話ごとの感想

『日常編』
第一話 新橋兄妹
双子の兄・新橋透と妹・新橋光の紹介になる回でした。
兄貴のくせに透、なんだそのへなちょこ具合は! うん、その妹ならその気持ちすごく分かるぞ。ケンカの強い女子は怖い。女であることが既に武器なのに輪をかけて剛腕とか、もうなに!? 理解できない。しかも普段は涼しい顔して虫も殺さぬ振る舞い。ちっくしょー、ギャップが憎めないぞ、光、コラ!

第二話 櫃本千歳その①
「ちょっとお話が」といわれてB組の女子、櫃本千歳についていく透、その短絡さはさすが男子。アホです。
自分の妹だけならいざ知らず怖い女子が登場しました。
殺気の表現が餃子でくる斬新さが新しい感じがした。作者独自の表現でとても楽しんで遊んでる感じがした。

第三話  櫃本千歳その②
殺し屋家業の家に生まれた千歳の話。
現実離れしているけど、家業への意気込み凄いなぁ。お父さんしっかり千歳を教育してると思った。ちとせもまた誇りを持っていて真面目に殺し屋になることへひた向きで、そんなところがまたつっこみどころで笑うところでもあるのだけど良い父娘だと思った。あとお母さん、なんか怪しい! と想ってしまった。

第四話 櫃本千歳その③
透をつけ狙う千歳。その手段がいちいち怖い。しかしよくそれをかわす。透そりあえず生きろ!
何だろうこのノベルは、ハーレムはハーレムでも怖い女子に囲まれる系なのだろうか。光がさりげなく報復を考えてるあたり近いうちに二人の衝突が――。

第五話 櫃本千歳その④
透、光、千歳。授業はちゃんとうけよう。というか、授業中に戦闘はじめてるのかと思っていたグラウンドでのバトル。光と千歳が火花を散らす。横でへぼい子になってる透に笑う。
お、どうした光! 何があった!? ピクリとも動かない光。おいおい、大丈夫か?
読んでるうちに割とつっこみをいれながら物語に引きりこまれそうになりますな~。土埃、凄いね。

第六話 藤納戸忍
藤納戸忍胡っていう散臭い兄ちゃんの登場。髪にふれると色々わかるという一風変わったセンスの持ち主。なんかこの人、ちょっと違う世界に浸っているっぽい。確実にお笑い要素で踏まれる感じがする。

第七話 石竹小雪その①
また一人また一人と謎の女子が登場する。透とぶつかった女子もその一人。男子キャラが出たと思ったらおかしな美容師だったり、告白しそうな女子がきたと思ったら殺し屋だったり、今度の女子は何者だろう。
透が見た夢の話、他愛もない夢ならどうでもいいけど、わざわざ話に組み込まれている時点で、何かあるんだろうなとは思った。

第八話 石竹小雪その②
光の異変に気づいていた見知らぬ女子。透にそのことを言及していたみたいだけど……。
お菓子を以上に食べているっぽい。アメリカのお菓子ってすごく色が異常に濃くて面白いですよ。食感や風味は物により日本人でも受け入れやすいものとそうでないものがある。

第九話 石竹小雪その③
ついに真打、あのぶつかった女子が石竹小雪、2年だと素性が分かります。またここでの第六感ネタに笑った。やっぱそうくるか――!ある意味安心感。

第十話 石竹小雪その④
デブ光。これ凄く笑う。息が荒いのとか、もう、普通に爆笑です。極端なキャラクターのデフォルメ具合、作者の愛情を感じる。上手く表現されているなと感嘆。

第十一話  四季菫&鉛邦弘その①
光の体調不良の原因について透があれやこれやと学校で吹聴していたデマの下り、くすっと笑ってしまった。
ダイエットもかねて光はケンカ師匠でもある忍と山籠もり。それが終盤に差し掛かったころ、透は不良に絡まれる羽目になったコルァ! 光がいないのにどうするの? コルァ! とりあえず光が戻るまでは透に生きていて欲しいコルァ!

第十二話  四季菫&鉛邦弘その②
透はコルァ連中に針入高校へ連行される。ここでも誤解から「ケンカの強い透」として目をつけられていたらしいが――。
菫の挙動面白かった。彼女のキャラもどこかお約束ではあるんだけど安心して笑っていられる。
ダサい演出でその場を切り抜ける透。悔しい、ありきたりだけどクスっとくる。見事。

. 第十三話  四季菫&鉛邦弘その③
菫にしかれているマッチョ漢の鉛。この構図もやはり納得の演出。安定して小気味よいネタです。
トイレで透と光入れ替わる。
「美術館でしてみろころされるぞ!」って、絶対殺されないよね!!(強気)
千歳がこっそり観察してるの抜け目ない。こういう小細工が徹底していてるあたり作者に粋な心をみた気がします。

第十四話  四季菫&鉛邦弘その④
鉛と光のバトル、結果はもうご想像。
雑草を雑草呼ばわりするけど、雑草はどこでも芽を出すたくましい生命力があります。
菫さん今後そのように登場してくれるんでしょうかね? 

第十五話  古代紫
千歳の勘違いっぷり、良い。バカでよかったです。共感。
おおお!? 謎の老人。気になる。伏線きた感じする。

第十六話  海老杉智彦その①
イケメン。光に殺してもらう方向で話が進めばいいのに……。希望的観測。
透と勝負決定。イケメン脳筋死んじゃえ~。

第十七話  海老杉智彦その②
千歳が透のバスケチームに。人選は良いがやはりそこは譲れないつっこみどころ。面白い。
わはは、千歳のボケ具合も鮮やかでよい。
出た。マジヤベー

第十八話  海老杉智彦その③
透と海老杉智彦の昼休みバスケ試合。体育館には生徒たちがわやわや集まっているもよう。
ここではマジヤベーが全ての笑を持って行ったー!!
マジヤベー面白すぎた。マジヤベー えへへへへ

第十九話  海老杉智彦その④
3Pはスリーポイントって書いてくれないと……いけないこと想像してしまうのでぇ~赤面。私の目は汚れているのです。お願いします。
海老杉のこの回終盤の展開もある程度予想はできた。しかし悪くない。安心して読んでいられるのと、安定しているギャグセンスやコミカルな表現。ある意味手堅い話つくりだと思った。

第二十話  松平さくらその①
ああ! やっぱり出てきた雑草さん! (菫さんと言っている)
おおっとしかもニノベでは稀なキャラ小学生登場。ロリだ。ほほう。作者色んな要素盛り込んできますね~すごく良い。

第二十一話  松平さくらその②
小学生(ロリキャラ)松平さくら。彼女もやはり剛腕。もう、どうしてもその路線行ってしまうのね。徹底してる。
いいよもう、もっとやれって気になってきた。読んでもその通り。さくらちゃんはゴジラかって勢い。ホントおかしい。この作品凄いな。
「っていうかお兄ちゃん誰だっけ?」これよこれ!ここすごく良い。ザ・小学生のノリ。抜群に良い。

第二十二話  松平さくらその③
光が喧嘩で負けてくるなんて意外でした。
この話では何がぶっ壊れてもおかしくない、驚かない。それで通行人のおばちゃんが変な顔をするという反応に読んでる方が「え?どうして」みたいな気持ちになる。おばちゃんそこへ機知に富んだ返しを透にするべきですって。そういうふうにつっこみをいれることもできて面白い。(ソナタの楽しみ方一例です)

第二十三話  松平さくらその④
さすが雑草の菫さん。壊れたドアをなおさせる間にも情報収集を怠らない。大人になって思ったけどエロ本一冊二冊って別に弱みにならない…。あ、これ、これこそが菫さんへのつっこみです。こういう楽しさ!!
光、こーら、なんかいけないこと皆に言ってるぞ~! わははは。

第二十四話  古代紫その①
いつぞやの謎の老人登場します。
爺さんのわびさびのある動きが面白い。そこからドンとなだれ込むコミカル表現。だんだん馴染んできたぞこのノリに。
筆談爺さん、わはは。マジヤベー以来の面白キャラだこれ。

第二十五話   古代紫その②
透弟子入りするのかと思ったらDIYの手伝いかよ。生木をいきなり材木へ、ええええ!?
爺さんそれあかんやろお~。そんでもって感動してる場合か透。
この回会話文多い! しかもこれ爺さん筆談です。超笑いました。


■双子の兄妹がドタバタと入れ替わりをして方々で喧嘩をするコメディ作品。
全体を通して見えてくるのがつっこみどころ盛り沢山な話つくりでした。この作家さん自身とても楽しんで書かれている様子がしっかり伝わってきます。作者独自の例え表現が多々あるのですが、そこも笑いのネタとしてさほど苦にはなりませんでした。一度書いたものを手直しされていたみたいなことを以前ツイートで見かけましたが、それをみこして作品を読むと、なるほどなあ、と納得する部分もあります。
特に何か狙うこと、技巧や言葉に懲りすぎることもなく、自分にあった心地よい文章の書き方をされていて好感がもてます。背伸びをしていない。そのうえでちゃんと作品の推敲を繰り返し、読者に物語の世界観を理解できるよう丁寧に仕上げられている感じがしました。作者は作品をちゃんと大事にしている。そんなふうにうかがえる作品です。
確かに、内容的には時流のラノベにどっぷりつかっている読者には物足りない、退屈と思われるかもしれませんね。ただ、この作品の良さは沢山あります。読み物として普通に面白いです。商業ベースに乗せて考えなくてよい安心感もあります。お約束展開ですが、そこもちゃんと基本としてちゃんと押さえて来てくれています。作者の見せたいところも大変分かり易い。まず小説で大事な読者に「伝える」ことをよく理解されていると思いました。これ、簡単なようですが意外とできない。すごく大事ですよね。
登場人物の作りこみも個々に魅力的でした。どのキャラクターにもそれぞれ一長一短あってそこがまたよくできていると感じました。完璧すぎる人物はいないのでどの人物も趣があり好感が持てます。


■作中特に印象に残った個所
・今まで冷凍食品の餃子を食べていたが、生まれて初めて手作り餃子を食べたような気分だった。
本物の殺意を表現する下り。凄く斬新。全く共感はできないのだけど、その強烈さにねじ伏せられる心地がした。本作中、いくつかこれと似たような作者独自のたとえ表現があるけど、それも含めてとても笑える。
こういうの、ぜったい他で見られないでしょ。良い!
(「三浦表現餃子の法則」と名付ける)
・「皆、自分の身体の為に我慢してるの! ――以下割愛――」
ダイエット否定しないけど、日本の女の人やせ過ぎだと思う。おまけに猫背が多い。良くないです。
上体の筋肉がちゃんとついてないから猫背になる。筋肉を適度につけてその上に脂肪をうっすら。その方が絶対きれいだと思う。痩せるだけのダイエットはお勧めしません。という超個人的願望。
・「筋肉しかない人間の打たれ弱さわかってんのかゴルァ!」
ゴルァ! ゴルァ!


これだけの話数に印象的な箇所が少なかった。それはなぜか。作品全体の作りやまとまりはとても良いのです。むしろそれこそがこの作品の魅力だと思いました。だから個別にぐっとくる文章はあまりなかった感じです。


以上この作品、第二十五話までの感想はここまで。