「欠けた天使の与能力」   滝杉こげお 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17573

今回も感想日程にあわせて下さったのでしょうか。嬉しいです。
前回の感想から随分話数も進んでいるので、感想の書きがいもあるというもの。
物語にどんな動きがあったのか……。
本腰を入れて感想書きますので、ちょっとしおっ辛いことも言いますが、これに屈せず頑張ってほしいところ。



■各話ごとの感想

第二話 何かの足音   
着々と進む生誕祭の準備。アーエルは弟天使オーエルの、意味ありげな言葉に一抹の不安を覚える。神の敬称式の行方は……。
どうしても、何としても神になりたいアーエル。その気持ちがくどいほどうかがえました。アーエルのそんな気持ちを、強く書きたかったのだろうという、作者の気持ちがつたわります。
神の社で登場する巨大な天使ふたり。この構図にはとても神々しい、独特の世界観を感じました。天使として登場するアーエル、ウーエル、オーエル、そして神、学園の同じ天使やウシエルからは、はっきり言って凡庸な人間らしさしか感じません。ですがこの社にいる巨大天使たち、メタトロンとサンダルフォンに関しては、人間とは明らかに違う異種性や、カリスマ性を感じました。天界にそぐう天使だと思います。巨大天使がいなければこのシーンとてもつまらなかった。


気になった表現(誤用)

・筋トレがてら走って俺が探してきてやろうか?

「がてら」の使い方が奇妙だと思います。そらく「走りがてら探す」なら良い。
「がてら」は三つの動作を同時に行うときに、使える言葉ではないはずです。ウーエルは筋トレと走ることと、オーエルを探すことを同時に行うことになるので、動作に矛盾がでます。意図的な表現でしょうか? だとしたら分かり憎いです。筋トレも定位置で行おう運動なので、「探してきてやろうか?」の「来る」の意味とかみ合いません。


ややくどい・書き過ぎ
食卓の席に着く。→食卓に着く。
文脈から食卓と席はペアの存在。ない状態は普通ありえないので、あえて書かなくても伝わります。


誤字
アーエン→アーエル(二か所あった)
伸長→身長(変換ミス)
予知夢のそのうちの一つ。→予知夢もそのうちの一つ。(格助詞タイプミス)


第三話  崩れた天使の向かう先
神の御前で頭を垂れるアーエルと弟たち。ついに神の継承は行われた。しかし結果はアーエルの思いとは異なった。
読んでいて期待を裏切られた感じはしませんでした。お約束的な意外性もちゃんと組み込まれていて、物語を読んでいて面白く感じます。神の決定で取り残されるアーエル。想像はしていたけどとても楽しめた瞬間です。
アーエルの心が崩壊していく様から、一生懸命な表現が滲んできます。


気になった表現
・夢かみも、弟かみもすべて。
この「かみ」は「神」のことでしょうか? 
特別平仮名である意図が、ちょっと分かりにくい表現です。


第四話  最後の日常
継承式以来、心は壊れてしまったアーエル。懸命に最後の平常心を繋ぎとめようとするが難しい。その結末、アーエルのとった行動は?
アーエルの吹っ切れた感じが怖いですね。思わずにやけてしまいました。
や、アーエルが普通に面白い。

登場人物紹介
人物紹介なのであまり書き過ぎると興ざめします。ここで詳しく説明するより、本文でどういう人物なのか読み手に分からせる方が得策かと思います。
簡潔に、特徴さえ書いておけばよいかと。(参考:ニノベ企画「生け贄の旅」くらいでよい)



■今回更新分までの総括
作品数を重ねるごとに、執筆での成長が確実に感じられる作家さんです。こげお先生の作品は今まで、どれも読ませてもらっています。完結できないと思ったときは気にせず、どんどん新作へ着手すればいいかと思います。物語を完結させることは初志貫徹、確実に力になると思います。コメント欄でもふれられていましたが、本作が今までの中で、一番良い出来だと私も思います。文章力において不十分なところはありますが、あまり気にすることではありません。物語はしっかり構成されていますし、独自の世界観もあるように感じました。物語(小説)としてちゃんと成立している作品だと思います。
自分に浸りすぎている主人公アーエル。彼の心情も、面白いくらい人物像がぶれずに、よく書ききられていると思います。作品の評価は「良」としていいでしょう。前述の不十分な文章力の面ではまだ発展途上。今後作品を書きつつ、学んでいけばいいと思います。
考察は主人公アーエルの今後になります。彼の崩壊、欠落をどのように書いていくかになるでしょうけど、既に構想があるなら楽しみにしたいところ。大きな現象を何かをおこして、物語を収束させていくか、静かに謎的ニュアンスを残しつつ終わるか、何にせよ期待しています。
この作品、完結すれば確実にこげお先生の力になるでしょう。ぜひ頑張ってほしい。



■作中特に印象深かった箇所

・晴れやかな気分が景色いつも以上に鮮やかに見せているのだろう。
人物の内面と周りの情景を、うまく重ねている。こういう書き方だと、読み手もすんなりアーエルの気持ちに入りやすい。同時に、周りの景色も自然に想像することができる。



〇おまけ
こげお先生の作品を読むとき、いつも思うのですが、行が短いのはなぜですか? 当初、この作品の作風で意図的に行を短く書いているのかと思いましたが、そうでもなさそう?



以上この作品に関する18日更新分の感想はここまで。