「右手短編集」   右手 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=2569

なんと、8年前の作品のサルベージ&再利用と作家コメントにあります。
ちょっとした驚き。古参の作家さんです。歴史を感じます。
右手先生は漫画の作品もお持ちのよう。
漫画と本作、いずれも未読でした。
ご本人のブログの情報では、ひっそりと文芸作品を更新とのことでした。
小説と漫画。両刀使いの未来、応援したいところです。


■各話ごとの感想

・ROOM
水中世界にいる男の奇妙な体験談。
世界観が独特で面白いです。登場人物もコミカルなタッチで描かれていて、漫画を読んでいるように感じられる。セリフもシンプルながらに笑わせてくれます。右手先生ならこの作品、漫画で書けそうですが、文章になっていても楽しみる要素があり興味深いです。
人物像もしっかりしていて、短い作品ながらなかなかどうして味わい深い。
この物語、続きがあるのでしょうか? 最後のおわり方がそんな雰囲気ですがどうなんだろう。

・数字の話
「―」、「二」、「三」、「四」、漢数字の話。
四がなぜこの漢字になったのかを、二人の女子が話題にしています。「ほほう、なるほどなあ」と頷けるものがありました。ここに書かれていることが、実話なのかは分からないけれど、惹かれるものがあります。
作家さんの感性だけで書かれているとしたら凄いなあと思いました。

・食通植物
捕食して生きる植物の話。
サクサクと読めました。落ちは想像つくのですが、悪い気はしません。軽快な文章で読みやすいところも好印象。先が分かっていつつもクスッと笑えるところや、つっこみどころもありました。

・理想郷S
小さい生き物の世界。
本作のなかで一番好きかもしれません。序盤の文からうかがえる世界観が幻想的。しかしその世界には、どことなく血なまぐさい戦の気配も感じられる。何が書かれているのか最小限の情報。ぼんやりとぼかす伝え方が、抽象的ではありながら、終盤一気に種を明かされます。ちょっと可愛らしいと思えました。


■今回更新分の総括
どの作品にも共通しているのが、個性的な雰囲気作りです。奇抜というのではなく、作品の個性を出せるだけの表現力が十分にあると思わされました。物語の構成もとくに問題なく、よくまとまっていると思います。ところどころ違和感を覚える言葉使いもありますが、そこは人それぞれの感覚の範囲で、私が個人的に気になる程度。全く気にならない方も多いと思います。短編集としてちゃんと成立していました。漫画も書きつつこうして短編小説も書けるという力量、貴重だと思います。ぜひ誇って欲しいです。増長しない程度にw
各作品、どれも短いショートストーリーなのですが、その短さが問題なく普通に良い。好感が持てます。前述しましたがサクサクと読めてしまう感じが心地よかったです。
こんごもどしどし作品を書いて欲しいと思いました。期待!


■作中印象深かった箇所
・……太陽が、青い。
冒頭一文目。ストレートかつ鮮烈。良い。
・洗濯機のなかから説教されるとは思わなかったな
笑った。このシーン、コミカルで良い。
・もしうっかり誤字ったら首が飛ぶかもしれないのだ。
古代の中国、特に王宮に使えていた人たちの規律は厳しそうだから、本当にそんな気がしますね。



以上この作品に関する7日更新分の感想はここまで。