「ソナタ」   三浦 作
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今回の感想では第二十六話目からです。
大長編のソナタの読みごたえは変わらず建材。後半の「透輝大学病院編」登場人物も半増えて込み入ってきます。



■各話ごとの感想

第二十六話  藤黄北斗その①
つい最近妹の光をボコボコにした学校の番長・藤黄北斗登場です。透、ほいほい無防備についいて行って大丈夫なのか? 心配になりましたが実は藤黄もその見た目とは裏腹に家庭環境で悩みを抱える普通の高校生でした。さすがに家族が芸能関係者というのは疲れますね。
透と彼の間に友好関係が生まれそうでほっこりできました。
電車を乗り継いでケンカを売りに来る不良連中にも笑った。こういうコミカルさとても作者らしい表現だと思う。

第二十七話  藤黄北斗その②
番外編のドミノ漫画。未読。大丈夫ですよね。小説感想なので漫画のほうには触れませんね。
筆談爺さん古代と透の修行。なにやらのどに細工をして行う修行です。そうすれば結果的に岩をも砕く声が出せるようになると……。破壊力抜群ですね。これで強くなれるのでしょうか、いや、なるんです! よね。
なかなか面白い試み。苦しんでいる透の姿、ちょっとかわいそうだけど笑います。

第二十八話  藤黄北斗その③
透が藤黄相手になにかすごく良い説得しているようにうかがえます。でも込み上げてくる笑いの正体。これはそうですよね。あれだ、うん。そうです。わはは、言えない。
藤黄の思い人への告白どうするんでしょうね。読んだ後で先が分かるのでこの辺読み返すとやっぱり笑う。

第二十九話  藤黄北斗その④
そっちかー!! 好きな人ってそっちか―!!! 盛大に突っ込む。
てか、告白された側のお前もそれでいいんかーい!! 結婚するんか―い!
(多くは語るまい)

第三十話 浅紫優二郎その①
針入高校の筋肉番長・鉛は以前光が扮する透に勝負で負けて以来元気がありませんでした。しかし菫の裏工作で行った透との腕相撲と相撲に勝ったおかげであっさりそれも回復します。そんな折……。
学校に現われた謎のキャリーバッグ男。超怪しいこの男のいでたち。
男に針入高校の不良たちはものの一瞬で蹴倒される。
透は筆談爺さん古代のもとで修行中。息苦しいそう。しかしその時そこへ危機がせまる。

第三十一話  浅紫優二郎その②
修行中の透めがけて一発攻撃をかました人物こそ針入高校の不良連中をのしたキャリーバッグ男・浅紫優二郎です。なにやら古代といわくある人物みたい。
過去にこすい手を使い、度々古代の弟子になろうとしていたがその度に失敗の連続。古代にしてみればウザイ男というわけですね。
まあそのへんよく分かる。しかしこの人物、古代と透の間にかませれば今後いくらでも良い味が出てきそうですね。
古代爺さん誤字とかもうほんと笑いに小技効いてる。

第三十二話  浅紫優二郎その③
修行場所に乱入してきたキャリーバッグ男・浅紫に追い掛け回される透。光が来るまで何とか命をつなぎとめることになります。そこへ巨大イノシシ現れる。完全にこれでドタバタがまたも決定。
で、またこのイノシシが強いのなんの。透に強いのは分かるとしても、自称殺し屋の浅紫よりも強いって、もうあれですね、山の主ですかねこのイノシシ。てか、山には熊もいるみたいなのですが……古代さんどんなとこ住んでるの。この爺さんだから住めるって感じでしょうか。

第三十三話  浅紫優二郎その④
当然と言えば当然で、少し考えれば分かるかもしれないが。確かに納得はする。
光が山で修行をしていたというのを聞けばピンと来るはず。納得の友好関係。イノシシと光は仲良しだった。
笑った。ちょっと気づけなかった。やられた。悔しい。そして納得した。うん、私はまだ読者の感覚で読めているぞと。
そしてどこでもキャリーバッグの浅紫、やめえその恰好。シュールで笑います。それを置いて色々やれば五倍くらいは機動性上がりそうだけどね。それいっちゃあいかんのだよね。だいじなタオルなみに重要アイテムでしょうからね。良いキャラだ。




日常編の感想、途中ですがここで一旦区切ります。
というのも、個人的なこの作品への感想、見解になるですが、この後に続く第三十四話からが透輝大学病院編のように思えてならないからです。
作中の登場人物、出来事などをふまえてもこの第三十四話から伏線がまかれているように思いますので、日常編を区切るなら第三十三話でいいだろうなと感じました。作家の意図とはまったく関係ないであしからず。
自称殺し屋の浅紫が学校へやって来て、ドタバタしてクラスメイトの色んな声でざわつく中、透は辟易としながらまたいつもの日常が始まる。ここで一旦幕を引いでも物語に区切りがつきそうです。
そのあと第三十四話からの新たな舞台設定、物語が組まれているようにも思えます。

というわけで、以下、第三十四話から透輝大学病院編(書き直し中)の第四十六話までの感想行きます。



第三十四話 コチニールその①
チワワが喋ります。関西弁でおっさんです。伏線としての登場なのでしょうか、この犬は。そして謎なタイトルでわかるようにコチニールとはこのチワワの名前です。
ツインテのロリ小学生の次は関西弁チワワが物語へ投入されます。そこだけでもクスって笑えますが何が絡んでくるのかここだけでは全くの謎。

第三十五話 コチニールその②
第三十四話あたりからどうも物語の方向が変わっていくみたいに思います。このチワワのおっさん何でしょうか。もともと人間だったと言っています。しかし昔の記憶がないとも言ってます。それはつまり犬なのでは?
この犬との関わり合い、今後わりと濃くなってくるみたいなので、前話でのコチニールの登場にはもう少し前置きが欲しかったような気がします。

第 三十六話 コチニールその③
電車乗り継ぎの不良遠征軍がきた。お前ら遠足かよもう。笑う。そしてさくらにぶっ飛ばされるというお約束!
そこへ石竹先輩キタ。姉の霙とともにコチニールを探していたらしい。
石竹先輩のお姉さん、霙、この方何か隠してそうですね。なにか臭う感じがする。

第三十七話 チニールその④
おっさんチワワを連れて行く霙。松平さくらを案じる藤黄から透に電話が入ります。確かにそんじょそこらの不良相手だとさくらはなんの心配もいらないでしょう。しかしそれは不良という頭脳戦を強いる相手ではないから。力勝負でない何かが彼女へしのびよるのに気づくのはさらに先です。


透輝大学病院編(書き直し中)

第三十八話 プロローグその①
光と透の先輩である岩竹小雪。彼女は自分の姉・霙の行動が最近妙だと光に相談します。
ここで新登場人物が投入されます。病院内に響く女子集団の声。しかも黄色いきゃっきゃしたものでなくドスのあるヤンキー系っぽい。
中学生女子集団のリーダー椎名真赭(漢検1級文字。漢字変換いらついたw)登場でした。

第三十九話 プロローグその②
キャリーバッグ男浅紫のシカトされっぷりが鮮やかで笑う。
ちゃっかり爺さんに透の修行人員として利用されているのにもよい感じです。

第四十話 プロローグその③
光の喧嘩の師匠であるヘンテコ美容師藤納戸忍のもとへ彼の同級生が訪ねてきます。
女なんだか男なんだか……、だから作中この表現だったのかと納得箇所がありました。この思わせぶりな書き方嫌いではない。

第四十一話 カフェ『LABYRINTH』
菫に呼び出しをくらう透。意外でした。この女子はなんだかんだで透を利用しますが。じっさいそんなに悪い人ではないみたいですね。光とは女子力がらみで火花を散らしてますがそれも見ていて面白いです。
ここで透は重大な事実を菫から知らされます。この事実をしってしまった透、藤黄への面子が危ぶまれますね。

第四十二話 椎名真赭
光が家に戻ってきていません。その事実はすでに菫が裏を取っていた。それを聞いた透は光が行ったと思われる病院へ行くが消息はつかめず。そこで入院中の中学生不良女子・椎名真赭に出くわしてしまいます。
透の父親も入院していたこの病院。ここの部分の下りにとても伏線臭をまた感じました。フンガフンガ。気のせいかな。
透、パチモン呼ばわりされてる。わははははは。
あ、透消えた。

第四十三話 飛んで火に入る夏の虫その①
小雪の姉、霙が足しげくかよう透輝大学病院。その地下には秘密の施設があった。光と小雪、チワワはそこに監禁されている。
ここから新しい登場人物いきなり四人? 五人? 六人?投入されます。
これは正直分かりにくかった。道重と珊瑚が同一人物であるのがここでは分からない。人物の容姿、性別や話し方に特徴があればもう少し理解もできる。道重って男の名にもとれる。だから別人かと混乱してしまいました。
研究施設っぽいので皆が白衣着きている姿を勝手に想像してしまうと思います。つまり皆同じ服。けど、それだと個別に人物像が先行して想像できずセリフだけの文が続くと読み手には誰が話しているのか分かりづらい。以上が初見の感想。

で、以下何度か読み返しておもったこと。
木村さん、桔流赤丹、孔雀嘉男、道重珊瑚、若芽。
やっぱりこの五人がどういう役職でこの施設にいて何をしているのかやはり分かりづらい。役職が分からないのはネックになると思われる。登場人物のイメージを決定づけにくいので。
木村さんはこの場にいない。だからいないものとして、残り四人。この人物を定着させながら物語を進めるか、先に人物像を定着させてからのほうが物語に入り易くなると感じました。連載を急がれたのか、短くし過ぎたのか、削られすぎている気はします。誰を各話で話の軸として扱うか、そこも書いてもらえると今までのソナタの世界観や雰囲気から外れることなく読みやすいかと感じました。

ローズ、これは何ですか?
新しい武器かと思ってググりました。これについての表現も少し説明不足。私、置いていかれてます。

第四十四話 飛んで火に入る夏の虫その②
透、ミイラ取りがミイラになった状態。そこへ自力で脱出した光一行が透を拾う。
やっぱりわからないローズ。日本でのブームだから私だけ知らんのか?と思ったら後藤先生も最初わからなかったみたいで安心した。(後でどういうものか分かったけど著しくもやもやした)
脱出道中そこでもやはりドタバタ。透と光の一行は人物が固定されているのでまま読める。
ただ、やっぱり人物の書き込み不足が感じられる。削ったら肉付けも欲しい。脂肪だけ落とさず程よく肉付けてください。

第四十五話 飛んで火に入る夏の虫その③
第四十三話から通しで何度か読み返したうえでの人物把握で読んでいます。それをふまえて物語を読むと笑える箇所はいくつかありました。
ペットにいたぶられる孔雀。これ、面白かった。シカトされていた若芽も良い。こういった人物の表情が初めのほうにあったらよかたなぁと思いました。
カーニバル? またわからない言葉が出てきました。ローズの時もそうだけど、突飛に出てくるこれらの単語に置いていかれます。
もしかしてこの透輝大学病院編から作風が徐々にですが変わりつつあるんでしょうか? 三浦先生もこれだけの長編を連載してきて書き直したり、元あった作品を短くしたりしていると書き方がかなり上達したり慣れたりしてきていると思います。それがうかがえるのがこの回と次の第四十六話。
それでも一生懸命ソナタの色合いを崩さず執筆しようとしている。そんなふうにうかがえます。

第四十六話 道重珊瑚
忍の同級生・木朽という人物、ちょっとした仕事でこの町へ来たらしいのですが。忍との会話でその仕事をこなす意気込みはなくなります。意味の深い人物に見えますが、この回はなんなのでしょうか……。謎を残して木朽は去っていきました。
ローズ(ブルーローズこれらは同じもの?)とカーニバルとは……。それが明かされます。
研究員道重珊瑚かと思ったら研究所付の用心棒でしたね。最初わからなかった。この物語だと、どちらかと言えばもう少しはじめの登場したときに職業を分かりたかった。
ですがここでの珊瑚の人物描写、彼女に秘められている過去、これらはとても素晴らしい描写でした。洗練されてきている文章だと感じさせます。この作品第一話から読ませてもらいましたが、本当にここまで来ると凄いと思いました。この回はぐっと深く深く珊瑚の内面に引き込まれます。こういう丁寧な文章、新都社の古参の実力のある作家さんと普通にタメをはれるくらい素晴らしい文章です。


■光とは違うけど修行をして力を手にしようと励む透、しかし光を探しに行った病院で思わぬ事態に……。
こうして一気に読んでみると本当に色んな楽しみ、面白さを各話でくれます。今回、感想を書くにあたり第二十六話から第四十二話までまた一気に読みましたが回を重ねるごとに作家の文章への力の入り方が変わっていくのをとても感じました。特に後半。そこには長所短所ももちろんあります。
しかしそこは長編を書くうえで三浦先生が今後消化して作品を執筆していくことだろうと思います。後半の透輝大学病院編はまだ書き直し中とありますので、あせらず着実に作品を執筆していけばいいと思います。文章を書く力量は充分うかがえますので、あとは納得いくまで推敲や書き直しを繰り返すしかないと思います。
時間がかかってもいいと思います。話数がどれだけ増えてもいいと思います。自信を持って書いてください。
商業誌を視野に入れないのであれば話数が増えることへ懸念は必要ないと思います。締切りもありませんしね。
今回の感想では少し厳しいコメントも入っていますが、三浦先生ならきっとこの作品を成就させてくれるだろうという希望的観測の元、今後の執筆の糧になればいいなと思い書かせてもらいました。
ニノベの多作品と比べても全く遜色を感じさせませない良作ですよ。これだけの文章をお書きになれるのですから、ぜひとも最後まで小説で読みたいと思いました。個人的にそう思います。完結が見たいです!
漫画は漫画でまた連載したくなったらその時にすればいいと思います。


■作中特に印象深かった箇所

・強い自分を高められるのは、自分と同格、もしくはそれ以上の相手しかいないだろう?
同意する部分もあり、さらに上乗せする気持ちもあります。上乗せする気持ちというのは、自分と同格、それ以上の人間から得たものを、自分より格下の物へ求められれば伝授する。それは自分の貯金を減らすことのように思うけど、そこからより貪欲に自分が今より上を求めるようになるので技や知識もおのずと増える。新しい自分の能力捻り出そうともがくようになる。こういう感覚は好き。(スゲーウザイ人。私)
・人の忠告というのはいつだって、後から遅れて気が付くものだ。
言いえている。全くだ。そうだ!(自戒)



以上この作品に関する13日更新分までの感想はここまで。